自分らしく働くために。Webデザイナーを目指す人に今伝えたいこと

未経験からWebデザイナーへの就職・転職を目指す場合、スキルアップのために専門スクールに通う人もいるでしょう。実は、専門スクールの1つであるデジタルハリウッドSTUDIOでは、クリエイターの就職・転職を支援するマイナビクリエイターと共同で「Webデザイナー専攻 超実践型就職・転職プラン」というクラスを開講し、授業を通じてWebデザイナーのキャリアを考える取り組みを行っています。

さて、デジタルハリウッドSTUDIOとマイナビクリエイターがこの取り組みを始めた背景には、どのような想いがあったのでしょうか。また、これからWebデザイナーを目指す人に、必要となる心構えとは?デジタルハリウッドSTUDIO新宿で運営に携わる矢野有紗氏と、Webデザイナーであり講師の久保田涼子氏、そしてマイナビクリエイターの青野友美がそれぞれの想いを語ります。

プロフィール紹介

デジタルハリウッドSTUDIO 新宿/STAFF
矢野 有紗氏
(写真左)
"今までにないラーニングスタジオ"をコンセプトにした『デジタルハリウッドSTUDIO』の直営校であるSTUDIO新宿のマネジャーを務める。

Webデザイナー/講師
久保田 涼子氏
(写真中央)
「ワクワクするモノ・時間・場所を生み出す」をテーマに、もの創りを行うフリーランスクリエイター。 Web制作・ナレーター業務 Coco-Factory代表。クリエイター集団ROOT代表。『Webデザイン良質見本帳 目的別に探せて、すぐに使えるアイデア集』著者

マイナビクリエイター
青野 友美
(写真右)
Web・ゲーム・IT業界における企業側の採用支援担当を経て、現在は求職者側の転職支援に従事。キャリアカウンセリングからセミナー登壇、ポートフォリオ作成サービス「MATCHBOX」の運営など幅広く携わっている。

実践的な学びを通じて、自分の強みや興味を再確認してほしい

―― 自己紹介を兼ねて、皆さんの現在の業務について教えてください。

青野:入社後、約5年間はマイナビクリエイターで企業側の採用支援をしていました。現在は求職者の方のキャリアカウンセリングやセミナーへの登壇、ポートフォリオ作成サービス「MATCHBOX」の運営などに幅広く携わっています。

久保田氏:フリーランスのWebディレクターになって、10年になりますね。私自身もデジタルハリウッドの卒業生で、大学卒業後に半年間Webデザインを学んでいました。現在は講師やワークショップを担当しています。

矢野氏:デジタルハリウッドSTUDIO新宿にて、授業の運営やカリキュラム制作に関わっています。学生さん一人ひとりの目標を達成するためには、当校のカリキュラムで何が実現できるかなど、キャリアカウンセラーとしての役割も担っています。

―― デジタルハリウッドとマイナビクリエイターによる「Webデザイナー専攻 超実践型就職・転職プラン」(以下、超実践クラス)とは、どのようなものでしょうか?

矢野氏:実際に企業案件である「クライアントワーク」にチャレンジする、実践型のコースです。6ヵ月の期間の中で、紙媒体の案件、Web媒体の案件、卒業制作と、在学中に3つの実績を作るコースです。15名限定のクラス制で、月に2回程度の実践的な授業を行います。また、受講生の8割は未経験の方ですね。久保田先生はWeb担当の担任として、マイナビさんはWeb媒体のクライアントとして関わっています。

久保田氏:「超実践」というだけあって、通常のコースよりインプットもアウトプットも多いので、なかなかハードだと思いますが、確実に成果が出るコースです。

超実践クラス(クラス制ライブ授業)のスケジュールイメージ。マイナビクリエイターは「Webデザイン」「転職準備」に参加。

青野:実際の授業の中では、クライアントとして、「仕事依頼」の形で課題を出しています。課題の対象はマイナビクリエイターのキャンペーンページなど、実際にサービスで使うサイト。最初の授業で趣旨を説明し、受講生が作成したデザインをチェックして、フィードバックをしています。

久保田氏:授業の最後には、受講生の皆さんによるプレゼンがあって、我々や株式会社PARTYの現役クリエイターの方が審査員となって評価します。「マイナビ賞」に選ばれた作品は、実際にマイナビさんで採用され、自分で作ったサイトが公開されるんです。ほかにも「デジハリ賞」などがあるのですが、どの賞であっても、なぜその作品が選ばれたのか、という説明もていねいに行うよう心がけていますね。

