Webマーケターの転職で踏まえておくべき5の手順
目次
Webマーケターとはどのような存在?〜転職活動のコツを知る前に〜
Webマーケターとはいったい何者なのか、どんな職業なのかと問われたときに、明確な定義を回答できる人は非常に少ないはずです。なぜなら、Web業界において、Webマーケターほど曖昧、且つ広い意味で使われている言葉はないからです。Webマーケターと呼ばれる人たちの代表的な例を下に挙げましたので、まずは確認してみましょう。
1.広告代理店、コンサルティング会社、制作会社のWebマーケター
他社のWebマーケティングを請け負うタイプです。リスティング広告・SNS広告の運用や、SEO、LPOコンサルティングなどを主な業務とします。制作会社のWebマーケターの場合は、広告やSEOを意識して提案しつつ、Webサイトの制作ディレクションや運用を併せて担当するケースも多くなっています。
2.Web事業会社のWebマーケター
WebメディアやEC、映像・音楽配信など、Web関連事業を主とする会社で働くタイプ。自社サイトへの流入促進や運用を主な業務とし、広告運用やSEOは外部に委託することも多く、Webディレクター、Webプランナーと兼任になるケースも多々あります。また、扱う商材や市場に対する深い理解が必要となります。
3.製造・販売・サービス系事業会社のWebマーケター
製造や販売、サービスなど、リアル領域での事業を主体とし、その収益増大のためにWebマーケティングを利用している会社で働くタイプ。商材・ターゲットへの深い理解のほか、Web以外のマーケティングに関する高いリテラシーを求められるケースが多くあります。マスコミやリアルイベント、PRなどを活用するスキルを求められることもあります。
このように、所属する企業によって、Webマーケターの業務内容や求められるスキルは大きく異なります。これほど広い意味で使われているのがWebマーケターという言葉なのです。転職活動をする際は、業務内容の差をしっかりと把握しておく必要があるといえます。
とはいえ、ひとつだけ共通点があります。それは、「Webという技術を使って企業の売上を最大化させるミッションを負っている」ということです。そこで本記事では、タイプを問わず「Webという技術を使って企業の売上を最大化させるミッションを負っている」人をWebマーケターとして、転職のコツを紹介していきます。
Step.01
転職活動のスケジュールを立てる - 応募から入社まで3ヵ月が理想。準備期間は長めに取る
Webマーケターが転職を成功させるために第一に取り組まなければならないのが、いつまでに転職するかを決めることです。スケジュールを明確にしないと、志望企業への入社難度が上がったり、在籍中の会社との間にトラブルが発生したりすることもあります。
スケジュールを立てる際に必要となる3つのポイントを、是非覚えておきましょう。
1.在籍中の会社を辞めることができる日を把握する
社会人として数年間働いている人であれば理解しているはずですが、会社は急に辞められません。自分が担当している業務を滞りなく完了、もしくは引き継いだうえで退職するのが最低限のマナーです。
このあと紹介する選考スケジュールから逆算して、現職を辞められる見込みがないのであれば、本格的な転職活動は先に延ばすなどの対策を取る必要があるかもしれません。どうしても入社したい企業が社員募集をしているのであれば、選考を受けても構いませんが、上長との相談が必要になるでしょう。
2.応募から3ヵ月以内に転職先に入社できるようにする
企業が中途採用を行う場合、その理由は、欠員補充か事業拡大といったケースが多いはずです。そして、どちらにも共通するのが、スピーディにメンバーを確定させなければならないという点です。企業側は優秀さだけではなく、「タイミングよく入社してくれる人」も求めていることが多いのです。一般的な選考スピードと条件交渉・退職手続きの期間を考えると、応募から入社まで3ヵ月が、最速且つ理想の転職スケジュールといえるでしょう。具体的なスケジュールは下にまとめていますので、是非チェックしてみてください。
