Webライターがトラブルを起こさないための取材方法

2014年頃から日本でもコンテンツマーケティングが注目され始め、企業のオウンドメディアやブログ、SNS等を使った情報発信は爆発的に増えました。Webライターが活躍する機会も増えましたが、その一方で、作成された記事をめぐっては、誤った取材方法によるトラブルもまた頻発しています。社会的に情報リテラシーが重要視される中、Webライターがトラブルを未然に防ぐには、どういった取材を心がけるべきでしょうか。そのポイントを探っていきます。

事例から学ぼう!取材トラブルの回避法

Webライターは、トラブルにならないよう細心の注意を払いながら取材に臨みます。しかし、それでも取材トラブルが起こってしまうのは、取材から記事制作の過程に思わぬトラブルの要素が潜んでいるからに他なりません。Webライターの経験値を積むことでこれらのトラブルを回避していけるようになりますが、どんなに経験を積んだWebライターであっても油断するとつい見落としてしまうトラブルの種はあります。代表的な3つの事例から記事・コンテンツ制作をする過程で起こりがちなトラブルとその回避法を考えていきましょう。

3つの事例とトラブル回避のポイント

事例1
「こんな言葉は使っていないし、話した順番もバラバラだ」と取材対象者から掲載済みの記事にクレームが入った

インタビュー時の雰囲気で「この人なら大丈夫」と考え、取材対象者(インタビュイー)の確認をとらずに記事を掲載してしまうのはWebライターとして絶対に避けなければなりません。スピードが要求されるWebメディアでは、原稿化してからインタビュイーの確認をとる時間が惜しいと感じる場合もあります。しかし、これを省略してしまっては大きなトラブルになりかねません。記事を掲載する前には、必ずインタビュイーへ確認をとりましょう。

またインタビュー記事の作成において起こりがちなのが、インタビュイーと取材者(インタビュアー)との間で、インタビュー内容の表現や受け取り方に違いが出てくる場合です。特にありがちなのは、「こんなことは言っていない」というふうに、記事上で語られた言葉の選択にインタビュイーが違和感を覚えることです。インタビュー中の会話は、文章と違い内容が突然飛躍したり、言葉が省略されたりするのが普通なので、そのままテキスト化したのでは記事として成立しません。ですから、Webライターはインタビューの内容を読者にわかりやすく伝えるため、話の順番を入れ替えたり難しい言葉を平易な表現に変えたりしながら再構成をしているのです。

インタビュー記事で大切なのはインタビュイーがどのような趣旨で語っているかを汲みとること。インタビュイーにとっては自分の発言と扱われる記事に対して、些細なニュアンスの違いであっても納得できないこともあるかもしれませんが、読者の心に響く記事にするためにも、取材時あるいは取材前には、「インタビューでの会話=インタビュー記事ではない」ことをインタビュイーにしっかりと説明しておくことが重要です。

また、趣旨の判断に客観性を持たせるために、インタビューの録音を確実に残すことも忘れずに。万が一トラブルとなった場合も記事の正当性を判断するためにこの録音が必要になってきます。

トラブル回避の方法についてまとめましたが、最終的に一番大事なのは、インタビュイーとの信頼関係を築くこと。アポイント取りからインタビュー、記事確認、そして掲載後まで。記事制作のフローの中で信頼が得られるよう、最後まで誠実にインタビュイーと向き合うのがトラブル回避の基本です。

トラブル回避のポイントと方法

  • 掲載前、インタビュイーに必ず原稿を確認してもらう
  • 取材時に、インタビューでの会話=インタビュー記事ではないことをしっかり伝えておく
  • メモ書きだけでなく、インタビューでは必ず録音をする
  • インタビュイーとの信頼関係を築く

事例2
参考にしたWeb情報に原本との微妙な差異があり、著作権者から訂正と謝罪文の掲載を要求された

Web記事やコンテンツ制作において引用のルールがあることは皆さんもご存知だと思います。しかし、引用のルールは不徹底な場合が多く、安易な孫引き引用はトラブルのもととなるので注意が必要です。出典を明らかにすれば引用元の許可は必ずしも取る必要はありませんが、引用するからには正確に行わなければなりません。

たとえば、印刷物からWeb記事に引用する場合、文字入力の作業が発生して、漢字の選択や句読点の位置や有無で相違している場合が多く見られますが、これらの小さな相違であっても引用元側の判断によって問題視されることがあります。特に引用が著作物の場合、勝手な改変は著作者の同一性を保持する権利の侵害に当たり、いわゆる著作権侵害の1つにもなってしまうのです。

