たった一枚のカットがチャンスを開くことも。転職活動で私が感じたポートフォリオの大切さ ―― 又吉真菜さん(23歳・女性)
プロフィール紹介
又吉真菜さん
2DCGデザイナー(ゲーム背景画イラスト)
ゲームデザインの専門学校を卒業後、ゲーム・遊戯機映像制作会社で2DCGデザイナーとして2年間勤務。自身のスキルを高め、ソーシャルゲームの背景画のイラストに取り組みたいと考えて、大手ソーシャルゲームメーカーに転職。
ゲームとの出会いはFFX。背景画がつくり出す世界観に衝撃を受けて
―― この度はインタビューにご協力いただきありがとうございます。最初に又吉さんがゲームクリエイターを目指したきっかけを教えていただけますか?
又吉さん:ゲームづくりができる人になりたいと思ったのは中学時代に初めてやったゲーム、FF X(ファイナルファンタジーX)の影響が大きいです。私は小さなころから絵を描くのが好きで、特に風景画が得意でした。それまで漠然と将来絵の仕事ができたらと思っていたのですが、FF Xで初めて見たゲームの背景画の臨場感、世界感にもの凄く衝撃を受けたんです。私もこんなふうにゲームの背景画をつくりたい。そう思って芸術高校に入り、ゲームデザインの専門学校へ進学しました。
―― 専門学校でゲームデザインの基本的なスキルを身に付けたんですね。
又吉さん:いまは背景画に取り組んでいますが、専門学校ではキャラクターやUIなど、2Dグラフィックを中心に幅広くゲームデザインについて学びました。実習の課題や自主制作した作品もありましたので、就職活動の時にはポートフォリオを準備していました。就職活動でのポートフォリオの考え方や作り方も学校で指導してくれていました。
―― それで前職のゲームと遊戯機の映像をつくる会社に入社されたのですね。2DCGデザイナーとしてどんな業務に取り組まれたのでしょうか。
又吉さん:ソーシャルゲームのステージマップやビデオスロットの背景、UIデザインの制作に取り組んでいました。社内企画でのコンセプトアートの制作なども2Dデザインを中心に担当しました。2年間という短い間でしたが、ゲームづくりに実際に接して、とても良い経験をさせていただけたと思います。本格的に背景画のイラストをやりたいという気持ちになったのもここでの経験があったからだと思います。
―― 転職しようと思ったきっかけは何ですか?
又吉さん:以前の会社はソーシャルゲームの制作も行っていましたが、スロットなどの遊戯機の映像制作の会社でもありました。私は中学時代からの思いもあって、ゲームづくりをやりたかったのですが、その会社の仕事が遊戯機中心の仕事へシフトしていき、ゲームの背景画の仕事が減っていったのが転職に気持ちが傾いた理由です。私は2DCGデザイナーとしてもっと仕事がしたかったのですが、その仕事自体が少なかったんです。もっと多くの仕事が経験できて学べる環境で仕事がしたいと思いました。
私の転職における最大の目的は、自分自身が成長できる環境を獲得すること
―― 転職の目的はどんなところに設定されましたか?転職活動の方法についても教えてください。
又吉さん:私が転職先としてターゲットにしたのはやはりゲーム業界でした。新卒時にマイナビを使っていたこともあり、ゲーム業界に強いマイナビクリエイターを利用して転職しようと考えたのも私にとって自然な流れでしたね。マイナビクリエイターのサイトで『MATCHBOX』を見つけて、早速ポートフォリオづくりに取りかかったのです。
私は背景画のイラストに取り組める会社を探して、マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーさんに相談しながら、他の転職サイトからも情報収集していました。とは言え、私の2DCGデザイナーのキャリアはまだ2年といったところで、決して高いスキルを持っているわけではありません。どこでも即戦力で雇ってもらえるというわけにはいかないことはわかっていました。それでも、チャレンジしたい仕事を諦めるわけにはいきません。私は妥協することなく、背景画を中心とした2Dデザインで仕事ができることと、自分のスキルが向上でき、学べる環境であることを軸に転職活動を進めました。書類審査で落ちてしまった会社や面接まで進んだ会社と色々ありましたが、最終的にいまの会社に採用されることができました。
―― 採用された会社にはどんな魅力を感じて応募されたのですか?
