バックエンドエンジニアは「やめとけ」と言われる理由は?仕事のメリットや向いている人の特徴も
バックエンドエンジニアは、Webアプリやシステムの裏側を設計・開発するエンジニアです。表からは見えにくいものの、サービスを支える基盤として欠かせない役割を担っています。
その専門性の高さから憧れる人も多い職種ですが、一方でバックエンドエンジニアは「やめとけ」と言われることもあります。なぜそのように言われるのか、気になる方も多いでしょう。
本記事では、その理由を解説するとともに、バックエンドエンジニアならではの魅力や向いている人の特徴についても紹介します。転職やキャリアチェンジを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
バックエンドエンジニアはやめておいたほうがいい職種なのか
バックエンドエンジニアは「やめとけ」と言われることもありますが、実際には職場環境と自分の適性によって働きやすさは大きく変わります。
快適に働くためには、まず職場環境の見極めが欠かせません。たとえば以下のような環境は注意が必要です。
- オンコール手当がない
- コードレビューやテストがほとんど行われていない
- 技術負債を解消する計画や予算がない
加えて、自分の適性を理解することも重要です。継続的に学ぶことを楽しめる人、時間外対応にも柔軟に向き合える人、問題解決に粘り強く取り組める人は、この仕事に向いていると言えます。
無理なく長く働くためには、候補となる職場の働き方や開発体制をよく調べ、自分が重視する条件を整理しておくことが大切です。そうすることで、自分に合った環境を選びやすくなるでしょう。
バックエンドエンジニアは「やめとけ」と言われる主な理由5つ
ここではなぜバックエンドエンジニアは「やめとけ」と言われるのか、その理由と合わせて、それぞれの状況にどう向き合えばよいかを紹介します。
理由 1広範な知識が必要
バックエンドエンジニアは、サーバーやデータベース、プログラミング言語、API設計など幅広い知識が求められます。さらに、クラウドサービスやフレームワーク、新しいライブラリを学び続ける必要もあります。
こうした業務の広さや学習量の多さから「覚えることが多く大変」「技術の進化に追いつくのが大変」という理由で、「やめとけ」と言われることがあります。
これらの課題に対しては、優先順位をつけて学ぶことや業務で実践しながら経験値に変えること、学習の補助として技術書や講座、勉強会を活用することが有効です。こうした工夫を積み重ねることで、無理なく知識やスキルを身に付け、実務での判断力や問題解決力も高められるでしょう。
理由 2根幹を扱う責任の重さ
バックエンドエンジニアの仕事は、ユーザーからは見えにくいものの、サービスの基盤を構築し安定して稼働させる重要な役割を担います。そのため、仕事には慎重さが求められ、責任の重さから強いプレッシャーやストレスを感じることも少なくありません。
こうした状況に向き合うには、問題やミスを1人で抱え込まず、チームで相談したりレビューを活用したりすることで負担を分散できます。さらに、達成感ややりがいを意識して小さな成功体験を積み重ねることで、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。
このように工夫しながら仕事に取り組むことで、責任の重さを感じつつも、サービスを支えている実感とやりがいを得ながら働くことができます。
理由 3障害対応・オンコール負荷
バックエンドエンジニアは、システムを安定稼働させるために、夜間や休日など通常の勤務時間外でも障害対応(オンコール)を行うことがあります。
障害対応が頻繁に発生する職場では生活リズムが乱れやすく、心身の疲労が蓄積することがあります。さらに、手当が十分でない場合は、モチベーション低下や不満の原因にもなり得るでしょう。
こうした負担に向き合うには、オンコール体制や報酬が整っている職場を選ぶこと、障害を減らす仕組みや運用ルールが整備されている環境で働くことが重要です。適切な環境を選ぶことで、負担を軽減しつつ安心して業務に取り組むことができます。
理由 4納期・仕様変更の圧
バックエンド開発の現場では、タイトな納期や頻繁な仕様変更に対応することが求められることが多くあります。突発的な問題への対応や、要件が途中で大幅に変更されることもあり、当初の計画通りに作業を進めるのが難しい場合も少なくありません。その結果、これまでの作業が無駄になることもあり、長時間労働や精神的なストレスに繋がることがあります。
こうした状況に向き合うには、職場の開発体制や進め方を事前に確認すること、自己管理能力を高め、ストレスに強くなる工夫をすることが効果的です。タスクの優先順位を整理したり、問題発生時にはチームで相談したりすることで、負担を軽減しながら働くことができます。
理由 5技術負債・レガシー改善
古く複雑なコードや設計などの技術負債が放置されている職場では、業務をスムーズに進めるのが難しくなりがちです。改善にはチーム内や他部署との合意形成が必要なことも多く、その調整が負担になる場合もあります。その結果、技術負債を解消できずエンジニアの負担が増えることがあります。
この問題に向き合うには、まずチームで現状の課題を共有し、改善の優先順位を明確にすることが重要です。そのうえで、段階的な改善計画を策定し、経営層や他部署も巻き込みながら進めることで、徐々に技術負債を減らし、エンジニアの負担を軽減できます。
バックエンドエンジニアは「やめとけ」を払拭するメリット
バックエンドエンジニアは「やめとけ」と言われることもありますが、他の仕事では得難い大きなメリットもたくさんあります。
