Webディレクターとして年収をアップさせるための3つの能力と3つのキャリアパス
そこで、この記事では、「もっとやりがいのある仕事をしたい」「もっと年収を上げたい」といった上昇志向のあるWebディレクターに向けて、具体的に一体何をすべきなのか、マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーが解説します。
キャリアアドバイザー プロフィール
Y.Tsunoda
ゲーム業界からWeb・IT業界まで、幅広くクリエイティブ業界全般を担当。前職の接客経験で培った「親しみやすさ」を武器に、機械的なヒアリングではなく、親身になった相談で『常に転職希望者に寄り添い、5年後のキャリアまで一緒に想像し、伴走していく』ことを心がけている。
Webディレクターの平均年収は「433万円」
2020年10月~2024年8月にマイナビクリエイターのエージェントサービスを利用した人の集計データによると、Webディレクターの平均年収は全体でおよそ433万円。年代別では20代が381万円、30代は483万円、40代以上で510万円となっています。Webクリエイティブ系職種の中でWebディレクターは、上流工程を担当することもあり、平均年収の高い職種の1つです。
年代別Webディレクターの平均年収
また、Webディレクターの需要は年々高まっています。企業では特に、SNSやコンテンツを利用した長期的な施策をマーケティング視点を持って実施できるWebディレクターや、バックエンド領域まで設計できるWebディレクターの採用意欲が高く、好条件の募集が多いのが現状です。
Webディレクターとして、より高い年収を獲得するために必要な3つの能力
それでは、Webディレクターの年収差は、一体何で決まるのでしょうか。それは、労働市場における価値の差にほかなりません。労働市場におけるWebディレクターの価値は、「デキるレベル」により、大きく次のような3つのランクがあると一般的に言われています。
Webディレクターの3つの「デキるレベル」
初級:クライアントの要望を最低限満たすことが「デキるレベル」
いわゆる言われたことを言われた通りの形にできる初級レベルです。しかし、クライアントの要望には一応対応していても、それに関連する「言わなくても当然」の要求に気が回らず、トラブルに発展するケースが多いレベルとも言えるでしょう。
中級:クライアントの要望に完璧な対応が「デキるレベル」
クライアントの要望意図を理解し、クライアントの期待通りのWebサイトを構築できる中級レベルです。これには、標準以上のWeb制作構築ノウハウ、Webディレクターとして少なくとも約3年以上の実務経験が必要でしょう。また、クライアントとの関係構築能力も求められます。
上級:クライアントにビジネスモデルの提案が「デキるレベル」
クライアントの要望をヒントに、Webサイトを使った新しいビジネスモデルを逆提案できる上級レベルです。企業がWebサイトを制作し、公開する目的は、「Webサイトを使った利益創出」であり、「Webサイトの公開」は手段でしかありません。Webサイトを作る根本的なクライアントの目的を理解し、共に達成するために必要なWeb技術以外の幅広い知識が必要となるでしょう。
Webディレクターは、中級でやっと一人前とされています。このレベルランクでは、いかに費用対効果の高いWebサイト制作プロジェクトをマネジメントできるか否かが「デキるディレクター」「デキないディレクター」の違いであり、この違いが年収差に繋がると言われています。上級のWebディレクターは、引く手あまたのカリスマ的存在と言えるかもしれません。
では、「デキるWebディレクター」になって高収入を得るには、どんな能力が必要なのでしょうか。それには、次のような「3つの能力」が必要だと思われます。
高収入を得るために必要な3つの能力
問題解決能力
Webサイトの制作現場では、アクシデントやトラブルがまったくないということはあり得ません。デキるWebディレクターは、これまでの経験から、アクシデントやトラブルに対する予知能力が高く、万が一それらが発生しても、想定内の事態として迅速な対応をすることができます。
ビジネスへの理解能力
先述の通り、企業がWebサイトを公開する目的は、利益創出にあります。そのためには、公開しているWebサイトは、成果が数字で見えるものでないと無意味になります。したがって、クライアントはWebディレクターに、成果が数字で見えるサイト制作を期待しています。成果が数字で見えるサイトを構築できるWebディレクターは、クライアントの事業内容、成長戦略、市場における強みなど、ビジネスへの理解力を持っているからこそ、そうしたサイトを構築できると言えます。
