挑戦を許容する風土から、業界に爪痕を残す作品が生まれる。ポケラボが新たなメンバーとして受け入れたいエンジニア像とは ―― ポケラボ 覚張泰幸氏インタビュー

Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.29

第一線で活躍しているクリエイター達のリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイター達の熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。

『SINoALICE -シノアリス-』『戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED』『ぷちぐるラブライブ!』等といったスマートフォンアプリを手がけている株式会社ポケラボ。2012年という早い時期からソーシャルゲームの開発を始め、前掲のような大型IPの開発を行う同社が、現在新たなエンジニアを募集している。ポケラボが新たにジョインしてもらいたいと考えるエンジニア像とはどのようなものだろうか。ゲーム事業本部 エンジニア ユニットマネージャーの覚張泰幸氏に話をうかがった。

ゲームと無関係の職場でキャリアを積み、念願のゲーム業界へ転職

―― 覚張さんのこれまでのキャリアをお聞かせください。

覚張氏:私のキャリアで言うと、ポケラボは実は3社目で、5年ほど前に転職してきました。弊社の初期作品である『戦乱のサムライキングダム』というタイトルに関わってから、未発表のアクションRPGの開発に参加。今は『SINoALICE -シノアリス-』でエンジニアのリーダーとして立ち上げから参画しています。現在はエンジニアたちのマネージメントに加え、プレイングマネージャーとして開発に携わっています。

―― ポケラボに来る前はどんな仕事をされていましたか?

覚張氏:最初の会社ではカラオケの端末のアプリケーションを作っていました。『Windows CE』を使った組み込みのアプリケーションですね。次の会社ではWeb周りの仕事をしています。自動車から走行データを収集し、これを収拾してユーザーさんから見える形にするというものです。営業の人が危険な運転をしていないかをチェックするといった使い方をされていました。

―― ゲーム業界に転職を思い立った理由は何でしょうか?

覚張氏:ゲームが好きだったことと、BtoCの仕事に就きたかったことですね。僕は昔からゲームが大好きで、周囲が引いてしまうほど熱心に遊び込んでいました。高校3年生の時、NEXONさんの『風の王国』という世界最古のMMORPGに出会ったのがオンラインゲームにもハマったきっかけで、それからはガンホーさんの『ラグナロクオンライン』などずっとどっぷりです。ひどい時には2週間もお風呂に入らなかったことさえあります(笑)。

―― 大作MMORPGの黄金時代ですね。

覚張氏:その後に就職したのですが、仕事はBtoBないしBtoBtoCで、クライアントであるメーカーさんのフィードバックは来るものの、お客様の顔を見ることがありませんでした。そんな中、キャリアを積み、スキルも上がってきたことから転職を思い立ちました。

―― 現在の仕事は念願のBtoCですし、“C”の部分であるプレイヤーの意見が直接聞こえてくる環境ではないでしょうか。

覚張氏:僕はお客様の反応を見るのが好きなので、今の仕事はやりがいがあります。良いご意見にしろ悪いご意見にしろ、実際にアプリをプレイして頂いたからこそ出てくるものですし。

ポケラボにおける理想のエンジニア像とは

―― 今回はエンジニアを募集されていますが、ポケラボにおけるエンジニアとはどういった仕事を指すのでしょう?

覚張氏:サーバー及びクライアントのプログラムをするのがエンジニアです。複数のプロダクトを横断的に見ていき、クリエイティブチームが作った演出やサウンドなどを実装していきます。各プロダクトに10人ほどのエンジニアがいます。弊社の3分の1がエンジニアで、最も多い職種です。

―― エンジニアが仕事をする上での雰囲気はどうでしょうか。

覚張氏:和気あいあいとしています。言いたいことはしっかり意見を交わしますし、風通しの良い文化があります。それというのも、弊社のエンジニアはプログラミングだけをするのではなく、ゲームバランスや企画、アートワークといったところにも口を出せます。ゲームをより良くする意見出しに職種は関係なく、これは弊社におけるエンジニアの強みだと思っています。僕が所属している『SINoALICE -シノアリス-』チームのエンジニア達も、自分たちのゲームをものすごく遊び込んでいます。

―― ポケラボに転職を希望する場合、ゲームについて詳しい方が良いのでしょうか?

