エンジニアとは?全19職種の仕事内容と必須スキル・言語を解説!年収アップのコツもわかる
目次
エンジニアとは?細分化され多岐にわたる職種
エンジニアとは、エンジニアリング(工学)の専門的な知識やスキルを活用し、製品やシステムの設計・開発・改善などを担う専門職です。一般的にエンジニア職種は「開発系エンジニア」「インフラ系エンジニア」などに分類することができます。
エンジニアを仕事とし、キャリアアップをするうえで重要になるのが、企業がエンジニアという職種をどのようにとらえているかを理解すること。エンジニアとひと口でいっても、その仕事内容は細分化されており、求められるスキルや必要とする企業は大きく異なるからです。企業観点での一般的なエンジニア職種の分類を図にまとめたのでチェックしてみましょう。
一般的なエンジニア職種の分類
エンジニアと呼ばれる職種は第一に「開発系エンジニア」と「インフラ系エンジニア」に大別されます。
開発系エンジニアとは「個別のアプリケーションやサービス、機械の動作に必要なシステムの設計・開発を担当する」エンジニアと考えるのが一般的です。WebサイトのHTMLやCSSを記述する「マークアップエンジニア」や、スマホアプリのプログラミングを行う「モバイルアプリケーションエンジニア」、家電や機械に搭載されるシステムを開発する「制御・組み込み系エンジニア」などがこれにあたります。
一方、インフラ系エンジニアは「多様なITサービスにおいて共通して基盤となるシステムの設計・構築・運用を担当する」エンジニアを指す言葉です。ネットワークの構築や保守・管理を行う「ネットワークエンジニア」、情報セキュリティに配慮したシステム設計・構築ができる「セキュリティエンジニア」などが該当します。
また、「その他のエンジニア」として、技術的な側面から営業活動を支援する「セールスエンジニア」、社内で使用されているアプリケーションやシステムの運用・保守を担当する「社内SE(ヘルプデスク)」と呼ばれる仕事も存在します。
もうひとつ覚えておきたいのが、同じエンジニアでも役割(仕事への関わり方)によって呼び名が異なるという点です。プログラムそのものを現場で担当する「プログラマー」、システム設計からプログラミングまでを担う「システムエンジニア(SE)」、システム開発の進行やリソース・予算管理までも職域とする「プロジェクトマネージャー」などといった分類があります。
なお、本ページで紹介する仕事内容はあくまで一般的なもので、別の分類や呼び方をしているケースもあります。
ITエンジニアの将来性と業界が抱える課題とは?
エンジニアに代表されるIT人材の不足が叫ばれるようになってからずいぶんと時間がたちます。しかし、その状況は好転していないようです。下のグラフは経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」の結果。予想される人材不足数(IT人材の需要と供給のギャップ)は、2025年には36万人、2030年には45万人とますます悪化しています。
IT人材の需要と供給の差
※「IT人材需給に関する調査」経済産業省 2019年4月発表
日本経済や企業の観点で見ると、エンジニア不足は大きな問題といえますが、「エンジニアとして働きたい」「エンジニアとしてキャリアアップしたい」という人にとっては、有利な状況が続いていくと考えてもいいかもしれません。需給のギャップが大きいほど、市場価値が高まり、収入や評価も高まりやすくなるからです。
企業が求める人材や職種を理解し、戦略的にスキルアップ、キャリアップを果たすことができれば、ビジネスパーソンとしてはもちろん、1人の人間としても、より充実した時間を過ごせるようになるでしょう。
開発系エンジニアの種類・仕事内容・スキル
まずは開発系エンジニアに分類される職種の仕事内容と各職種で用いられる言語や必要な知見について紹介していきましょう。同じ開発系エンジニアでもまったく違うものであることがわかるはずです。
マークアップエンジニア
「マークアップエンジニア」はWebサイトの制作・構築時に活躍するエンジニア。デザイナーが設計した画面のデザインを、HTML、CSSなどを用いてWebブラウザ上に再現できるようにする(コーディング)仕事です。ユーザビリティはもちろん、SEO(検索エンジン最適化)、LPO(ランディングページ最適化)、CRO(コンバージョン率の最適化)といったマーケティング上の要求も理解し、さらには、改修・運用のしやすさも含めてコーディングをすることが求められます。
なお、コーディングのみを主要な業務とする「コーダー」「Webコーダー」という職種も存在するのですが、マイナビクリエイターではコーダー、Webコーダーの上位の職種として、マークアップエンジニアを位置付けています。
マークアップエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | HTML/CSS/JavaScript/PHP |