3.本格始動前に1〜2週間程度の準備期間を取る
Webマーケターの採用選考では、他の職種に比べて実績が重要視される傾向があります。実績をいかに効果的に職務経歴書に落とし込めるかが、実はWebマーケターの転職活動における最初のハードルとなります。転職エージェントに登録し、応募先の選定を始めてから実績の棚卸や職務経歴書の作成を行うと、不完全なものになりがちですので、本格始動前に1〜2週間の準備期間を設けることをおすすめします。
マイナビクリエイター流「Webマーケター」理想の転職活動スケジュール
マイナビクリエイターがおすすめする、Webマーケターにとっての理想の転職活動期間は、準備期間を含めて3ヵ月半。それぞれの期間に何をすべきなのかを下の図にまとめました。以降で紹介する手順やコツもこのスケジュールに沿っているので、参考にしてください。
※1 書類選考の結果は応募から1〜2週間でわかるのが一般的
※2 面接の結果は、受験後1週間以内に通知されるのが一般的。通過した場合はその翌週に次回選考が行われることが多い
※3 退職意思の伝達から実際に退職するまでには、1ヵ月程度を要するのが通常
Step.02
自己分析と実績の棚卸 - 面接でのコミュニケーションと職務経歴書の質を高めるために
スケジュールを決めたら、次に行うのは自己分析と実績の棚卸です。自己分析と実績の棚卸が、面接でのコミュニケーションの質や職務経歴書の訴求力を決定付けるといっても過言ではありません。実績重視で選考が行われる傾向があるWebマーケターにとって、非常に重要なステップといえるでしょう。自己分析と実績の棚卸のポイントを2つにまとめたので、是非、実践してみましょう。
1.転職理由がロジカルなものであるか、3回以上、自らに問い直す
自己分析の際のコツは、転職をしたい理由に対して「それはなぜなのか?」と、3回以上繰り返して自問自答してみることです。たとえば、「扱う案件の規模を大きくしたい」という理由なのであれば、「それはなぜなのか?」と自らに問いかけ、「●●だからだ」という回答ができるか確かめるのです。さらに「●●だからだ」という回答に対して、「それはなぜなのか?」と問いかけ、「▲▲だからだ」という回答ができるかを確かめます。これを、最低3回以上繰り返してみましょう。ここで大切なのは自分自身が質問者の立場に立って、3回目の最終的な答えで納得がいくかということです。
面接では必ずといっていいほど「なぜ転職をするのか」という質問を受けます。Webマーケターは常にロジカルな回答を求められるポジションです。「扱う案件の規模を大きくしたい」といった曖昧な理由では説得力がありません。事前に自らに問いかけ、明確な答えを用意しておくことで、面接でも論理的且つ明確に、転職を考えるに至った動機を回答できるようになるでしょう。
2.実績は数値ベースが当たり前。背景や重要度、規模も紐付ける
繰り返しお伝えしているように、Webマーケターの転職は実績が重要視される傾向があります。実績をアピールする際に、最も効果的なのは数字です。数字の裏付けのない曖昧な実績ほど、意味のないものはありません。実績の棚卸をする際は、必ず施策実施後の数字を書き出し、効果がひと目でわかるようにします。
ただし、Webマーケターの場合、数字の洗い出しだけでは物足りません。プラスアルファの要素として、その施策の背景や重要度、規模、クライアントなども紐付ける形で書き出しましょう。選考の際には、どれだけ重要な案件を任せられる人物なのか、どのような課題解決のアプローチをする人物なのか、どれだけ幅広い領域を担当できる人物なのかも見極められます。数字だけではわからない、施策の重要度やそこに至るロジックもまとめておきましょう。
Step.03
履歴書・職務経歴書の作成 - 自分を売り込むためのプレゼンテーション資料と考える