覚張氏:そうですね。ゲームが好きでないとゲームは作れないと思いますから、この業界に限ったことではありませんが「好きこそ物の上手なれ」と言う事です。実際、弊社のエンジニアも普通の人よりもゲーム好きという人が多いです。

―― では、どのような人に応募してきて欲しいですか?

覚張氏:やはり、熱意のある人が良いのではないでしょうか。弊社の代表取締役社長である前田(悠太氏)も、社内をぐいぐい引っ張っていきますし。後は、楽しんで仕事できる方がいいですね。今は社会人生活も長くなり、50年くらいは働き続けないといけない状態ですから、自分で作ったゲームをユーザーさんに提供することや、集団での開発など、色々なことを「楽しみ」に転換できる人の方が良いと思います。

―― 社内にも熱意のある人が多いのでしょうか?

覚張氏:多いですね。しかし、精神論だけに終始するのではなく、社長の前田は社員のモチベーションに配慮してくれます。例えば『SINoALICE -シノアリス-』が好評を頂いたことについても「皆のやっている事は間違ってはいないんだ」「皆がちゃんとやってきた成果だし、そこが認められているんだ」と発信し続け、社員を認めてくれます。転職したばかりの頃、こうして前田が激励してくれるのを聞いて泣きそうになってしまいましたから。

―― それは社員としては嬉しい言葉だと思いますね。

覚張氏:それでいて、皆がちゃんと柔軟性と社会性を持っています。例えば、弊社でエフェクトを担当している池田は常々「エフェクトとは人生である」と言っており、僕からすると神様のような人です。そんな池田と一緒に仕事をした際、リテイクを出さないといけなくなってしまったのですが、理由を説明したら「それは覚張の言う通りだ」って聞き入れてくれて。

―― 理想に向けて突っ走る熱さだけでなく、集団作業に必要なコミュニケーション能力も持つ人たちというわけですね。

覚張氏:弊社で言う熱意はゲームに限ったものではなく、何に対して熱意のある人でも良いと思います。人それぞれに得意や苦手な分野がありますから、互いに補い合ったり高めあえることがゲーム開発の面白さです。

―― ポケラボに応募する上で、持っていると良いスキルはありますか?

覚張氏:サーバーではいわゆるLAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)に加えてJavaを、クライアントはUnityとC#を使っています。こうしたスキルをお持ちであれば即戦力として活躍頂けますね。ただ、これらのスキルが無ければいけないというわけではなく、代わりになるものをお持ちであれば大丈夫です。実際、僕の場合も弊社に入った時はそこまでPHPをやっていたというわけではありませんでしたから。色々な環境に対応できる方がエンジニアとして優れていると思っています。躊躇せずに飛び込んできて欲しいです。

スペシャリストに留まらず、人材育成へのキャリアパスも。そして「できる」を模索する、妥協なき社風

―― ポケラボではエンジニアを育成する施策があるそうですが、どういった取り組みなのかを教えてください。

覚張氏:ユニット毎にエンジニア達を統括するユニットマネージャーという役目があるんですが、彼らを横断的に見ていく人材戦略チームが存在しています。皆が自発的に動けるように色々とアドバイスをしていくというもので、僕もエンジニアでありつつ、このチームに属しています。

―― エンジニアとしてスペシャリストを目指すだけでなく、人材育成する側に行けるキャリアパスがあるわけですね。では、日々の業務で大切にしているポイントを教えてください。

覚張氏:困難に直面したとき「できない」理由を並べるのではなく、状況を打開する「できる」方法を考えると言うことですね。人間というものは、一度「できない」と考えてしまうとそっちに気持ちが引きずられてしまいますが、ここで発想を「できる」方へ変えれば、どこまでもそちらの方へ進んでいけます。

―― 「できる」方法を考えたことで状況が打開した例はありますか?