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必要なスキル・知見 |
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フロントエンドエンジニア
商品の購入や問い合わせ、動画再生といったWebサイトが提供する機能、さらにはWebサイトの動作や見た目まで、Webサイトのうちユーザーと接触する部分(フロントエンド)すべての設計・構築を行うのが「フロントエンドエンジニア」です。前述したマークアップエンジニアやコーダー、Webコーダーよりもさらに上流からWebサイトの制作に携わる職種ととらえるのがいいでしょう。
たとえば、「必要な機能をWebサイトに効率よく実装し、運用するためのフレームワークやCMSの選定」「データベースとWebサイトの連携方法の検討」「高いユーザビリティを担保するための情報設計、UIの検討」などもフロントエンドエンジニアがかかわる領域です。
そのため、HTMLやCSSといったWebサイトのコーディングに必要な言語やスキルだけでなく、「React」「Vue.js」などのフレームワーク、CMSやバックエンド(サーバーサイド、データベース等)言語に対する知見、デザインスキルも求められるケースが多いです。
フロントエンドエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | HTML/CSS/JavaScript/TypeScript/PHP |
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必要なスキル・知見 |
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Webアプリケーションエンジニア
Web(ブラウザ)上で提供されるさまざまな機能やサービス(アプリケーション)の開発・実装・運用を担当するのが「Webアプリケーションエンジニア」です。わかりやすい例を挙げると、Web上での決済や受注、予約機能、eメールの送受信機能、動画配信機能などの開発・実装が該当します。また、近年は企業向けにインターネットを通じてサービスやツールを提供するSaaSという業態が増えてきており、業務領域が拡大しています。
なお、ひと口にWebアプリケーションエンジニアといっても業務領域は非常に広く、フロントエンド中心の開発なのか、バックエンド中心の開発なのかによって、必要とされるスキルや言語は大きく異なります。
Webアプリケーションエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | HTML/CSS/JavaScript/TypeScript/PHP/Python/Ruby/Go |
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必要なスキル・知見 |
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モバイルアプリケーションエンジニア
スマートフォンやタブレットといったモバイル端末で動作するアプリケーションの開発・実装・運用に従事するのが「モバイルアプリケーションエンジニア」です。現在、大多数のモバイル端末がiOS、Androidで動作しているため、この2つのOSのどちらかもしくは両方に対応したアプリケーションの開発・実装・運用を担当することになります。
なお、モバイルアプリケーションを用いたサービスは、サービス改善のスピードが非常に速く、アップデート・バージョンアップも頻繁に行われる傾向があります。運用が重視されやすい職種といえるかもしれません。
ゲームやショッピングから業務用まで、モバイルアプリケーションの種類は多種多様で、ニーズも高まり続けています。転職や就職において「どんなサービスにかかわりたいか?」と考えたときに、非常に選択肢が豊富な職種だといえるでしょう。
モバイルアプリケーションエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | Swift/Objective-C/Kotlin/Java |
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必要なスキル・知見 |
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オープン系アプリケーションエンジニア
技術的な仕様が公開されている(オープンな)システムでの動作を前提としたアプリケーションの開発・運用を行うのが「オープン系アプリケーションエンジニア」です。後述する汎用系との対比によって生まれた職種で、「汎用機」ではなく「パソコン」上での動作を基本としたアプリケーション開発を行うエンジニアという意味合いも含んでいます。
