デザインの力で事業課題を解決し、ビジネスの成長にコミットする ―― セブンデックス 石橋力氏インタビュー
Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.41
第一線で活躍しているクリエイターたちのリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイターたちの熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。
株式会社セブンデックスは、2018年に設立されたデザインコンサルティングファーム。デザインとマーケティングを融合し、価値あるユーザー体験を提供している。また、定量と定性の両情報を用いたグロースハック支援で、クライアントに寄り添い、事業成長にコミットしたデザインを提供できることも大きな強み。その高いデザインクオリティで2019年、2020年にはGood Design Awardを受賞している。
そんな同社で働くスタッフが常に掲げている思い、そして社内に根づく文化とはどういったものなのか。UIデザイナーとして新たなキャリアをスタートさせた石橋力氏に話を伺った。
プロフィール紹介
株式会社セブンデックス UIデザイナー
石橋 力氏
大学卒業後、ベンチャー企業にてさまざまな媒体のデザインワークを経験。マルチなデザイン実績を持つ。
ユーザー視点のものづくりを大事にしながら、ビジネスを成長させることをミッションに掲げるセブンデックスのビジョンに共感し、2021年2月、UIデザイナーとして入社。大手クライアント案件から社内の組織構築まで、幅広く手がけている。
ユーザーに「価値」を、ビジネスに「成長」を
―― セブンデックスに入社した経緯を教えてください。
石橋氏:前職は、ファッションレンタルサービスを展開しているベンチャー企業に新卒で入社して、3年ほどデザイナーとして勤めていました。スタートアップだったので、その会社にまつわるものは何でもデザインしていましたね。たとえば、レンタル用の洋服を利用者に送るための梱包材のデザインもしましたし、初めてサービスを利用する方に向けた説明書を紙版とWeb版でそれぞれ制作したり、ECサイトやアプリの画面などをデザインしたりすることも。特に何かの専門デザイナーということもなく、あらゆるものをデザインしていました。
セブンデックスを知ったのは、日頃、利用していたビジネス系SNSでスカウトが送られてきたのがきっかけです。改めて会社の取り組みについて話を聞いたところ、共感し、興味を持ちました。
一般的に、ユーザーから見た使いやすさと、ビジネスサイドの要求はぶつかってしまい、しかも、往々にしてビジネス側に寄ってしまいがちです。しかし、セブンデックスは、ユーザー視点のものづくりを大切にしつつ、ビジネスの成長にもコミットするという両方のバランスを追求していました。このスタンスが、大学で学んだ人間中心設計(HCD:Human Centered Design)の考え方や、前職での経験を通じて形成されていった理想のデザイナー像とすごく重なり、この会社で働きたいと思ったのです。
また、セブンデックスがスタートアップのフェーズだったことにも魅力を感じました。個人的に、デザインだけでなく、デザインチームをつくり上げることも経験したかったからです。理想のデザイナーを目指せて、チームビルディングも経験できる、その両方の環境がここにはあると思いました。
―― 若手のデザイナーの中には、知見が得られる大手企業を志向する方も少なくありません。前職も含め、石橋さんがベンチャー企業を選んだのはどうしてですか?
石橋氏:大手企業になるとどうしても組織が大きくなり、WebはWebデザイナー、紙はエディトリアルデザイナーと分業になってしまいます。もちろん大手企業だからこそ得られる経験や知見はあると思いますが、自分の場合は、何かのデザインを専門に担当したいわけではありません。何をつくるにしても、最終的に見た人、使った人がどういう感情をいだくのか、どういう経験をするのかが大事だと思います。そこまで含めて提供するためには、ひとつに絞らず、さまざまなものをつくれる必要があると考え、いろいろ経験できるベンチャーを選びました。
密で熱いコミュニケーションは、リモートでも変わらない
―― ご入社されてから、まだあまり日が経っていませんが、チームメンバーや社内の雰囲気はいかがでしょうか?
石橋氏:チームのメンバーがみんなデザイン思考を持っていて共感できることや、さまざまなチャレンジに取り組めることはイメージ通りでした。想像以上だったのは、社内の熱量です。取り組んでいるクリエイティブのレベルが非常に高いうえに、ビジネスにもコミットするため、高いハードルも妥協しません。まるで学生時代の部活や文化祭前夜のような感覚です。入社前から、スタートアップ企業ならそのような熱量は多少あるだろうと思っていましたが、予想を超えていました(笑)。
また、メンバーの情報感度がとても高く、情報収集とシェアが日常的に行われています。何かよいデザインを発見した人がいると、ビジネスチャットツールでぽんぽん飛んできますし、自然とインプットできる環境だと思います。
―― ご入社時はコロナ禍の影響もあり、リモートワークが導入されていたかと存じます。部署内のコミュニケーションに支障や問題はありませんでしたか?
