Webディレクターの転職で志望動機はどう書く?例文とNG例、よくある質問

Webサイトの構築や運用には欠かせない存在であるWebディレクター。Webディレクターとして転職活動を行う際には、経験者・未経験者を問わず、書類審査や面接の際に志望動機を尋ねられます。

この記事では、Webディレクター志望動機で大切な3つの点について解説するとともに、目指すWebディレクターの種類別の例文、志望動機のNG例やよくあるご質問も紹介します。

目次

Webディレクターが志望動機を書く前に確認すべき3つのこと

Webディレクターが転職に向けて志望動機を書く際に大切なことは、「1ディレクターの種類を理解し、自身のこれまでの経験や生かせるスキルを棚卸しする 2自分の経験を数値化する 3将来のビジョン、Will、Can、Mustを押さえる」という3点です。ここが言語化できていないと面接の通過率が落ちてしまうこともあるため、じっくりと考えて書きましょう。自分の強みと将来のビジョンを考えながら志望動機をまとめることができれば、キャリアプランのブラッシュアップにも繋がるはずです。

1 Webディレクターの種類を理解し、自身のこれまでの経験や生かせるスキルを棚卸しする

志望動機の書き方は、応募先の企業がどのような事業を行っているのか、また、自分自身にどのようなスキルや特性があり、今後どのようなキャリアを積んでいきたいのかなどによって変わってきます。そのため、志望理由を書き始める前に、まずはWebディレクターにどのような種類があるのかを理解し、自分自身のこれまでの経験や身に付けてきたスキルを棚卸しして、応募先の企業で生かせそうなスキルや経験を洗い出してみましょう。

応募先の企業でどのようなWebディレクターとして活躍したいのか、目指す将来像をあらかじめ想定しておくことで、しっかりとしたロジックのある志望動機を書くことができます。以下を参考に考えてみてください。

企画寄りのWebディレクター

Webサイト制作の初期段階において、クライアントにヒアリングをしてサイトの企画を立て、提案するといった工程を主に担うのが、企画寄りのWebディレクターです。企画提案をする際に必要なのは、明確な根拠を持って論理的に企画を考える力や、クライアントのニーズを具体的なプランに落とし込むことができる、シナリオ作成能力です。そのため、志望動機においては、志望先企業の得意とする業界や業務内容についてどれだけ理解できているかといった点や、これまでの職歴におけるクライアントへの提案経験などを見られます。

あなたが企画寄りのWebディレクターを目指しているのであれば、たとえばクライアントの業界や企業を研究した経験、企画提案の際に先方が稟議を上げやすいよう工夫した経験などを棚卸ししてみてください。もし未経験でWebディレクターを目指している場合は、インターネット上に公開されている著名なWebディレクターの企画書などを数多く読んで業務への知見を深め、これまでの仕事で培ってきたスキルや経験が志望先の企業でどのように生かせるかを考えてみましょう。

運用寄りのWebディレクター

サイト公開後の改善や日々の更新など、Webサイトのメンテンナンスを主に担うのが、運用寄りのWebディレクターです。運用のディレクション業務で重要なのは課題管理能力です。課題管理とは、たとえば並行して走っているタスクの期日管理やプライオリティ把握、いま進めているタスクが後工程のどのタスクに繋がっていくのか等を理解すること。そのうえで関係者とコミュニケーションを取りながら遅滞なく着実に業務を進め、サイトの安定運用を可能にすることが求められます。

運用寄りのWebディレクターを目指すのであれば、Webサイト運用の課題管理に携わった経験を中心に棚卸ししてみましょう。また、Webディレクター業務未経験の場合は、これまでの仕事において業務のスムーズな進行のためにチームメンバーとのコミュニケーションに力を入れた経験や、クライアントとの信頼関係づくりに向けた努力、業務の進捗報告における工夫などを洗い出してみてください。

制作寄りのWebディレクター

Webサイト制作の現場において、クライアントと制作スタッフの間に立って進行管理を主に担うのが、制作寄りのWebディレクターです。社内と社外の両面で関係者とのコミュニケーションをとる機会が多いため、制作に関する知識や制作スタッフの技術に対する理解度はもちろんのこと、高度なコミュニケーション能力が必要とされます。

転職で制作寄りのWebディレクターを目指す場合は、これまで手がけた案件で関係各所への改善依頼などの際にどのようなコミュニケーションをしてきたか、効率的かつ柔軟な制作進行のためにどのようなツールを使ってどのような工夫や配慮をしてきたかなどを棚卸ししてみましょう。未経験からWebディレクターを目指す場合は、仕事において関係者とスムーズな意思疎通を行うために、いかに相手のことを理解し、コミュニケーションでどんな工夫をしてきたかなどを振り返ってみましょう。