自己分析と実績の棚卸が終わったら、続いて履歴書・職務経歴書の作成に取りかかります。これらの応募書類は、求人情報のチェックや転職エージェントへの登録前に、しっかりとしたベースを作り上げておきましょう。といっても、さほど難しく考える必要はありません。履歴書は通常のフォーマットに沿って作成するだけでOK。Excelなどで作成しておけば、志望動機の欄などを応募する企業ごとに書き換えるだけで済みます。
実績重視の選考が行われるWebマーケターの転職活動において、職務経歴書は非常に重要な意味を持ちますが、自己分析と実績の棚卸の作業さえ済ませておけば、企業の担当者の心に響く職務経歴書を作成することは難しくないはずです。なぜなら、資料や背景調査をドキュメントに落とし込むという作業は、Webマーケターが普段から行っていることだからです。
上司やクライアントに施策提案をする際の背景・実績調査を、自己分析と実績の棚卸の結果に置き換え、自分という商品を売り込むためのプレゼンテーション資料として職務経歴書を作成すればいいのです。下に、よい職務経歴書と悪い職務経歴書の例をまとめてみました。皆さんが普段の業務で、プレゼンテーション資料やレポートを作成する際の考え方とほぼ一緒なのではないでしょうか。
よい例 | 悪い例 | |
---|---|---|
経歴に業務内容だけでなく、数値実績が記載されている | 経歴に部署や業務内容だけしか記載されていない | |
数値実績には前後の数値が明記され、規模や貢献度が明確になっている | 「数値実績●%アップ」などという記載のみで、規模や貢献度が不明瞭 | |
施策に至る背景やロジックが明記されている | 施策内容と数値が羅列されているだけで、何を訴えたいのかが不明瞭 | |
関わったクライアントの規模や商材、メンバー数などが明記されている | ||
応募する企業に合わせて、記載する実績の取捨選択が行われている |
あえてポイントを示すのであれば、よい例に挙げた「応募する企業に合わせて、記載する実績の取捨選択が行われている」という項目でしょう。採用によって解決したい課題は企業によって異なるはずです。つまり、注目する実績も多少は異なるということです。時間に余裕があるのであれば、応募前に企業ごとにカスタマイズするといいでしょう。応募する企業のカテゴリーに合わせて、何パターンかの職務経歴書を作成しておくという方法もおすすめです。
Step.04
応募企業の選定・応募 - 実績・スキルとのマッチングを冷静に見極める
応募企業の選定・応募にあたってWebマーケターが注意したいのが、自分の実績・スキルと応募企業とのマッチングです。マーケティングは、企業の業績を短期から長期にわたって大きく左右する、非常に重要な業務です。そのため、実績やスキルもシビアに判断される可能性が大きくなります。「小さなECサイトしか扱ってこなかったが、大規模動画配信サービスでマーケティングをしたい」「営業コンサルティングしか経験していないが、有名企業のWebマーケターになりたい」などと、実績・スキルとの乖離が大きな転職活動をしていると、書類選考で落ち続けるという結果になりかねません。
- 現職と応募企業が扱っている商材やジャンルに大きな乖離はないか
- 現職と応募企業の事業規模に大きな乖離はないか
- 自分の持っているスキルと応募企業での業務内容に大きな乖離はないか
といった点を冷静に分析し、現実的な判断を下すのが転職活動を成功に導くポイントといえるでしょう。
もし、あまりにも自分の現状と志望企業が求めている実績・スキルに大きなギャップがあるのであれば、転職活動を必要な能力を身に付けるためのステップとして考え直すのも賢い選択です。実際に、Webマーケティング未経験もしくは、実績・スキルが浅い人も採用している小規模のWebマーケティング会社や制作会社に転職し、そこで実績を積んで、大規模サービスのWebマーケターへと成長している人も多いのです。
未経験でも転職&成長できるWebマーケティング会社を探すには?
