ポートフォリオの表紙に書くことは?転職活動で差がつく表紙の作り方

転職活動においてポートフォリオは、応募する職種に対するあなたの実力や実績を企業の採用担当者に伝える大切なツールです。その表紙は、あなたの第一印象を決める「顔」と言ってもいいでしょう。

この記事では、ポートフォリオの表紙に入れるべき情報や、採用担当者の印象に残るポートフォリオの表紙デザインについて、数多くのクリエイターの転職活動をサポートしてきたキャリアアドバイザーが解説します。

目次

ポートフォリオの表紙の役割

ポートフォリオの表紙は、あなた自身の仕事と向き合う姿勢や、作品の世界観を表現する役割があります。企業の採用担当者は、短い時間で多数のポートフォリオに目を通さなければなりません。そんな中、ポートフォリオの表紙から作り手の個性が感じられなければ印象には残らないでしょう。

ポートフォリオも一つの作品であり、作品に対するクリエイターの熱量があらわれる場所です。表紙、自己紹介、目次、作品紹介などをバラバラに考えて繋ぎあわせればいいというものではなく、起承転結のあるストーリーを持った本のようなものだと考えて、すみずみまで手を抜かずに作りましょう。

紙とWebでの表紙の違い

ポートフォリオは紙に印刷して製本する場合と、Web上で制作する場合がありますが、どちらの場合も表紙の役割は変わりません。Webのポートフォリオの場合、複数ページで構成される場合はトップページ、1ページをスクロールして見せるタイプであればファーストビューの部分が表紙に相当します。

現在の転職活動においてはWebでポートフォリオを提出するケースが増えています。紙のポートフォリオであれば表紙と裏表紙を一続きのデザインにしたり、表紙に特別な紙を使ったり、箔押しなどの加工でインパクトを出したりもできますが、Webの場合は視覚的なデザインがすべてです。作品の世界観が十分に出せるよう、よく考えて作ることをおすすめします。

ポートフォリオの表紙に入れるべき要素

ポートフォリオの表紙は、あまりごちゃごちゃと情報を盛り込まず、シンプルであるに越したことはありません。しかし、情報が少なすぎるのも考えものです。

では、ポートフォリオの表紙にはどのような要素が必要でしょうか。その答えは、多数のポートフォリオに目を通して採用する人材を選ばなければならない、企業の採用担当者の状況を考えるとわかります。ここからは、ポートフォリオの表紙に入れておきたい要素と、その理由について解説します。

Point1

名前

まず入れるべき要素は、「自分の氏名」です。

中には「自分の代表作の画像だけでシンプルな表紙を作りたい」「無地にタイトルだけを載せた表紙にしたい」という人もいるかもしれませんが、転職活動でのポートフォリオにおいては、中面を開かないと誰のものだかわからないというのは採用担当者側にとって非常に不便です。

名前の表記は漢字でもひらがなでもローマ字でも構いません。ただし、デザイン性を優先して極端に読みづらいフォントを使ったり、極端に小さく載せたりするのは避けましょう。自分のシンボルマーク(アイコン)がある人は、名前と一緒に載せてもOKです。

Point2

タイトル

表紙には、タイトルも必ず入れましょう。

紙のポートフォリオを提出する場合も、WebのポートフォリオをURLで共有する場合も、タイトルが入っていなければ「その冊子やWebページが何なのか」がわかりにくくなってしまいます。わかりやすいタイトルを入れるのは、日々大量の情報を扱う採用担当者への配慮でもあります。たとえば紙のポートフォリオにタイトルがないと、ポートフォリオだと気付かれず、ほかの書類やファイルに埋もれてしまうかもしれません。また、Webのポートフォリオにタイトルがなければ、ブラウザ上で開いたタブが何のページだったか忘れられてしまうかもしれません。

タイトルはシンプルに「Portfolio」「Works」「作品集」などで構いません。作品の世界観に合わせてオリジナルのタイトルをつけても問題ありませんが、それがポートフォリオであることが相手に伝わるようなタイトルにしましょう。

