累計ユーザー数315万人の自社メディアを成長させていく面白さとは ―― ライフメディア K.T氏インタビュー
Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.02
第一線で活躍しているクリエイター達のリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイター達の熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。
ポイント・アンケートサイト「ライフメディア」の企画・運営をおこなう株式会社ライフメディアは業界でも老舗企業の一つで、サイトユーザーやクライアント企業からの厚い信頼を受け、安定した成長を続けている。今回はそのサービスサイトのブラッシュアップをおこなう制作グループのリーダーでWebディレクターでもあるK.T氏に、ご自身の経験を交えつつ、企業の特色や働き方の魅力までをうかがった。
質実剛健、まじめ。そんなライフメディアらしさに遊び心をプラスしたい
K.T氏:株式会社ライフメディアは、アンケートを主軸としたポイントサイト「ライフメディア」の企画・運営を中心にインターネット等の情報技術を利用した各種サービス、広告・宣伝・販売促進などをおこなう会社です。もともとは富士通株式会社の事業の一つだったのですが、2000年に独立して株式会社のニフティの子会社となり、今の形になりました。なので設立は18年目なのですが、「ライフメデイア」のサービス自体は20年続いていて、ポイントサイトの業界では早期からビジネスに取り組んでいる企業の一つです。
富士通、ニフティの流れと、当社自体も堅実なスタイルで事業をおこなう社風から、ユーザーのみなさまやクライアント企業から、質実剛健でまじめな会社という印象を持たれていることが多いようです。私自身、入社から丸2年経ったのですが、Webでビジネスをおこなう企業としては、まじめな社員が多いと感じています。
── ライフメディアの「まじめさ」とは実際にはどんなところに反映されていますか?それについてK.Tさん自身はどんな風に感じていらっしゃいますか?
K.T氏:例えば、ポイントサイトといえば、ユーザーの参加意欲を盛り上げるために、あおり文句を多用したり、演出的な表現を使うのも一般的ですよね。もちろん当社のサイトでも演出的な表現には力を入れているのですが、ユーザーに誤解があったり、説明が不十分になってはいけないという、強いポリシーがあり、何ごとにおいても細かく説明するスタイルをとっています。
「500ポイントがもらえる!」とバナーに書いてあって、アンケートに答え始めると色んな条件があり…というのを当社では出来るだけ避けていて、500ポイントを獲得するための条件をアンケートに入る前にしっかりとユーザーに認識してもらえるよう充分な説明をするサイトづくりをおこなっているのです。 これがユーザーやクライアント企業からの評価である「まじめ」「安心」「信頼」につながっているのは当社にとってうれしいことです。
しかし、説明を細かくすることで、サイト自体が文章過多になり見にくくなったり、デザイン的に堅苦しくなってしまったりということはクリエイティブを担当するWebディレクターとして、なんとかしていきたいところではあります。今後はユーザーやクライアントからの「安心」「信頼」は大切にしつつ、遊び心を発揮できるサービスサイトづくりに力を入れていきたいと考えています。
K.T氏の思うライフメディアという会社
- 富士通、ニフティといったIT系の大企業の流れから質実剛健なイメージがある。
- 社員も真摯で上品なひとが多い。
- サービスサイトでもその「まじめさ」が出ていて、ユーザーは安心して利用できる。
- しかしそれだけに、演出的な表現やデザインのスマートさには制限ができてしまい、自分としてはもう少し遊び心をサイト制作に取り入れたい。
Web制作を思う存分信頼できるチームでやりたい。ユーザーの反応をじかに知りたい
K.T氏:私は短大の情報通信科でコンピュータの基礎を学びました。さらに就職する前に半年ほどWebの専門学校でWebサイト制作について学び、Web制作会社に就職しました。Web制作というと、Webディレクター、Webデザイナー、コーダー、プログラマー、など担当はさまざまありますが、私はこの中でコーディングに興味があり、実際にこの仕事に就きました。
