【例文でわかる】履歴書の志望動機の正しい書き方・評価を上げるコツ
履歴書の記入項目のうち、書くのに最も時間がかかるのが「志望動機」欄でしょう。他の項目と違って、応募企業ごとに内容を変えなければならないほか、自分の想いや考えを言語化し、短い文章にまとめるという技術も求められるからです。
本ページでは履歴書の志望動機欄の書き方のルールとあわせて、文章としてのまとめ方、採用担当者からの評価を上げるコツを、例文とともにキャリアアドバイザーが徹底的にわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
キャリアアドバイザー プロフィール
Y.Yoshimi
ECサイト運営企業やゲーム開発企業、アプリ開発関連企業への転職支援を中心に担当。Web・ゲーム業界に特化した専門性と大手企業人事部との幅広いネットワークを持ち、常に最新の情報をキャッチアップ。スピーディーな対応で最適な求人を提案することを心がけている。
目次
履歴書の志望動機を書くときのポイント
履歴書の「志望動機」欄の書き方において、第一に覚えておきたいのが「形式」です。実は採用担当者は、履歴書という書類を適切に作成できているかを内容以前に確認しているのです。形式が整っていなければ、内容の確認へと進んでもらえないリスクを負うことになります。
志望動機欄を書く際の鉄則なので、必ず覚えておいてください。
志望動機の書き方:読みやすい書式で書く
履歴書の志望動機を書くとき重要なのは、以下の4点です。採用担当者にとって「読みやすい」書式を目指しましょう。
- 欄内に無駄な余白を残さずにきれいに埋める
- 読みやすいように改行する
- 文字数は260~290文字程度でまとめる
- フォントサイズは14pt
最近では、履歴書はExcelやWordで作成するのが一般的になっています。履歴書の様式・フォーマットにはさまざまなものがあるのですが、最も平準化された履歴書様式で、ハローワークのWebサイトからダウンロードできる「厚生労働省履歴書様式例(Excel版・A4サイズ)」を使用する場合、文字数は260~290文字、フォントサイズは14ptが目安となります。
※フォントにはダウンロードできるExcelファイルにあらかじめ設定されている、「HG正楷書体-PRO」を使用しています。フォントによって適切な文字数やフォントサイズは異なります。
※「厚生労働省履歴書様式例」のA4を採用。
履歴書のテンプレートはこちらから
志望動機の書き出し:「結論」から書く
志望動機の書き出しは「結論」から書くことを意識しましょう。「志望する理由はなんですか?」の答えとなる一文をまず先にまとめるイメージです。たとえば「○○に魅力を感じ志望しました」「志望した理由は○○です」「自身の○○が御社で活かせると思い志望しました」のように、簡潔にまとめるのがおすすめです。
志望動機は採用担当者が気になる項目の1つ。目に留まる書き出しの一文で「志望度が高い」「企業にとって気になる人材」といった印象を与えることができれば、採用担当者に最後まで読んでもらえる志望動機になるでしょう。
志望動機の締めくくり:「貢献度」と「本気度」をアピールする
志望動機の締めくくりでは、「貢献できる」「役に立てる」「即戦力になる」といった、自分が入社した際の「貢献度」について伝えられるといいでしょう。その際、「○○の経験を活かし、御社の○○に貢献できる」「御社の○○な取り組みにおいて、自身の○○は即戦力になる」のように、できるだけ何がどのように貢献できるのか具体的に伝えることで企業への「本気度」をアピールできます。
また、締めくくりで伝えたことは、選考におけるその人の印象として残りやすいため、定型文で安易に済ますことなく、オリジナリティを意識し自分の強みとその活かし方について言及できるといいでしょう。
履歴書の志望動機に書くべき内容
履歴書に志望動機を書くときのポイントは「採用担当者が何を知りたいか」から、書くべきことを逆算することです。
採用担当者が知りたいのは、「なぜ自社を選んで応募してくれたのか」「やりたいことが自社で実現できそうか」「自社での業務にマッチするスキル・経験を持っているか」「自社での業務や役割を正しく理解しているか」の4点。応募者目線の言葉にすると、書くべきことは以下のよう言い換えられます。
- 他の会社ではなく、「応募企業を選んでいる理由」
- 応募先の企業で「携わりたい仕事」、「実現したい働き方」
- 現時点で「保有しているスキル」、応募先企業で「役立てられる経験」
- 応募先企業の業務に「どのような貢献ができるのか、したいのか」
この4点を書くことができれば、採用担当者に評価されやすい志望動機欄の文章が仕上がります。
履歴書の志望動機欄の正しい書き方(サンプル)
1他の会社ではなく、「応募企業を選んでいる理由」を書く