Point3

作成時期

表紙には作成時期も入れましょう。ポートフォリオを作成した日付だけを入れるのではなく、掲載されている作品の制作時期もわかるように「2019年~2023年」などと入れるのがおすすめです。

ポートフォリオの中で一つひとつの作品に制作時期を明記するのはもちろんですが、いつ頃からいつ頃までに作成された作品が収録されているのかポートフォリオの表紙でわかるようにすると、見る人に対して親切です。そして、ポートフォリオにはできるだけ最新の実績が入っていた方が好印象です。前に作ったポートフォリオを使いまわすのではなく、提出する機会ごとに更新するようにしましょう。

Point4

職種

表紙には、応募する職種も書いておくと、より親切です。名前と一緒に「Web Designer」「Illustrator」「3DCG Designer」など、職種も明記しましょう。

表紙に職種を入れる理由は、職種によってポートフォリオの作り方が異なり、採用担当者が評価するポイントも変わってくるためです。デザイナーやイラストレーターは作品そのものが評価されますし、プランナーやディレクターはそれぞれのプロジェクトで果たした役割や、企画力などを見られます。

企業は複数の職種を同時に募集している場合もあります。そのため、ポートフォリオを開く前に担当者が「どんな点を見るべきか」心の準備ができるように、表紙に応募職種を書いておくと、少し気の利いた印象になるかもしれません。

ポートフォリオの中にある作品と調和させる

採用担当者の印象に残るポートフォリオの表紙にするには掲載した作品の世界観と調和していることが大切です。表紙が作品の世界観を表していれば、表紙を見た瞬間に中身への期待が高まりますし、中身を見た後にも、表紙を見て「あの作品の入っているポートフォリオだ」と思い出すことができます。

作り方としては、まず掲載する作品を決めたうえで最後に表紙をデザインするパターンと、ポートフォリオのコンセプトと表紙のイメージを固めてから作品を選ぶパターン、両方が考えられます。作品の世界観を見る人に印象付けやすいのは、収録されている作品のなかから最もアピールしたいものを表紙にも掲載することですが、あえて表紙には作品を掲載せず、作品のテーマに関連するような画像や文字などで世界観を表現する方法もあります。

せっかく素敵な作品を掲載しているのに、表紙は何の工夫もなく白地に文字だけだったり、どこかで見たようなデザインテンプレートそのままだったりしては、作品の魅力を伝えるチャンスを逃してしまいます。以下に紹介するポイントも踏まえて、ポートフォリオの表紙で作品の世界観を表現してみてください。

フォントを工夫してみる

ポートフォリオも作品の一つと考えるなら、表紙デザインで使うフォントもこだわって選びましょう。フォントの選び方ひとつからも、作り手の熱量は見る人に伝わるものです。

だからといってプロ向けの高価なフォントを購入する必要はなく、PCのOSやIllustratorなどのデザインソフトに搭載されているベーシックなフォントでも問題ありません。ただし、「このデザインだからこのフォントを選んだ」という理由をもって選ぶことが大切です。たとえば、Mac OSに標準で搭載されているヒラギノフォントは写真やイラストなどのビジュアルとの相性がよく、フォトグラファーやイラストレーターに好まれて使用されています。

デザインの一要素として奇抜なフォントを使用したり、自分でタイトルロゴをデザインしたりする方法もありますが、文字として問題なく「読める」か、そのフォントを選ぶ必然性があるか、ということを必ず意識しましょう。

余白や色味を意識する

見る人の印象に残る表紙にするためには、できるだけシンプルにすることをおすすめします。要素を詰め込まずある程度の余白を確保することで、画像や文字といった要素が引き立ちます。また、基調となる色を明確にして色数を絞り込むことで、よりデザインのテーマを明確に伝えることができます。

