広告代理店で叶える次のキャリア。動画広告を通じて高まるクリエイターの価値 ―― アドウェイズ 成田裕忠氏インタビュー

Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.43

第一線で活躍しているクリエイターたちのリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイターたちの熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。

インターネット広告代理店として知られる株式会社アドウェイズは、運用型広告代行事業をはじめ、マーケティング支援事業やアフィリエイト事業など、多彩な事業を展開している。その中で、近年特に成長が見られるのがゲーム関連の動画広告だ。

今回お話をうかがった成田裕忠氏は、アドウェイズでディレクター兼マネージャーとして動画広告に携わっている。ゲーム業界でデザイナーのキャリアを積んだ成田氏は、なぜ広告業界へと飛び込んだのか。アドウェイズで働く魅力、仕事に感じるやりがいについて語っていただいた。

プロフィール紹介

株式会社アドウェイズ
Game Ad Design ユニット ユニットマネージャ
成田 裕忠氏

ソーシャルゲーム制作・運営会社でデザイナーやディレクションを務めたあと、2016年にアドウェイズに入社。現在は動画制作チームのマネージャーと、インタラクティブ広告の制作ディレクションに従事。

自身が描いたキャリア形成に、親身になって応えてくれる職場環境

―― まずは成田さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

成田氏:もともと映画制作に興味があり、高校卒業後に映画の専門学校へ通ったあと、テレビ局でADとして働いていました。その後、退職をきっかけに独学でデザインツールや動画編集を学び、制作会社にデザイナーとして転職したんです。そこから2社ほどゲーム会社で働き、前職ではソーシャルゲームの制作・運営会社でAfter EffectsやFlashを用いてゲーム制作に携わり、ディレクションも手がけていました。

ただ、やはり映画専門学校出身ということもあり、映像制作への思いは消えていませんでした。年齢的にも、そろそろマネジメントを経験したいと考え、転職を考え始めたんです。

―― 長らくゲーム業界に身を置きながら、広告代理店であるアドウェイズを転職先に選んだ、その決め手はなんだったのでしょうか?

成田氏:転職活動ではゲーム業界に絞らず、「動画制作」の文脈で求人を探していました。アドウェイズに決めたのは、面接で親身に話せたことが大きいですね。未経験ながらマネジメントを志望する自分を受け入れてくれましたし、面接ではプライベートな話題も自然に出るほど楽しく話せたので、この会社なら気持ちよく働けるだろうと思いました。後日談ではありますが、面接の担当者からは、「マネジメント経験の有無やスキルよりも、まずは人柄を重視した」と聞いています。

仕事内容についても、面接時に詳しく聞けたので、入社後のギャップはほとんど感じませんでした。入社直後に、「アドウェイズの新年会の動画を作ってほしい」と頼まれたときはびっくりしましたが(笑)。せっかくの機会なので楽しく作らせてもらって、結果的に社内では「あの動画を作った人」と覚えてもらえたのでよかったですね。

―― その動画が名刺代わりになったんですね。では現在の仕事内容について教えてください。

成田氏:ゲーム領域の動画制作チームのマネジメントと、インタラクティブ広告の制作ディレクターを兼任しています。割合としては、ちょうど半々ぐらいでしょうか。

マネジメントの仕事では、大手ゲームクライアントの案件を担当するチームを束ねており、スケジュール管理やチームメンバーのメンタルケア、トレンドの把握など、デザイナーの皆さんがモチベーションを保てる環境を整えることに重きを置いています。特にコロナ禍でフルリモートとなってからは、日々のコミュニケーションにより気を配るようになりました。

インタラクティブ広告は10名ほどのチームで、ディレクションをしつつ、クリエイターとしても制作に携わっています。こちらも仕事はフルリモートです。もともとマネジメントがやりたくて入社したものの、制作に携わり続けたい思いも同時にあり、会社に相談した結果「兼任」に落ち着きました。自分の希望を真摯に検討してもらえたので、とてもありがたかったですね。

ディレクターとして現場に携わりつつ、未経験のマネジメント職に挑戦

―― マネージャーとディレクターを兼任するとなると、かなりハードワークになるのではと想像します。残業時間などはいかがでしょうか。

成田氏:確かに、入社前は「広告代理店だし、仕事はかなりハードだろう」と覚悟をしていました。でも実際に入社してみると、意外と残業が少なくて。比較的忙しいとされるマネージャー職でも、月平均で20時間程度。リモートになってから、残業時間はさらに半分以下に減りました。

―― 「リモートワークは区切りが付きにくいので残業が増える」という声も聞きますが、なぜ逆に残業時間が減ったのでしょうか?

成田氏:アドウェイズでは、リモートワークになる以前から、1人あたりの仕事量が「1人以上のもの」にならないよう、コントロールしています。すでに、確立されたフローができており、仕事量に応じて人数を増やすことで、仕事が属人化しにくくなり、お互いをフォローし合える環境ができていたんです。また、日々の進捗報告などのコミュニケーションが、リモートによって効率化されたことで、さらに残業が減ったのだと思います。

―― もともと1人あたりの仕事量を抑える仕組みができていたんですね。マネージャー兼ディレクターの仕事において、前職のソーシャルゲーム制作会社の経験が活かされる場面はあるでしょうか。

成田氏:一般的に、ソーシャルゲーム開発はさまざまな技術を横断的に駆使する必要があります。PhotoshopやIllustratorといったAdobe製品や、Unityなどのプラットフォーム、HTMLやCSS、CMSといったWebの知識など、幅広く理解せねばディレクションが務まりません。前職で得たこれらの知識や経験は、結果的に今のインタラクティブ広告の制作に通じていると感じます。さまざまな技術や知識をひと通り理解しているからこそ、クライアントの要望に対し、「この技術とこの技術を組み合わせればできそうだ」と当たりがつけられるので、予算や制作期間の見通しが立てやすいんです。

また、デザイナーの経験は、マネジメントでも役立っています。現場の気持ちがある程度わかるので、デザイナーの悩みも理解できますし、改善に向けて動くこともできます。ちょっとした違和感なども気軽に相談できるように、なるべくデザイナーと直接コミュニケーションを取る機会を持つよう心がけていますね。

―― マネージャーとディレクター、それぞれの業務において、どんなところにやりがいを感じられますか?