はじめに就職したWeb制作会社は大手企業のサイトを手がけていて、鉄道や銀行などのインフラ系の企業のサイト構築もやりました。コーダーだけで5〜6人ほどのチームで大規模な仕事を経験することができました。この会社で7年間コーディングやフロントエンドまわりのスクリプト、一部プログラム開発等も担当していたのですが、大規模なWeb制作は納期が厳しい案件が多く、深夜まで続く残業も日常的でした。そこでもっと落ち着いてWebデザインを含めたトータルなクリエイティブをやってみたいと考えて転職したのです。
次に入社したのは女性向けの化粧品やサプリを扱うECサイトの運営会社でした。ここではWebディレクター、Webデザイナーとして、幅広い仕事を経験することができました。どんな構成で、どんな演出で商品をサイトで紹介していくか。ここでのWebディレクターの仕事は、「どうつくるか?」という企画の段階から携われる活躍範囲の広い仕事でした。Web制作全体からマーケティング、紙メディアまで幅広く、身に付けられたスキルは多かったです。
しかし、ここでの仕事は、制作に関して自分の手によるところが大きく、ここでもう一段仕事の質を上げるために、チームでクリエイティブに臨める環境が欲しいと考えるようになりました。Webディレクターとして、全体を見渡せた上で、Webデザイナーやコーダーといった他の専門のクリエイターからの刺激を受けて仕事がしたいと思ったのです。ちょうどその会社も方針転換の時期で、それまでの仕事をやりきった感もあり、再び思いきって転職をしようと決意したのです。
── ライフメディアとの出会いは?どんなところにこだわって転職を決められましたか?
K.T氏:私が再度の転職で大事にしたことは、Web制作をおこなえるのはもちろんのこと、クリエイティブを外へ出さず内製していることと、利用者の反応を直接受けられるポジションにあるということです。可能であれば、Web制作をチームで進められることも希望でした。
今回の転職では、マイナビクリエイターに登録し、ライフメディアを紹介されました。 面接は現在の上長のメディアビジネス部部長と同僚のコーダーの女性、それに事業推進部部長があたってくれました。その3人と会っただけで、この会社の雰囲気の良さがわかり、入社に意欲が湧きました。今思うと、ライフメディアらしいと思うのですが、3人のやりとりに堅苦しいところはなく自然で、しかも互いにしっかりとした信頼関係が築けていることがすぐにわかりました。ちょっと表現するのが難しいのですが、こんな人間関係の中で私も働きたいと感じたのです。
面接というシチュエーションに若干緊張してしまっていた私でしたが、リラックスできる質問を投げかけてくれたりしていました。そして私自身も自分がこの会社でやりたいと思っていたWeb制作にチームで取り組みたいという希望をしっかり話すことができたのです。
この面接を経て私はライフメディアにWebディレクターとして採用されることができました。私はこれまで培って来たスキルをベースに、また新しいことに挑戦できる環境を手に入れました。チームで協力して、1人では決して手の届かない質の高いクリエイティブにチャレンジできる。しかもそのフィールドは自社メディアで、ユーザーからの反応も直に受けることができるのです。さらにライフメディアは、システム開発も内製であったため、システム開発者と一緒にWebサイトをつくっていけることは私にとって理想どおりの仕事環境でした。
K.T氏が求めていた仕事環境
- Webディレクターとしてのやりがいを感じられる仕事内容
- 自社メデイア・自社サイトの制作の自由度の高さ
- チームによる内製で高いクオリティの仕事にチャレンジできる
- ユーザーからの反応をじかに知ることができるポジション
苦労があるからこそ充実感がある。累計ユーザー数315万人の自社メディアを成長させていく面白さ
K.T氏:私が今取り組んでいる仕事はライフメディアのサービスサイトのブラッシュアップです。先述のとおり、当社はアンケートを主軸としたポイントサイトを展開していて、そのサービス名自体が「ライフメディア」なのです。ユーザー数は累計で315万人いらっしゃいます。 アンケートに回答していただいたり、商品を購入いただいたり、ゲームに参加いただくなど、ユーザーはさまざまな方法でポイントを獲得することができます。ポイントは現金やギフト券と交換可能で、多くの方が楽しみながらポイントを獲得していただいています。
