履歴書の本人希望欄の書き方とは?注意点や具体例を解説

履歴書の後ろの方に必ずある本人希望欄。ここに何を書けばいいのか、どこまで書いていいのか、希望がなければ何も書かずに出してもいいのかなど、迷ったことのある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、履歴書の本人希望欄の役割や、書き方の注意点、書いていいことと書かないほうがいいこと、採用への影響などについて、実際にあった転職希望者の事例を交えてキャリアアドバイザーが詳しく解説していきます。

キャリアアドバイザー プロフィール

Y.Yoshimi

ECサイト運営企業やゲーム開発企業、アプリ開発関連企業への転職支援を中心に担当。Web・ゲーム業界に特化した専門性と大手企業人事部との幅広いネットワークを持ち、常に最新の情報をキャッチアップ。スピーディーな対応で最適な求人を提案することを心がけている。

目次

履歴書の本人希望欄は何のためにあるのか?

履歴書の本人希望欄は、希望職種や勤務時間など、勤務するうえで本人が絶対に譲れない条件を記入する項目です。

企業側は、会社のルールや職場の状況、求める人材像などを踏まえ、応募者の希望をかなえられるかどうかを検討したうえで、採用判断の参考にします。本人希望欄は採用にかかわるほぼ全員が目を通し、履歴書の中でも採用への影響度の大きい項目と言えます。

履歴書の本人希望欄の注意点

履歴書の本人希望欄は、書く際に注意すべき点や、書かないほうがいいこともあります。実際に記入する前に、以下についてチェックしましょう。

「特記事項なし」や空欄はNG

本人希望欄に書くことが何もなかったとしても、空白のまま出すのは避けましょう。履歴書に空欄があると、履歴書が未完成のまま提出しているような、熱意のない印象を与えてしまう恐れがあります。

とくに希望がない場合は、「特記事項なし」などとするよりも、「貴社の規定に従います。」というひと言を入れるのがよいでしょう。会社のルールに従うという意思を表明することで、誠実な印象を与えることできます。

給与、待遇については避けたほうがいい

給与や待遇について、具体的な希望を書くのは避けたほうが賢明です。スキルや経験と希望年収がマッチしていない場合や、会社側が希望をかなえられない場合など、選考にマイナスの影響を及ぼす恐れがあるためです。

自己PRなどは記載しない

本人希望欄には、希望することとその理由のみを簡潔に記載し、それ以外の余分な情報は記載しないようにしましょう。

たとえば「体力や環境適応力には自信があるため、どんな働き方でもできます」「ウェブ解析士の資格を取得したため、Webマーケターを希望します」など、自己PRと受け取られる内容は本人希望欄にはふさわしくありません。自己PRに相当する内容は職務経歴書に記載し、本人希望欄と重複しないようにしてください。

本人希望欄に書いてもいいことと書き方

本人希望欄に書いてもいいこと、書いておくべきことは、「この条件でないと働けない」といった、働くうえで必須の条件です。以下、書き方の例を詳しく紹介します。

複数職種応募しており、その中でも希望職種がある場合

企業が複数の職種を応募している場合、その中でとくに希望職種があれば、希望理由と共に本人希望欄に記載しましょう。

記入例(WebデザイナーとWebディレクターを募集している場合)

本人希望記入欄
希望職種:Webディレクター(現在はデザイン職ですが、ディレクターとしてのキャリアを積みたいと考えています)

持病や、通院の必要がある場合

勤務するうえで配慮の必要な持病があり、通院のために遅刻・早退や休暇取得、短時間勤務などが必要になる場合は、本人希望欄に記載します。ただし、持病があっても通常の職務に影響がない場合は、企業側に伝える義務はありません。

病歴や障がいなどは要配慮個人情報にあたり、本人が企業への開示を希望しない場合には履歴書に記載する必要はありません。企業側としては知っておきたい情報ですが、応募者にとっては知らせることで採用に影響するリスクがあるため、業務上の配慮が必要でない限りは開示しなくてもいいでしょう。

なお、現在は健康でも、前職を病気で退職した、休職したなどの事実を職務経歴書で開示している場合は、今後の勤務に支障がない旨を本人希望欄に明記しておくとよいでしょう。

記入例(通院が必要な場合)

本人希望記入欄
持病の通院のため、月に1回程度、午前半休の取得を希望します。

記入例(病気で退職したが現在は回復している場合)

本人希望記入欄
持病の治療のため前職を退職しましたが、現在は治療を完了し、健康状態は良好です。

希望勤務地や、勤務時間の希望がある場合

転勤の可能性がある仕事で、家族の都合等で勤務可能な地域が限られる場合も、本人希望欄に記載しておきましょう。また、近い将来転居予定がある、家庭の都合でリモート勤務や時短勤務を希望するなどの場合も、それが絶対に譲れない条件であれば本人希望欄に記載しておきましょう。

なお、勤務可能な条件を絞り込むことが採用に影響する可能性があるため、「必須ではないができれば〇〇したい」程度の希望であれば、あえて書かないほうが賢明です。

記入例(希望勤務地がある場合)

本人希望記入欄
首都圏エリアでの勤務を希望します(家庭の都合により転居が難しいため)

