デザイナーとしてゲーム運営会社で働くということ。自身の成長性を最大化できる仕事環境 ―― ファンプレックス ロングインタビュー

Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.31

第一線で活躍しているクリエイター達のリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイター達の熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。

ゲーム業界において、ゲーム運営を主事業とする企業が次々と誕生していることはすでにご存知の方も多いはずである。親会社グリーが培ったゲーム運営のノウハウを結集したファンプレックス株式会社(以下ファンプレックス)は大型のスマートフォン向けアプリゲームを中心とした運営特化型の新しい企業である。数々のタイトルをもつ親会社グリーをバックボーンとしながら、ファンプレックスが運営するタイトルは20本を突破し、さまざまなモバイルゲームの運営に取り組んでいる。

今回は1部2部に分けたロングインタビューとしてファンプレックスのデザイン部門の管理職2名と、活躍する現職のゲームデザイナー2名にインタビューをお願いした。ファンプレックスという会社の持つ文化や特質、ゲーム運営会社でデザイナーとして働く魅力に注目してほしい。

[第1部]
主役はデザイナーであるあなた。1人ひとりの成長がファンプレックスを高く舞上げる ―― 小川氏 福田氏インタビュー

プロフィール紹介

デザイン部 部長
小川 剛氏 - Takeshi Ogawa

各セクションのマネージャーと協力して、ビジネスに対応できるデザイナー個人の成長や、デザイン部の組織づくり、タイトル移管業務のサポートなど幅広く担当。

デザイン部 / TechArt and Animationチーム マネージャー
福田 麻衣子氏 - Maiko Fukuda

2Dアニメーションチームのマネージャーとして採用、教育、デザイナー個人の目標設定などを担当。社内全体に向けた各種勉強会を企画・開催。

「運営」は自身の成長を高めることに繋がる。デザイナーがゲーム運営に携わることの魅力を発信していきたい

―― ファンプレックスでのお2人の立場から見たデザイナーとしてゲーム運営に取り組む魅力を教えてください。

小川氏:ゲーム運営ビジネス自体がまだ新しい事業です。急成長中で多くの人材を求めていますが、ゲームに関わるスキルを持った方々に対するアピールが私はまだまだだと感じています。その理由は簡単で、ゲームクリエイターが転職先を探す際にまず注目するのはその会社が手がけているゲームタイトルというのが一般的です。しかし当社のようにゲーム運営に携わる会社は、手がけているタイトルを公開できない場合が多い。転職を考える方にとって、「何をやっているのかよくわからない」というのが私たちに対する印象ではないでしょうか。だからこそ私たちは、手がけるタイトルを公表する以外の方法で「デザイナーがゲーム運営に携わる魅力」を具体的に伝えていかなければならないと考えています。

まず、デザイナーがゲーム運営に携わる魅力の1つが、得られる自身の成長性の高さです。私たちはさまざまな企業さまからタイトルを移管し、ゲーム運営を行っております。ゲームづくりは各企業さまによって異なり、扱うツールや演出もそれぞれ違うのが当たり前です。これら多彩なゲームタイトルの運営を行うには、移管によって私たちもそのツールを扱い、演出方法を取り込んでいかなければならない。そのためにはデザイナーも横展開のスキルアップが必要になってくるのです。

福田氏:ゲーム運営会社での経験がクリエイターのスキルを短期間で飛躍的に成長させると言われているのはそのためです。通常、新規開発においてはその会社が得意とするツールを使ってゲームづくりをするのが一般的で、『Unity』なら『Unity』の、『Flash』なら『Flash』のスキルを高めていくことが求められます。しかし業界におけるデザイナーの市場価値を考えれば、さまざまなツールを使いこなせることは圧倒的な強みです。また、ゲーム運営会社にはタイトルのアセットそのものがあり、さまざまな企業さまのゲームづくりそのものを余すことなく学ぶことができるのです。

もちろんデザイナーのスキルを向上させるには「できないことにチャレンジする」のではなく「どうすればできるか」を戦略として持っていなければはじまりません。そのために、私たちは個人の専門スキルを横展開させていくのに必要なバックアップ体制や社内研修の機会を設けることを全力で推し進めています。