ただし、「色数を少なく、余白を生かす」という条件は絶対ではありません。たとえば、カラフルなモチーフを画面いっぱいに描くのが持ち味のイラストレーターであれば、表紙も作品のイメージに合わせて、カラフルで余白の少ないデザインにすることでインパクトを持たせるという方法もあります。

あくまで作品の世界観と表紙が一致していることが大事なので、表紙の背景や文字に使う色も、作品との相性を考えて選びましょう。

ポートフォリオの表紙の例

次に、お手本にしたいポートフォリオの表紙の例をもとに、デザインのポイントについて解説します。Webサイトやアプリ、ゲーム制作など、IT系企業のクリエイター職求人では、現状Webでのポートフォリオ提出が主流になっています。ここではWebポートフォリオの表紙(ファーストビュー)の好例を3つご紹介します。

Aさん(Web業界向け/Webサイトでのポートフォリオ)

とてもメリハリの効いた、インパクトのある表紙です。

Webデザイナーという職種上、クライアントワークを表紙に載せるわけにはいかないため、黒背景に白抜き文字だけで、非常にシンプルに構成されています。画面の幅いっぱいに力強いゴシック体で配置されたタイトルと、その他の要素とのバランスから、作り手の大胆なセンスや個性が伝わってきます。

また、「GROWTH WITH DESIGN」というタイトルと、「本気で楽しみ 全力で挑戦する」というキャッチコピーが、作り手のデザインに対する考え方や、仕事へのポジティブな姿勢を感じさせ、作品への期待を高める効果を発揮しています。

ポイント

  • 白黒の2色のみ、構成要素は文字のみで、インパクトのある画面を構成
  • タイトルとキャッチコピーで仕事への姿勢を表現

Bさん(ゲーム業界向け/PDFでのポートフォリオ)

表紙が目次の役割も果たしており、収録作品についての一覧性が高く内容を把握しやすい点は、転職活動のためのポートフォリオとして、採用担当者への配慮が感じられます。

また、表紙で使われているカラフルな4色は、そのまま中ページのポイント(背景色)にも反映されており、収録作品と表紙を結びつけてくれる効果があります。表紙を見れば、「あの作品が入ったポートフォリオ」といった印象を相手に残すことができるでしょう。

ポイント

  • どんな作品が含まれているか、表紙を見れば一目瞭然
  • ポートフォリオ内の作品の配色が表紙左で表現されており、統一感がある

Cさん(Web業界/PDFでのポートフォリオ)

色、形、文字と、すべてにおいて絶妙なバランスをグラフィカルに落とし込んだ表紙です。黒と黄色の注意をひくカラーリングや有機的な形に重ねた直線など、パッと見たときの印象が強く残る表紙と言えるでしょう。

情報こそ少ないですが、名前、タイトル、職種、収録作品の制作年など、転職活動のためのポートフォリオの表紙として必要な要素はすべて押さえてあります。シンプルなフォントですが、サイズを変えることでメリハリを生み出し、文字だけで華やかな印象を作り上げています。

ポイント

  • 自分の職種が明記されており、採用担当者が評価するポイントが明確になる
  • フォントは統一しているが、サイズを変えることで目に入ってくる情報の優先度をつけている

ポートフォリオの表紙についての質問2選

ポートフォリオの表紙を作成する際に、よく寄せられる質問についてご紹介します。

Q.1表紙の背景などに、無料で配布されている著作権フリー画像を使っても大丈夫?

その素材を表紙に使うことにデザイン上の必然性があれば、問題はありません。

無料の画像を使ったからといって、とくにマイナスな印象に繋がる心配はないでしょう。

ただし、無条件にOKなわけではなく、あくまで使い方によります。たとえば、フリーのイラストを、さも自分の作品かのように表紙に掲載するのはNGです。自分が手がけていない素材を、デザインの一要素ではなくデザインの主役になってしまうような形で利用するのは、やめましょう。

質問は著作権フリーの画像に関するものでしたが、著作権を無視したり、著作権者への配慮に欠けるような画像の扱いをしたりすれば、減点される以前に選考の対象外とみなされます。たとえばWebディレクター職の希望者が、前職で手がけたサイトのトップページ(自分が著作権を持っていないもの)を表紙に大きく載せるのもマナー違反と言えるでしょう。デザイナー職希望の方以外も、著作権には十分注意してください。

Q.2裏表紙もあった方がいい?裏表紙に入れるべき要素は?