成田氏:マネジメントの仕事の醍醐味は、チームビルディングにあると感じています。私自身、サッカーが好きなこともあり、サッカーチームの監督をイメージしてマネジメントをしている部分もあるんです。優秀なメンバーが生き生きとプレーできるよう環境を整え、かといって個人技に頼りすぎないよう、互いを助け合う文化も醸成したいと思っています。バランスを取るのは難しいですが、試みがうまく機能したときはやはり嬉しいですね。

インタラクティブ広告制作では、プレイヤーとして動くことが多いので、結果が出ることがやりがいに繋がっています。もちろんよい結果ばかりではなく、時には悪い結果も目にすることになりますが、その内容も興味深いですね。ネット広告は数字がはっきり出るので、失敗した理由も明確になります。「次に繋がる失敗」と思えれば、それがモチベーションになりますし、こうした部分はネット広告制作の面白さだと感じます。

知ってもらいたい「広告代理店の動画クリエイター」という選択肢

―― 成田さんはマネージャーとディレクターを半々の割合で担当していると伺いました。一方で「100%スペシャリストでいたい」という方には、どんなキャリアがあるのでしょうか。

成田氏:社内制度の話をしますと、アドウェイズではマネージャー職のキャリアと、プロフェッショナル職のキャリアが並列で用意されており、自分が目指すキャリアに合わせてどちらでも選べるようになっています。前者の課長職が「ユニットマネージャー」、部長職が「ゼネラルマネージャー」と設定されているのに対し、後者はそれらと同列の待遇である「リードデザイナー」「シニアデザイナー」というポジションがあります。もちろんレイヤーが上の職種となれば責任の範囲も広くなりますが、スペシャリストとしてずっと制作に携われるのは大きなメリットではないでしょうか。

―― 成田さんご自身は、これからどんなキャリアを歩みたいと考えていますか。

成田氏:まずは、インタラクティブ広告制作の業務をもっと広げていけたらと考えています。見るだけ・受け取るだけではなく、ユーザーが受け取りたい情報を選択できる仕組みは、今後もっと世の中に広がるはずです。さまざまな工夫やアイデアでユーザーがより楽しめるインタラクティブ広告が増えれば、クリエイターたちの仕事も増えるでしょうし、そういったものづくりができるクリエイターの需要は高まるのではないでしょうか。私自身含め、これまでの経験を活かしながら、クリエイターとしてできることを増やし、その価値をもっと向上させていければと思います。

―― 現場で制作にあたるディレクターの視点と、クリエイターの価値向上というマネジメントの視点が、どちらも含まれた目標に感じました。では、これから先、アドウェイズではどのような人と一緒に働きたいと思いますか?

成田氏:仕事を楽しめる人、楽しめるように自ら工夫できる人と一緒に働きたいと思っています。制作業務は「やらされ仕事」になると楽しくなくなってしまいます。ものづくりにおいて自分なりのこだわりを持ち、常識を疑って、新たな視点で物事を見ることができる人であってほしいですし、そうした気付きをチームでシェアし合えたら嬉しいですね。

この「シェアし合う」という行動は、リモートワークになってから特に大事にするようになりました。成功体験も失敗体験も話し合える、共有し合えることは、チームのよい雰囲気を保つ大事な要素だと思うんです。特に失敗体験は、心理的安全性が保たれていないと話すのは難しいでしょう。「失敗した」という事実は、チャレンジの証でもありますから、失敗体験も自由に飛び交うような雰囲気を目指していけたらと考えています。

―― では最後に、転職を考えている方にメッセージをお願いします。

成田氏:「広告代理店の動画クリエイター」という肩書きに、あまり馴染みのない方もいるかもしれません。しかし、今やネット広告の予算規模はテレビを抜いており、その中でも動画広告の需要は年々増えています。必然的に、動画クリエイターの需要も増えているのです。動画の配信先についても、YouTubeをはじめ、TikTokやInstagramなど、数多く存在することから、動画クリエイターが必要とされる場面はまだまだ増えていくことでしょう。

すでに動画クリエイターとして活躍されている皆さんの中には、「同じような案件ばかりで先が見えない」「納期がタイトで激務が続いている」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。そういった方々にこそ「広告代理店の動画クリエイター」という選択肢を知ってもらいたいですし、アドウェイズに興味を持っていただきたいと思います。

インタビューを終えて

制作会社での動画制作との違いについて、成田氏は「多種多様な案件があること」を挙げた。ゲーム業界では長期間にわたり同タイトルの動画を制作することがあるが、広告代理店ではさまざまな案件を横断的に携わることができ、スキル向上にも繋がるという。

一方で、成田氏の話からは「働きやすさ」を追求するアドウェイズの姿勢が伺える。仕事量を調整して残業を抑えていること、スペシャリストとしてキャリアが用意されていることなどは、一般的な広告代理店のイメージからは異なるものだ。クリエイターが働きやすい環境を整え、マネジメントにも挑戦できるアドウェイズは、まさに新しい"選択肢"であるに違いない。

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