座学ではなく実地を取り入れた本格的な勉強会を社内で。欲しいスキルを将来ではなく「いま」手に入れる

―― 個人のスキルアップのためのバックアップ体制や社内研修とはどういったものなのでしょうか。

福田氏:1つはデザイナーの経験やスキルにマッチしたマネジメントを行い、個人のキャリアプランをマネージャーとともにしっかりと設定していくことです。会社として1人ひとりの社員の将来を見渡したバックアップを行っていきます。そしてもう1つは実際のスキルアップにつながる機会を用意していくこと。キャリアアッププランに基づいた配置はもちろんのこと、その時必要なツールの使用法などをテーマに、実践的な勉強会をどんどん企画して開催しています。

たとえば先日行ったのは『Unity』における「Shuriken」を使ったゲームエフェクト制作をテーマにした勉強会です。ユニティテクノロジーズジャパンさまから講師を招いて2日間行いました。勉強会の参加者は本人の希望や業務上必要な人を優先して選抜しています。勉強会は、1日や2日間で終わる短期的なものから、週1.5日で2ヵ月間受講するような長期にわたるものもあります。基本的に勉強会は業務時間内に開催され、座学はもちろん、実践的に行えるよう1人1台マシンを用意して、講師と一緒にツールの起動から成果物のアウトプットまでを体験できるようにしています。これまで『Spine』、『SpriteStudio』や『AfterEffect』、『Maya』などのツールの勉強会に取り組んできました。次は『Live2D』の勉強会を企画しています。

小川氏:私たちデザイン部の最大のミッションは事業の成長をデザインによって牽引することです。デザイナーにいかに各ゲームタイトル(事業)の場で活躍してもらうか。ファンプレックスの管理職はメンバーをサポートする立場で、教育や成長のバックアップを行いながらタイトルにおけるデザインの管理責任を遂行しています。そのためにデザイン部にはタイトル別の運営チームやモーション、3D、2Dの専門チームの他に、ナレッジマネジメントのチームを置いています。社内に集まるゲーム運営のノウハウをナレッジとして蓄積・共有し、事業に活かしていくこと。さらにこれらのナレッジが個人のスキルアップにも活用されることを目指しています。個人の成長、発達がそのまま事業の成長に直結することが私たちファンプレックスのデザイン部が目指しているスタイルなのです。

―― 採用も担当されるお2人はどんな人材に魅力を感じますか?転職を検討している方々に向けてのメッセージもお願いします。

福田氏:ファンプレックスはCHANGE、TRUST、LOVEの3つを『ファンプレックスクオリティ』と名付け、会社のポリシーとして掲げています。CHANGEは常に変化を恐れない『攻め』の姿勢を持ち続けること。TRUSTは職種や社内外を問わず信頼関係を築き、信頼にこたえられる運営クオリティを実現するという誓い。LOVEは、タイトルを作られた方々に負けないくらい愛情をもってゲームやキャラクターを育てるという想いです。この3つに共感いただける方に私たちの新しい仲間になっていただきたいと考えています。関心を持っていただけたらぜひ当社にアプローチしてみてください。

小川氏:転職したいと考える人は自らの意志を持って「いま」を変えていこうとしている人なのではないでしょうか。私たちはそんな自ら切り拓く意志を持ったメンバーを強く求めています。現在の私たちの目標は「最強のデザイン部隊」を作ること。事業の急成長に合わせて人材の獲得を進めており、マネージャーもこの1年で4人も増えました。ゲーム運営という新しい仕事に情熱を傾ける人には本当に多くのチャンスを提供できる会社です。ぜひ大きな野望を持ってファンプレックスの門を叩いてください。

[第2部]
最大の魅力は、強いやりがいと安心感。ファンプレックスを形づくる、社員一人ひとりを大切にする思想 ―― 大城氏 木村氏インタビュー

プロフィール紹介

ゲームプロダクション本部 ゲームプロダクション2部
大城 百代氏 - Momoyo Oshiro

紙メディア、Webなどさまざまなデザイナー経験を経て、UIデザイナーとして2017年8月にファンプレックスに入社。広範な専門スキルと持ち前のコミュニケーション力を評価され入社半年でチーフデザイナーに。

