Webディレクターに有効な資格18選 - 体系的な学習は大きなプラスに
(2022.10.18更新)
目次
- 01. Web検定 Webリテラシー
- 02. Web検定 Webディレクション
- 03. ITパスポート試験
- 04. ネットショップ実務士
- 05. Webクリエイター能力認定試験
- 06. Web検定 Webデザイン
- 07. ウェブデザイン技能検定
- 08. ネットマーケティング検定
- 09. Google広告の認定資格
- 10. マーケティング・ビジネス実務検定
- 11. Webライティング能力検定
- 12. Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)
- 13. Webアナリスト検定
- 14. 初級ウェブ解析士/上級ウェブ解析士
- 15. 経営学修士(MBA)
- 16. 個人情報保護士認定試験
- 17. ビジネス著作権検定
- 18. ビジネス実務法務検定試験
資格取得自体に意味はない - 重要なのは資格取得に向けた体系的な学習
「Webディレクターとしてキャリアアップをするために資格は必要ですか?」現場でバリバリと働いているWebディレクターにそう尋ねると、ほとんどの人が「資格は必要ない」と答えるでしょう。むしろ、「資格なんて何の役にも立たない」という意見のほうが多いかもしれません。
確かに、「Webディレクターになるために必要な資格」というものは存在しません。また、猛スピードで進化をし続けるWebの世界では、現場で培った経験や最新技術に対する知見、そしてそれをビジネスに活かせる創造性が重要視される傾向があります。「必要ない」「何の役にも立たない」という回答は、あながち間違ってはいないでしょう。
ではなぜ今回、Webディレクターにまつわる資格を紹介していくのかというと、資格自体には意味はなくても、資格取得に向けた勉強には決して無視できないメリットがあるからです。Webディレクターが資格取得に向けて勉強をするメリットは、大きく以下の3つに分類できます。
Webディレクターが資格取得に向けて勉強するメリット
- Webディレクター未経験の人が、Webディレクターという仕事の概観をとらえることができる
- Webディレクターとしての汎用的な知識・スキルを体系的に学び、整理することができる
- Webディレクション業務を行う上で、接する人々とのコミュニケーションを円滑にすることができる
1番目のメリット「Webディレクター未経験の人が、Webディレクターという仕事の概観をとらえることができる」に関しては、誰もが異存のないところでしょう。学生の就職や異業種からの転職で、初めてWebディレクションという仕事に携わるのであれば、基本的な知識を習得するために、資格を取っておいて損になることはありません。
ただし、資格取得によって得られる、知識やスキルは働きながらでも身に付くものです。より重要なのは、2番目、3番目に挙げた「Webディレクターとしての汎用的な知識・スキルを体系的に学び、整理することができる」「Webディレクション業務を行う上で、接する人々とのコミュニケーションを円滑にすることができる」です。
前述したように、現場での経験や最新情報に対する自学自習が重要視されるWebディレクターなのですが、そこには大きなリスクが隠れていることに自覚的でなければなりません。それは、自分が持っている知識やスキルは個別具体的なものであり、他の分野、企業では通用しない可能性があるということです。
たとえばECサイトのWebディレクターをしている人がいたとします。ECサイトを運営する目的は売上を伸ばすことですから、Webディレクターが身に付けるべき知識やスキルは、CVRを高める方法、より多くの集客をする方法におのずと偏ってしまいます。そのため、ユーザーとのコミュニケーション、ブランディングといった、他のWebディレクション分野に関する知識・スキルがすっぽりと抜け落ちてしまう可能性が少なからずあるのです。日常的に行っているワークフローも、もしかして自分が在籍する会社でしか通用しないものであるかもしれません。
また、Webディレクターは多種多様な職種の人間と、密接なコミュニケーションを取らなければならない職業でもあります。Webデザイナー、フロントエンド・バックエンドのエンジニアはもとより、場合によっては企業の広報・PR担当、経営者とのやり取りが発生するケースもあるでしょう。そこで役に立つのが、各職種の入門的な資格です。それぞれの職種の専門用語や基礎知識を知っているだけで、指示やスケジューリングが的確に行えるようになります。また、相手のバックグラウンドを知り、相手の立場で会話ができるようになれば、コミュニケーションが飛躍的にスムーズになるでしょう。特に、Webデザイン、HTMLコーディングに関する資格取得のために勉強することは、Webディレクターにとって大きなプラスになるはずです。