覚張氏:僕が携わっている『SINoALICE -シノアリス-』が正にその好例ですね。プレイされたことのある方はリリース後に色々なトラブルがあったことをご存じだと思いますが、開発中も色々なことがありました。ギルドや共闘、リアルタイム通信でバトルする「コロシアム」といった多彩な機能があり、実装が大変だったのですが、「これが世に出ればお客様にきっと楽しんでいただける」という確信の思いがあったので、サービス開始まで走り切ることができました。おかげさまで、今年の6月には1周年を迎えられました。

―― 上に立つ者として皆を引っ張っていく気概を学ばれたわけですね。

覚張氏:『SINoALICE -シノアリス-』では、プロデューサーの前田(翔悟氏)も熱く仕事に携わっていますね。リリース前後の非常に苦しい時期も絶対に折れなかった。彼が折れたらプロジェクトは終わっていたのではないかと思います。また、社長の前田も弱音を絶対に吐きません。それは弊社が受託開発を請け負うのではなく、オリジナル作品を作るメーカーだからだと思います。メーカーは「できない」となった時点で自分たちの評価を下げてしまうから、妥協しない方がいいと考えています。

―― 言われるまま納期に間に合わせて終わりではなく、作ったものの出来栄えに関して誇りを持てる職場環境があるのでしょうか。

覚張氏:受託開発だと、現場のスタッフがクリエイティビティを発揮して何かを付け加えると怒られてしまうようなこともあります。言われるままに作って100点です。弊社だと、それでは80点にしかなりません。自分たちのオリジナリティーを盛り込んで120点を狙っていかなければならない。そうした挑戦を許容し、個人の生きる環境がポケラボです。

―― 『SINoALICE -シノアリス-』は「それは最悪の“物語”」というキャッチコピーを掲げ、登場人物たちが殺し合うという尖った作品ですが、挑戦を許容するポケラボの風土があったからこそ、こうした作品が生まれたといえるのでしょうか。

覚張氏:『SINoALICE -シノアリス-』に限らず、ポケラボは過去にも尖った作品を色々と発表しています。第1作からして、業界で初めてギルド戦を実現した『運命のクランバトル』ですし、その後にもエフェクトに注力した『クロスサマナー』など、業界に爪痕を残す作品を出しています。こうした作品が一定期間ごとに生まれるのもポケラボならではです。

社内交流も盛んで、備品にも妥協が無いポケラボ流の考え方

―― ポケラボ社内で、懇親イベントなどは行われたりするのでしょうか?

覚張氏:月に一度「チームビルディング」という予算が下りる飲み会があります。また、教育予算もありますから、希望者たちで集まって外部のセミナーを受講することもあります。これに加えて部活動制度があり、しっかり活動すると会社から部費が支給されます。僕もこの前「フラフープ部」を作りましたし、社内には「バスケ部」「将棋部」「フットサル部」など色々な部活がありますよ。

―― 現在の職場環境についてはどう思われますか?

覚張氏:環境はすごくいいですね。社員に支給されるパソコンはどれも高性能で、僕のMacBookもハイグレードモデルですし、中には一流スペックのゲーミングパソコンを使っている人もいる。こうした備品にもしっかりと投資し、能率を上げていこうということですね。

―― 一緒に働いてみたいと思うのはどういった人材でしょうか?

覚張氏:言われたことだけをこなすのではなく、プラスアルファを出してくれる方、同僚とちゃんとコミュニケーションを取れる方ですね。弊社にはいわゆる「1人組織」が無いので、皆で成果を出せる方が望ましいです。

―― エンジニアとして転職を考えている人に何かメッセージをお願いします。

覚張氏:色々と勉強できるので、単なるエンジニアに留まりたくない方にはオススメの職場ですね。ゲームやBtoCの仕事が好きな方だけでなく、これからスキルを磨こうと考えておられる方も挑戦してみてほしいです。「リスペクト」「チャレンジ」「ユニーク」「責任感」「プロフェッショナリズム」という、弊社が大事にしているものを持っておられる方。そして、業界に爪痕を残したい方は、是非いらして下さい。

インタビューを終えて

「できない」ではなく「できる」の発想で、業界に爪痕を残す作品を作り上げるポケラボ。そして今ポケラボに求められるのは、ゲーム作りへの熱意に溢れ、自発的に発想・提案できるエンジニアだ。ポケラボのエンジニアは技術職に終始するのではなく、適性があればプランニングやゲームのバランス調整といったところにも関われるという。

また、覚張氏のようにゲームと無関係の業界に勤めながらも転身を果たした例もある。ゲーム業界人であるか否かを問わず、ゲームに興味のある人はこれを機にエントリーしてみてほしい。

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