重要なのは「他社ではなく」という点です。応募企業でなければならない理由をできるだけ具体的に書きましょう。もし、具体的な理由が思い浮かばない場合は、同業種の企業、同業界の企業と比べてみて、何が自分にとって魅力的だったかを考えてみるとよいでしょう。比較対象を作ることで、明確に意識できていない応募企業を選んだ理由を見つけやすくなります。
2応募先の企業で「携わりたい仕事」、「実現したい働き方」を書く
応募先の企業で何をしたいかをはっきりと書けないときは、自分が転職をする理由を考えてみるのがよいでしょう。転職をするという決断をした裏側には、現在の職場では実現できない何かを成し遂げるためという理由があるはずだからです。現職・前職に抱いていた不満こそが、次の職場で実現したいことであるケースが少なくありません。
3現時点で「保有しているスキル」、応募先企業で「役立てられる経験」を書く
それまでに携わってきた業務で手に入れたスキルや知見を洗い出してみましょう。箇条書きでも構いません。そのうえで、募集要項に記載されている業務をしっかりと読みます。洗い出したスキル・知見と、募集要項に書かれている業務内容を照らし合わせるだけで、志望動機欄に書くべき内容は明確になるはずです。
4応募先企業の業務に「どのような貢献ができるのか、したいのか」を書く
募集要項には多くの場合、業務内容や担当するミッションが書かれています。しっかりと読んで理解し、自分の言葉に言い換えましょう。自身が持っているスキル・知見と結び付けて書くことができれば、業務理解があるうえで応募したことが伝わりやすくなります。
採用担当者は何を見ている?プロのアドバイス
応募者の方にぜひ知っていていただきたいのが、志望動機欄は「加点要素にはなりづらいが、減点要素にはなりやすい」ということです。
つまり、ここまで紹介してきた志望動機欄の書き方が実践できていたとしても転職活動において大きなプラス評価は期待できず、不備があればビジネスパーソンとしての資質や応募の本気度を疑われてしまうなど、マイナス評価に繋がりやすいのです。ですから履歴書の志望動機欄を書く際は、できるだけ減点要素を作らないという意識を持って臨みましょう。
未経験者・第二新卒採用の志望動機の例文
ここからはより具体的な例文を見ていきましょう。まずは「未経験者・第二新卒採用」の志望動機の例文をご紹介します。
未経験者・第二新卒の人が志望動機を書く際のポイントは2点。ひとつは企業研究をしっかり行うこと。未経験者は具体的な業務理解が経験者には及びません。だからこそ応募先の企業に詳しくなり、応募する理由を詳細に語れるようになっておいたほうがよいのです。
もうひとつは、未経験であっても、活かせるスキルや知見があるということを認識すること。「未経験だからスキルについては書けない」とあきらめるのは禁物です。コミュニケーションスキル、作業の正確さ、スケジュール管理など、どんな職種でも活用できるスキルはたくさんあります。ぜひ積極的に書いてください。
Webディレクターに転職する場合の志望動機
貴社の社員インタビューで拝見した「Webディレクションは仲間とクライアントの笑顔を作る仕事」という言葉に惹かれて貴社の社員募集に応募しております。現職の営業職でも、やりがいを感じるのはお客様の笑顔を見られた瞬間だからです。貴社Webサイトに掲載されている制作事例からも徹底した顧客視点を感じました。
実務未経験ではありますが、個人でブログ運営をしており、Web広告やSEOについては一定の知識を持っております。営業職で培ったコミュニケーション能力を活かし、社内メンバーとクライアントの懸け橋となるようなWebディレクターを目指したいと考えておりますので、ご選考のほどよろしくお願いいたします。
Webデザイナーに転職する場合の志望動機
「地場の温かみ」をモットーに、地域密着で県内企業の支援をされている貴社のWebデザイナー職を志望しております。現職で観光案内所の接客業務に携わっているのですが、地域の良さを多くの人に伝えるためには、WebでのPRにより注力すべきだと実感しているからです。
現在はオンラインスクールでWebデザインとWebマーケティングについて学び、実務経験はありませんが、PhotoShopやAdobe XD、Figmaなどのデザインツールも使用可能です。接客業で身に付けたヒアリングスキルを活かし、クライアントにとって最適な提案ができるデザイナーへと成長していきたいと考えております。
フロントエンドエンジニアに転職する場合の志望動機
ECサイトからBtoBのオウンドメディアまで制作実績がバリエーションに富んでいること、未経験者の受け入れ態勢が整っていること、この2点が貴社への志望動機です。現職でCMSを活用したWebサイト運用に携わっていますが、あくまで独学であり、専門的なスキルを高めるには幅広いジャンルのWebサービスでの実務経験が必要であると考えているからです。