以下では、Webディレクターが取得しておくとメリットの大きい18種類の資格を、「Webディレクション関連」「制作・Webデザイン関連」「マーケティング関連」「アクセス解析関連」「ビジネス全般・その他」に分類して紹介していきます。資格ごとに、資格取得を通じて得られる知識やスキル、そのメリットも解説していきますので、自分が現在、保有している知識・スキルと照らし合わせながらチェックしていきましょう。
Webディレクション関連の資格
ここで紹介する資格では、Webそのものの基本的な知識のほか、プロジェクトマネジメントやマーケティングなど、Webディレクターに必要なリテラシーを幅広く学習することが可能です。自己流のディレクションが染み付いてしまっている人、1つの会社にしか在籍しておらず、汎用的なディレクションの方法論を知らない人などは、資格取得のための公式テキストだけでも読んでみるといいでしょう。
01. Web検定 Webリテラシー
- 運営:株式会社ボーンデジタル
- 受験料:11,000円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:90分間
- 出題数:85問
- 合格基準:正答率70%以上
02. Web検定 Webディレクション
- 運営:株式会社ボーンデジタル
- 受験料:11,000円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:90分間
- 出題数:65問
- 合格基準:正答率70%以上
03. ITパスポート試験
Webディレクターという職種に就いていると、どうしても目の前の制作実務や運用ばかりに集中してしまいます。しかし、Webサイト自体は、企業の経営戦略の中で利用されるマーケティングツールの1つに過ぎないことがほとんどです。WebプロデューサーやIT企業の上位レイヤーへとステップアップしていくためには、Webサイトそのものだけでなく、IoTやITといった情報技術と企業経営の関係を俯瞰して眺められる視野の広さが必要です。ビジネスパーソンとしての弱さを実感しているWebディレクターならば、すぐにでも勉強してみたい資格の1つといえます。
- 国家資格
- 受験料:7,500円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:120分間
- 出題数:100問
- 合格基準:総合評価点1,000点満点中600点以上、分野別評価点(ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系)各1,000点満点中300点以上
04. ネットショップ実務士
- 運営:一般財団法人ネットショップ能力認定機構
- 受験料:レベル1は7,000円(税込)、レベル2は7,500円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:各80分
- 出題数:各70問
- 合格基準:正答率各70%以上(評価カテゴリーごとに正答率50%以上)
制作・Webデザイン関連の資格
制作・Webデザイン関連の資格取得は、自身のスキルアップのほかにマークアップエンジニアやWebデザイナーとのコミュニケーションを円滑にするというメリットがあります。「ワイヤーフレームやUI設計が苦手」「イメージどおりにデザインが上がってこない」などという悩みを抱えている方は、チャレンジしてみるといいでしょう。
05. Webクリエイター能力認定試験
「簡単なコーディングの知識はあるので、より実践的なスキルを身に付けたい」という人は、同資格の「エキスパート」編や、「HTML5プロフェッショナル認定資格(レベル1)」「PHP技術者認定試験」を受験してみてもいいでしょう。制作サイドの知識・スキルがさらに深いものになるはずです。
- 運営:株式会社サーティファイ
- 受験料:5,900円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:70分(Webページ作成ソフト使用の場合は60分)
- 出題数:1テーマ
- 合格基準:得点率65%以上
06. Web検定 Webデザイン
(正式名称:社団法人全日本能率連盟登録資格 Web検定 Webデザイナー)
- 運営:株式会社ボーンデジタル
- 受験料:11,000円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:90分
- 出題数:65問
- 合格基準:正答率70%以上