会計、生産管理、給与管理、受発注管理などといった、業務用アプリケーションの開発・運用に携わるケースが多く、既存のパッケージソフトウェアを企業に合わせてカスタマイズ・運用する仕事もあれば、イチから独自のアプリケーションの開発を手がけるケースもあります。
オープン系アプリケーションエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | C/C++/C#/Java/VB.NET/Python/Ruby |
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必要なスキル・知見 |
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汎用系アプリケーションエンジニア
汎用機(メインフレーム)と呼ばれる大型・高性能コンピューター上での動作を前提としたアプリケーションの開発・運用を行うのが「汎用系アプリケーションエンジニア」です。汎用機は導入企業ごとに独自に設計されているため、環境構築から開発までをイチから行うことになります。もちろん、運用も独自の環境下で行われます。
汎用機は大規模かつ高速性、堅牢性、機密性が重視されるシステムに採用されるのが通常で、金融機関の基幹システム、流通企業のPOSシステム、大手メーカーの生産管理システムなどが汎用系アプリケーションエンジニアの活躍の場の代表例です。
汎用系アプリケーションエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | COBOL/FORTRAN/Java/C |
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必要なスキル・知見 |
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組み込み・制御系エンジニア
機械を動作させるために必要なシステム・プログラムの設計・開発をするのが「組み込み・制御系エンジニア」です。ここでは1つの職種にまとめていますが、機械の中に組み込まれたコンピューターで動くシステム自体を設計・開発するエンジニアを「組み込み系」、機械の動きを制御するプログラムを設計・開発するエンジニアを「制御系」と呼ぶのが一般的です。
家電や自動車、スマートフォンから産業用機械に至るまで、あらゆる電子機器、電子機械に組み込み・制御系のシステムは内蔵されており、非常にニーズの高いエンジニア職の1つとなっています。
制御・組み込み系エンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | C/C++/Java/アセンブリ言語 |
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必要なスキル・知見 |
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AI・機械学習エンジニア
基本的なプログラム開発から、データの投入による教育、さらにはデータの分析まで、AIにかかわる研究・開発全般を担当するのが「AI・機械学習エンジニア」です。プログラム開発やデータの投入による教育までを行うエンジニアを特に「機械学習エンジニア」と呼び、データの分析を担うエンジニアを「データサイエンティスト」と呼ぶのが一般的です。
AIは現在、自動運転技術や生体認証、チャットボット、スマートスピーカーなど、幅広い領域で活用が進められている技術です。エンジニアとして最先端の仕事ができる、非常に魅力的な職種といえます。
AI・機械学習エンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | Python/R/Julia/MATLAB/C/C++ |
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必要なスキル・知見 |
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インフラ系エンジニアの種類・仕事内容・スキル
続いてはインフラ系エンジニアに分類される職種について紹介していきます。インフラ系エンジニアは、あらゆるITサービスの基盤を構築・運用する非常に需要度の高い仕事で、求人も増大中です。担当する領域に対する高い専門性が求められるようになってきており、職種の細分化が進んでいます。
サーバーエンジニア
あらゆるITサービスが、サーバーと呼ばれる大容量・高機能なコンピューターから提供されています。Webサイトの表示に必要なファイルを保存・配信している「Webサーバー」、メール配信を行うための「メールサーバー」、大量の情報を保存・管理し、求めに応じて配信する「データベースサーバー」などがその代表例。そして、このサーバーにかかわる技術者が「サーバーエンジニア」です。
