顧客価値を創造することで、3DCGデザイナーがキャリアを描ける組織を―― IMAGICA GEEQ 石塚雅也氏インタビュー

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株式会社 IMAGICA GEEQ(旧 バウハウス・エンタテインメント。以下、IMAGICA GEEQ)は、ゲームをメインとした3DCG制作スタジオだ。設立以来、国内有名コンシューマーゲーム開発に数多く携わっており、東京と大阪の2拠点に構えたスタジオには、総勢150名以上の3DCGデザイナーが所属する。

そのIMAGICA GEEQの立ち上げを手がけたのが、現在デジタルコンテンツ事業部で事業部長を務める石塚雅也氏。未経験者でも、新しいことを習得しようとする強い意欲や組織貢献への高いモチベーションがあれば積極的に採用してきたIMAGICA GEEQだが、果たしてどのような思いから立ち上げられたのか。そしてIMAGICA GEEQで働く魅力とは。石塚氏に話を伺った。

業界未経験者が活躍できる場を増やし、事業成長を目指す

IMAGICA GEEQ

―― 今回はインタビューにご協力いただきありがとうございます。改めてIMAGICA GEEQの事業内容について伺えますでしょうか。

石塚氏:IMAGICA GEEQは、ゲームをメインとした3DCG制作スタジオとして、2004年に立ち上がりました。設立以来、コンシューマーゲーム、スマホゲームを問わず多くのゲーム開発に携わっており、ゲームメインのCGスタジオとしては国内最大規模だと思います。通常、CGスタジオは遊戯系やCM等の映像系も手がけることが多いですが、IMAGICA GEEQはゲームのみに特化しているのが特徴です。

―― 石塚さんはIMAGICA GEEQの立ち上げに携わったと伺いました。

石塚氏:はい。立ち上げ前、自分はフリーのデザイナーとして活動していました。前職で関わりがあった方から制作スタジオを立ち上げる話をいただき、やってみようとデジタルスケープ(当時)に入社したんです。

とはいえ、立ち上げ直後のスタッフは自分1人だけ。これではさすがに1人分の仕事しかできないので、当時デジタルスケープの人材事業にあった「CGトレーニングルーム」で、CGの勉強をされていた方々に「やる人いませんか」と声をかけました。手を挙げてくれた方に仕事の内容ややり方を教える形で、徐々に規模を大きくしていったんです。

―― スタジオ立ち上げにあたって、経験者を募集するという考えはなかったのでしょうか?

石塚氏:もちろん、経験者を集めてすぐに結果を出す、いわゆる「垂直立ち上げ」の選択肢はありました。スキルがあるメンバーがそろえば、最初から仕事も請けやすくなります。ただ、周りを見ていると、そうしたスタジオはメンバーの新陳代謝がうまくいかず、事業成長が鈍くなる傾向がありました。5人で始めたけれど、10年経っても5人のまま、という感じですね。これでは利益の面でも限界が来てしまいます。

また、立ち上げたばかりで実績のないスタジオに、経験者が何人も入ってくれるとは思えなかったのもあります。それなら、業界未経験者が活躍できる場を増やすことをコンセプトに、事業成長を目指そうと考えたんです。私は過去に専門学校で講師をした経験があるので、「ポイントさえつかんで、しっかり勉強すれば、3DCGのスキルは必ず身に付く」というイメージもありました。

―― そのコンセプトは現在も続いているのでしょうか。

石塚氏:そうですね。学歴・年齢・経験を問わず、ポートフォリオで入社の合否を判断する「才能発掘プロジェクト」という採用活動を行っています。過去に採用した中では、第二新卒の方や、モバイルゲームからコンシューマーゲームに転向した方、一般の企業に就職したもののゲーム業界への思いが諦めきれず専門学校に入り直した方、元銀行員など、さまざまなキャリアの方がいますね。ポテンシャルがある方を採用して、あとは研修や実際の案件を通じて育成していくのが、IMAGICA GEEQのスタイルになっています。

3DCGデザイナーにも、組織で成長を描けるキャリアパスを

3DCGデザイナーの高瀬可那夢氏と並んで

3DCGデザイナーの高瀬可那夢氏と並んで

―― 石塚さんご自身は、IMAGICA GEEQで働く魅力はどこにあると考えていますか?

石塚氏:2つあります。ひとつは、国内有名タイトルをはじめ、さまざまなタイトルに携われること。有名タイトルを持つ大手会社に就職すると、長期に渡り同じタイトルに関わるあまり、「10年くらい武器だけをひたすら作り続けていました」みたいな話がよくあるんです。有名タイトルに携わっているとはいえ、その方自身の成長を考えると、どうしても疑問が残ります。

IMAGICA GEEQでは、大体1年か2年、長くても3年のスパンで違うタイトルや異なる仕事にアサインするようにしています。さまざまなプロジェクトで得られる経験が、成長の糧になるのです。

もう1つは、3DCGデザイナーのキャリアパスです。当然のことですが、3DCGデザイナーとして経験を積んでいくと、やがて一日の作業量や成果物に限界を感じることがあります。いわゆる「天井」がくるわけですね。本来ならリーダー職へ舵を切るタイミングですが、なかなか現場から離れられないのも事実。ゲーム業界も高齢化が進み、40代50代が現役で作業をしている現場も少なくないので、若手にとっては「上が詰まっている状態」だとも聞きます。