メリット 1需要と年収レンジが高い
バックエンドエンジニアには転職市場で高い市場価値があり、安定した需要があります。特にクラウド環境の普及や大規模分散システム、セキュリティ対策のニーズが高まる中、バックエンドエンジニアの需要は今後もさらに増加していくと予想され、将来性の高い職種と言えます。
また、年収レンジも他職種と比べて高い傾向にあります。バックエンド領域のエンジニアの平均年収は600万円前後と言われています。日本全体の平均年収は約460万円となっており、これと比較するとバックエンドエンジニアの収入が高水準にあることがわかります。
出典:Webエンジニアの仕事とは - 仕事内容・年収・スキル・キャリアについて知る 、 国税庁令和5年分 民間給与実態統計調査
メリット 2転用可能な基盤スキル
バックエンド開発で身に付くスキルは、単なるプログラミングだけでなく、データベース設計、API設計、システムのアーキテクチャ設計、パフォーマンス改善やトラブルシューティングなど、多岐にわたります。これらのスキルは、Web開発、クラウド運用、データエンジニアリングなど、ほかのIT分野でも活かせるでしょう。
そのため、バックエンドエンジニアはキャリアチェンジや専門分野の拡大がしやすく、バックエンド開発のスキルはエンジニアとしての市場価値を高める大きな武器になります。加えて、システム全体を俯瞰して設計・改善できる能力は、プロジェクトマネジメントや技術リーダーとしての役割にも直結します。こうしたスキルを持つことで、変化の激しいIT業界でも柔軟に対応し、長期的に安定したキャリアを築くことが可能です。
メリット 3キャリアパスも安定している
バックエンドエンジニアは、習得したスキルを活かして多様なキャリアに進めるため、長期的に安定した成長が期待できます。業務で身に付く知識や経験は、他のIT職種でも評価されやすく、キャリアの選択肢を広げる強みになるでしょう。
具体的には以下のようなキャリアパスが考えられます。
- シニアエンジニア
- チームリーダー
- アーキテクト
- マネージャー
- DevOpsエンジニア・インフラエンジニア
- プロダクトマネージャー
- データエンジニア
- セキュリティスペシャリスト
- AIエンジニア
このように、バックエンドの技術を土台にすれば、専門性を深めつつ別分野にも挑戦でき、幅広いフィールドで活躍できます。
メリット 4事業への貢献度が高い
バックエンドエンジニアは、サービスの基盤やシステムを設計・運用する役割を担います。そのため、自分が作った機能や携わった改善が直接サービスの品質向上やユーザー体験の向上、さらに売上や収益増加に直結します。
たとえば、レスポンスの速い検索機能や安定した決済システムを構築することで、ユーザー満足度が向上し、利用者数や売上の増加に繋がります。また、障害を未然に防ぐ設計や効率的なデータ管理の仕組みを作ることで、運営コストの削減にも貢献できます。
このように、バックエンドエンジニアの仕事は目に見えにくい部分でも、事業成長に直接影響を与える重要な役割であり、高いやりがいを得やすい職種です。
バックエンドエンジニアに向いている人
バックエンドエンジニアには、次のような特徴を持つ人が向いています。
向いている人 1論理的思考力と問題解決能力に優れている
バックエンドエンジニアは複雑なシステムを扱うため、論理的に考え、問題を正確に解決できる力が重要です。特に次のような能力を持つ人は、高品質なシステムを構築するのに向いています。
- 複雑なシステム設計やアルゴリズムを筋道立てて考えられる
- 原因と結果の関係を正確に把握し、エラーやバグの根本原因を追求できる
- データの流れや処理の順序を整理し、最適な実装方法を導き出せる
- 「なぜそうなるのか」と本質を問い、深く考察できる
論理的思考と実行力を兼ね備えた人は、バックエンドエンジニアに適しています。
向いている人 2目に見えない部分を設計・構築することに喜びを感じる
バックエンドエンジニアは、システムの基盤を作り、サービスの安定運用を支える役割を担います。そのため、以下のようにユーザーには見えない部分の設計や構築にやりがいを感じられる人に向いています。
- ユーザーに直接見えないバックエンドの仕組みづくりにやりがいを感じる
- 表面的な華やかさよりも、システムの信頼性や堅牢性を重視できる
- インフラやデータベース設計など、土台となる部分に興味がある
- 「縁の下の力持ち」として貢献することに満足感を得られる
目立たない部分でも「自分がサービスを支えている」という自負を持ち、裏方の仕事に喜びを感じられる人はバックエンドエンジニアとしての素質があるでしょう。
向いている人 3細部へのこだわりと品質に対する強い責任感がある
バックエンドエンジニアは、システムの信頼性と品質を支える役割を担うため、以下のように細部に注意を払い、強い責任感を持つ人に向いています。
- セキュリティリスクやパフォーマンスの問題など、潜在的な課題に敏感である
- 例外的な状況(エッジケース)も想定した堅牢な実装を心がける
- 単に「動けばいい」ではなく、保守性や拡張性を考慮したコードを書く姿勢がある
- システム全体の安定性に責任を持ち、トラブル発生時も冷静に対応できる精神力がある
小さな違和感や疑問にもていねいに向き合い、手を抜かず責任を持って対応できる人は、バックエンドエンジニアに適しています。
よくある質問
最後にバックエンドエンジニアについてよくある質問をまとめました。
Q.1バックエンドエンジニアのスキルはどのような順番で勉強すればいいのでしょうか?