07. ウェブデザイン技能検定
- 運営:特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会
- 受験料:学科は6,000円、実技は8,000円(25歳以上)または3,000円(25歳未満)(非課税)
※試験実施年度の4月1日において25歳未満の方は実技試験の受検手数料が減免となります。 - 受験資格:Webの作成や運営に関する業務に従事している者及び従事しようとしている者
- 試験時間:105分
- 合格基準:学科100点満点中70点以上/実技100点満点中70点以上(ただし、試験要項に示す各作業分類において配点の60%以上の得点を得ること)
マーケティング関連の資格
Webマーケティングに関するリテラシーの高さは、Webディレクターとして生き抜くための命綱のようなものです。最新の手法、技術を知り、活用できることは最低限のスキルといえます。しかし、最新情報を追うあまり、基本的なマーケティング理論がおろそかになっているWebディレクターも多いようです。ベースとなるマーケティング理論を知ることは、最新のWebマーケティング手法に対する理解を深めてくれるほか、より有効な活用法を示唆してくれることもあります。積極的に学んでおきたい分野といえるでしょう。
08. ネットマーケティング検定
実践的な技術を身に付けることはできませんが、ベースになる知識を必要十分にフォローしていますので、自分の能力を試したい人、知識の整理をしたい人には最適な資格といえるかもしれません。また、「知的財産権」「不正アクセス禁止法」「個人情報保護法」といった関連法規に関しても学習することができます。
- 運営:株式会社サーティファイ
- 受験料:6,000円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:80分
- 出題数:40問
- 合格基準:得点率70%以上
09. Google広告の認定資格
Googleが提供するリスティング広告やディスプレイ広告といったプロモーション手法に関するスキルアップにつながるため、ECサイトやリード(見込み顧客)獲得を目的としたサイトの運用担当者であれば、ぜひ取得しておきたいところです。受験料は無料で、学習に必要なガイドはすべてWeb上に用意されていますので、積極的にチャレンジしてみましょう。
- 運営:Google
- 受験料:無料
- 科目:
- 検索広告認定資格
- ディスプレイ広告認定資格
- アプリ広告認定資格
- 動画広告認定資格
- ショッピング広告認定資格
- 測定認定資格
- クリエイティブ認定資格
- オフライン販売促進認定資格
- 受験資格:Googleアカウントを所有していること
- 試験時間:各項目75分
- 出題数:各項目50問前後
- 合格基準:正答率80%以上
10. マーケティング・ビジネス実務検定
Webディレクターにとって本格的なマーケティング理論はあまりなじみがないものかもしれません。しかし、新サイト・新事業の企画・設計にマーケティングは欠かせないものです。Webプロデューサーのような上位レイヤーへのステップアップを目指すなら、ぜひ学習しておきましょう。まずは、基礎レベルのC級から始め、応用編のB級へとレベルアップしていくことをおすすめします。
- 運営:国際実務マーケティング協会
- 受験料:B級は7,480円(税込)、C級は6,270円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:B級は2時間45分、C級は2時間15分
- 出題数:B級は75問、C級は72問
- 合格基準:B級は300点満点中210点が基準、C級は200点満点中160点が基準
11. Webライティング能力検定
- 運営:一般社団法人日本WEBライティング協会
- 受験料:13,500円(税込、合格証の付与、テキスト費用を含む)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:90分
- 合格基準:80〜88点で1級、70〜79点で2級、53〜69点で3級(88点満点中)
※1〜3級の等級は、同じ問題を受けていただき、その点数に応じて高い順に1、2、3級か認定されます。
アクセス解析関連の資格
以下で紹介するアクセス解析関連の資格は、サイトの改善が主要業務となる事業会社(自社サービス運営会社)のWebディレクターにとっては特に重要です。アクセス解析から得られるデータをいかにサイト改善に結び付けるかが自身の実績に直結しますので、率先して学習・受験をすることをおすすめします。
12. Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)
