人生の応援歌となる物語を届けたい。コンシューマー向けRPGをゼロから作り上げる醍醐味とは ――スタジオイストリア 馬場英雄氏インタビュー

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『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』などのRPGで知られる株式会社スクウェア・エニックス。同社を有するスクウェア・エニックス・グループの1つに、株式会社スタジオイストリアがある。スクウェア・エニックス・ホールディングスの100%子会社であり、完全新規のRPG立ち上げをミッションに2017年1月に発足した開発スタジオだ。

スタジオイストリアを率いる代表取締役の馬場英雄氏は、かつてコンシューマー向けRPGの大作シリーズに携わってきた人物。ゲームクリエイターにとって、スタジオイストリアとはどんな可能性を秘めた場所なのか。馬場氏にその魅力と展望を聞いた。

プロフィール紹介

馬場 英雄 氏(ばば ひでお)
代表取締役

株式会社ナムコ(現:株式会社バンダイナムコエンターテインメント)入社。
総合プロデューサーを務めた『テイルズ オブ』シリーズをはじめ、数多くのゲーム開発・プロデュースを担当。
2016年10月、株式会社スクウェア・エニックス入社。新規IPならびに新規事業企画の立ち上げを経て、2017年2月、株式会社スタジオイストリア代表取締役に就任。

既存シリーズの延長ではない、新たなタイトルを生むための「開発スタジオ」

── 今回はインタビューにご協力いただきありがとうございます。スタジオイストリアが発足した経緯についてお聞かせください。

馬場氏:私が前職からスクウェア・エニックスに移籍する際に、新たな事業軸となる新規ブランドを立ち上げてほしいというミッションをいただいていました。既存のRPGシリーズの延長ではない、いわゆる「新規IP(Intellectual Property)」ですね。このミッションに集中した組織を形成すべく、スクウェア・エニックス・グループのゲーム開発スタジオとして発足したのが「スタジオイストリア」です。

―― スクウェア・エニックスとスタジオイストリアの違いは、どのような点にあるのでしょうか?

馬場氏:外枠からお話しますと、株式会社スクウェア・エニックスも株式会社スタジオイストリアも、スクウェア・エニックス・ホールディングスの100%子会社となります。いわば兄弟会社です。スクウェア・エニックスにもゲーム開発の組織がありますが、マーケティングや営業など数多くの部門も存在します。一方、スタジオイストリアはゲーム開発に特化した組織。あくまで「開発スタジオ」という形です。

ゲーム開発の現場においては、兄弟会社スクウェア・エニックス内の様々な手法を踏襲しているわけではなく、スタジオイストリア独自のプロセスで開発を進めています。ゼロから人を集めていますので、開発プロセスを自分たちで作り上げるところから始める必要があるんです。私自身、組織の構築からゲーム開発に携わるのは初めての経験で、試行錯誤しながら日々を過ごしています。

―― コンシューマー向けRPGをゼロから立ち上げることは、最近では珍しいのではと思います。

馬場氏:仰る通りです。以前は各メーカーが新規IPの創出にチャレンジする光景も多く見られたのですが、近年はエンターテインメントの多様化なども背景に業界全体で競争が激化してきており、成功したシリーズを軸にビジネスを展開するのも、ごく自然な流れでしょう。

スクウェア・エニックス・グループは『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』『キングダム ハーツ』など、すでにさまざまな人気シリーズが存在します。これらの多種多様なシリーズを大事にしたうえで、事業軸として中長期的に考えたときに「新たなビジネスチャンスの創出」を判断されたのだと思います。

どんなお客様にどんな遊びを届けるのか。ゼロからコンテンツを作る醍醐味

―― RPGのゲーム開発において、新シリーズをゼロから作り上げる面白さはどこにあるのでしょうか。

馬場氏:シリーズを続けていくと、お客様と開発側の間に「このシリーズはこうあるべき」という“暗黙の了解”が生まれます。シリーズを長く続けるためには新たな要素も必要なのですが、“暗黙の了解”から外れてしまうとシリーズらしさが失われてしまう。変化を恐れながら、進化せねばならない葛藤が常につきまとうんです。

加えて、会社の戦略もあります。たとえば「コアなユーザー様だけでなく、幅広い層をターゲットにすべき」という方針が出たら、ゲーム内の遊びの提案と折り合いをつけねばならないでしょう。開発側はお客様と向き合い、会社とも向き合わねばならない。ここにシリーズを続ける難しさがあります。

ゼロから作る面白さは、まさにこの葛藤がないこと。どんなお客様に届けるのか、どんな遊びを提案するのか、コンテンツをゼロから考えることができます。非常に自由である一方で、覚悟も問われる作業と言えます。「会社に言われたから」ではなく、「自分たちでどうしたいか」を起点に未来を選択できるのは、ゼロからのものづくりの醍醐味だと思います。

