バックエンドエンジニアとは?フロントエンドエンジニアとの違い、仕事内容、スキルを解説!
Web業界で活躍するエンジニア職の1つである「バックエンドエンジニア」。WebサイトやWebサービスの開発・構築・運用において重要な役割を担い、サービスの安定稼働と快適なユーザー体験を支える、縁の下の力持ちです。
この記事では、バックエンドエンジニアの仕事内容や求められるスキル、向いている人の特徴などについて詳しく解説していきます。
目次
バックエンドエンジニアとは
バックエンドエンジニアとは、WebサイトやWebサービスを稼働させるために必要な、データのやり取りや、保存、処理などのシステムを担当するエンジニアです。
具体的には、Webサイトを表示するための各種ファイルを格納するWebサーバー、商品やユーザーの情報を保存・管理するデータベース、安全に通信するためのセキュリティシステムなどがあります。これらの構築や管理・運用を一貫して行うエンジニアが「バックエンドエンジニア」または「サーバーサイドエンジニア」と呼ばれています。
なお、個別のシステムを担当するエンジニアは、担当する範囲に応じて「サーバーエンジニア」「データベースエンジニア」「セキュリティエンジニア」などと呼ばれます。
フロントエンドエンジニアとの違い
バックエンドエンジニアとフロントエンドエンジニアの違いは、WebサイトやWebサービスを作るうえでどの部分を担当するかの違いです。
バックエンドエンジニアがユーザーからは見えない裏側の仕組み(バックエンド)の設計や開発を担当するのに対し、フロントエンドエンジニアはユーザーが直接目にしたり触ったりするインターフェース(フロントエンド)、たとえば、ボタンや入力フォーム、メニューや画面遷移といった、サイトの動きや見た目の部分を担当します。
バックエンドエンジニアの仕事内容とは
バックエンドエンジニアが担当する仕事は、システムの企画・設計から、サーバーの構築、プログラムの開発と実装、保守・運用まで、非常に多岐にわたります。
なお、バックエンドエンジニアが担当する業務の範囲は、会社や案件によっても異なります。規模の大きいプロジェクトであれば、サーバーエンジニア、データベースエンジニア、セキュリティエンジニアなどがそれぞれの専門分野を担当しますが、小規模の案件であればバックエンドの領域に関わるすべての業務を1人のバックエンドエンジニアが担当する場合もあります。
ここでは、バックエンドエンジニアの主な5つの仕事内容について解説します。
1要件定義
クライアント案件であれば顧客の要望、社内の案件であれば担当のWebプロデューサーやWebディレクターによる企画や要望をもとに、必要となる機能や設定などを定義します。
要件定義は通常システムエンジニアなど、より上流工程の職種が担当します。しかし、バックエンドエンジニアが現場のノウハウを生かしてシステムエンジニアからの問い合わせに回答したり、要件定義の打ち合わせに参加したりするケースもあります。
2サーバー設計・構築
要件定義をもとに、WebサイトやWebサービスに必要なファイルやプログラムの置き場所となるサーバーを設計します。設計をもとにサーバーの購入や契約、各種設定を行い、稼働できる状態にします。
サーバーの設計・構築を行うためには、ハードウェアとしてのサーバーそのものや、AWSなどのクラウドサーバー、ミドルウェアと呼ばれるサーバーOSに関する知識のほか、フロントエンドとのスムーズな連携のために、フロントエンジニアリングの知識も求められます。
3データベース設計・構築
データベースとは、ECサイトの商品情報やユーザー情報など、WebサイトやWebサービスの運用に必要となる大量の情報を一定のルールに従って管理・保存し、必要なときに情報の参照や抽出ができるようにする仕組みです。データベースの置き場所となるデータベースサーバーの設計・構築や、データベース自体の設計・開発も、バックエンドエンジニアの仕事です。
4プログラム開発
バックエンドエンジニアの仕事として代表的なものが、サーバーサイドのプログラム開発です。PHPやJava、Rubyなどの言語を使って、Webページの動的な生成や、Webサービスに必要な機能の実装など、フロントエンドでユーザーが行った操作を適切に処理するためのプログラム開発を行います。
開発したプログラムのテストやデバッグ、本番環境への実装なども、バックエンドエンジニアが担当します。
5保守・運用
構築したシステムが安定して稼働するように、保守・運用を行うのも、バックエンドエンジニアの仕事です。システム障害などに対する調査や復旧作業を行ったり、システムの課題に対して継続的な改善を行ったりもします。