サーバーエンジニアの業務は、主に「設計・構築」「保守・運用」に分かれています。設計・構築業務はサービスを提供するのに必要なサーバーのスペックや台数などを検討し、適切に設置・導入する仕事です。サーバーを動かすために必要なOSやアプリケーションのインストール・設定なども含まれます。
保守・運用業務は構築したサーバーが安定稼働するよう管理をする仕事。稼働状況の監視やセキュリティ対策、ファイルのバックアップ、OSやアプリケーションのアップデートなどがその業務内容です。現在、日常生活のありとあらゆる分野にITサービスが浸透しています。人々の日常を支える、欠かすことのできないエンジニア職種といえるでしょう。
サーバーエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | PHP/Ruby/Perl/Python/Go/Java/JavaScript |
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必要なスキル・知見 |
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ネットワークエンジニア
サーバーとクライアント(PCやスマートフォンなど、人が使う端末)との間にあるネットワークの構築や保守を主な仕事とするのが「ネットワークエンジニア」です。ネットワーク構築に必要なシステムやハードウェアの検討・設計を行い、それを基に機器やケーブルの設置・配線を実施します。ほかのエンジニアと違い、ハードウェアに触れる機会が多いのが特徴といえるでしょう。
また、ネットワークの保守も重要な業務と位置付けられており、ネットワーク障害、機器の故障などが起きた際にはスピーディな復旧が求められます。重要なネットワークにおいては、24時間365日体制での監視・保守が行われていることも少なくありません。さまざまなITサービスを安定して提供するために、縁の下の力持ちとして活躍しているのが、ネットワークエンジニアなのです。
ネットワークエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | 業務に関連してサーバーサイド言語を使用するケースがある |
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必要なスキル・知見 |
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データベースエンジニア
大量の情報を一定のルールに従って、一元的に管理する仕組みをデータベースと呼びます。そして、データベースを専門的に扱うサーバーがデータベースサーバー。データベースサーバーにまつわる業務をもっぱら担当するエンジニアが「データベースエンジニア」です。
データベースエンジニアの仕事は、「設計(構築・開発)」「管理」「運用」の3つに大別されており、設計(構築・開発)は、情報の格納・管理ルールを定め、情報の参照・抽出を効率的に行えるシステムを組み上げるというもの。このとき、「MySQL」「Microsoft SQL Server」といった、データベース管理システム(DBMS・データベース・ソフトウェア)を利用するのが一般的です。
管理・運用は稼働中のデータベースのチューニングによって、スピーディかつ安定した情報のやり取りができるようにするための業務。アクセス権の設定やバックアップなどのセキュリティ関連業務も含まれます。
データベースエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | SQL |
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必要なスキル・知見 |
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セキュリティエンジニア
サービスを提供するためのシステム全般やネットワークを外部からのサイバー攻撃から守ることを専門とするエンジニア職種の1つが「セキュリティエンジニア」です。リスク分析や脆弱性の洗い出し、適切なセキュリティシステムの提案、セキュリティシステムの具体的な設計・実装・運用などが、主な仕事内容といえます。
多くの企業でIT化が推進され、大量の個人情報を取得・保有し、データベースサーバーで運用するようになってきています。セキュリティインシデントがビジネスに致命的なダメージを与える可能性が否定できません。今後も重要性が高まり続けていくことは間違いなく、非常に将来性のあるエンジニアといえます。
セキュリティエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | 携わるシステムやサービスに使用されている言語 |
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必要なスキル・知見 |