―― なぜ「超実践クラス」という取り組みを始めることになったのでしょうか。

青野:私たちは普段、クリエイターの方の転職支援を行っているのですが、未経験からWebデザイナーを目指している方とお話していると、自分自身の「強み」を把握しきれていない方が多い印象がありました。たとえば、客観的に見ると、ほかにもその方の強みが活かせそうな職種があるのに、ご自身の中では「Webデザイナーになること」しか頭にイメージできていないんです。でも、それだと自ら可能性を狭めてしまっていることにもなり、もったいないですよね。私たちとしては、そういったご本人が気付けていないような可能性をもっと広げたい、よりよいマッチングを図っていきたいと思うようになりました。

そんなとき、ちょうどデジハリさんから「超実践クラス」のお話をいただいて。ぜひその授業を通じて、一人ひとりが持つポテンシャルをより引き出せるような取り組みをしたいと思ったのがきっかけです。

矢野氏:実際の授業に関わっていただくことで、作品ができるまでの具体的なプロセスや、受講生のポテンシャルを見ていただくのはどうかなと思ったんです。マイナビさんには、コース終了後の就職・転職支援も行っていただいているのですが、受講生からも、課題を通じて「顔見知り」になっているマイナビさんに進路について相談できるのは、安心感があるという声をよく耳にします。これまでのプロセスを知っているからこそのアドバイスが新たな気付きとなり、今後のキャリアを考える際の一助になっていると思います。

1つ1つを積み重ねて、Webデザイナーとして成長していく

―― 超実践クラスならではの「よさ」はどんなところにありますか。

久保田氏:回数を重ねてきた中で言えるのは、超実践クラスはたくさんの「引き出し」を共有できる授業だということです。1つの課題に15名がさまざまなデザインを提案するので、15名分の引き出しを全員で共有しているのと同じ。ほかの人のデザインから「こういうやり方があるんだ」という気付きを得られるし、そのデザインにフィードバックがあれば自分のデザインにも反映することができます。

矢野氏:確かに、実際の案件を受注する場合、対クライアントさまとのやりとりで完結してしまうので、ほかのデザイナーのフィードバックを目にする機会は少ないですよね。

久保田氏:実際の私の経験上だと、ほぼないですね。デザイナー側の引き出しが多ければ、実際の現場での立ち回りも変わってきます。複数の異なるタイプのデザインを提案できれば、イメージに合うものを選んでもらえて、さらにブラッシュアップができる。1つしか提示できないと、クライアント側もほかの選択肢がないので「なんか違う」と言うしかないんです。

青野:それは実際に授業に参加していて感じます。イメージを言語化するのは非常に難しいので、デザイナー側からそういったコミュニケーションをとってくれると、クライアント側も非常に助かります。「なんか違う」で何度も出し戻し、なんてことも避けられますし、まさに実践で使える技ですね。

矢野氏:超実践クラスの内容については、「現在の形がベスト」とは考えず、受講生のみなさんのニーズに合わせて常に進化させることを意識しています。「もっとここの部分を重点的に学びたい」「就職後ここでつまずいた」など、受講生や卒業生の声を拾い上げ、常にブラッシュアップをしているので、これからも回を重ねるごとによくなっていくと思います。

―― Webデザイナーとして学びを深めていくうえで、押さえるべきポイントを教えてください。

久保田氏:受講生の方には、いつも「課題」ではなく「案件」だと思って取り組むようにと伝えています。出された課題を「課題」として捉えると、どうしても「こなそう」という意識になってしまう。そうすると、できあがった作品もどこか中途半端になってしまうと思うんです。そうではなくて、1つ1つの課題を「クライアントからの仕事」として真摯に向き合うこと、この積み重ねを大切にしてもらいたいと思っています。努力した分の結果は、あとからついてきますから。

矢野氏:本当にそうですね。私は、Webデザイナーを目指すみなさんをマインド面からサポートできるように心がけていますが、時には、厳しい現実を教えることも必要だと思っています。学びの中で辛いこと苦しいこともあると思うのですが、実際にWebデザイナーになってからの方がもっと厳しいことは多いはず。そういうときにも困らないように「なぜ今、それをやるのか」を受講生にも理解してもらったうえで、学びを深めてもらいたいと思っています。