自分が開発を担当したシステムだけでなく、ほかの人が開発した既存のWebサイトやWebサービスの保守・運用を引き継ぐケースもあります。
バックエンドエンジニアに求められるスキル
バックエンドエンジニアには、バックエンド領域に関する幅広い知識やスキルが求められます。以下のスキルセットをカバーしたうえで、いずれかの領域で高い専門性を発揮できるとよいでしょう。
プログラミング言語とフレームワークの習熟
バックエンドエンジニアとしてプログラム開発を行うには、Java、Python、PHP、Ruby、Go、C#などのサーバーサイド言語を深く理解する必要があります。会社や案件によって使用言語は異なりますが、少なくとも1〜2種類の言語について実務レベルで使いこなせるだけの専門性を磨き、ほかの言語についても基礎知識は身に付けておきましょう。
また、効率的な開発を行うために、近年ではとくに開発フレームワークに関するスキルも重視されています。開発フレームワークに関する基本的な知識を持ち、Spring Boot、Django、Laravel、Ruby on Rails、Express.jsなどの中から、自分が専門とする開発言語に応じたフレームワークを使いこなせるスキルをつけておきましょう。
データベース設計・管理・最適化
バックエンドエンジニアは、MySQL、PostgreSQLといったリレーショナルデータベースの設計・運用スキルに長けていることが求められます。また、近年ではとくに、MongoDB、Redis、DynamoDBなど、NoSQLと総称される最新のデータベース技術への対応も重視されています。
データベースを操作する言語であるSQLを深く理解して効果的なクエリを設定し、データベースの処理速度を向上するパフォーマンスチューニングができることも必要です。また、データをシンプルで保守しやすい状態に保つためには、データモデリングや正規化についての理解も求められます。
API設計と開発
API(Application Programming Interface)とは、異なるソフトウェア同士がデータをやり取りするための決まりごとやインターフェースです。身近なところでは、WebサービスにGoogleアカウントでログインできるようにする仕組みなども、APIの一例です。
APIの設計や開発を行うためには、一般的なAPIアーキテクチャスタイルであるRESTful APIやGraphQLの設計原則を理解し、実装技術を身に付ける必要があります。また、APIを不正なアクセスから守るログイン認証など、セキュリティ対策の実装スキルや、細かく分かれた機能(サービス)をAPIで繋ぐマイクロサービスアーキテクチャの理解、APIの文書化やバージョン管理のスキルなども求められます。
インフラストラクチャとクラウド技術
サーバー構築のためには、インフラストラクチャとクラウドに関する知識や技術も必要です。かつてはサーバーなどのハードウェアを自社内に設置して管理・運用するオンプレミスが中心でしたが、昨今はクラウドサーバーの利用が一般的になっています。AWS、Azure、GCなどのクラウドサービスについて理解し、活用できることは、バックサイドエンジニアに必須の条件と言えます。
また、DockerやKubernetesなど、サーバー上でアプリケーションの動作環境を仮想構築するコンテナに関する実践的知識、プログラム開発から本番公開までのプロセスを効率化するCI/CDパイプラインの構築と自動化に関する知識、Terraform、CloudFormationといったInfrastructure as Code(IaC)の知識も求められます。
セキュリティとパフォーマンスの最適化
データ保護や暗号化に関するスキルがあり、WebサイトやWebサービスに実装できることはもちろん、日々更新されるセキュリティ関連情報へのキャッチアップも重要です。Webアプリケーションのセキュリティリスクについて専門家がまとめたレポートOWASP Top 10などをチェックし、しっかり理解しておきましょう。
また、将来的な拡張可能を考慮したアーキテクチャ設計ができるスキル、サービスの動作スピードを低下させるパフォーマンスボトルネックの特定・解消ができるスキルも求められます。
バックエンドエンジニアに向いている人の特徴
バックエンドエンジニアはWebサイトやWebサービスを構築するうえで重要な役割を果たし、最新の技術や知識をキャッチアップするために勉強し続けることが求められます。
そんなバックエンドエンジニアに向いているのはどのような人なのでしょうか。主な特徴を3つご紹介します。
1論理的思考力と問題解決能力に優れている
