サーバーエンジニアに必要な技術系スキルとヒューマンスキル

システムの核ともいうべきサーバーを扱っているサーバーエンジニア。多くの業種に活躍の場があるサーバーエンジニアですが、中でも最近求人が多いのは、ソーシャルゲームを中心に盛り上がりをみせるゲーム業界です。スマートフォンへと市場を広げ、飛ぶ鳥を落とす勢いのゲーム業界で今、サーバーエンジニアに求められる人物像とはどのようなものでしょうか。

今回は技術的なスキルを中心に、サーバーエンジニアに求められるスキルについて紹介します。

※本記事は2020年11月30日に更新しました。

サーバーエンジニアはゲーム業界のインフラ的存在

私たちが何気なく使っている電化製品やインターネットを、不便なく使えるよう整えてくれているインフラエンジニア。それに対して、サーバーエンジニアは企業の心臓部とも言える部分をつかさどる重要なポジションです。人々の生活を豊かにしたり、会社の設備に不具合が起こらないよう見守ったりと、サーバーエンジニアたちの仕事はさまざまです。その中で人々の心を豊かにし、癒し、時には、かき立てるのがゲームの仕事。あらゆる人を夢中にさせるゲームの開発、運営を支えるサーバーエンジニアはゲーム業界のインフラと言ってよいでしょう。

ゲーム業界は、スマートフォン向けゲームを中心に市場を拡大し続け、優秀な人材を常に求めています。サーバーエンジニアへのキャリアアップ、キャリアチェンジを考えるのであれば、求人の多いゲーム業界を視野に入れつつ、自身に足りないスキルを洗い出し、スキルアップしておくのが良いでしょう。

サーバーエンジニアに必要な技術系スキル

サーバーエンジニアが使うプログラム言語やデータベースの構築、コマンドライン入力などの習得は、エンジニアとしての基礎知識があれば、そう難しいものでもありません。覚えておいて損は無いスキルは、あげればきりがありませんが、サーバーエンジニアとして働くにあたり、必要最低限習得しておかなければいけないスキルがあります。ここでは、そのスキルを4つにまとめ、解説します。

高いネットワーク性能を持つOS「UNIX OS」

「UNIX OS」は、高いネットワーク性能を持つOSの一つです。多数の接続要求に耐え、常時安定的に稼働します。ウイルスが多いWindows系サーバーOSと比較すると、セキュリティが高く、低スペックのサーバーでも動作しやすく、処理速度が速いのも「UNIX OS」の大きな特徴です。

「Windows OS」や「Mac OS」はパソコンを扱わない人でも聞いたことがあると思いますが、「UNIX OS」はあまり聞きなれないことでしょう。キーボードでの文字入力がベースで、知識をもった技術者でないと操作しにくいOSですが、逆に言えば、扱える人材があまりいないので需要もそれなりにあります。

常に人気が高いサーバーサイドの作業環境「LAMP」

サーバーの中で動く作業環境としてのプログラミングをサーバーサイドプログラミングと言います。ゲームを含む、Webアプリケーション構築の要になるものです。プログラミング言語を検索すると膨大な数がヒットし、サーバーで使われるものに限定しても多岐に渡ります。

そのため、会社によって使用される作業環境もさまざま。サーバーエンジニアとして働くにはなにかしらサーバーサイドの作業環境を習得しておく必要がありますが、「LAMP」という「Linux」「Apache」「MySQL」「PHP」または「Perl」あるいは「Python」の頭文字をとった人気の高い作業環境があります。これらを優先して習得するのが良いでしょう。

最も普及しているデータベース言語「SQL」

「複数で共有、利用されること」と「検索、加工すること」を前提に整理整頓された膨大なデータの集まりをデータベースと言いますが、そのデータベースの操作や制御を行う事が出来るデータベース言語のひとつが「SQL」 (Structured English Query Language)です。

