挑戦できる環境と、クライアントの「満足以上」を引き出すチーム ―― IMAGICA GEEQ 高瀬可那夢氏インタビュー
Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.42
第一線で活躍しているクリエイターたちのリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイターたちの熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。
株式会社 IMAGICA GEEQ(旧 バウハウス・エンタテインメント。以下、IMAGICA GEEQ)は、ゲームをメインとした3DCG制作スタジオだ。設立以来、国内有名コンシューマーゲーム開発に数多く携わっており、東京と大阪の2拠点に構えたスタジオには、総勢150名以上の3DCGデザイナーが所属する。
今回お話をうかがった高瀬可那夢氏も、IMAGICA GEEQで活躍する3DCGデザイナーのひとりだ。IMAGICA GEEQで働く魅力はどこにあるのか。ジョインしたきっかけや、仕事に感じるやりがい、今後の目標について語っていただいた。
プロフィール紹介
サービス事業本部 ビジュアルデザイン部
高瀬 可那夢氏
新卒でモバイルゲーム会社に入社し、3DCGデザイナーを務めたあと、2020年に株式会社 IMAGICA GEEQ(旧 バウハウス・エンタテインメント)に入社。
現在は背景レイアウトチームにて3DCGデザイナー、同チームをまとめるリーダーとしても活躍中。
IMAGICA GEEQの立ち上げを手がけた事業部長の思いとは?
顧客価値を創造することで、3DCGデザイナーがキャリアを描ける組織を ―― IMAGICA GEEQ 石塚雅也氏インタビュー
モバイルゲームからコンシューマーゲームへ。未経験でも挑戦できる環境
―― まずは高瀬さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
高瀬氏:高校時代からゲーム業界に関わりたい思いがあり、卒業後に上京して専門学校に通いました。2年間の過程を経て、新卒で入社したのが前職にあたるモバイルゲーム会社です。3DCGデザイナーとして、キャラクター制作や、武器やアクセサリーといった周辺物の制作に携わっていました。
ただ、モバイルゲーム自体にのめり込んだことはあまりなく、どちらかと言えばコンシューマーゲームへの思いのほうが強かったんです。子どもの頃、兄と一緒に遊んだのも、友達と盛り上がったのも、家庭用ゲーム機でプレイしたゲームでした。自分の中にある「人がゲームで楽しむ」というイメージには、コンシューマーゲームが中心にあったんです。ですから、いつかはコンシューマーゲームに携わりたいという気持ちがありました。
ただ、就職したからには最低3年はいないと、得るものも得られないだろう、とも考えました。そこで3年ほど実務で経験を積んでから、転職活動を始めることにしたんです。
―― モバイルゲームからコンシューマーゲームへの転向ですね。同じゲーム業界とはいえ、難しさはありませんでしたか?
高瀬氏:そうですね、簡単ではありませんでした。というのも、スマホと据え置き機ではゲーム制作のレギュレーションがまったく異なり、スマホゲームと比べ、コンシューマーゲームではグラフィック性能が桁違いに高くなるんです。最近はスマホの性能も向上したとはいえ、モバイルゲーム開発でデフォルメされたキャラクターばかり手がけていると、コンシューマーのリアルタイム3DCGについていくのは難しいという話を専門学校時代に聞いていました。
実際、転職エージェントの方に「コンシューマー系に携わりたい」と伝え、転職活動を始め20〜30社に応募したのですが、「コンシューマー未経験」を理由に不採用になることもありました。「これは厳しいぞ」と感じたのを覚えています。
―― そんな中、数々のコンシューマーゲームを手がけるIMAGICA GEEQを新天地に選んだ、その決め手はなんだったのでしょうか?