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クラウドエンジニア
近年、急速に注目度を高めているのが「クラウドエンジニア」です。「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」といった、クラウドサービスの名前を一度は聞いたことがあるでしょう。このクラウドサービス上にサーバーやネットワークを構築し、インフラを整えるのがクラウドエンジニアの仕事です。
ほかのインフラ系エンジニアと同様に、クラウドエンジニアの仕事は「設計・構築」「保守・運用」に大別することができ、クラウドサービスの選定から、クラウド上のストレージ・仮想サーバーの構築、システム・セキュリティの管理までを行います。
コストパフォーマンス、システム拡張性の観点から、社内システムやサービス提供システムをクラウドに移行する企業が急増中です。セキュリティエンジニアと並んで比較的、新しい職種ではありますが、エンジニアとしてのキャリアアップを考えるうえで、将来性を見込める職種といえるでしょう。
クラウドエンジニアが使用する言語と必要なスキル・知見
主に使用する言語 | PHP/Ruby/Perl/Python/Go/Java/JavaScript |
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必要なスキル・知見 |
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その他のエンジニアの種類と仕事内容
社会やビジネスの中でIT化が進んでいるとはいえ、すべての人がプログラミング言語やシステム設計に精通しているわけではありません。そこで必要になるのがほかの職種に対する技術的なサポート。ビジネスとエンジニアリングの橋渡しをするのがその他のエンジニアに分類される職種です。
セールスエンジニア(フィールドアプリケーションエンジニア・FAE)
その名の通り、営業職とエンジニア職の両面の性質を持つのが「セールスエンジニア」という職種です。エンジニア特有の技術的知見を活かして、営業活動を行う職種と言い換えてもいいでしょう。フィールドアプリケーションエンジニアと呼ばれることもあります。
業務内容は所属する企業によりますが、自社商品の説明・デモ、導入時の技術的サポート、導入後のアフターサポートなどを担当するのが一般的。顧客と直に接触する機会が多いので、ほかのエンジニア職と比べて高いコミュニケーション能力が求められます。
社内SE(ヘルプデスク)
企業にはそれぞれに特有のビジネス課題やニーズが存在します。汎用的なシステムやアプリケーションが必ずしも自社にフィットするとは限りません。そこで必要になるのが「社内SE」という職種。自社が抱える課題を深く理解したうえで、最適なシステム・アプリケーションを選定し、導入・運用を主導していきます。
一方、「ヘルプデスク」は導入されているシステム・アプリケーションに対する、社内からの技術上の要望・問い合わせ対応など、主に運用にかかわる業務を担う職種です。企業の規模にもよりますが、社内SEとヘルプデスクがほぼ同じ役割を担っているケースも多いようです。
業務上の役割で分類するエンジニア職
ここまではエンジニア職種が携わるサービスやシステムを基に分類してきました。しかし、同じ領域に分類されるエンジニアでも、担当する業務範囲や役割によって呼び名が異なることがあります。ここからは役割別にエンジニアの種類について見ていきましょう。
プログラマー
エンジニアの中でも、プログラミング言語を使った開発実務を主に担当するのが「プログラマー」です。後述するシステムエンジニア(SE)が設計したシステムを忠実に再現し、動作するようにするのが主要業務。そのため、扱う言語についての高いリテラシーと、正確なプログラミング技術が求められます。また、エンジニアの中で最も現場に近い役割であるため、多くのエンジニアがプログラマーからキャリアをスタートします。
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システムエンジニア(SE)
システムやアプリケーションの設計・開発・運用を幅広く担当する職種が「システムエンジニア(SE)」です。プログラミング言語を用いた開発実務に加えて、システム・アプリケーション自体の要求・要件定義や設計も担当するため、プログラマーの上位職種と位置付けられるのが通常です。企業が抱える課題を、ITでどのように解決するかを検討し、その具現化までを遂行する役割ととらえるのがいいでしょう。
プロジェクトマネージャー
システム・アプリケーションの開発は1人でできるものではありません。複数のシステムエンジニア(SE)、プログラマーがかかわり、プロジェクトとして実施されるのが一般的です。また、そのシステム・アプリケーションを使用することになる、自社の社員やクライアントからのさまざまな要求にも答えなければなりません。