2 自分の経験を数値化する

これまでの経験や身に付けてきたスキルの棚卸しができたら、次は自分の経験を数値で表してみましょう。出来上がったWebサイトは目に見えるものとして残っていても、Webディレクターの業務がそこにどのように貢献したのかは見えません。そのため、どのような案件にどのように携わってきたのかを具体的に説明できないことには、企業の側はあなたがどの程度のスキルや経験を持っているのかを理解することができないのです。

志望動機の中に自分の実績を交えるときには、「大型案件に多数携わってきました」など漠然と記載するのではなく、〇〇人規模のチームをディレクションした、制作したECサイトが月商〇〇万円を達成した、月間〇〇万PVのサイトを〇〇か月間運用した、予算規模〇百万円のサイトリニューアルを企画した、サイト改善でコンバージョンを〇〇%向上した、など、自分の力量をアピールできる具体的な数値を挙げられるようにしておきましょう。

3 将来のビジョン、Will、Can、Mustを押さえる

応募者の将来のビジョンは、企業が採用の判断をする際に重要な情報です。志望動機から企業が知りたいのは、「この人を採用したら自社でどのように活躍してくれるのか」ということ。これに応えるためには、あなたがどのようなWebディレクターを目指し、これまで身に付けてきたことをどのように役立てて応募先企業に貢献していけるのか、将来のビジョンを明確にしておく必要があります。

将来のキャリアビジョンを描く際には「Will、Can、Must」の3点を押さえるのがポイントです。Willは自分が仕事を通じて将来実現したいことや、やってみたい仕事、なりたい将来の姿。Canは、12で説明してきたようなこれまでの経験を元に、自分が今できることを指します。それに加えて考えるべき「Must」とは、Willを実現するために自分が今後どのような経験をしてどのようなスキルを身に付けていくべきなのか、ということです。これらを軸に自分の経験やスキルを点検し、将来のビジョンを考えましょう。

すぐに使える、志望動機の例文

ここまでで、志望動機を書く前に大切な3つのことについて理解いただけたでしょうか。「Will、Can、Must」を押さえて将来のビジョンを描き、志望先企業の事業内容もしっかり踏まえて「自分がどのようなWebディレクターを目指すのか」が決まったら、いよいよ志望動機を書き始めましょう。

ここでは、志望動機の例文を、目指すWebディレクターのタイプごとに、Webディレクター経験者の場合、未経験者の場合に分けてご紹介していきます。

企画寄りのディレクター

企画寄りのディレクターとして志望動機を書く際は、まず、あなたの考える「企画」がどのようなものなのかを言語化し、明確にしてみましょう。要素としては、なぜ企画の仕事をしたいと考えるようになったのか、これまでの経験の中でクライアントの課題の抽出や企画の提案にどのように携わってきたのかなどが入ります。そのうえで、企画に対する興味や経験を今後転職先でどう生かしていくのか、採用側が具体的にイメージできるような志望動機になっていることが大切です。

例)経験者の場合

貴社の事業に関心を持ったきっかけは、世の中で評価の高いさまざまなサイトを研究する中で、とくに貴社の手がけるサイトの設計思想に共感を覚えたことです。

私は今年の3月まで教育系事業会社の広報部門で自社サイト運用のディレクションを担当していました。ユーザー調査の結果をもとに自社サイトの大規模リニューアルを行い、アクセス数2倍、サイトからの問い合わせ数3倍を実現した経験を経て、ユーザー目線でのコンセプト開発の重要性を認識し、もっとWebに関する専門性を高めてWeb制作の分野でキャリアを築いていきたいと考えるようになりました。UXに関して業界でも最先端の取り組みを行っている貴社で、これまでの経験も生かしながら、積極的に新しい知見を吸収し、貢献していきたいと考えています。

例)未経験の場合

私は現在オフィス用品販売会社で、営業事務の仕事をしています。社内で顧客への情報発信に向けたブログの運営や、SNS上の顧客向けコミュニティ運営、コミュニティ会員向けのリアルイベント開催などを提案・実現する中で、Webを使ったコンテンツやコミュニティ作りに面白さを感じるようになり、転職活動を始めました。

地域密着型で、顔の見えるリアルの関係を大切にしながら、Webを使って顧客企業のポテンシャルを最大限に引き出すという貴社の事業姿勢には、非常に共感を覚えております。営業事務の仕事ではA県西部の中小〜中堅企業約100社と関わり、コミュニティ参加企業のリピート率20%向上という実績を出してきました。これまでに培った提案力やビジネス知識も生かしながら、ぜひ貴社の一員として地域のビジネスを盛り上げていきたいです。