そこで、IMAGICA GEEQでは、現場のオペレーター職、その上のリーダー職、さらにその上のマネジメント職というように役職を設け、「個」の業務から「組織的」な業務の担える方で、組織貢献度が高まるほど、成果を出せば出すほど、報酬も増えるようにしています。キャリアを「個」で考えがちな3DCGデザイナーでも、大きな仕事を手がけ、組織で成果を出す手応えを得られるのは、魅力ではないでしょうか。

―― そうした成果を出すうえで、IMAGICA GEEQではどのような組織作りを心がけているのでしょうか。

石塚氏:IMAGICA GEEQは、顧客のクリエイティブコンテンツの実現に欠かせない「手段」として、顧客価値を創造できる組織でありたいと考えています。

そのためには、制作現場やサポートの各担当者が、顧客を第一に考え、自発的に行動できる組織であることが理想です。その理想に少しでも近づくために、「この人なら任せられる」という人には責任と権限を与え、どんどんやってもらうことを心がけています。

実はIMAGICA GEEQには、「営業職」がいないんです。マネージャーはデザイナーとして日々顧客と直接関わりますし、現場でどんな問題が起きているかも把握しています。それならば、マネージャーが顧客に対して提案活動をしたほうが、話が早いだろうと考えたからです。提案だけでなく、自ら担当して問題解決にあたりますから、顧客も誰と話をすればいいかわかりやすい。実績が出れば次の仕事にも繋がります。マネジメント層には、こうした顧客価値を創造する動きを求めているのです。

他者貢献を意識して働けば、自分だけではたどり着けない場所に行ける

―― 社員のスキルや成果を適正に評価するために、どのような制度が設けられているのでしょうか。

石塚氏:クリエイティブ系の仕事では珍しいと思うのですが、目標管理制度を導入しています。

目標管理は「行動目標管理」と「業績目標管理」に分かれており、現場のデザイナー職は制作の成果が行動目標で評価され、リーダー職以上になるとそれに業績目標が加わる形です。リーダー職では部下の育成など、マネジメント職では案件獲得件数や生産性などが業績目標の対象となり、なるべく定量化した数値で評価するようにしています。

目標設定は半期ごとに、上長と相談して行っています。中間で進捗確認のレビューもあるので、クォーターごとに1回は上長と面談の機会がありますね。評価は一次評価、二次評価、最終評価の3段階あり、恣意的な評価を極力排除する仕組みです。スタッフたちが自分自身で「組織に最大限の貢献ができる目標」を考えているからか、達成への意識は高いですね。

―― 事業部長として、石塚さんご自身はIMAGICA GEEQの皆さんに、どのような働き方を期待していますか。

石塚氏:どんな状況でも楽しんで仕事をしてもらうことが一番だと思います。ただ忘れてはいけないのは、我々は趣味で3DCGを制作しているのではなく、3DCG制作によって顧客価値を創造し、それを提供して利益を得ていること。「自分のため」ではなく「顧客のため」にやっているわけです。求められるスキル要件は非常に高いですし、決して楽しい思いばかりでもないでしょう。

でも、誰にでもできる仕事ではないからこそ、この仕事には価値が生まれます。その価値を理解したうえで気持ちよく仕事ができる人は、一緒に仕事をして楽しい人だと思うんですね。そうすると、プロジェクトが終わっても「また一緒にやりましょう」と声をかけられることも増えてくる。オファーが積み重なれば、「自分のため」では到達できない地点に立つことができるでしょう。

IMAGICA GEEQで働いている社員も、これからIMAGICA GEEQにジョインされる方も、「顧客のため」「誰かのため」に働くことで、楽しみながら「IMAGICA GEEQのファン」を増やす、そうした働き方をしてほしいと願っています。

―― 最後に、転職を考えている方々にメッセージをお願いします。

石塚氏:企業が中途採用に求めるのは「組織貢献度」ではないかと思います。ゼロベースの新卒と違い、どれくらい組織に貢献してくれるのか、どれくらい即戦力になってくれるかを大なり小なり求めると思うんです。

裏を返せば、個人の自己承認欲求を満たすために働きたい人が来ても、採用は難しいでしょう。転職を考えるなら、相手の企業に自身がどう貢献できるのかをきちんとイメージし、言葉でアピールしていくのが重要ではないでしょうか。「私を採用すれば利益が10億出ます」という人が実績と共に現れたら、採らない企業はないですから。それは極端な話だとしても、「誰かのため」を忘れずに転職活動をしてもらえればと思います。

インタビューを終えて

150人以上の3DCGデザイナーを擁するIMAGICA GEEQ。業界未経験者を積極的に採用し、マネージャークラスの評価制度までしっかり整える様子からは、3DCGデザイナーのキャリアパスを真剣に考える姿勢がうかがえた。そもそもスタジオの立ち上げメンバーだった石塚氏自身が、デザイナーからキャリアをスタートさせていることも大きいだろう。

3DCGデザイナーとして、確かな技術を身に付けたい、そして息の長いキャリアを手に入れたい、といった次のステップを踏み出そうと考えているならば、ぜひIMAGICA GEEQをチェックしてほしい。

この記事を書いた人

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