データベースに保管されたデータを検索したり、取り出したり、削除したりするために用いられます。「SQL」はデータベース言語の中で最も普及している言語のひとつで、習得すれば他のデータベースでも、大体同じように操作することが可能です。

パケット通信周りのしくみ

携帯の契約の際などによく耳にするパケット通信。データをパケットとよばれるデジタル情報のひとまとまりの単位に分割し、送受信することを「パケット通信」と言います。

携帯電話やインターネットを含めたデータ通信で主に使われており、回線の利用効率が良く、はば広く利用されています。サーバーとクライアントのデータのやりとりを円滑に行うには、この「パケット通信」周りのしくみを理解している必要があります。

以上、この4つを最低限覚えておくことが、サーバーエンジニアとしてキャリアを築く上で不可欠となります。特に、上記にあげた最低限必要になるスキルのうち、「LAMP」はサーバーエンジニアとして業務を行う上で特に有効なスキルです。

「LAMP」は一例であって、組み合わせは他にも色々ありますが、「LAMP」を習得出来ていれば、最低限サーバーエンジニアとしてやっていけます。「LAMP」は関連性が高いため、そのうちの1つ覚えれば、他のスキルを覚えるのもそう難しい事ではありません。まったく触れたことが無いと途方に暮れてしまいそうですが、どれも奥が深いので、知ることを楽しいと思えるかが、サーバーエンジニアとして活躍するための大きなポイントになるでしょう。

「LAMP」については、インフラエンジニアも共通で使用するスキルです。 「インフラエンジニアとは - インフラエンジニアの業務内容やその人材市場価値まで詳細解説」でも解説していますので、是非こちらもご覧ください。

サーバーエンジニアに必要なヒューマンスキル

Skill1

正確性と柔軟性

サーバーエンジニアにはサーバーまわりの技術的スキルももちろん大事ですが、一番重要なのは「絶対的な正確さ」です。出来上がりに簡単に満足せず、何度も何度も確認し、完璧に完璧を期せる人でなければサーバーエンジニアは務まりません。

逆に言えば、どんなミスも予断を許さず、常に計画して物事を円滑に進めないと気が済まないといった方には向いているでしょう。プラスして何か起こった時に臨機応変に対応できる心も大事です。サーバーは24時間稼働していて、人で言えば心臓のようなものです。スケジュールを組み、その通りに過ごしていても、外的影響でハプニングが起こったりするもの。常に見守り、何かあればすぐに軌道修正できる心構えが必要です。

更に言うならば、サーバーエンジニアの仕事はクライアントやユーザーの要望を叶えることです。無理難題を言われ、自分が思い描いていた筋道と違っても、出来ないと最初から突っぱねるわけにはいきません。どうすれば要望に応えることが出来るかを考え、ゲーム内に反映できるかがサーバーエンジニアの腕の見せ所です。

Skill2

職人気質

サーバーエンジニアの仕事はひとりで行うことがほとんどです。挨拶以外1日誰とも話さなかったという事もしばしば。サーバーエンジニアの仕事を複数で行う事はまったくないわけではありませんが、そう機会はありません。一人で黙々と仕事に打ちこみ、アクシデントに対応し、円滑に仕事を進める姿はまさに職人。皆とコミュニケーションをとりながら仕事をする事よりも、自分のスキルや知識を最大限発揮して与えられた任務を粛々とこなす事が好きな職人気質な面がサーバーエンジニアには向いていると言えます。

スキルのアピールにも繋がるサーバーエンジニア向けの資格

前提として、サーバーエンジニアになるために特別な資格は必要ありません。しかし、いざサーバーエンジニアとして転職する時に、どんな凄いスキルを習得していても、実務経験が無いと実践で役立つ程度のものなのかは相手に伝わりづらいものです。そこで目に見える形で自身をアピールするために、資格を得るのもひとつの手段。特定の資格を取得していることは大きなアピールポイントになります。ここではいくつかの資格をピックアップしてみました。