石橋氏:不安はありましたが、なんとかなったという感じです。実は、緊急事態宣言が開けるまでフルリモートでした。入社前に会社訪問した1日を除いて、直接メンバーに会う機会がまったくなかったのです。ただ、業務的にはコミュニケーションが必須なため、ビジネスチャットツールや、バーチャルオフィスツールなどで、密にやりとりしていたため、孤立することはなかったですね。
業務の性質上、とにかくコミュニケーションを大事にしている会社です。リモートに切り替わる際には、コミュニケーションを担保する機会がほしいという声が社内から挙がっていたそうで、プロジェクト内では毎日朝会が実施されていました。また、ほかのプロジェクトのメンバーも含め5人ほどランダムで集め、オンラインで一緒に昼食をとるシャッフルランチもありました。このように交流の場をいろいろと設け、コミュニケーションの機会を減らさない工夫が見られました。
個人的には、人とコミュニケーションするのが好きなほうなので、趣味のゲームの話題を持ちかけるなど、積極的にメンバーとは関わっていたので、自然と馴染んでいったような気がします。
プロダクトへのこだわりが、毎回「過去最高」を更新する
―― 現在は、どのようなお仕事を担当されていますか?
石橋氏:当社には、PMを兼任するUXデザイナーと、UIデザイナーというポジションがあり、私はUIデザイナーとしてプロジェクトに携わっています。これらの職種は会社によって定義が違うと思いますが、自分の解釈としては、ユーザーに何を届け、どんな価値を提供すれば嬉しくなるのか、かつ、そのサービスやプロダクトを提供する企業がどうすれば収益を上げられるのかを設計するのがUXデザイナー。それを受けて、見映えやわかりやすさなど、どのようなデザイン設計であればいいのか考えるのがUIデザイナーだと思っています。
今は、自分の携わっているプロジェクト自体がまだ動き出して間もないため、市場のニーズを探るためのリサーチを企画する段階です。誰にどのようなリサーチをすればいいのか、得られた結果からどのような課題を抽出し、解決すればいいのか、そのようなことをUXデザイナーと一緒に考えながら進めています。実際のプロダクトへの落とし込みは、これからですね。
―― リサーチでは、具体的にどのようなことを?
石橋氏:今回の方法としては、インタビューです。調査したい対象に、質問を用意し、回答から得られるものからデザインを構想していきます。このプロジェクトでは導入しませんが、エスノグラフィー調査といって、調査対象者のコミュニティの中に入れてもらい、実際に行動をともにして観察したり、ヒアリングを行うこともあります。社会人が働いている環境で使うプロダクトやサービスなら、働いている様子を近いところで見させてもらうという感じです。
―― ユーザーと言葉を交わすところから、すでにデザインは始まっているのですね。ほかに、UIデザイナーとして、どんなことを大切にしながら仕事に臨んでいますか?
石橋氏:会社の行動指針の中にある「これでいいじゃなくて、これがいい」という言葉が、私は好きです。自分のプロジェクトで手がけたプロダクトやサービスが、自分自身はもちろん、プロジェクトに関わったすべての人にとっても誇れるものにしたい。毎回、過去最高傑作を更新する気持ちで臨んでいます。
また、UIデザイナーとして自身のクリエイティビティを伸ばし続けるため、プライベートでも知人とデザイン活動を続けています。その活動を通じて、新規プロジェクトを立ち上げる経験を積み、新しいデザイン思考の実験にもチャレンジしています。
―― デザインのほかにチームビルディングにも関わりたいということでしたが、そちらも何か取り組んでいらっしゃいますか?
石橋氏:プロジェクトごとにデザイナーが分かれているのですが、チームとして強くするにはどうしたらいいか、そのチームビルディングや設計を試みています。たとえば、会社の目標に紐付いてチームの目標はどうあるべきか。チームの目標に対して、各個人がどういうアクションを起こし、成長しながら達成していくのか。それをどう測っていくのか、というようなことを考えています。厳密には違いますが、目標の達成度合いを数値化して管理するOKR指標のようなものをつくろうとしている、とイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。
組織のカルチャーを作るやりがいも、スタートアップならでは
―― 今後セブンデックスで挑戦したいことをお聞かせください。
石橋氏:前職では、表層的な部分をデザインする仕事が比重として大きかったので、UXや設計についての知見やスキルはまだまだこれからです。そこを伸ばしていきたいと考えています。また、よいものをつくるには個人では限界があり、よい組織が必要です。そのため、組織をつくること、そのような組織を生む文化をつくることにも挑戦していきたいですね。
―― 最後に、転職を考えている方へメッセージをお願いします。
石橋氏:スタートアップというフェーズで、文化をつくることに少なからず興味がある方は、今3期目のセブンデックスはぴったりの環境です。まさに会社としての基盤をつくっているところで、実際このフェーズに携われるチャンスはなかなかないと思います。また、当社はクライアントワークが中心ですが、俗にいう“ザ・クライアントワーク”みたいなものもあれば、クライアントと長期的にパートナーシップを組んで事業会社のデザイナーのように働く仕事もあります。そのような意味で、デザイナーとして幅広い経験を積めるのも魅力です。キャリアの可能性を広げたい方、ぜひ一緒に働きましょう。
インタビューを終えて
セブンデックスでは、石橋氏のように職種を越境して事業課題の解決に取り組む人材が多く活躍している。「全員で会社を創る」カルチャーがあり、年齢の垣根なく互いにリスペクトし合えるメンバーが、高い熱量で主体的に働ける組織だ。現在、採用活動も積極的に行なっているため、「UIデザイナーとして圧倒的に成長したい」「いい会社に入るのではなく、いい会社を作りたい」という方、石橋氏も語る部活のような熱量のある環境が、あなたの理想の追求を後押しするだろう。