トラブル回避方法としては、Web記事にせよ印刷物にせよ、引用は必ず原本から行う原則を守り、小さな相違も残さないよう校正を徹底しましょう。

トラブル回避のポイントと方法

  • 出典が印刷物かWeb記事かを確認し、Web、印刷物問わず原本の確認を
  • Wikipediaなどインターネット百科事典などの記事をそのまま孫引きしない
  • 引用する際は、漢字、句読点まで原本に忠実に記載する
  • 引用元が対応してくれる場合は、できるだけ記事の確認に協力を求める

事例3
Web記事の内容のために不利益を被った、名誉を毀損されたという人から損害賠償の請求があった

かつてマスに訴えかける手段はテレビ、ラジオの放送や、新聞、雑誌などの印刷メディアしかありませんでした。影響力があり、しかもコストがかかるこれらのメディアは、幾重ものチェックを経て公開されるのが常でした。一方で、即時性を優先するWebメディアの中には、個人ライター、個人編集者のチェックのみで公開されているものもあり、そこには大きなリスクが存在していることも見逃してはいけません。

何らかの事実を世の中に向かって発信する際、その事実が公になることによって、利益を得る人もあれば不利益を被る人がでる可能性もあります。不利益を被る人がいないからといって事実と違うコンテンツを作ることも許されませんが、誤った事実を公表することで不利益を被る人がいるならば、それは重大な責任となります。

Webメディアにも遵守すべきポイントはあり、時として訴訟の対象となる、損害賠償を請求されるといった事態になりうる危険性も認識して記事やコンテンツの制作にあたらなければなりません。

トラブル回避のポイントと方法

  • 取材の視点、原稿の持つ方向性が社会的に公正であるかを検討する
  • 記事内の対立する複数の立場が存在するとき、一方の視点にだけ立っていないか確認する
  • 1つの情報ソースだけを信用するのではなく多面的な取材を行う
  • 業務として公共に向けた記事やコンテンツを作成する場合は必ず複数人でチェックする

対人、対物で分けて考える取材方法の基本

取材には、インタビューなどによって人や組織から情報を得る対人的なものと、Webや印刷物の資料などを調べて情報を集約していく対物的な方法とがあります。Webライターとして活躍していくなら、これら2つの取材方法におけるポイントを押さえておくべきでしょう。特に、Web上には莫大な情報があふれているので、その中から信頼できる情報を集め、的確に取捨選択し活用できる能力が求められます。

対人的な取材、対物的な取材、それぞれの取材において押さえておきたい基本についてまとめました。

対人取材で心がける基本

    • 取材の目的を明確にする
    • 対人取材で大事なのは、「何のための取材なのか」という目的を明確にしておくことです。取材対象(インタビュイー)や編集者など、記事コンテンツを制作するうえでの関係者と取材の目的を共有することで、記事コンテンツの方向性や落としどころ、内容の認識にズレが生じることを防ぐのです。

      インタビュイーに取材の目的を明確に伝える手段として取材趣意書(企画書・質問票)がありますが、これは通常、Webライターではなく編集者が用意することが多いです。Webライターもこの取材趣意書には必ず目を通し、事前に目的をしっかりと理解したうえで取材に臨みましょう。記事ができあがってから編集者やインタビュイーに「こんな記事になるとは思わなかった」と言われても遅いのです。

    • 事前準備はぬかりなく!
    • 事前準備をどれだけ徹底したかによって、取材の成否が決まると言っても過言ではありません。Webライター自ら、編集者を通してインタビュイーの基本情報を聞き出してもよいでしょう。

      HPや著書、SNS等があれば、そこで発信された情報をチェックしておくことも大事です。事前に仕入れた情報がよい質問を生み、思いがけない話を聞き出すことができるかもしれません。

      ただし、事前情報をインプットしすぎると、インタビュイーへのイメージを固定してしまい、逆に柔軟な質問ができなくなる場合も。偏った思い込みで取材を進めないように注意しましょう。