- 運営:Google
- 受験料:無料
- 受験資格:Googleアカウントを所有していること
- 試験時間:90分
- 出題数:70問
- 合格基準:正答率80%以上
13. Webアナリスト検定
- 運営:日本Web協会(JWA)
- 受験料:22,325円(税込、受講料、試験代)※別途公式テキストの購入が必要
- 受験資格:特になし
- 試験時間:80分
- 合格基準:75%以上の正答率且つ、各分野40%以上の正答率
※受験料の表記は一例です。講座を受講せずに試験だけを受けることも可能です。
14. 初級ウェブ解析士/上級ウェブ解析士
Webディレクターとしての力をより発揮したいなら、「上級ウェブ解析士」までチャレンジしたいところです。上級に求められる知識やスキルはKPI設計、マーケティング戦略の立案、業務設計といったより実践的なものになっています。オンラインを活用したライブ授業やオンライン講座への参加、課題提出などが必要になるためハードルが高いのですが、時間が取れる人はぜひ挑戦してみてください。
- 運営:一般社団法人ウェブ解析士協会
- 受験料:初級ウェブ解析士は17,600円(税込)、上級ウェブ解析士は88,000円(税込、受講料含む)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:各60分
- 出題数:初級ウェブ解析士は60問、上級ウェブ解析士は非公開
- 合格基準:非公開
ビジネス全般・その他の資格
Webディレクターに必要な知識は、Webサイトにまつわるものだけではありません。新サイトや新規事業を立案するためには、経営学の知識も必要です。クライアントと適切な契約を結ぶためには、法務に関するリテラシーも求められます。以下では、一流のビジネスパーソンとしてさまざまな人物、ケースに対応するために役立つ資格を紹介します。
15. 経営学修士(MBA)
「経営学修士(MBA)」は、組織マネジメントや財務、マーケティングに関して体系的に学び、その知識をハイレベルで修めた経営学を専攻・卒業した者や、大学院修士課程で経営学を専攻・卒業した者に与えられます。欧米ではビジネススクールを卒業すると取得できるのが一般的です。
取得には、入学試験の突破や通学、定期的な課題提出、論文作成などが必要になるケースが多く、社会人が取得するにはハードルが高いものがあります。しかし、Webディレクターがキャリアアップするためには、Webサイトをビジネスとしてとらえるセンスが非常に重要です。時間と意欲があるのであれば、積極的にチャレンジする価値はあるでしょう。ざっくばらんに言うと「持っているだけで箔が付く」資格でもあります。
16. 個人情報保護士認定試験
個人情報保護士の資格取得に向けて勉強すると、個人情報保護法の基本から、個人情報の管理手法、組織のマネジメントまで、幅広く習得することが可能です。個人情報の管理に失敗すると、その企業は社会的にも経営的にも大きなダメージを被ることになります。もし、自分が所属する企業が個人情報の扱いに関して無頓着なのであれば、みずからが率先して取得するべき資格といえます。
- 運営:一般財団法人全日本情報学習振興協会
- 受験料:11,000円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:150分
- 出題数:100問
- 合格基準:課題I、課題IIそれぞれにおいて正答率70%以上
17. ビジネス著作権検定
- 運営:株式会社サーティファイ
- 受験料:初級は5,100円(税込)、上級は8,000円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:初級は60分、上級は90分
- 出題数:初級は30問、上級は40問
- 合格基準:初級は得点率65%以上、上級は得点率70%以上
著作権や守秘義務、引用などに関することは、ポートフォリオの記事の「ポートフォリオ作成で注意すべき著作権と守秘義務の基礎知識 」でも紹介しています。ぜひご覧ください。
18. ビジネス実務法務検定試験
- 運営:東京商工会議所
- 受験料:5,500円(税込)
- 受験資格:特になし
- 試験時間:90分
- 合格基準:100点満点中70点以上
まとめ
今回は、Webディレクターとしてステップアップするために有効な資格を、18種類紹介しました。興味の持てる資格は見つかったでしょうか?冒頭で述べたように、Webディレクターにとって資格を保有することは重要ではありません。資格取得のための過程として、多様な知識を幅広く吸収することが大切なのです。もし、自分に足りない知識やスキルが見つかったのであれば、積極的に学習・受験をしてみてください。