未経験からWebマーケターを志している人が転職先を探すなら、転職エージェントの利用をおすすめします。転職エージェントのキャリアアドバイザーは、未経験可の求人を提案してくれるのはもちろん、入社後の研修制度や勉強会の体制なども含めて、応募者が成長できる可能性の高い企業を提案してくれます。
広告代理店やコンサルティング会社、制作会社のWebマーケターの求人は、比較的、未経験者に対して門戸を開いています。また、キャリアアドバイザーは企業の内情にも詳しいため、未経験で入社した人がその後どのように活躍しているのか、働きやすい環境かといった内容の説明もすることができるのです。
Step.05
一次、二次(最終)面接 - 責任者との一次面接になることが多い。入社後のことも念頭に置いて質問を
書類選考を通過したら、いよいよ面接です。中途採用の場合は、一次面接を通過すると最終面接となる2段階方式が一般的です。ここでは、特に事業会社のWebマーケターに転職する場合の一次面接対策、二次面接対策をご紹介します。
一次面接から面接官は責任者。実績・スキルが勝負!
事業会社のWebマーケターの面接で特徴的なのは、一次面接から事業責任者など、高い役職の方が面接官になるケースが多くあることです。「まずは人柄を判断される」といったものではなく、「実績・スキルが見極められる勝負の場」と捉えたほうがいいでしょう。
コンペや経営陣に対するプレゼンテーションに挑むような心づもりで、自分という商品をどのようにアピールするのか、何を話すのかを徹底的に考えて臨んでください。最低限、以下のポイントは準備し、コミュニケーションが取れるようにしましょう。
一次面接で準備しておくべきポイント
- 応募企業が扱っている商材やそのマーケットに関する知識
- 応募企業に対して貢献度が高い自分の実績・スキル
- 職務経歴書に記載した実績の背景、プロセス、影響度
- 応募企業に入社した際のアクションプラン(仮説ベース)
ちなみに、広告代理店やコンサルティング会社、制作会社の未経験可の求人の場合は、現場責任者レベルが面接官となり、モチベーションや人柄、広告運用、Webディレクションに対する知識、スキルを判断する一次面接となるケースが多い傾向にあります。
二次面接は入社後を想定してコミュニケーションを取る
一次面接で高い役職の方が面接官となった場合、二次面接は経営陣になるのが一般的です。この際のポイントは、入社後を想定してコミュニケーションを取ること。事業会社のWebマーケティングは、基本的にコスト先行型の業務になります。その予算を決裁するのは、当然のごとく経営陣です。
経営陣がWebマーケティングに対してどの程度の理解があるのか、どのような方針を取ろうとしているのかによって、入社後の働き方は異なってきます。実績・スキルのアピールはほどほどに収め、自分と応募企業のWebマーケティングに対する姿勢のマッチングを図るために、双方向でのコミュニケーションを心がけたほうがいいでしょう。
特に注意が必要なのは、Web以外の領域をメイン事業としている会社のWebマーケターを志す場合です。経営陣のWebマーケティングに対する理解が低く、いざ入社してもほとんど施策が実施できないといったケースが存在します。せっかくの転職を有名無実なものにしないためには、経営陣や企業の方針を把握することが大切です。
まとめ - 「周到な準備」がWebマーケターの転職を成功させる秘訣
繰り返しとなりますが、Webマーケターの転職において重要なのは実績です。実績がすべてだといっても過言ではありません。企業においてWebマーケターは、それだけ重要視されており、期待値が高いポジションなのです。また、規模の大きなメディアやECサイト、動画・音楽配信サービス、メーカーなどのWebマーケターは非常に人気が高く、ライバルも多いのが現状です。
そんな中、企業に高く評価され、ライバルに差をつけるために必要となるのが周到な準備です。やる気のみの、即興での受け答えだけでは、転職活動はいばらの道となってしまうでしょう。ここまで紹介してきた5つの手順とコツは、すべて準備に関連したものばかりです。しっかりと実践し、転職活動を成功に導いていきましょう。