記入例(勤務時間に希望がある場合)

本人希望記入欄
9:00-16:00の時短勤務を希望します(子どもの保育園送迎のため)

記入例(変則的な勤務を希望する場合)

本人希望記入欄
火曜・木曜のみ8:30-17:30分の勤務を希望します(家族のデイケア送迎のため。在宅勤務の場合は9:00-18:00の定時で勤務可能です)

連絡可能な時間帯

現職を続けながらの転職活動の場合は、連絡可能な時間帯や、連絡手段の希望を記載しましょう。採用側に何度も電話をさせる手間を取らせないためのものなので、書いても失礼にはあたりません。

記入例(フルタイムで就業中の場合)

本人希望記入欄
連絡がつきやすい時間帯:平日の12時-13時または19時以降

基本的には「貴社の規定に従います」と記載するのがベター

職務希望欄にたくさん希望を書き込むことは、転職活動においてプラスにはなりません。基本的には「貴社の規定に従います。」と記載することをおすすめします。

本人希望記入欄
貴社の規定に従います。

何十通、何百通という履歴書に目を通して選考を行う採用担当者にとって、同程度のスキルや経験を持った応募者が複数いた場合には、要求の多い人よりも、柔軟に会社の都合に合わせてくれる人の方が好印象なのは明らかです。これが受け入れられないなら採用されなくていい、という絶対的な条件以外は書かないほうがベターです。

本人希望欄は選考結果に影響する?

本人希望欄に記載した内容は、選考結果に大きく影響します。

年収や勤務地、勤務時間などの条件は、また、持病や障がいなどの情報は、場合によってはあらかじめ企業側に開示することで誠実な印象を与えることもあります。ただし、その条件を企業側が受け入れるかどうか、開示したことが採用に有利に働くかどうかは保証できせん。

書面だと細かいニュアンスが伝わりにくく、希望を書いたために書類段階で落とされてしまうリスクもあります。業務に大きく影響しない障がいや持病などであれば、あえて書類には書かずに、面接の際に口頭で伝えることで誤解やすれ違いを避ける、という方法も検討しましょう。

過去に実際にあった本人希望欄の事例

履歴書の本人希望欄に書いたほうがいいこと、書かないほうがいいことについて、理解いただけたでしょうか。最後に、マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーが実際に出会った本人希望欄の記入事例と、書き方の注意点についてご紹介します。

Case1

社会保険に加入したくない

1つめは、転職先の社会保険に加入したくない場合の例です。具体的には、配偶者の扶養に入っていてパートやアルバイトとして働く、現在は自営業やフリーランスとして働いていて国民健康保険・国民年金に加入しているなどのケースがあります。

なお現在、従業員数101人以上の事業者は、以下のすべての条件に当てはまる従業員を社会保険に加入させ、従業員が支払う社会保険料と同額を負担する義務があります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上
  • 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

※2024年10月以降は「従業員51人以上の事業者」が対象になります。

会社の社会保険への加入を希望しない場合、上記の条件に当てはまらないように労働時間や収入を調整する必要があるため、採用にはマイナスになる可能性があります。そのことを理解したうえで記入するようにしましょう。

記入例(配偶者などの扶養に入っている場合)

本人希望記入欄
社会保険への加入を希望しません(扶養の範囲内で働きたいため)

記入例(現在フリーランスの場合)

本人希望記入欄
社会保険への加入を希望しません(国民健康保険、国民年金を継続したいため)
Case2

作業環境のOSを希望したい

クリエイター職はとくに、作業環境のOSが変わることで仕事のパフォーマンスに影響することがあるため、本人希望欄でOSの希望を伝える場合もあります。クリエイター職の採用では企業側からOSの確認をされるのも一般的で、慣れた作業環境に合わせてもらえる可能性が高いので、希望を出してもマイナスにはならないでしょう。

記載する際は「絶対にこれがいい!」と主張するよりも、「自分の現在の作業環境は〇〇」という事実を伝えるほうが好印象です。

記入例(デザイナーの場合)

本人希望記入欄
現在の作業環境:macOS 13.5.1
使用アプリ:Photoshop、Illustrator(Adobe Creative Cloud)

履歴書全体を総合的に対策しよう

履歴書の本人希望欄は、採用に大きく影響する重要な要素です。採用後のミスマッチを避けるためにも、勤務するうえでどうしても譲れない条件がある場合には、本人希望欄にしっかり記入しましょう。

履歴書は企業と応募者との最初の接触ポイントです。本人希望欄が書けたら、こちらの記事も参考にしてあらためて全体を見直し、あなたのことを正確に伝える内容になっているかどうかチェックしてみてください。

なお、転職エージェントを通じて転職活動をする場合は、求職者本人が作成した履歴書や職務経歴書のほか、エージェントのキャリアアドバイザーが作成した推薦状も応募書類となります。そのため、履歴書には詳しい条件を書かず、キャリアアドバイザーを通じて推薦状で条件を伝えることも可能です。

「本人希望欄に書くべきことがあるが、どう伝えるのがいいのかわからない」などお困りのことがあれば、ぜひマイナビクリエイターの経験豊富なキャリアアドバイザーにご相談ください。

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