高瀬氏:まず、人材育成に力を入れていたことですね。モバイルゲームからコンシューマーゲームへの転向に際して強い気持ちはあったのですが、その一方ではスキル面で不安があったんです。でもIMAGICA GEEQの面接を受けたとき「もちろん最初は教えますし、徐々に覚えてもらえるよう業務を調整して振っていきます」と聞き、自分の一番の不安を取り除いてもらえました。これまでの経験を評価してくれただけでなく、「コンシューマー未経験」でも挑戦できる環境があることは、魅力的でしたね。
また、コンシューマーゲームに携わるには大手のゲーム会社に入らなければと考えていたのですが、必ずしもそうではないことを知りました。ゲーム制作は1つの会社ですべてが成り立っているわけではなく、いくつかのゲーム制作会社が一緒に作り上げています。IMAGICA GEEQもそんなゲーム制作の現場を担う会社の1つで、有名タイトルをいくつも携わっていました。大手のゲーム会社で1つのタイトルに縛られるよりも、IMAGICA GEEQのように2〜3年のスパンでさまざまなゲームタイトルに携わるほうが、その都度、モチベーション高く新鮮な気持ちで取り組めるのではないかと思いました。
チーム一丸となって3DCGに取り組む中で「中途採用だからできること」
―― 実際に入社してからプロジェクトを担当するまでは、どのような流れで進んだのでしょうか。
高瀬氏:2020年8月に入社して、9月にはプロジェクトにアサインされています。その間の1ヵ月は、社内で作られたチュートリアルや、仕事で用いる3DCGソフトウェア(Maya)の研修を受けていました。プロジェクトにアサインされてからは、上司に質問するとすぐ的確な回答をいただけるので、安心して業務に入ることができましたね。
入社後にアサインされたのは、PS5向けソフトの背景レイアウトで、これは現在も引き続き担当しています。プレイヤーが歩くマップに対して背景を作り込む、ゲームの世界観を構成する仕事です。現在はリーダーとして、実作業をしつつ背景レイアウトチームをまとめています。
―― しっかりとした研修や上司からのフォローがあるのは安心ですね。入社してみて、思い描いていたイメージと違ったこと、意外に思うことはありましたか?
高瀬氏:IMAGICA GEEQのプロジェクトは3DCG部分を外注で請ける形になるのですが、前職が自社開発だったこともあり、当時は「外注」や「客先常駐」には孤独なイメージがありました。プロジェクト先の会社に1人で常駐して、周囲に揉まれながら仕事を覚えなければならない......と、勝手に想像していたんです。
実際はチーム単位の契約なので1人になることはなく、当初は上長含めメンバー9名でIMAGICA GEEQのスタジオにて作業を行なっていました。上長からアドバイスをもらったり、メンバー間で「ここはどうすればいいか」と相談したり、思った以上にちゃんと協力し合いながら作れるのだと、いい意味でのギャップを感じましたね。今年に入ってからはコロナ禍もあり、チームメンバーは全員フルリモートの作業に切り替わっています。
―― ゲーム開発をするうえで、リモート作業に切り替わってからのチーム内のコミュニケーションはどうされていますか?
高瀬氏:うちのチームでは毎日朝礼や終礼があり、今日やるべき事や作業結果を共有しています。誰ともしゃべらずに一日を終えることはなく、チャットやZoomで小まめにコミュニケーションを図っていますね。チャットでニュアンスを伝えるのが難しいときは、画面を共有して直接「ここがこうで......」と話すこともあります。出社しているときに席の後ろからあれこれ見てもらうのと同じ感覚なので、リモートでも特に不自由を感じることはありません。
―― 入社から間もないにもかかわらずリーダーを務められていますが、業務にあたるうえで何か意識的に取り組まれたことはありますか?
高瀬氏:今回が初めての転職だったこともあり、入社の際に改めて「中途入社に求められること」を考えました。与えられた業務をこなすのは当たり前ですから、前職でチームをまとめていた経験を活かせば会社に貢献できるだろうと。そこで、自主的に残タスクの洗い出しや進捗状況をまとめたり、やるべき業務プロセスを文章化したりしていたところ、上長にすごく評価していただいたんです。そこから上長のサポートをするようになり、リーダーを任されたという形です。
リーダーになってからは、コミュニケーションをしやすいチームにしようと心がけています。フルリモートという環境もあり、メンバーによってはわからないことを聞きにくかったり、顔色をうかがってしまったりする人もいるんです。認識に齟齬があるまま仕事を進めるわけにはいきませんし、ミスの報告が遅れれば取り返しのつかないことになりかねません。「わからないまま1人で抱えるより言ってもらえるほうが全然いいから」と呼びかけ、聞かれたことにも丁寧に応えるなど、話しかけやすい雰囲気を作るよう日々意識しています。
IMAGICA GEEQの立ち上げを手がけた事業部長の思いとは?
顧客価値を創造することで、3DCGデザイナーがキャリアを描ける組織を ―― IMAGICA GEEQ 石塚雅也氏インタビュー
ただ仕事をこなすだけでなく、満足以上の反応を求めて
―― 現在の業務において、やりがいを感じることはなんでしょうか?