又吉さん:実は応募する前からよくその会社のことを知っていたというわけではないんです。マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーさんから紹介があって、応募するにあたってその会社がリリースしているゲームタイトルについて調べてみたんです。ソーシャルゲームで知られる大手企業でしたが、調べるまでもなく名前を知っていたメジャーなタイトルもあり、知れば知るほどその会社に関心が湧きました。特にあるゲームタイトルの背景画には目を奪われる思いでした。多彩な表現、繊細な作り込み、私がぜひ身に付け、いつか自分でも描きたい背景画の技術がそこにありました。このタイトルを世に送り出す会社で働けたなら自分も成長できる。そう思ってその会社に応募しました。
―― 又吉さんが採用に至った理由はどんなところにあったと思いますか?
又吉さん:結果から言うと「縁があった」というしかないですね。今回の採用は私に十分なスキルがあったからではなく、私の成長性を見込んでの採用でした。他のゲームメーカーも並行して応募していましたが、スキルが足りないという理由で採用に至らない会社がいくつかありました。今回採用に至った会社では、即活躍できるスキルの高いイラストレーターを採用しようというのではなく、私のような成長過程にあるイラストレーターを採用して育てようという方針があったのです。私が転職活動を行っていた時に、この会社がポテンシャル採用を行っていた。これはまさにタイミングの問題で、私にとってありがたい縁がつながったとしか思えません。その会社と縁がつながった理由。何を隠そう私が応募のために用意したポートフォリオにあったんです。
ポートフォリオ制作にかけたのはわずか1時間。あれこれ考えて悩むより、まずは形にすることが大切
―― 又吉さんは今回の転職でどのようなポートフォリオをつくったのですか?
又吉さん:就職活動時に専門学校でもよく指導されていましたので、転職でのポートフォリオの重要性は強く感じていました。それでも私にとってポートフォリオをつくるのはとても気が重い仕事でした。少しでも良いものをと考えると悩むばかりでいつまでも完成しない。実際就職活動の時につくったポートフォリオは、作品の配置やデザインを考えるだけで何ヶ月もかかったんです。転職はしたい。でもポートフォリオづくりからは逃げたい。そんなジレンマから解放してくれたのが『MATCHBOX』でした。
マイナビクリエイターのサイトで情報収集しているとWeb上でポートフォリオを作成できる『MATCHBOX』を見つけました。他のポートフォリオ作成サービスと比べて良いなと思ったのは、Web上でポートフォリオを見せることと、PDFできれいに紙に印刷することの両方ができることです。それと仕上ったポートフォリオのデザイン性の高さが凄いと思いました。素材の配置や背景色、使用フォントなどが本当によく考えられていて、色んな作品にマッチします。見本となっている他のクリエイターの公開ポートフォリオが私のポートフォリオづくりのヒントになりました。載せる作品は既に決まっていたので、私も早速『MATCHBOX』でポートフォリオつくろうと、作業することわずか1時間。今回応募する企業に提出するためのポートフォリオをつくることができました。
―― 書類選考や面接ではポートフォリオはどんなふうに使いましたか?
又吉さん:Webで見てもらえるので、応募書類の中でもURLを伝えてありましたが、やはり本番は面接で紙のポートフォリオを実際に見せることでした。面接をしていただいたのは人事担当者、現場責任者、制作部門のトップの3名の方だったと聞いています。私のキャリアではどうしても緊張してしまう相手でしたが、とても話しやすい雰囲気をつくっていただけたので落ち着いて話すことができました。「この作品はどれくらいの時間がかかったの?」「苦労したところはどこでしたか?」と作品ごとに色々と質問していただき、それに答えることでポートフォリオについて上手くプレゼンすることができました。作品の選択や配置は自分なりに工夫していて、解説も見本のポートフォリオを参考にシンプルにまとめました。『MATCHBOX』のお陰で、面接でポートフォリオを見せる時にどう見せて何を話すべきかを自分でイメージできていたのが良かったと思います。
転職活動の際、又吉さんが、実際に印刷して使用していたポートフォリオ(MATCHBOXで作成)
オファー面談で伝えられた「背景画の1枚にあなたの成長性を感じることができました」の言葉から思うこと
―― 面接で又吉さん自身はその会社についてどう感じましたか?その後の採用の連絡はどんなふうに来たのですか?