多種多様な人物が関与する開発プロジェクトを取りまとめ、期日までに開発を完了させることをミッションとするのが「プロジェクトマネージャー」です。進行管理、リソース管理、ときには予算管理までをプロジェクトマネージャーは担当します。開発実務からは一線を画し、上流工程や開発領域以外の人物とのコミュニケーションを担うエンジニアと考えるのがいいでしょう。
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システムコンサルタント
企業が抱えるビジネス課題をITでどのように解決すべきかを検討し、提案するのが「システムコンサルタント」です。エンジニア関連の職種ではありますが、プログラミングスキルやシステム設計に関する知見以上に、経営やビジネスにおける課題解決・提案能力が求められます。現在の企業経営にはIT活用を欠かすことができません。エンジニアリングについて高い知識を持ち、ビジネスを成長させられるコンサルタントが求められているのです。
エンジニアになるには?キャリア形成の考え方
ここまで紹介してきたエンジニア職種は、ビジネスのIT化の進展によって生まれた比較的新しい職種です。そのため、エンジニアを一生の仕事としていくためのキャリアプランが立てづらいという側面があります。そこでここからは、エンジニア職種のキャリアップについて2つの軸をかけ合わせながら解説していきましょう。
どのような職種にも当てはまることですが、キャリアップを考えるうえで重要なのは、「どんな環境で働いていきたいのか」「どのように働いていきたいのか」です。この2点でキャリアの方向性や身に付けなければならないスキルが変わっていくからです。
まず、「どんな環境で働いていきたいのか」については、「所属する組織」で考えてみます。
エンジニアが所属する組織は大きく分けると「外部支援会社」と「事業会社」があります。「外部支援会社」にはSIerやSES、制作会社などが該当します。外部という意味合いではフリーランスなども当てはまるでしょう。「事業会社」はサービスやアプリケーション自体を開発・提供する会社です。
次に、「どのように働いていきたいのか」については、「志向」で分けて見てみましょう。
エンジニア自身の志向には、「スペシャリスト志向」と「マネジメント志向」があります。「スペシャリスト志向」は開発実務に携わり続け、最新技術を習得していきたいと考えるタイプ。「マネジメント志向」は、組織を動かすことで、個人では実現できないより大きな成果を目指すタイプと考えてください。
そして下の図は、前述したエンジニアが所属する組織(どんな環境で働いていきたいのか)を縦軸に、エンジニア自身の志向(どのように働いていきたいのか)を横軸に取って、想定される働き方やエンジニアとしての選択肢を概念図にしたものです。
この4つのタイプそれぞれのキャリア形成について、詳しく見てみましょう。
1.「外部支援会社×スペシャリスト志向」タイプのキャリア形成
1つ目の「外部支援会社×スペシャリスト志向」タイプの人は、多様なプロダクト・技術に触れる中で「自分のスキル・技術を磨き上げて世の中から広く求められる人材になりたい」と考えるエンジニアであると考えられます。これをより突き詰めていくと、企業という枠にとらわれることなく自分のスキル・技術を発揮できる「パラレルワーク」や「フリーランス」という働き方を選択し、エンジニアとしてのキャリアを形成していくことも多いかもしれません。
このとき重要になるのが、常にスキルや技術をアップデートしていくこと。書籍やインターネットで知識を蓄えることはもちろん、エンジニアのコミュニティに属して情報交換をしたり、自分自身で簡単なプロダクトの開発に取り組んでみたりするのもいいでしょう。モダンな言語・技術についていけなくなった時点でエンジニアとしての市場価値は大きく下がってしまいます。常にトレンドを追い、学習する姿勢が欠かせない働き方といえるでしょう。
2.「外部支援会社×マネジメント志向」タイプのキャリア形成
自分が「外部支援会社×マネジメント志向」タイプだと感じるなら、外部支援企業内でのマネジメント層を目指すのはもちろん、独立・起業やコンサルタントという働き方を視野に入れてみてもいいかもしれません。開発実務からは離れてしまいますが、より多様なシステム・サービスに触れることができ、個人の技術力だけで勝負するよりも大きな影響力を持つプロジェクトに携われる可能性があります。
また「自分のスキル・技術によって世の中に広く影響を与えられる人材になりたい」と考えているであろうこのタイプの人が、キャリア形成において重視したいのは、プロジェクトを提案し、完遂させるための実行力とコミュニケーション能力です。プログラミングやコーディングだけに没頭するのではなく、「いかに周囲を巻き込み、同意を取り付けていくか」という点を重視しながら働くことで、キャリアアップへの道筋がよりはっきりと見えてくるでしょう。
3.「事業会社×スペシャリスト志向」タイプのキャリア形成