高瀬氏:自分の仕事に対して、クライアントから評価をいただいたときでしょうか。
現部署に配属されるとき、上長から言われた言葉が印象に残っているんです。「クライアントからいただいた仕事をこなすだけでなく、クライアントから満足以上の反応をいただくことが大事だよ」と。ただ業務をこなすだけでは、IMAGICA GEEQのよさが出ず、他社とも差がつきません。上長からは、難しい相談があったときは懸念点を伝えると共に、「この方向でどうでしょうか」と提案をするように教えられました。
実際の業務で提案を心がけると、クライアントに喜んでいただけるだけでなく、「この仕事もIMAGICA GEEQさんにお願いしたい」と次に繋がるようになったんです。前職では自分から提案するタイプではなかったので、一歩踏み込めた実感と、評価を得られたことが嬉しかったですね。
―― IMAGICA GEEQのこれまでの実績があるからこそ、提案にも説得力があるのだと思います。ほかに、ご自身の立場としてのやりがいはいかがでしょうか。
高瀬氏:あとはリーダーとして、「チームをまとめて成果を出す」ということに、やりがいを感じ始めているところです。個人で出す成果物よりも、チームで出す成果物のほうが何倍も大きなものになりますし、みんなで完成させていく過程がゲーム業界の醍醐味だと感じています。今関わっているタイトルが世の中にリリースされて、SNSなどでユーザーの反応を見ることができたら、そうした思いももっと高まるのではないかと思います。
―― 無事にタイトルがリリースされるのが、ひとつの目標でもありますね。
高瀬氏:そうですね。チーム全員が一丸となって頑張っていますから。この頑張りがクライアントにきちんと評価されて、次の仕事に繋がるようにするのもリーダーの責任であり、役割だと思っています。IMAGICA GEEQにはマネジメント経験が豊富なスタッフがそろっていますので、引き続きアドバイスをいただきながら経験を積んでいければと考えています。
―― 入社後の研修やきめ細かなサポートによる人材育成、リーダーによる行き届いたマネジメントが、チームを底上げしているように感じました。IMAGICA GEEQとしてこれから人員を増やしていくと思いますが、どんな人と一緒に働きたいと思いますか?
高瀬氏:チーム内でコミュニケーションを取りながら業務を進められる人、仕事に対して意欲や熱意がある人、そして何より、ゲームが好きな人と一緒に働きたいですね。メンバーにもゲーム好きが多いので、「あのゲームのこのグラフィックがよかった」という話で盛り上がることもあるんです。職業病みたいなもので、自分でゲームをしていても背景に目がいってしまうというか(笑)。いいなと思った内容を共有することも多いですし、公私ともにゲーム好きな方だと嬉しいなと思います。
―― 日頃からゲームに関する情報のキャッチアップができる人は、成長スピードも早そうですね。では最後に、転職を考えている方にメッセージをお願いします。
高瀬氏:実は、今回の転職の1年前にも転職活動をしていました。そのときは「今の会社を辞めたいから」といったネガティブな思いから転職を考えていたせいか、自分にピッタリ合うと思う企業と出会えなかったんです。今回のように「コンシューマーゲームに関わりたいから転職したい」というポジティブな思いや自分の中に判断基準があれば、それに沿った企業を探しやすいと思いますし、納得いく転職ができるのではないでしょうか。もし転職を考えているのなら、自分は何がしたいのか、転職によってどんなことを実現したいのか、しっかりとブレない芯を持つことが重要だと思います。
インタビューを終えて
IMAGICA GEEQの働き方は「フレキシブル」だ。手がけるタイトルはさまざまなメーカーをまたぎ、Nintendo SwitchやPS5などのプラットフォームを問わない。ローエンドからハイエンドのリアルタイム3DCGとレンジは幅広く、客先常駐・自社内スタジオ制作・在宅勤務と制作環境も柔軟に対応している。
高瀬氏のような、モバイルゲームからコンシューマーゲームへの転向を受け止められるのも、このフレキシブルさから来るものだろう。仲間と協力し合いながらひとつのものを作り上げる喜び、さらに高みを目指す者にチャンスを与える社風、そして確かな技術と業界の評価。それらを兼ね備えたIMAGICA GEEQは、クリエイターにとって理想の環境だといえるだろう。さらなる飛躍を願うクリエイターは、ぜひチェックしてみてほしい。