Webディレクターとして成功するために20代で実践すべきこと
目次
下積みから抜擢人事・転職・起業まで - 幅広い可能性を秘める20代Webディレクターのキャリア
クリエイター職は、元々将来のキャリアプランを立てづらい職種ですが、中でもWebディレクターにはその傾向が顕著です。なぜなら、年齢・職歴とポジション・年収の関連性が薄いからです。
一般的には、新卒や第二新卒でWeb関連の会社に入社し、スタッフ層として300〜400万円台の年収で20代を過ごす人が多いのですが、中には20代前半で抜擢人事によって複数のメンバーを率いていたり、事業責任者になっていたりするケースもあります。そうなると年収は600〜800万円というレベルになっているかもしれません。ちなみに転職サービスDODAの2016年統計調査によると、20代のWebプロデューサー/Webディレクターの平均年収は356万円となっています。
Webプロデューサー / Webディレクターの平均年収
そのほか、Webディレクションのスキルや新たなビジネスアイディアを武器に、独立・起業を果たす人も珍しくありません。しかも、フリーランスや経営者となった人が、再度、企業に戻ってくる例も多々見られます。スキルや志向、実績次第で、年齢や職歴に関係なく、実に多彩なキャリアを構築できる。それが、Webディレクターという職種なのです。
Webディレクターに想定されるキャリアパス
自分の市場価値は?スキルは足りている?20代のWebディレクターがキャリアに対して抱える悩みを知る
スキルや志向、実績次第で多彩な広がりを見せるWebディレクターのキャリア。その中で20代のWebディレクターは、キャリアについてどのような悩みを抱いているのでしょうか。何を考え、何をすべきかを検討するまえに、現実に直面する課題について見ていきましょう。
下の図は、マイナビクリエイターの転職支援サービスを利用した20代のWebディレクターの多くが挙げるキャリアに関する悩み。「そうそう!」と思わずうなずいてしまうものが多いはずです。
20代のWebディレクターが抱える代表的なキャリアの悩み
事業形態別に見ていくと、制作会社で働くWebディレクターからは、「会社の現状や将来に不安を感じる」という声をよく聞きます。経営状態とワークライフバランスを総合的に判断して、その会社で長く働き、理想的なキャリアを構築できるかという点に不安を抱くようです。また、マネジメントや運用、つまり組織として利益を生み出していくためのスキルを得られないことが、自身のキャリアにとってマイナスに働くのではという懸念があるようです。一方、事業会社系のWebディレクターは、Webサイトの制作に関するスキル・知識不足に危機感を覚えていることがわかります。
多様な可能性を秘めている一方で、明確なキャリアパスのないWebディレクターという職種において、「自分がどのレベルにいるのか」「自分のスキルが足りないのではないか」「この会社にいていいのか」と、強く不安を抱いているのが20代のWebディレクターの姿といえそうです。
幅広い知識・スキルの獲得とプラスアルファのチャレンジが必要 - 20代のWebディレクターが今すぐに考え実践すべきこと
20代の全Webディレクターがキャリアアップのためにすべきこと
Webディレクターと一口にいっても、所属している企業の形態が「制作会社」なのか「広告代理店」なのか「事業会社」なのかで、担当する業務は大きく異なります。また、Webディレクターが担当すべき業務は非常に幅広く、本当に必要なスキルがなんなのか、はっきりとしないという側面もあるでしょう。 とはいえ、20代のWebディレクターに共通する、キャリアアップのための指針は存在します。それを「20代の今こそやるべきこと」「20代のうちから30代のステップに向けた準備」「20代のうちに体験しておくと良いチャレンジ」の3つに分類しました。
20代の今こそやるべきこと
- 制作(コーディング、デザイン、ライティング)スキルの獲得
- コミュニケーションスキルの獲得
- マーケティング知識の獲得
- ビジネス一般の知識の獲得
20代のWebディレクターがキャリアアップをしていくために、まず実践すべきなのは、「20代の今こそやるべきこと」です。20代はWebディレクターとしても社会人としても、初心者という立ち位置が通用します。Webサイトやビジネスにかかわる基礎的なスキル・知識を広範囲にわたって身に付けるチャンスなのです。