デザイン部 3Dチーム
木村 澪氏 - Mio Kimura

映像・アニメーション制作会社でモーション制作を経験。ゲーム運営のビジネスに新たな可能性を感じて2017年10月にファンプレックスに入社。プランナー、エンジニアと一体で進めるクリエイティブに成長性を実感。

自分の望むデザイナーとしてのスキルアップを。この会社で探し求めていた仕事環境を見つけた

―― お2人のデザイナーとしてのキャリアとファンプレックスとの出会いについて教えてください。

大城氏:私のデザイナーとしてのキャリアは地元の沖縄ではじまっています。経営者と事務職の女性と私の3人だけという小さな広告代理店で、紙、Web問わず、色んなデザインをやっていました。そんな中、Webの仕事を本格的にやりたいと考えて上京を決意。上京後はブラウザゲームの開発と運営の経験を経て、このファンプレックスに入社しました。私がこれまでの経験で最終的にやりたいと思ったのはソーシャルゲームのUIデザインでした。また、転職エージェントに「スキルアップできる会社であること」「女性が長く働ける会社であること」「経営方針が一貫している会社であること」とリクエストしたところ、この会社を紹介されたのがきっかけです。

木村氏:私は大学時代にとあるアニメーション映画に出会い、3D背景やキャラクターの動き、2Dでは再現できないカメラワークに感銘を受けたことがキッカケでどうしても映像制作をやりたいと思うようになり、周囲の反対を押し切って大学を辞めてCGの専門学校に入学しました。卒業後はモーションを中心に映画やゲームのイベントムービーの制作を行い、映像制作プロダクションを2社経験した後、2017年の10月からファンプレックスで働いています。

―― ゲーム運営会社でのデザインという仕事に入社前はどんな印象を持っていましたか?

木村氏:私は普段コンシューマーゲームよりスマホでゲームをしている時間の方が長いので、ファンプレックスに入る前からモバイルゲームの運営という仕事に興味がありました。皆さんもそうだと思いますが、自分の好きなゲームがクローズしてしまうのは本当に悲しいものです。最近はゲーム運営に特化した会社が増え、開発とは違う視点から運営が行われお客さまがより長くゲームを楽しめるようになってきています。私もその一助になれればと思い、この会社に応募しました。

大城氏:ソーシャルゲームのUIデザインをやりたいという目標があって、私は転職先をゲームの新規開発をメインとする会社にするかゲーム運営会社にするか大いに悩みました。ゲームクリエイターとして長く活躍したいと思っていた私は、実績を表に出しにくいゲーム運営の仕事に少し不安を感じていたのです。しかしその考えを払拭してくれたのが代表の下村との最終面接でした。私は前職の経験から、どんなに苦労して作っても、ゲームはクローズしてしまうと何も残らないのではないかと感じていました。そんな思いを代表にぶつけると、代表は「確かにどんなゲームでも、どんなに長く運営していても、いつかは終わりを迎えます。でもそこで得た経験やスキルはあなたの中に一生残るから、それを大切にしてほしい」と言われたのです。この言葉に胸を打たれ、「たとえ終わりを迎えることになってしまおうとも、それが公開できないタイトルであったとしても、いかに長く運営させるかということに専念し、スキルを磨くことを一番に考えよう」と思えました。ここでなら“ゲームのUIデザインでいつまでも仕事ができるスキルを身に付けたい”という私の目指すキャリアが実現できると思い入社を決めました。

個性を尊重するフラットな社風が全社員の成長性を最大限に引き出す

―― ファンプレックスに入社して、これまでと違うと感じたところはどこですか?