3つ目の「事業会社×スペシャリスト志向」タイプのキャリアは「CTO(Chief Technology Officer)」や「チーフエンジニア」といった役職が目指すべきキャリアとして考えられます。自社のプロダクト開発やサービス品質について技術的な側面の責任を持つ立場です。言い換えるならば、「愛着のあるプロダクト・サービスを最高の品質で世の中に提供できる人材になりたい」と考える人といえるでしょう。
キャリアアップのポイントとなるのは、自分のスキル・技術を常に最新のものにアップデートしていくことと、プロダクト・サービスが世の中にどのような価値を提供するのか、つまり「売れるのか」を考え続けるスタンスです。どんなに新しい技術を利用したサービス・プロダクトだったとしても、ニーズにマッチしなければ評価されることはありません。ユーザーや世の中のニーズを捕らえられるよう、マーケティング思考を意識的に伸ばしていくといいでしょう。
4.「事業会社×マネジメント志向」タイプのキャリア形成
最後に4つ目の「事業会社×マネジメント志向」タイプの人は、VPoE(Vice President of Engineering)やプロダクトマネージャーを目指していくのがいいかもしれません。VPoEとは、エンジニア部門の人材育成や採用、組織マネジメントの責任を負うポジションです。マネジメント志向の人にはうってつけといえるでしょう。
また、エンジニア職で培ったサービスや製品への深い技術的知見を活かして、プロダクトマネージャーを志す道もあります。サービスや製品の成長を主導するポジションであり、エンジニアとは異なりますが、技術的知見も必要不可欠です。「そのサービスや製品がなぜ必要とされているのか」というマーケティング思考、「そのサービスや製品をいかに販売し、利益を上げるのか」というセールス・経営思考を積極的に身に付けていくことをおすすめします。
職種変更はハードルが高いので注意が必要
本ページではエンジニアの種類について大きなボリュームを割いて解説しました。種類を知ることが、エンジニアのキャリアに密接に結びついているからです。現在、エンジニア職種は各領域の専門性が高まると共に、領域の細分化が進んでいます。つまり、同じエンジニアでも職種の変更が難しいケースが多いのです。
たとえば同じ開発系エンジニアでも、フロントエンドエンジニアと組み込み系エンジニアでは、使用する言語もスキルも大きく異なり、基本的に互換性はありません。もし、組み込み系エンジニアがフロントエンドエンジニアになろうとすると、イチからHTMLやCSS、JavaScriptを習得する必要があり、企業からは未経験者として扱われることになります。
エンジニアを生涯の仕事とするのであれば、できるだけ早いうちに職種を絞り、継続的なスキルアップを図るほうがいいでしょう。
エンジニアの転職成功のために知っておくべきポイント
冒頭で説明したようにエンジニアへの需要は高まり続けています。今後も人材不足が続いていくことでしょう。エンジニアの求人市場は明らかな売り手市場で、転職においても困ることは少ないはずです。しかし、だからこそ注意が必要な面もあります。
たとえば、事業会社で働いているエンジニアが転職理由として挙げることが多いのが、給与に対する不満とスキルの向上に対する不安です。
- 長時間、働いているのに給与が少ない
- 最新のモダンなプログラミング言語を扱う機会が少なく、時代に取り残されてしまいそう
このような声をよく聞きます。
そんなとき、求人サイトや求人広告を見ると、似たような仕事内容にもかかわらず、年収が大幅に高い求人票を見かけるかもしれません。モダンなプログラミング言語を扱うと書かれているケースも多いでしょう。
しかし、求人票の内容が完璧かつ正確に募集職種の実態を表しているとは限りません。収入が高い分、もしかするとハードワークを要求されるかもしれませんし、担当するプロジェクトによってはレガシーな言語しか扱えないケースもあるでしょう。
また、自分がどのような志向を持ち、キャリアを形成したいのかを冷静に考えられていないエンジニアが多いのも実情です。常にインプットが必要になるエンジニア職種では、転職という転機で招いた一度の選択ミスが、その後のキャリアにおける大きな遅れに繋がる可能性もあります。
そういったことにならないためにも、転職活動では客観的な意見や判断が仰げる転職エージェントのサービスをぜひご活用ください。マイナビクリエイターには経験豊富なキャリアアドバイザーが多数在籍しており、企業の実態を第三者目線で説明し、転職活動の成功を支援します。
また、キャリアアドバイザーとの対話によって自身の適性を、改めて理解できるようになることも多いはずです。売り手市場で選択肢が多くあるからこそ、自身のキャリア形成に合った企業を見つけましょう。そのためにもまずは、キャリアアドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。エンジニアの転職・キャリアアップを成功させるための方法としてぜひ覚えておいてください。