運用寄りのディレクター

運用寄りのディレクターが志望動機でアピールすべき点は「分析力」です。Webディレクター経験者であればWebサイトのKPI設計や効果測定、サイトの改善提案などの経験や、PDCAを回すためにクライアントや制作スタッフとのコミュニケーションで工夫してきた点など。未経験者の場合でも、これまでにWebサイト以外のサービスやプロダクトのPDCAを回して改善してきた経験があれば、それをどのように今後の仕事に生かしていくか、具体的に書けるとよいでしょう。

例)経験者の場合

私は、テクニカルサポートサイトの構築を得意とする制作会社で5年間、Webディレクションの仕事をしてきました。家電や産業機器、クラウドサービスなど、BtoBとBtoCの両方において、7件の新規サイト構築、20件の既存サイト運用を経験しています。今後は製品購入の入り口となる顧客体験を創り出すサイトを手がけたてみたいという動機から、ECサイトの構築・運用を専門とする貴社の求人に応募しました。

これまでサポートサイトを手がける中で、ユーザーの導線分析をもとにしたサイト改善や動画マニュアル、AIチャットの導入等で、メールの問い合わせ数を最大70%削減した実績があり、この経験はECサイトにも生かすことができると考えています。「作って終わりではなく、Webサイトを進化させる」という貴社のポリシーに非常に共感しており、ぜひその進化の一端を担って貴社ならびにクライアント企業の成長に貢献したいと考えています。

例)未経験の場合

私は現在、不動産管理会社の総務部門で働いており、業務の一環としてWordPressを使って自社サイトの更新業務(お知らせの投稿)を担当しています。業務での経験と、自分自身が引っ越しの際にさまざまな物件情報サイトを利用した体験を通じてWebメディアの重要性に関心を持ち、就業後や休日を使って●●スクールのWebディレクターコースを修了しました。貴社のオウンドメディアは業務上の関心から日頃チェックしており、不動産業界で培った業界知識も生かせるのではないかと感じてこのたび応募しました。

Web業界での経験はありませんが、全社員に関わるタスクが常に平行して多数走っている総務の仕事を通じて、タスク管理・調整能力は鍛えられており、私が提案した業務プロセス改善によって総務部全体で年間200時間を効率化した実績もあります。ぜひ貴社メディア運用にWebディレクターとして携わり、よりユーザーに役立ち、成果の上がるサイトを作っていきたいです。

制作寄りのディレクター

制作寄りのディレクターとして重要な点は、限られた期間内で納品するディレクションスキルや仕事のスピード感です。なぜあなたが制作寄りのディレクターになりたいのか、向いていると思うのかについて書きましょう。また、さまざまな業界のクライアントに関わった経験や、さまざまなタイプのWebサイトを手がけた経験もアピールポイントになります。Web業界未経験者、経験が浅い場合は、別業界での経験が業界理解に繋がることをアピールできるとよいでしょう。

例)経験者の場合

私は新卒で制作会社に入社しWebデザイナーとして3年、Webディレクターとして2年の実務経験があります。現在の会社は官公庁や学校法人、医療法人など公的な分野のクライアントを得意とする会社なのですが、より幅広い業界の案件を手がけてスキルアップしたいと考え、ファッション・アパレル関連でデザイン性の高いサイトを多数手がける貴社の求人に応募しました。

私はクリエイティブ領域のディレクションを特に得意としています。●●市役所のサイトリニューアルでは社内外の10名からなるクリエイティブチームを束ね、市役所のイメージを一新するデザイン戦略によって〇〇〇賞を受賞しました。大規模サイト制作のディレクション経験や、クライアント都合による急な変更等に対応する調整能力は貴社の仕事においても役立つと考えております。貴社の一員として、クライアントのブランドイメージを表現するだけでなく、ユーザーの心に残り、よりブランド価値を高めるような体験を提供できるサイトを実現していきたいです。

例)未経験の場合

貴社に応募した動機は、私自身がWeb広告に関連する制作の仕事をしたいと感じていたこと、また、異業界からの転職を広く受け入れてイノベーションに繋げている貴社の人材採用方針に共感したことです。

私は前職ではレストランチェーンのエリア支社で4年間、販促支援の仕事をしていました。その中で、販促費の内訳も費用対効果も、Webの割合が右肩上がりに高まるのを目撃し、成長するWeb広告業界で働いてみたいと考えるようになりました。Web業界は未経験ですが、社内外の関係者を巻き込んだプロジェクト推進の経験や、販促施策の費用対効果分析など業務のPDCAを回してきた経験はWebディレクションの仕事にも生かせるのではないかと考えております。