特に重要なのが「制作(コーディング、デザイン、ライティング)スキルの獲得」です。Webディレクターは、各分野のスペシャリストに指示を出しながら、Webサイトの制作・運用のかじ取りをするのが仕事です。エンジニアやデザイナー、ライターなどと円滑にコミュニケーションを取れなければ、役割を果たすことができません。「勉強中です」という立場が利用できる20代のうちに、HTML、CSS、JavaScriptといったフロントエンド言語や、UI・UX、色彩、コピーライティングに関する基礎的な知識は必ず身に付けておきましょう。
注意が必要なのは「ビジネス一般の知識の獲得」に関することです。20代のような若手のWebディレクターに対しては、「クリエイターだから、ビジネス知識が低くても仕方がない」と考える風潮があります。これは、Webディレクター本人も周囲の人も同様です。しかし30代になると、ビジネス知識の欠如は致命的な欠陥として見られることがあるのです。新聞やニュースを毎日チェックする習慣やビジネスマナーは、20代のうちに身に付けておくことをおすすめします。
20代のうちから30代のステップに向けた準備
- 改善提案と実施
- 数値実績へコミット
- 外部折衝への積極的参加
- 外部セミナー、社外交流会などへの積極的参加
続いて取り組みたいのが「30代のステップに向けた準備」に分類した事項です。ここにはおもに、提案や実績に対するコミット、外部とのコミュニケーションに関するものが並んでいます。20代、特に前半のうちは、上司や先輩からの指示どおりにWebサイトを制作・運用するのがWebディレクターのおもな仕事といえるでしょう。
しかし30代になると、みずから改善提案を行い、その結果にコミットできないWebディレクターや、クライアント・外部パートナーとの折衝ができないWebディレクターは、「能力不足」の烙印を押されてしまいます。20代後半になると、改善提案や外部折衝ができるチャンスが増えていくはずなので、積極的に取り組んでいきたいところです。
20代のうちに体験しておくと良いチャレンジ
- 小規模プロジェクトのマネジメント
- 小規模プロジェクトの提案(失敗してもよい)
- 後輩の教育・マネジメント
「20代のうちに体験しておくと良いチャレンジ」として挙げたのは、体験しておくと30代になったときにメリットが大きい業務です。一言でいうと、プロジェクトと人材のマネジメントがこれにあたります。小規模でも構わないので、企画提案から予算策定、人員配置、スケジュール立案といった上流工程を20代で体験しておくことが大切です。
30代になるとプロジェクトのスムーズな遂行は必須業務となりますが、20代のうちなら、進行が滞って「炎上」してしまっても、先輩・上司が助けてくれたり、最終的には笑い話で済んだりするケースがほとんどです。プロジェクトマネジメントができる機会を自分で作り、チャレンジする姿勢を持ってください。必ず将来の糧になります。
業種・志向別キャリアアップのための注力ポイント
続いて、「制作会社・広告代理店」「事業会社」「企業・独立」の3種類に分けて、業種や志向別に、20代のWebディレクターが注力したいポイントとその理由を紹介していきます。
制作会社・広告代理店でのキャリアアップを目指すなら
注力ポイント
制作会社・広告代理店でのキャリアアップを目指すなら、制作・デザインに関する知識・スキルを徹底的に学ぶことが大切です。HTML、CSS、JavaScriptのようなフロントエンド言語は、簡単なWebサイトを自分でコーディングできるレベルまで勉強しておきます。Photoshop、Illustrator、Dreamweaverといった制作・デザイン系のツールも、最低限使いこなせるようになっておくといいでしょう。
また、制作・デザインの最新トレンドを確実に押さえ、そのメリット・デメリットを説明できる水準で理解しておくことも重要です。サーバーサイドの基礎的な知識を身に付けられれば、さらにいいでしょう。
理由
制作会社・広告代理店のWebディレクターとしてキャリアアップをするためには、「Webサイトを作る」「クライアントと折衝する」という、2つの主要業務のクオリティを上げていく必要があります。そこで非常に役に立つのが、Webサイトの制作・デザインに関する知識とスキルです。
エンジニアやデザイナーへの指示やコミュニケーションが円滑になるほか、クライアントからのオーダーに対してスケジュールや予算を含めて、的確な回答ができるようになります。Webサイトの制作において、どのような技術があり、何にどの程度の工数がかかるのかを体感的に知っておくことで、「御用聞きディレクター」から脱却することができるのです。
事業会社でのキャリアアップを目指すなら
注力ポイント