青野:キャリア形成の目線では、基本的な技術習得の目処がたってきた頃から、少しずつキャリアのことを考え始めてほしいですね。どなたにも「デザイナーになりたい」と思ったきっかけがあると思うんです。自分が作ったデザインを世に出したい、フリーランスで働きたい、副業にチャレンジしてみたい、など、理由は人それぞれだと思います。ただ、そのきっかけを忘れないでほしい。どうしてデザイナーになりたいと思ったか、それはどんなデザイナーか、どうしたらその姿に近づけるのか、自分の目標とするデザイナー像を少しずつ分解して、言語化しておけると、自分のキャリアを具体的に考えやすくなるのではないかなと思います。

職業や肩書きにこだわらず、自分のスキルで何ができるかを考える

―― 時代の流れと共にデザイナーに求められるスキルも変化していると感じます。これからのデザイナーに必要とされるものはなんでしょうか?

矢野氏:提案力とコミュニケーション能力でしょうか。Wedデザイナーは大変人気の職業ですが、ただものを作るクリエイターではなく、提案力のあるクリエイターが求められています。だからこそ、デジタルハリウッドでは、実践的なクラス授業や卒業制作を通じて、マーケティングスキルや提案力を身に付けられるようにしています。また、受講生同士や講師との繋がりから、コミュニケーション能力も身に付けてほしいと思いますね。

久保田氏:コミュニケーション能力でいえば、柔軟性も大切です。「こうじゃなきゃできません」と頑なな態度を取るのではなく、「そういう場合ならこう返そう」と柔軟に対応できるようになってほしいですね。ディレクター的な視点を持って、依頼された以上のものを引き出せる人の方が、仕事が来やすいと思います。

青野:実際に、弊社に依頼される求人も「ただ作るだけ」のものは減っている印象です。言われたことだけをするのではなく、自ら提案できる人材が求められていると感じますね。「デザイナー」という職域にこだわらず、時には、はみだすことも必要かもしれません。

久保田氏:デザインは1つのスキルであって、コーディングだったり、プロジェクトマネジメントだったり、強いスキルをいくつ持っていてもいいんです。スキルを持つことで、できなかったことができるようになる。それが仕事にも生活にも活かせたらいい。あまり職業や肩書きこだわりすぎず、身に付けたスキルが自分の人生にどう還元されるかを考えてみてもいいのではと思います。

―― 最後に、Webデザイナーやディレクターを目指している方にメッセージをお願いします。

矢野氏:デジタルハリウッドを運営する立場としては、今ご自身の仕事や生き方に不安を感じていたり、違和感を覚えていたりする方がいたら、相談に来てほしいと思います。未経験でも歓迎ですし、Webデザイナーに限らず可能性はたくさんあります。その方にあった選択肢をご案内できますので、新たな働き方を見つけていただければ。

久保田氏:決して作るだけが仕事ではないんですよね。Web業界の中でもいろんな職業があって、フリーランスでもチームを組んで仕事をしている人も多いです。その中で、自分らしく生きるポジションを探してもらえたら。デジハリでお会いしたら、厳しく教えるかもしれませんが(笑)厳しいながらも熱い愛情で、一緒に走っていきたいと思います。

青野:未経験からデザイナーを志望される方と面談していると、「まだ作品は見せられない」など、自信がない様子の方も一定数いらっしゃるんですね。気持ちはわかるんです。でも、こうやって授業に関わらせていただいて、見せることでどんどんブラッシュアップされるんだ、と実感しました。可能性を閉ざさないためにも、どんどん数を出したほうがいい。勇気を出して「これを作りました」と言ってもらえれば、私たちも一緒に魅力を高めるお手伝いができます。ぜひ、最初の一歩を踏み出してもらえたらと思います。

デジタルハリウッドSTUDIO 新宿・渋谷・吉祥寺
※写真はSTUDIO新宿

『デジタルハリウッドSTUDIO』とは、「好きなことを、好きな時間で、好きな場所で、自分らしく学ぶ。」今までにない"ラーニングスタジオ"をコンセプトにした、目的や地域に特化した学習スタイルを提供するプラットフォームです。
デジタルハリウッド設立より23年以上もの間、多くの実績を生んできた教育ノウハウとメソッドを集約し、確実にスキルが身につくカリキュラムを提供しています。「ワーク・シフト」が注目されはじめ、働き方が大きく変わる中、併せて生活スタイルも時間の使い方そのものが変化をしはじめ、必然的に"学びのスタイル"も変化をしている流れをいち早く察知し、デジタルハリウッドでは2012年より、この「新しい学びのスタイル」を提供し始めております。

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