又吉さん:面接の中で背景画の責任者にあたる方がその会社でゲームづくりをすることが本当に楽しいとおっしゃっていたので、経験を積んだゲームクリエイターがそんなふうに感じる会社で私も働きたいと思いました。
一つ印象に残った質問があって、「どこでも通用するようなとても実力のあるイラストレーターの力が10だとしたら、あなたのいまの力はどれくらいですか?」と聞かれたんです。謙遜すればいいのか、自信を見せればいいのか、私は少し悩みましたが、「2〜3ぐらいではないでしょうか」と、結局自分の思うところを正直に答えました。
結果の連絡は面接の翌日の朝にあり、採用とのこと。私はマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーさんと相談して、すぐにその会社で働くことを決めました。
―― 採用となった理由について会社から何か話がありましたか?
又吉さん:採用連絡の後オファー面談があって、ポートフォリオの中にあった背景画の1枚にあなたの成長性を強く感じ採用に至ったのだと言っていただきました。また私が転職によってスキルアップを目指している姿勢と、私自身が自分の実力はまだこれからだと認識していることに期待できると判断したのだそうです。
成長性を感じると評価していただいた背景画は、ポートフォリオの中で決して目立つ場所に配置した作品ではありませんでした。しかし、思えば前職でもその後メインで背景画を描かせてもらえるきっかけとなった作品で、私自身の思い入れもありました。もしかしたらこの1枚をポートフォリオに入れようと思えたことが私の転職が成功した大きなポイントだったのかも知れません。もしあれこれ悩みすぎてポートフォリオをつくる事ができていなかったら、私はこのチャンスを掴むことができなかったと思います。
―― 最後に転職活動を無事に成功させた又吉さんからこれから転職しようと考えている人にアドバイスをお願いします。
又吉さん:ここまでお話しした通り、私が希望した会社に採用された理由は何も私のスキルが高かったからではありません。たった1枚の背景画がつないでくれた小さな縁があったからです。私は今回の転職でクリエイターにとってポートフォリオがどれだけ大切かを改めて感じることができました。私自身この会社に採用されるまで書類審査や面接で落とされた会社がいくつもあり、その度に自信をなくし、落ち込みました。でも「自分はスキルが足りないから転職できない」とは考えたくなかったんです。その会社がどんな人材を求めているかは募集要項だけではなかなかわかりません。ポートフォリオや面接で企業に自分を見せることで思わぬチャンスが生まれるのです。思い悩むよりも一歩踏み出すこと。それが転職成功への一番の近道ではないでしょうか。
担当のキャリアアドバイザーからひと言
又吉さんは、初めてお会いしたときからエネルギッシュで、仕事へのプロ意識、向上心を強く感じさせる方でした。 現職でも、ゲームの背景デザインを担当していらっしゃいましたが、詳しくお話を伺うと、若いうちからより成長できる環境に身を置いて、技術力を高い水準まで持っていきたい、という強い意志を感じました。そして、何より背景を描くことが本当に楽しいと話す又吉さんが印象的で、私も必ず期待に応えなくてはならない、と強い使命感を抱いたことを覚えています。
又吉さんにとって、初めての転職活動ではありましたが、弊社のポートフォリオ作成ツール『MATCHBOX』を活用して、時間をかけずに、これまでの実績をアピールするには十分な、まとまりのあるポートフォリオを作成いただけた結果が、今回の転職成功へと繋がったのだと思います。
又吉さんでしたら新天地にて縦横無尽の活躍をしていただけると確信しております。今後の更なるご活躍を期待しています!