現職の事務職兼Web運用で培った、作業のスピードと正確性には自信があります。アシスタント業務でいち早く皆様の信頼を得て、エンジニアとして戦力になれるよう業務に邁進してまいりますので、面接選考の機会をいただけますようお願い申し上げます。
サーバーエンジニアに転職する場合の志望動機
Webサイトに掲載されている導入事例で、大規模案件における貴社の信頼度の高さを知り、貴社を志望しております。サーバーの保守・運用に必要なのは信頼性であると考えており、貴社で実務に携わることによって、品質の高いサービスを提供できるサーバーエンジニアになれると感じたからです。
現職は営業職に就いておりますが、エンジニアスクールに通い、AWSの構築・保守について学んでまいりました。実務経験はないものの、貴社サービスの多くを占めるAWSの保守について知識を持っており、営業職で培ったコミュニケーションスキルはクライアントワークに役立てられると考えております。選考のほどよろしくお願いいたします。
経験者・キャリア採用の志望動機の例文
続いては、「経験者・キャリア採用」の志望動機の例文をご紹介します。
経験者・キャリア採用の場合の志望動機で重要視されるのは、スキル・知見と業務理解に基づいた成果への目標設定です。できるだけ具体的に書くことをおすすめします。
Webディレクターに転職する場合の志望動機(制作会社から事業会社への転職)
マスメディア、SNSとの連携に強みを持つ貴社のマーケティング戦略に魅力を感じて、貴社を志望しております。デジタルマーケティングにおいて、認知から顧客とのエンゲージメントまでを一貫してプロデュースすることが重要であると感じており、貴社に身を置くことでそれを実践できると考えているからです。
現職ではリスティング広告運用とLP改善によるCVRの向上を主業務としつつも、YouTube動画広告、Instagramアカウントの運用といった新たな施策にもチャレンジしてまいりました。貴社においては広告施策の改善を端緒としつつ、より広い領域への挑戦によって、成果を創出していきたいと考えております。
Webディレクターに転職する場合の志望動機(事業会社から制作会社への転職)
LPO、CRO分野での豊富な実績に加え、広告運用も事業領域とされている点に惹かれ、貴社を志望しております。現職の経験で、Webマーケティングの主役は広告によるCVの最大化であると実感しており、貴社の業務に携わること、業務の中でスキルを磨くことが、自身のキャリア構築に有益だと考えたからです。
現職で担当した自社LPの改善では、年間でCVR189%改善を実現いたしました。貴社も支援されている金融領域のLP改善においては、即戦力として実務にあたれると考えております。得意領域を活かしつつ、他業種に対する知見も吸収し、貴社に貢献してまいりますので、ご選考のほどよろしくお願いいたします。
Webデザイナーに転職する場合の志望動機
現職でさまざまなクライアントの案件に携わる中で非常に興味深かったのが、Webデザインとブランドとの関係でした。貴社のWebサイト、ツールのUI/UX、デザインはブランドそのものを体現していると感じており、貴社であればブランディングと融合されたWebデザインを実践できると考え、貴社を志望しています。
現職では、Webサイトの新規構築から広告LP、バナー制作までを幅広く担当しています。少人数チームでのデザイン業務にもフレキシブルに対応可能です。貴社のデザインレギュレーションや方針をいち早くキャッチアップし、即戦力として活躍できるよう業務に邁進しますので、選考のほどよろしくお願いいたします。
フロントエンドエンジニアに転職する場合の志望動機(制作会社から事業会社への転職)
サービスの企画段階からフロントエンド開発に携わりたいと考え、貴社を志望しております。貴社サービス「●●●●」はUI/UX設計にフロントエンドエンジニアが深く関わっていたとうかがったことが、入社を志望する決め手となりました。
現職はクライアント向けのフロントエンド開発をしており、HTML、CSS、JavaScriptのほか、Vue.js、Reactといったモダンな開発環境での開発も10件以上経験しております。貴社でのReactによる開発業務にもスピーディに適応できるはずです。これまでの経験を生かして貴社に貢献していきたいと存じますので、ご選考のほど何卒よろしくお願いいたします。
フロントエンドエンジニアに転職する場合の志望動機(事業会社から制作会社への転職)