MCP

「MCP」とは、マイクロソフト認定プロフェッショナルの略です。業界で評価、および認知されている厳正な試験により、ITプロフェッショナルとデベロッパーの技術的な専門知識を検証する資格です。習得すれば一定の知識やスキルを有していることを多方面に証明できます。知識やスキルのレベルにより2階層に区分されます。

MCSA 主要な技術スキルを身につけていることを証明する、IT業界でのキャリアを築き始めている人向けのベーシックな資格
MCSE 要件に従ってシステム設計やアプリケーション設計を行うことが可能な技術スキルを身につけていることを証明する資格
MCSD 指示された機能を使い、システム構築やアプリケーション開発を行うことが可能な技術スキルを身につけていることが、証明できる資格

「MCSE」、および「MCSD」を習得していれば、知識とスキルを持っていると証明され、サーバーエンジニアとして大きくアピールできます。 また、「MCP」は世界共通の認定資格なので、外資系への転職や海外に視野を向けている人にもおすすめの資格です。

参照:マイクロソフト認定プロフェッショナル

LinuC(リナック)

LPI-Japanが運営をするLinux技術者認定です。先に触れた「LAMP」のうちのLが該当します。「LinuC」は修得をする知識やスキルにより3段階の認定に分かれます。

レベル1 物理/仮想の環境を問わず、Linuxシステムの基本操作とシステム管理の基本が行える技術者であることを認定
レベル2 仮想環境を含むLinuxのシステム設計やネットワーク構築において、アーキテクチャに基づいた設計・導入・保守・問題解決ができる技術者であることを認定
レベル3 Linuxの3つの分野、「OSの混在環境」「セキュリティ」「仮想化/高可用性」において、専門的な知識やスキルがある技術者であることを認定

さまざまな場面で「仮想化/クラウド化」が言われるIT業界において、その概念を理解し即戦力であることを企業にアピールするならば、LinuCレベル2は欲しいところです。スキルの習得はどこまで覚えればできたと言えるのかの目安があいまいなため、モチベーションの維持が大変です。しかし、資格取得という目標があればやる気にもつながるでしょうし、あなた自身の客観的なスキルの証明になります。難易度の高い資格ではありますが、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。

参照:Linux技術者認定「LinuC」

Cisco Career Certifications

シスコ技術者認定プログラムのことです。IT分野の技術者認定、いわゆるベンダー資格です。ネットワーク機器の多くはシスコシステムズが手掛けており、そこの製品の知識や扱い方を心得ているという事は、ネットワーク関連の仕事につく人には重要なことであり、サーバーエンジニアとしても取っておきたい資格のひとつです。シスコ技術者認定プログラムには、もともと5つのレベルがありましたが、2020年2月の改定で、新たに「スペシャリスト認定」が加わりました。

エントリー ネットワーク関連のキャリア構築を目指す方向けの入門資格
アソシエイト 中規模ネットワークの導入や設定、運用に必要とされるスキルを証明する基礎資格
スペシャリスト 特定の技術分野に焦点を当てた認定
プロフェショナル シスコ技術者認定の中級レベル
エキスパート 世界各国で通用する業界においての上級のネットワーク認定
アーキテクト 最高水準の認定資格

各レベルごとにいくつかの項目があり、アソシエイトに属する「CCNA」は有効期限はありますが、業界内で知名度も高いため、転職に有利に働く資格と言ってよいでしょう。

参照:シスコ技術者認定プログラム

今回ピックアップした資格が証明をする技術は全て世界共通で活用できる技術なので、外資系への転職や海外に視野を向けている人にもおすすめの資格です。

まとめ

現代社会は情報に溢れています。その中で本当に大事な情報だけをピックアップし、吟味し、取り入れる事が大事です。サーバーエンジニアも同じです。常にゲーム内の動向を監視し、シミュレーションし、先回りして動くことが求められます。有事の際に慌てふためかず、早急に対応するためのスキルをしっかり身につけていきましょう。

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