      当日の取材時間は限られています。その中でいかに効率よく読者を引き付ける魅力的な話を聞き出せるか。Webライターの腕の見せどころです。

    • インタビュイーをはじめ、取材関係者との信頼関係を築く
    • 対人取材を行う理由は、記事にWebライター以外の視点を加えることによって説得力やリアリティをアップさせることにあります。Webライターはインタビュイーから聞き出した新たな情報の価値を即座に判断し、記事に載せるべき内容ならその場でインタビュイーと相談して掲載の可否を決めていかなければなりません。判断の基準となるのはその内容が読者の関心を引く材料となるか、取材前に決定した記事の目的に合致しているかどうかなどです。

      この臨機応変でダイナミックな記事作成を実現するには、まずWebライターがインタビュイーをはじめとする取材関係者に対して誠実であり、信頼関係を構築できることが求められます。インタビュイーとの間によい関係が築ければ、会話は弾み、今まで誰にも話し得なかった魅力的なエピソードを引き出すことができるかもしれません。

      また、取材中は予期しない流れで話が展開し、企画段階とは違う方向性を持つ記事を作り出すことがあります。そんなとき、取材関係者の理解と賛同が得られるかどうか。もし取材関係者との信頼関係が構築できていれば、そういった方向性の変更や微調整にも柔軟に理解が得られ、ある程度の自由度を持って記事を作成することができるでしょう。

      Webライターが取材を成功させ、記事作成までを主導的に進めていくためには、取材関係者と強固な信頼関係を築くのが何よりも大事なのです。

対物取材に臨む基本

    • 対物取材であっても背景にいる人と組織を意識する
    • 人や組織を対象としたインタビューでなくとも、取材対象に関わる人や組織が存在することは多々あります。

      企業が運営する施設ならもちろんのこと、取材対象となるものが誰かの所有物であったり、管理下にあるものかの確認が必要です。

      もし取材対象物が何らかの組織や人物に帰属するものなら、取材の方法は対人取材と大きく変わりません。ステークホルダーとなる人や組織に取材趣意書(企画書・質問票)を用意して交渉にあたり、取材によるトラブルを避けましょう。

    • Webコンテンツ、印刷物などからの情報収集は引用ルールを遵守する
    • Webコンテンツや印刷物などの中で、著作物と認められたものは前述のとおり引用のルールを厳守する以外、転載してはなりません。ほかのWebコンテンツや印刷物の内容をWebライター自身が咀嚼して書き換えるという行為もかなり危険な取材方法と言えます。いわゆるコピー&ペーストではなくても、同一の単語が高い確率で使われている、順序が変わっているだけで部分的な文章は同じなど、流用、著作権侵害に当たるとされた事例は数多くあります。

      いくつかの資料から情報を取材し、記事を構成する場合も、参考文献、参考URLなどを記事に必ず併記し、掲載に著作権者の許可をとることでトラブルを回避できます。対物取材のコツは取材にしっかりと時間をかけてていねいに許可を取ること。これらをスムーズに行うことも今求められるWebライターのスキルなのです。

    • 画像、動画、デジタルコンテンツの流用ルールを徹底する
    • Web上にある画像や動画は100パーセント誰かの著作物です。私的、商用目的を問わず、流用を認められたもの以外は、Webライターが記事作成において無断流用することは絶対に避けるべきです。現在ではWeb検索の機能が向上したため、テキストはもちろん画像、動画などのデジタルコンテンツの流用が簡単に発見できるようになりました。例え画像ソフトで加工されたものであっても、元の画像が特定されれば著作権は有効です。

      無断流用は損害賠償を請求される可能性をもたらすだけでなく、Web制作のプロとして信頼を失う行為にほかなりません。業務としてコンテンツ制作を行うWebライターには著作物に対するリテラシーとモラルが必要です。

まとめ

取材によって起こるさまざまなトラブルを予測し、それを回避する方法について紹介してきました。実際の現場では、時間や費用的制約によって、取材トラブルの回避法はわかっていても、ついおざなりになってしまうWebライターもいるのではないでしょうか。

しかし、忘れてはいけないのは、そのたった1度の取材トラブルによって、それまであなたが築いてきたWebライターとしての信頼を失ってしまうこともあるということです。発行元、編集者などにももちろん仕事上の責任はありますが、取材におけるトラブルを回避するのはやはりWebライターであるあなた自身です。記事・コンテンツを制作するうえで協力してくれる人たちと読者に対して誠実に向き合い対応すること、そして強固な信頼関係を構築すること。それが取材トラブルの回避法であり、万一トラブルになってしまった際にも早急に事態を解決する最良の方法ではないでしょうか。

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