リスクに向き合う提案能力
たとえば、通常は半年かかるサイト制作を3ヵ月でやってほしいなど、クライアントはしばしば無茶な要求をします。無茶な要求には必ずリスクが内在します。そんなとき、デキるWebディレクターは単に「それは無理です」と拒絶するのではなく、内在するリスクを洗い出し、サイト構築によりそのリスクを上回るメリットが得られるのかを検証し、要求通りの納期で実現可能なサイトの構築をクライアントに逆提案します。デキるディレクターはリスクから逃げません。リスクと向き合い、リスクを回避、あるいはリスクを最小限にとどめて要求を実現する提案能力を持っています。
Webディレクターから年収を高める3つのキャリアパス
年収の高い同一業界同一職種の会社への転職(転社)
まずは、「同一業界同一職種への転職」です。この場合、採用側に即戦力として歓迎されるので、年収がアップするケースが多いと言われています。また、「年収の高い会社への転職=大手企業への転職」とは限りません。あくまでも、自分の労働価値を高く評価してくれる企業への転職であることがポイントになるでしょう。
たとえば「現在勤めている社員200人規模の情報システム開発会社ではWebディレクターの役割をあまり評価してくれないが、これからECサービスを開始しようとしている社員30人規模のWebサービス事業会社ではデキるWebディレクターを探しており、好条件の報酬を提示している」といった具合です。
Webディレクターとしての中長期的な労働価値の向上
2つ目は、もし「今すぐ年収アップは望めない......」ということなら、その会社を修業の場にし、ガンガン仕事をして能力を磨き、中長期的な年収アップを目指そうという考え方です。あるいは、今すぐ高年収の会社に転職するのではなく、自分の能力を磨く機会のある会社へ転職するという考え方もあります。その場合、転職で一時的に年収が下がるケースもありますが、転職先で磨いた能力を武器に、将来の年収アップに繋げることができたら、結果として生涯賃金を上げることができるでしょう。「急がば回れ」の転職と言えます。
これらは、構築したサイトを長期的に運用し、成果を出すような事業会社においても、いくつものクライアントを抱え、さまざまなジャンルのサイト構築を経験できる制作会社においても、その志向性は変わらないでしょう。
また、未経験からWebディレクターを目指すケースにおいても、このキャリア形成が一番望ましいと思われます。「未経験からWebディレクターへ転職するために必要なたった一つのこと」ページでも詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。
他職種へのステップアップ、キャリアチェンジ
3つ目は、Webディレクターのステップアップ、キャリアチェンジの道を選ぶことです。たとえば、Webディレクターから上位職のWebプロデューサーやWebマスターを目指す、独立を目指す、Web関連の起業を目指すといったことが挙げられます。
特に事業会社では、顧客管理やマーケティング、システムなどの業務推進系のノウハウを持つWeb担当者を求めています。もし、Webサイト構築の実務経験を得るのと並行して、これらのノウハウを自分なりにでも習得してきたとしたら、「Webに関わるすべてを任せられる」ポジションへとステップアップできる可能性があります。
Webディレクターのキャリアパスについては、「Webディレクターとは - 各業界におけるWebディレクターの役割」ページでも触れています。ぜひご覧ください。
まとめ
Webディレクターという職種は、入社初年度から次年度にかけて、年収50万~100万アップするという事例も多々見られように、昇給率の高い特徴を持っています。私たちキャリアアドバイザーは、Webディレクターとして転職を考える皆さまに、初年度の年収だけでなく、入社後どのくらいの昇給事例があるのかなど、面接などで質問しにくい内容について、しっかりとお伝えするようにしています。
年収アップの方法としてご紹介した「転職(転社)」「労働価値引き上げ」「キャリアチェンジ」ですが、いずれの場合も年収アップが思い通りにいかないというリスクが伴います。しかし、年収をアップしようと思うなら「リスクを恐れずチャレンジする」ことも、時には必要です。上昇志向のあるWebディレクターなら、チャレンジする価値はあるでしょう。