おすすめの学習順は以下の通りです。
- コンピュータサイエンス(CS)の基礎
- プログラミング言語(Java / Go / Python など)
- Web開発・REST API
- データベース(DB)の設計と操作
- テスト手法
- セキュリティの基本
- Linux / クラウド環境
- Dockerなどのコンテナ技術
基礎となるコンピュータサイエンスから順に学ぶことで、技術同士の繋がりや関連性を体系的に理解しやすくなります。続いて、言語やWeb開発の学習を通して実践的なスキルを身に付け、その後にデータベースやテスト、セキュリティ、運用環境まで学ぶことで、効率的にバックエンド開発の全体像を習得できます。
Q.2バックエンドエンジニアの求人の見極め方はありますか?
バックエンドエンジニアの求人を見極めるには、技術面と勤務面の両方からチェックすることが重要です。ただし、求人情報だけですべてを判断することは難しいため、面接やカジュアル面談で具体的な内容を確認することが大切です。
技術面の指標
| 指標 | 意味 | 判断するためのポイント |
|---|---|---|
| デプロイ頻度・失敗率・ロールバック手順 | システムの更新が安全かつスムーズに行えるか | 求人に「デプロイ体制」や「障害対応」の記載があるか確認。面談で具体的な頻度や失敗時の対応を聞く。 |
| コードレビュー・テストの比率 | チームの品質管理の仕組み | 「レビューあり」「テスト自動化」の記載があるか。面談でどの程度レビューされるか確認。 |
| オンコール頻度と手当 | 夜間や休日の緊急対応の負担 | 求人にオンコールの有無が明記されているか。面談で頻度や補償について聞く。 |
| SLO(サービスレベル目標)の有無 | サービスの安定性をどの程度重視しているか | 求人では触れられないことが多い。面談で運用方針を聞いて判断する。 |
| 技術負債への投資枠 | 古いコードや仕組みを改善する余裕があるか | 求人では明示されないことが多い。面談で改善事例やリファクタリングの方針を確認。 |
勤務面の指標
| 指標 | 意味 | 判断するためのポイント |
|---|---|---|
| 平均残業時間 | 日常的な働きやすさ | 求人に平均残業時間の記載があるか。面談で実態を確認。 |
| 深夜・休日対応実績 | 緊急対応の負担度 | 求人に具体的な頻度がない場合は、面談で実例を聞く。 |
| 裁量と育成体制 | 自分のスキルやキャリアの伸ばしやすさ | 求人で「裁量あり」「研修あり」と書かれているか。面談で具体的な裁量範囲や育成方法を聞く。 |
| 学習・研修の体制 | 新しい技術習得や成長機会 | 求人で制度が書かれていなくても、面談で勉強会や資格支援の有無を確認。 |
バックエンドエンジニアへの転職をマイナビクリエイターがお手伝い
バックエンドエンジニアには、「1論理的思考力と問題解決能力に優れている2目に見えない部分を設計・構築することに喜びを感じる3細部へのこだわりと品質に対する強い責任感がある」の3つの特徴を備えた方が向いています。
バックエンドエンジニアとして長く活躍するためには、オンコール対応が過度でなく、技術負債への取り組みが進んでおり、チーム内のコミュニケーションや開発プロセスが整っている職場を見つけることが大切ですが、そういった環境は見つけづらいものです。
マイナビクリエイターでは、エンジニア業界に精通した専任のキャリアアドバイザーが、あなたの希望やキャリアビジョンをていねいにヒアリングし、最適な職場探しをサポートいたします。