木村氏:とにかく社員に成長の機会を与えてくれる会社だということ、またそれを実現していける雰囲気の良さがあります。ファンプレックスでは、本人が望めば新しい業務にチャレンジさせてもらえたり、新たなスキルを身に付けるための勉強会に参加できたりします。また、それをサポートしてくださる周りの方々もとても優しく、人間的に魅力的な人が多いです。私自身、面接で出会った人達の個性にとても魅力を感じて入社しました。女性が活躍できる環境ということもファンプレックスの魅力の1つだと思っています。1次面接を担当してくれたのがマネージャーの福田だったのですが、女性がのびのび活躍している会社であることがすぐに伝わってきました。

大城氏:私はUIデザイナーとして入社し、半年後にはチーフデザイナーに抜擢されました。デザイナーには月に1回以上マネージャーとの面談の機会があって、キャリアプランやスキルアップについてはもちろん、仕事上の悩みや困っていることなどいつでも気軽に相談できます。そんな面談の場で私はマネージャーから「チーフになりたいか!」と入社3ヵ月で言われ、「できることならやってみたいです」と答えると、なんとその3ヵ月後には実現していたのです。チーフデザイナーになるとチーフ会があって先輩チーフが色々とアドバイスしてくれます。上手くいかなかったり、たとえ失敗したとしても必ず周りが手を差し伸べてくれる。そんな安心感がこの会社にはあると感じています。

―― 今の仕事で注力されていること、今後取り組んでいきたいことは何ですか?

木村氏:私は今3DRPGのモーション制作と外注管理の仕事を担当しています。インゲームの攻撃モーションは少し動きが違うだけで、そのキャラクターやモンスターの強さが大きく変わってしまうことがあるので、ただモーションがかっこ良ければいいというものではありません。それだけに、プランナーとエンジニアとの連携が重要で、これまでのように1人で黙々と進めればいいわけではない難しさもありますが、私にとってはそこがこの仕事の面白さでもあります。自分が作ったモーションに対してお客さまからの反応がすぐに返ってくるのはうれしいですね。厳しい意見もありがたいです。また、ファンプレックスならではのスキルの横方向への展開もどんどん取り組んでいきたいです。今は普段の3D業務とは別に『Spine』を学ぶ希望を出していて、他にも、仕事で活かせるようエンジニアのメンバーからC#を教えてもらったりしています。

大城氏:私は少年誌系のIPタイトルのUIデザインに取り組みながら、版元の監修会対応とデザインチームのマネジメントを行っています。今後はUIデザインのスキルアップはもちろんのこと、もっとチームのメンバーのためにマネジメントスキルを磨いていきたいです。ファンプレックスは産休・育児休暇や時短勤務など、ライフステージの変化に対応できる制度が整っていて、今後さらに充実していくことと思います。活躍する女性管理職も多く、私自身本当に安心して仕事に取り組めているので、自分もそんな会社のシステムづくりに少しでも貢献していけたらと考えています。

―― 最後に転職を検討している皆さんにメッセージをお願いします。

大城氏:ファンプレックスは自分の目標を高く持って能動的に動ける人には本当に多くのチャンスが与えられる会社です。また、きちんと評価してくれる体制が整っているので、モチベーション高く働くことが出来るのも会社の魅力の1つです。積極的に新しいことにチャレンジしたいと思っている方からのご応募をお待ちしています。

木村氏:ゲーム運営というビジネスや、スキルアップに関心のある人はもちろんですが、私が感じるファンプレックスの一番の魅力は、とにかく人を大切にしてくれる会社だということです。ぜひファンプレックスの良さをあなた自身の目で確かめてみてください。

インタビューを終えて

前回のプランナーインタビューに続き、今回は2+2の形でデザイン部門の管理職と活躍中のデザイナーにインタビューを行った。最初に4人揃ったところで写真撮影を行ったのだが、部長、マネージャー、チーフデザイナー、デザイナーとポジション的に違いはあれど、撮影の合間に交わす言葉や表情には、同社ならではのフラットな雰囲気がよく表れていた。デザイナーが主役、管理職はそのサポートと言い切る小川氏の言葉に偽りはなく、入社1年前後のデザイナー2人がこの環境に大きな安心感を持って仕事に臨み、実力を遺憾なく発揮していることが伺い知れた。

ゲーム業界におけるゲーム運営ビジネスは急速に発展している。しかし同社の成長の勢いはそのビジネスの優位性だけに留まらない。ゲームクリエイターを育てる。社員1人ひとりの成長と発達が事業を成功に導く。たし算ではなくかけ算の「人重視」の方針こそが同社急成長の推進力と言えるのだ。

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