事業会社でのキャリアアップを目指すなら、改善提案の質の向上に取り組みたいところです。このとき重要になるのは、第一に提案内容を論理的に説明できることです。「かっこいいから」「他社がやっているから」「セミナーで聞いたから」といったあいまいな理由ではなく、「今なぜその施策を実施すべきなのか」「その施策によってどのような効果が期待できるのか」という点を論理的に整理して、ドキュメントにまとめられるスキルを磨きましょう。
さらに、改善提案はPDCAサイクルに乗せることを前提にしてください。仮説とKPIを的確に設定し、効果測定ののちにさらなる改善提案につなげる思考を持つことが大切です。
理由
事業会社のWebディレクターの最大のミッションは、サービスをグロースさせることです。年齢やポジションが上がると、数値へのコミットを強く求められるようになります。また、部下を持つようなポジションになると、自分自身で施策提案・実施をしながら、部下のマネジメントをしなければならず、業務量は増大する一方です。
そこで大きな武器になるのが、効率的に成果が上がるスキームを作る能力です。20代のうちに論理的思考で改善提案を行い、PDCAを回せるようになっておけば、確実且つスピーディに成果を上げることが可能になります。
独立・起業を目指すなら
注力ポイント
独立・起業を目指す20代のWebディレクターが注力すべきポイントは、外部とのコミュニケーションとマーケットの深い理解です。
セミナーや異業種交流会などには積極的に参加し、幅広い人脈を構築しておきましょう。セミナーや異業種交流会では、メインのイベント後に懇親会が用意されているケースが多々あります。アルコールを交えた場では、非公式な情報が共有されることも多く、人脈づくりだけではなく情報収集にも非常に役立ちます。 もちろん、WebサービスやWebマーケティング、テクノロジーの分野で何がトレンドになっているのか、どのようなプレイヤーが存在するのかは、新聞やニュースを通じて、しっかり追っていきましょう。
理由
独立してフリーランスになるにしても、起業して新たなビジネスを起こすにしても、絶対に必要になるのは売上です。そして、売上を増やすために必要なのが、情報と人脈になります。フリーランスの場合は「人脈=売上」になるケースがほとんどです。また、自分一人では受注できないような案件も、他の企業やフリーランスの人間と組むことで受注できることがあります。人脈が広くて損をすることはありませんので、貪欲に求めるといいでしょう。
起業を目指すなら、人脈づくりに加えて、マーケットの深い理解が必須となります。例えば、新しいサービスを始めるために起業したとしても、先行するプレイヤーがいたり、技術的に古いものだったりすると、経営に大きなリスクを抱えることになります。そもそも事業として成立しないかもしれません。マーケットの成長性や競合プレイヤーを把握し、リスク判断ができるレベルでの情報収集が必要なのです。
業務上で実践できない場合は、自分でWebサイトを運営してみよう
ここまで見てきたように、20代のWebディレクターが実践すべき行動や獲得すべきスキルは非常に多岐にわたります。これらのスキルは、担当業務をこなしながら獲得できるのが一番なのですが、そうとも限らないのが現状です。
そこでおすすめなのが、自分でWebサイトを企画・運営してみることです。趣味の範囲でかまいません。一からWebサイトを制作・運用してみることで、コーディングやデザインのスキル・知識はもちろん、アクセス解析、改善提案に関するスキルが自然と身に付いていきます。
転職市場で求められている20代のWebディレクターとは
転職市場において20代のWebディレクターに求められるスキル・経験
- Word、Excel、PowerPointが使いこなせること
- コミュニケーション能力が高いこと
- 能動的な行動によって事業貢献をした経験があること
- 自分が何がしたいかはっきりしていること
- Web業界やテクノロジーに関するアンテナと情報収集力が高いこと
- 成果にコミットした経験があること、コミット力が強いこと
「Officeソフトの活用スキル」や「コミュニケーション能力」に関しては、他のどの職種にも求められる点であり、深く解説しませんでしたが、それ以外の4点に関しては、表現方法は異なるものの、ここまで紹介してきた内容とぴったりリンクするはずです。
「Webディレクターとしてキャリアアップする」ということは、「Webディレクターとしての普遍的な市場価値を高めること」とイコールとなります。そのため、転職時にも有利に働くのです。ここで紹介してきた内容を念頭に置き、自身のWebディレクターとしてのキャリアパスを再確認してみてください。