―― スタジオイストリアには、どのような方が働いているのでしょうか。

馬場氏:ゲーム開発経験者を中心に、「新規IPの開発に携わりたい」という熱意を持ったスタッフが集まっています。シリーズ1作目を開発したオリジナルメンバーになれるチャンスというのは、そうありませんから。

みんな内面にたぎるものを持っていますが、職場の雰囲気は穏やかですね。リフレッシュエリアがありますので、黙々と開発に集中して、リフレッシュはしっかりして、と、メリハリをつけて仕事ができる環境だと思います。

―― 馬場さんが「一緒に働きたい」と思う方は、どのような方でしょうか。

馬場氏:言われたことをただこなすのではなく、自分の中に秘めた思いを持っている方。チーム全員で議論しながら進めていくのが、私のこれまでのワークスタイルでもあるのです。まず自分の中に強い思いがあり、温めてきたアイデアを互いにぶつけていけば、熱量の高い仕事ができるのではと思います。

そのうえで、協調性のある方。チームですから、自分の思いだけでは組織が回りません。チームとして進むべき方向を受け入れ、その枠組みの中で自分のやりたいことをどう実現するか考えることが大切です。アウトプットの形を柔軟に変えながら、リレーションシップが図れる方と一緒に仕事ができればと思います。

「人生の応援歌」となる物語を届けるため、全員で1つの作品を作り上げる

―― 馬場さんご自身も、前職からスクウェア・エニックス・グループに移られた「転職組」と言えるのではと思います。前職で実績がありながら、新たな道に踏み出したのはなぜなのでしょうか。

馬場氏:40歳半ばを過ぎ、「あと何年、仲間たちとゲーム開発ができるのかな」と考えたんです。このまま頑張ってシリーズを作り続けるという選択肢もある、さらに全く新しいチャレンジに踏み出す道もある。その決断のきっかけの1つとなったのが、あるタイトルの制作にて「選択」というテーマで、主人公の生き様を描いた経験です。

転職のような大きな選択から、日常の中で気付かずに行っている大小さまざまな選択まで、人生は選択の繰り返しだと思うんです。意識して選んだものもあれば、無意識に選んでいるものもある。そして、選択の結果の善し悪しは時間が経たないとわからないことも多い。でも選択したのは自分です。自分で道を選び取っているわけです。

主人公の「選択」を描く中で、自分の人生は自分で選択するものであり、それならば、新しい環境を選択してもいいんだな、と思えました。決して楽な選択ではないですし、選択した結果がどうなったかはまだ見えていません。今はただ、目標に向かって突き進むのみですね。

―― 最後に、スタジオイストリアへ転職を考えている方にメッセージをお願いします。

馬場氏:スタジオイストリアという会社は、スクウェア・エニックス・グループという大きなグループの中で、新しいコンテンツを立ち上げ、シリーズ化を目指して展開していこうという、大きな大きな期待を込めて作られた会社です。企業理念は「笑顔、感動、幸福、『人生の応援歌』となる物語を届け続ける」。RPGはゲームとしての遊びに留まらず、強いメッセージ性を備えたジャンルだと捉えています。物語を丁寧に描き、エンディングを迎えたプレイヤーに何かを手渡せるような、そんな作品を作り上げたい。その思いで全員が一丸となって開発にあたっています。

この記事をご覧になっている方の中には、今の仕事が楽しい方もいれば、新しい環境に踏み出したい方もいることでしょう。さまざまな選択肢が無限に広がる中、1つの選択肢の中でスタジオイストリアに興味をもっていただけたら嬉しく思います。

インタビューを終えて

発足から1年半あまり、2018年9月にはソニー・インタラクティブエンタテインメントが開催するカンファレンス「PlayStation LineUp Tour」で、スタジオイストリアが手がける新作RPGのティザームービーが公開された。映像はまだまだ開発段階中のゲームの画面で、「スタジオイストリアの取り組みを雰囲気でも知っていただくためのもの」(馬場氏)。スタジオイストリアがどんなゲームを開発しているのか、知る手がかりとなるだろう。

新規IP開発のために発足し、仲間を集めながらひとつの目的に進むスタジオイストリアの姿は、まさにRPGのシナリオのようだと感じた。コンシューマー向けRPGでは珍しい新規IPの開発は、ゲーム業界に身を置く人材にとって非常に魅力的だろう。新たな“冒険”へ旅立ちたいと考えているならば、スタジオイストリアの採用をぜひチェックしてほしい。

この記事を書いた人

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