実績を残してから再始動!ロジカルな転職活動で事業会社のマーケターへ ―― 石谷悠太さん(27歳・男性)

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前職
Web制作会社
Webマーケター・Webアナリスト
現職
株式会社バンダイ
Webマーケター・Webプロモーター

取材日時:2020/12/23 15:00 取材場所:株式会社BANDAI SPIRITS 本社

石谷悠太さん(27歳・男性)
マイナビクリエイターの転職エージェントサービスを活用し、商品・サービスのグロースに長く携わりたいとの思いで、Web制作会社のマーケターから、株式会社バンダイのWebマーケターに転職。

マーケターのキャリアアップには、さまざまな業界に精通し、“外側”からコンサル的に関わっていく道と、1つの企業に深く入り込み、そのプロダクトやサービスに寄り添い、“内側”から関わっていく道がある。石谷さんが選んだのは後者。商品を自分の手で最後まで届ける実感を求めての転職だった。

しかし、いざ転職活動のための情報収集をしてみると、自身の知識やスキル、実績の足りなさを痛感したという。そんな中、石谷さんはどのような転職活動を展開していったのか。第一志望の企業への転職を成功に導いたロジカルな戦略について伺った。

転職までの時系列

2018年08月 マイナビクリエイター含め、複数の転職エージェントから、求人票を取り寄せ、自分の市場価値を測る
2019年09月 転職活動を本格化。媒体で求人情報を収集し始める
2019年10月 マイナビクリエイターからバンダイにエントリー。書類選考を通過。1次面接に進む
2019年11月 2次面接を通過
2019年12月 テストセンターでSPI試験
2020年01月 最終面接通過。内定を獲得
2020年03月末 前職のWeb制作会社を退職
2020年04月 バンダイ入社

上記は石谷さんの場合(通常の中途採用は、約2ヵ月程度で書類選考〜最終面接まで行われる)

株式会社バンダイ、株式会社BANDAI SPIRITSは、株式会社バンダイでの一括採用となる

こだわった転職条件

MUST ・マーケターとしてのキャリアを活かせること
・商品やサービスのグロースに関われること
WANT ・向上心のあるメンバーと刺激し合えること
・アニメやゲームに関われること
・社員の人柄がよいこと
・ワークライフバランスを重視できる環境

求められる人材とは?自らの市場価値を確認しながら始まった転職活動

── まずは石谷さんが転職を考えた経緯を教えてください。

石谷さん:前職はWeb制作会社で、Webマーケティング部門に所属しており、クライアントのWebサイトへ流入してきたユーザーの行動分析や、それをもとにした改善などが主な業務でした。Web広告、SEO、Web解析の3つの領域にまんべんなく関われたことは、貴重な経験だったと思います。ただ、クライアントワークなので、さまざまな案件に携われるのはおもしろかったのですが、1つの案件に深く関われない場合がほとんど。スポットのコンサルのみで終わってしまい、すぐ次の案件に取りかからなければならないこともありました。

そんな中、継続的に担当した案件で半期ごとの施策を立て、成果を出せたものがあって。1つの案件に長く携わることで味わえる試行錯誤や、自分が考えた施策によって、地道に成果が出てくることを体感できることが自分の中でとても楽しく感じられたんです。それからは徐々に「今までの経験を活かし、Webマーケターとして代理店という枠ではなく、事業会社に入ってグロースに携わりたい」という思いが募るようになっていきました。

── 新しくやってみたいことが見つかって、転職を意識し始めたのはいつ頃ですか?

石谷さん:入社3年を過ぎた2018年です。ただ、正直なところ3年ほどWeb広告やSEOをやったからといって、そのスキルや経験がどこまで評価されるかわかりませんでした。そこで、マイナビクリエイターを含め何社かの転職エージェントに登録し、今の自分のレベルで、自分のやりたいことができる企業はあるのか、相談してみました。

── 実際に相談してみて、当時のご自身の市場価値に手応えは感じましたか。

石谷さん:いいえ、自分の実力が足りないと感じました。

まず、Webマーケティングに関わるうえで必要な広告メニューに関する知識以外に、どういった戦略で広告を配信すれば効果を最大限に発揮できるのかといった戦略面に関する知見やロジカルな思考が自分にはまだ欠けていると感じました。それらを活かした、面接で自信を持って話せるような実績がほとんどなかったんです。もっと普段の業務から結果を残すことを意識しなければならないと痛感しました。

そこで、すぐ転職するのではなく、まずはあと1〜2年、この場所でやるべきことをやろうと決意し、キャリアと実績を積むことに力を入れることにしました。具体的には、わからないことを積極的に上司に質問したり、外部のセミナーに参加したり、本を読んだり……普遍的な概念を学ぶ一方で、学んだことをアウトプットするために、クライアントの広告運用に取り入れ、トライ&エラーを繰り返しましたね。そうやって戦略の考え方を自分の中で確立させていきました。

── 転職エージェントに相談してもすぐに転職とはならず、まずはやるべきことをはっきりさせたんですね。その後、再び転職活動を始められたのは?

石谷さん:納得のいく実績をつくることができ、満を持してもう一度スタートしたのは、2019年9月頃です。2020年の春くらいから新しいところで働きたいと思っていたので、それまでに引き継ぎを済ませることを考えると、なるべく早めに進めたいと考えました。具体的には、さまざまな媒体で気になる求人票をピックアップして、アプローチを始めました。

── 「キャリアが活かせる」「グロースに携わる」という条件でピックアップする中で、バンダイを志望された理由はなんですか?