先進的な技術を扱える環境に身を置きたいと考え、貴社を志望しております。現職での業務は、20年前に開発した独自CMSの制限下で行われることがほとんどで、実務で新しい技術に触れることが困難でした。貴社はReactを用いた開発をメインとし、さらにはAIと連携したソリューションの提供にも着手しております。フロントエンド開発はもちろん、エンジニアスキルを活用した事業開発にも挑戦できると考えたのです。
現職での経験で、顧客データベースとの連携が必要なサイト、セキュリティが重視されるWebアプリケーションの開発は得意としています。いち早く貴社に貢献できるよう尽力いたしますので、よろしくお願いいたします。
サーバーエンジニアに転職する場合の志望動機
より事業との距離が近いサーバーエンジニアとして活躍したいと考え、貴社を志望しました。また貴社は、昨年に決済、ポイントサービスのグループ間連携を開始しており、より挑戦的かつ高度なシステム開発に携われる点にも魅力を感じています。
現職では、大手流通企業や官公庁などの規模の大きな案件を主に担当しており、データベースやセキュリティ領域のエンジニアリングにも携わってきました。貴社においても、サーバーサイドに限定することなく、より横断的にインフラサイドを担当できるエンジニアとして事業に貢献していきたいと考えております。
履歴書の志望動機欄で注意すべきNG例
ここまでは志望動機欄の正しい書き方、プラス評価に繋がりやすい内容について詳しく見てきました。一方で、注意が必要なNG志望動機というものも存在します。改めて整理しておきましょう。
空欄になっている、過剰に余白がある
履歴書に志望動機欄がある以上、「書く」ことが大前提です。空欄になっていたり、スペースを埋められていなかったりすると、漏れ、手抜きとみなされても仕方がありません。大きなマイナス評価に繋がる可能性があります。必ずしっかりと書いてください。
やりたい仕事が具体的・限定的すぎる
入社後にやりたいことが具体的に書かれているのはよいことです。ただし、具体的すぎる、限定的すぎるのは禁物。「この仕事以外はやりたくない」というイメージを持たれるような書き方をすると、かえってマイナスに働くことがあります。応募企業で実現したい姿があることをアピールしつつも、企業の事情に合わせて対応できる柔軟性を失わないようにしましょう。
主体的な志望動機ではない
転職活動においては、多くの企業に応募するのが当然です。中にはどうしても具体的な志望動機を書けないということがあるでしょう。だからといって、「社風に惹かれたから」「転職エージェントで紹介されたから」などといった、定型文的なもの、主体的ではない志望動機はNGです。最終面接時に履歴書を提出する場合には、応募の本気度を疑われ、それだけで不合格になる可能性も否定できません。
福利厚生や待遇へのこだわりばかりが書かれている
志望動機で、福利厚生の充実度や待遇のよさに言及することが悪いことではありません。ただし、そればかりを強調しすぎるのは禁物です。志望動機はあくまで「なぜ入社したいのか」「どのように働き、貢献できるのか」をアピールするもの。企業に要求を突きつけるためのものではないからです。
学ばせてもらう、経験させてもらうという姿勢が強い
未経験者の場合、転職はチャレンジであり、実務を通して学ぶという姿勢は必須です。しかし、仕事である以上、実務での成果もセットであることを忘れないでください。学ばなければいけない部分、現時点でも貢献できる部分を明確にし、後者を強調するように書くことをおすすめします。
履歴書に書く志望動機のQ&A
Q.1志望動機の使い回しはばれる?NG?
複数の応募企業に対して志望動機の使い回しをすると、高い確率で採用担当者に見破られてしまいます。その企業だけに向けた志望動機を書いているライバルと比べたときに、どうしてもあいまいさや募集要項への理解不足が目立ってしまうのです。使い回しはばれる、大きなマイナス評価になると肝に銘じて、一社ごとに丁寧に書きましょう。
Q.2AIに志望動機を書いてもらってもいい?
志望動機は自分の考えや想いを伝えるものであるという観点でNGですし、作業効率の面でもおすすめできません。AIの回答は個人に最適化されたものではないので、どうしても不明瞭なものになり、修正するほうが時間を要するケースが多いのです。まずは自分で書いてみましょう。
そのうえで、どうしても言語化できないことに対してリライトのアイデアをもらったり、企業研究のサポートをしてもらったりする程度ならば活用してもいいでしょう。ただし、最終的に仕上げるのは自分自身の仕事です。
Q.3面接で話す志望動機と履歴書の志望動機は統一したほうがいい?
統一されていても、異なっていても構いません。履歴書の志望動機欄に書く内容は、短く端的にまとめなければならないほか、形式的な側面があるため、自分の想いを伝えきれないケースがほとんどです。面接の時間を使って、より具体的に伝えたい想いがあるなら、履歴書に書いたことにこだわらずに伝えきるのがよいでしょう。