Web広告やLP制作に強みを持つ貴社で、企業側の担当者としての経験も生かしながら、ユーザーに響く広告やサイト制作を世の中に届けるディレクターとしてキャリアを積んでいきたいです。

こんな志望動機はNG

ここまでで、志望動機の書き方のイメージはつかめたでしょうか?次に、Webディレクターへの転職希望者の志望動機でありがちな、2つのNG例をご紹介します。志望動機が書けたら、必ずこの2点を意識して見直してみてください。

企業とスコープが合っていない

1つ目のNG例は、志望動機の中でアピールされているスキルが、企業側の求めるものと合っていないケースです。

たとえば、応募先の制作会社がエンターテインメント系のサイト企画経験やIP(知的財産)に関する知識を求めているのに、志望動機でWebアプリ制作のディレクション経験を前面に出す。制作に関する高い知見を求められているのに、マーケティングのスキルを強くアピールするなどです。また、ゲームやアニメ系のコンテンツを手がける企業に対して志望動機で「ファン視点」の強さをアピールするのもよくあるケースですが、これも企業が求めている人材像とずれている可能性があります。

Webディレクターは、求められるスキルが企業によって大きく異なります。そのため、応募先の企業の事業内容をしっかり理解して、企業が求めるスキルセットと自分の持っているスキル・経験の重なる部分をアピールしましょう。

スキルアップ以外に視点がない

自分自身のスキルアップにばかり視点が向いている志望動機もNGです。

グローバルな案件に携わるために英語のスキルを伸ばしたい、効率的に案件を進行させるためにファシリテーションスキルを伸ばしたい、交渉力を鍛えるために経験を積みたいなど、向上心を持つこと自体は決して悪いことではありません。しかし、スキルを向上することで応募先の企業にどう貢献するかという視点を感じられなければ「うちの会社はスキルアップのための通過点なのか?」「ほかの企業でもよかったのでは?」と思われてしまう可能性があります。

自分の伸ばしたいスキルと応募先企業の事業との間の接点を見極めて、「貴社のこういった課題を解決したい、そのために、今の自分にはまだ足りない○○のスキルを伸ばしながら貢献していきたい」といった見せ方をしましょう。

志望動機に関するよくある質問

Webディレクターの転職で志望動機を書く際に大切なポイントや注意点について、理解いただけたでしょうか。最後に、Webディレクターの志望動機について、キャリアコンサルタントが転職希望者からよく受ける質問についてご紹介します。

Q.1そもそも志望動機は見てくれるものなのでしょうか?

企業の採用担当者は、応募書類の志望動機をしっかり読んでいます。なぜなら、企業が採用活動をする際にはそれなりのコストがかかるため、採用した人材が自社のカラーに合わなかったり、入社してもすぐに辞めたりしては困るからです。

企業の担当者が志望動機を読む際は、その人の実績だけでなく、熱意や人柄を見ています。たとえ数多くの実績のある人材が応募してきたとしても、志望動機からその人が自社を通過点としか見ていないように感じられたら、採用には慎重になるでしょう。たとえ目立った実績を持っていなかったとしても、応募先企業に対する自分の熱意や、自分自身がどんな人間なのかを志望動機に書くことは、企業からの注目を高めるうえでとても重要なのです。

Q.2異業界に転職する場合にはどんなところを見られますか?

異業界の企業への転職を希望する応募者に対して、採用担当者がまず思うのは「なぜこの業界を希望しているのか?」ということでしょう。そのため、志望動機を書くときには、あなたがその業界に興味をもったきっかけや、その業界で何をしたいのかについて明確に言語化できるようにしましょう。

個人的に仕事の幅を広げたい、スキルアップしたい、または前の業界が合わなかったなど理由はいろいろあると思いますが、「その企業に応募する必然性」が感じられるようなポジティブな理由を挙げられるとよいでしょう。そのうえで、応募先の企業にどのように貢献していきたいのかを具体的にイメージして書いていきましょう。

まとめ

Webディレクターへの転職で採用担当者に響く志望動機を書くには、自分の経験やスキルを棚卸しして自分の目指すキャリアに当てはめること、そして企業が求める人材像のスコープに合わせて自分の経験をアピールすることが大切です。これらのポイントは、Webディレクターの経験者、未経験者、異業界への転職かどうかを問わず共通しています。まずは応募先の企業について理解を深め、自分のこれまでのキャリアや目指す将来像との接点を探りながら、あなたの熱意がしっかりと伝わる志望動機を作成してみてください。

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