バックエンドエンジニアには「なぜそうなるのか」という本質的な疑問を持ち、深く掘り下げて考察できる人が向いています。
バックエンドのシステムを構築するには、求められる成果に向けてシステムを設計し、さまざまな問題を解決しながら構築・実装しなければなりません。そこで必要となるのは論理的な思考力と、高い問題解決能力です。
バックエンドエンジニアは複雑なシステム設計やアルゴリズムを筋道立てて考えることができるのはもちろん、エラーやバグの原因と結果を的確に把握し、根本原因を追求し、問題解決することが求められます。さらに、データの流れや処理の順序を体系的に整理し、最適な実装方法を見出す力も必要です。
2目に見えない部分を設計・構築することに喜びを感じる
表舞台に出ることのない地味な仕事であっても、「縁の下の力持ち」的な役割に満足感を得られる性格の人は、バックエンドエンジニアに向いています。
バックエンドエンジニアが手がける仕事はユーザーからは直接見えませんが、サービスの土台を支える大切な役割です。表面的な華やかさよりも、インフラストラクチャやデータベース設計など、システムの信頼性や堅牢性を左右する部分を守ることに、価値や喜びを感じられる人が求められています。
3細部へのこだわりと品質に対する強い責任感がある
システム全体の安定性に強い責任感を持ち、トラブル発生時も冷静に対応できる精神力のある人はバックエンドエンジニアに向いています。
将来にわたって安定稼働するシステムを作るには、仕様通りの動作を実現するだけではなく、保守性や拡張性を考慮したコードを書く姿勢が大切です。セキュリティリスクやパフォーマンスボトルネックなど、潜在的な問題を敏感に察知し、エッジケース(例外的な状況)も想定した堅牢な実装ができる人は、優秀なバックエンドエンジニアになれるでしょう。
よくある質問
最後に、バックエンドエンジニア希望者からよくある質問と、マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーによる回答をご紹介します。
Q.1バックエンドエンジニアになるために最初に学ぶべき言語は何ですか?
最初に学ぶのにおすすめの言語はPythonまたはJavaScriptです。
Pythonは文法がシンプルで比較的習得しやすい言語です。特定の分野に限定されず、WebサービスやWebアプリケーション開発、データ処理・分析など幅広い分野で利用されていて、AI・機械学習にも応用できるため、将来の選択肢が広がります。また、Django、Flaskに代表されるWebフレームワークも充実していて、効率的な開発が可能です。
JavaScriptは、Webブラウザ上で動作するスクリプト言語で、プログラミング初心者でも学習しやすいと言われています。主にフロントエンドで使用されますが、実行環境としてNode.jsを使用することで、サーバー側でもJavaScriptを実行可能になります。Express.jsなど、Node.js上で使用できる初心者に優しいフレームワークも充実していて、効率的なアプリケーション開発が可能です。
Q.2未経験からバックエンドエンジニアになるにはどのようなステップを踏めばいいですか?
独学でプログラミングのスキルを習得し、バックエンドエンジニアとして活躍している人は大勢います。まずは、UdemyやProgateなどのオンライン学習サービス、バックエンドの技術に関する書籍などを利用して、実際にコードを書くトレーニングをしながら体系的な知識を身に付けましょう。
技術に関する最新情報はWeb上で手に入れることができます。QiitaやZennなどのエンジニア向けコミュニティのアカウントを作成し、現役エンジニアのブログなどをチェックして最新情報をキャッチアップしましょう。エラーや疑問点はStackOverflowで解決する習慣をつけるのがおすすめです。
高い将来性が魅力!バックエンドエンジニアを目指そう
バックエンドエンジニアはWebサイトやWebサービスの土台を作り、安定的なサービス提供を維持する、やりがいのある仕事です。日本ではIT人材が慢性的に不足しており、Web業界の中ではとくにフロントエンドと比べてバックエンド人材が足りず、給料も高めに設定される傾向があります。
ここまで見てきたとおり、バックエンドエンジニアとして働くためには、幅広い知識やスキル、そして責任感が求められます。決して簡単な仕事ではありませんが、高い将来性が魅力です。自分に向いていそうだと思った方は、ぜひチャレンジしてみてください。
この記事を書いた人
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