裏表紙は必須のものではありませんが、ポートフォリオをひとつの作品と考えるなら手を抜きたくないところです。紙のポートフォリオであれば表紙と裏表紙、あれば背表紙も一体のものとして統一感のあるデザインにするとよいでしょう。

裏表紙は無地でも問題ありません。何か文字要素を入れるのであれば、いつの時点のポートフォリオなのか、作成日を表紙ではなく裏表紙に入れてもいいでしょう。また、裏表紙の見返し部分(内側)に、ポートフォリオを見てくれた人への感謝の言葉や、自分が仕事をするうえで大事にしていること、メールアドレスやSNSアカウントなどの連絡先を載せるという使い方もあります。

Webのポートフォリオで裏表紙に相当するものは、作品を複数ページで見せるタイプのものであれば最後のページ、1ページをスクロールして見せるタイプであれば一番下の部分です。たとえば、ビジネスのプレゼン資料や、セミナー資料などでは、この部分に「ご清聴ありがとうございました」などの感謝の言葉や、連絡先情報が入る場合が多いと思います。見る人のことを考えると、いきなり終わるよりも、「これで終わりです」というワンクッションがあると親切です。

大事にしたいのは、ポートフォリオを通じて採用担当者に自分をどう見せたいかという点です。ポートフォリオの裏表紙や最終ページは、本でいえば「あとがき」や「奥付」にあたると考え、作品の一部として大いに活用しましょう。

ポートフォリオ作成サービスを使ってみる

ポートフォリオは鮮度が命です。古い実績ばかりを掲載したポートフォリオは採用担当者によい印象を与えませんが、ポートフォリオをこまめに更新するのは労力も時間もかかり、印刷や製本をする場合はお金もかかるもの。そこで、ポートフォリオ更新の負荷軽減に役立てたいのが、オンラインで提供されているポートフォリオ作成サービスです。

さまざまなポートフォリオ作成サービスがあるので、自分の作品の雰囲気や、応募先企業の雰囲気にマッチしそうなものを探して使ってみるのもいいでしょう。また、自分でオリジナルのポートフォリオを作成する際に、ポートフォリオ作成サービスの項目や見栄えを参考にするという活用方法もあります。

転職活動用にポートフォリオを作るなら、マイナビクリエイターが提供しているポートフォリオ作成サービス「MATCHBOX(マッチボックス)」がおすすめです。Webのポートフォリオ作成はもちろん、プリントアウトして紙のポートフォリオを作成することもできます。作品画像をアップロードするだけで美しくレイアウトすることができ、必要項目を入力していくだけで、採用担当者が知りたいことに対して的確に情報を提供するポートフォリオができあがります。

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第三者の視点からポートフォリオを添削してもらおう

ポートフォリオの表紙を作るときに大事にすべきことは、「ポートフォリオを見る担当者はどんなことを知りたいのか」「自分は採用担当者からどんな人材だと思われたいのか」を考えることです。

応募する職種がデザイナーならもちろんのこと、Webディレクターやコピーライター、フロントエンドエンジニアなど、どのような職種であっても、サービスの受け手(ユーザー)のことを深く理解し、ユーザーのニーズに応えるような製品やサービスの企画・制作を行うことが求められます。企業の採用担当者は、ポートフォリオの表紙から、あなたの仕事に対する姿勢を読み取ろうとしているかもしれません。

マイナビクリエイターでは、ポートフォリオ制作に関する相談や、ポートフォリオの添削も受け付けています。クリエイターの転職活動に詳しいキャリアアドバイザーに、ぜひご相談ください。

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