私の仕事はWebディレクターとして、このサービスサイトのキャンペーンページを企画したり、UI(ユーザーインターフェース)を検討して、見せ方、使い方を改良したり、日々の更新やリニューアルに対応すること。コンテンツ自体の制作・企画は、別部署でもおこなっているのですが、サイト上のコンテンツの見せ方やUIの変更は私たちが手がけています。
私たちのチームはコーディング・デザイン等の制作スタッフは4名、Webディレクターは私を含めて2名の6名体制で作業をおこなっています。チームの中での私の役割はもちろんWebディレクションで、大規模な改修から、バナーひとつ、テキストの変更ひとつの小さな作業までさまざまなプロジェクトを並行して進めています。また私は前職、前々職の経験を活かして、コーディングやデザインなど、実際に手を動かしての作業も時には分担しておこなっています。せっかく身に付けたコーディングの知識や、Photoshop、Illustratorのスキルも活していきたいですからね。
現在大規模なプロジェクトとして進めているのが、FAQサイトのデータベース化とユーザーのポイント履歴の表示ページのリニューアルです。私たちメディアビジネス部だけでなく、どちらもシステム部門を巻き込んでの大きな仕事になっています。自社メディアをやっていていいなと思えるのは、やはりユーザーの反応をダイレクトに知ることができ、それを材料にサイトのブラッシュアップをおこなっていけること。また、自社メディアだけに、突発的な事情でプロジェクトの完了が遅れたとしても柔軟に対応できるので、無理な残業でリカバリーしたり、リリース時のクオリティを下げてしまうことになったりということがありません。
Web制作というと残業がつきもののイメージがありますが、当社ではそんなことはなく、私自身の月間残業時間を振り返っても、30時間を超えることはなかなかありません。この点でも余裕を持って仕事ができていると思います。
── 最後に、ライフメディアとはどんな会社だと思いますか?転職を考える方々へのメッセージと合わせてお答えください。
K.T氏:ライフメディアはWebを使っていろいろなコンテンツを発信していく企業だけに、意欲のある人や、アイディアを持っている人にチャンスを与えてくれる会社です。社員がやってみたいと思っていることに寛大で、ビジネス的な見通しが立てば本当にチャレンジさせてくれる会社でもあります。
例えば、営業部の女性が出したアイディアに当社のゆるキャラをつくろうというものがあり、見事採用され、60万人のアクティブユーザーからデザインを募ってかわいい羊のキャラクターが生まれました。
私は学校を卒業した時からコーディングを覚え、Webデザインを覚え、Webディレクターになってと、気がつけばWeb一筋で来たように思います。しかし、実際、私のこれまで経験したWeb制作の現場では、販売職の経験、営業職の経験、それらを活かしたコピーライティングなど、さまざまな経験がいきてくる場面がいくつもありました。仕事場では、どんなスキルも活かすことができる。そう考えて仕事に取り組めば、クリエイティブはもっと面白くなっていくのではないでしょうか。
インタビューを終えて
K.T氏の前職、前々職での経験年数はどちらも7年。なぜかそのタイミングで、「やるべきことはやった。次のステップへ進もう」という気持ちになったという。インタビュー中にこの話を聞いたとき、前職で高い評価を受けて活躍の場を与えられていたK.T氏が、それでも次のステップに進むことを考えていたことに筆者は驚いた。
ライフメディアへの転職が成功しているというのは結果論で、もしこの転職が上手くいっていなければ、これまでのK.T氏の努力は水泡に帰すことになってしまう。
しかし、記事を書くために録音した音声を聞き直してみて、改めて、K.T氏の働くことに対する一貫したビジョンがしっかりと語られていることを再認識した。企業から人材として必要とされることは確かに大きな意味がある。しかしそれは自分の本当にやりたいことを諦める理由となるのか。その判断は、やはり本人にしかできないものなのである。