石谷さん:実は、前職でバンダイをクライアントにYouTubeチャンネルの解析レポートの仕事をお手伝いしたことがありました。そのとき、一緒に仕事をさせていただいたバンダイの担当者が、目標に対して達成意識を強く持ち、仕事と向き合う姿に感銘を受けたんです。ディスカッションも建設的でとても盛り上がり、こんな仲間がいる環境で働けたらと、羨ましく思うほどでした。その印象が強く残っていたことが、応募しようと思ったきっかけです。

キャリアアドバイザーと並走し、徹底的な面接対策

── 転職活動を本格的に始める中でマイナビクリエイターに相談されていたとのことでしたが、印象はいかがでしたか?

石谷さん:担当のキャリアアドバイザーの方のサポートがとてもていねいで具体的でした。特に面接前にいただいたメールはとても役立ちましたね。バンダイは一次面接が重要とのことで、面接でよく聞かれる質問、過去に聞かれた質問、お見送りとなる人の傾向など、とても細かい内容まで面接対策として長文のメールをいただきました。その情報を頼りにしっかり準備できたので助かりましたね。最終面接までの間にも、面接でアピールしたいことについて、ざっくばらんに相談できたのもよかったです。

また、サポートが手厚かったことが印象に残っています。職務経歴書と履歴書を添削してもらいましたが、自宅に印刷する環境がないことを伝えると、提出用に印刷したものを郵送してくれました。あと、バンダイはお互いの熱意を確認し合うマッチング重視の採用のため、選考がていねいで期間が長くなりました。そのため、ほかの企業の最終面接のスケジュール調整でも、エージェントの方にはお世話になりました。

── 最終的にバンダイへの入社の決め手となったものは何ですか?

石谷さん:数社から内定をいただきましたが、面接時に感じた社員の人柄のよさを一番感じたのがバンダイでした。たとえば2次面接の担当者が今の上司にあたるのですが、自分のことを理解しようと、興味を持って話を聞いてくれて、すごくウェルカムな雰囲気だったのを覚えています。また、自分が関わりたかったアニメやゲームに一番近い会社だったことも理由の1つ。選考当時、「プレミアムバンダイ※1のグロースに携われる」と考えるだけで胸がわくわくしました。

また、子どもの頃にソフビのおもちゃで遊んでいたのでバンダイは馴染みのある企業でしたし、自分はアニメが好きなこともあり、そういったエンタメに関わってみたいという思いも後押しになりました。

1 バンダイおよびBANDAI SPIRITSの公式通販サイト

リモートワークでもコミュニケーション良好。個人裁量が大きいのもモチベーションに

── 現在ご担当の仕事内容について教えてください。

石谷さん:前職のキャリアを生かし、Web広告やSEOなどデジタルマーケティングを主軸とした新規顧客獲得向け施策、分析、レポートを手がけています。海外EC向けプロモーション施策の実行も大きなミッションの1つです。このほか、広告代理店などビジネスパートナーとの連携、外注先コントロール、予算管理などを全般的に担当しています。

入社した2020年4月から6月にかけては、先輩社員と一緒に業務にあたり、仕事の流れや代理店との温度感などを把握し、6月からはメインで担当しています。専門的な領域に特化しがちな仕事なのですが、みなさん幅広く対応できる優秀な方ばかりで、刺激を受けています。コロナをきっかけに、リモートワーク中心の部署となりましたが、みなさん気遣ってコミュニケーションを取ってくれたので、すんなりチームの一員として加わることができ大変助かりました。

── 入社してみて、改めて気づいたバンダイのよさはどんなところでしょうか?

石谷さん:思っていた以上に、個人の裁量が大きいことです。現在、私は業務の効率化を図るために、Pythonを使った作業を進めています。独学で学んだPythonでプログラムを組み、グーグルアナリティクスで解析したデータを容易にウォッチできる環境を整備しました。今、業務の2割ぐらいが、そのシステム構築に関わること。これによって代理店の負担を減らせて、こちらも情報を得るまでのタイムラグを減らせました。本筋の業務とは少し離れたことでしたが、「よいと思うことは、どんどんやってくれ」というスタンス。その自由さが個人的にはすごくモチベーションにつながっています。

動き出した海外事業を大きく。さらには新たな挑戦も

── 今後どのようなキャリアを積みたいか、石谷さんのビジョンを教えてください。

石谷さん:まずは、Web広告とSEOの成果を上げたいということ。また、私の入社と同時期にEC「プレミアムバンダイ」が北米で本格稼働しました。転職時の希望でもあった商品やサービスのグロースにしっかりと携われるチャンスだとも思いますので、成長中のこの事業をしっかりケアし、バンダイの商品が欲しい人に対して、マーケターとしてしっかり届けられるように施策を打っていきたいと思っています。

そのほか、今後のためPythonの機械学習ライブラリを使って、販売予測モデルを立てられるようになりたいと考えています。特に当社は、販売予測に、ものすごく時間がかかります。なぜなら、フィギュア、プラモデル、アパレル、腕時計といったグッズをはじめ、取り扱う商品が多種多様だからです。そのうえ、たとえば同じキャラクターが好きな人でも、フィギュアを買う方とプラモデルを買う方では客層が違います。さらに、同じフィギュアでも、ブランドによってファンが異なるなど、さまざまなカテゴライズが必要です。こういった複雑な状況を踏まえたうえで、効率のよいプロモーションを実現するためにも、機械学習を使った分析に挑戦したいと思っています。

── 最後に、マーケターとして転職を考えている方にアドバイスをお願いします。

石谷さん:もうやりたいことが決まっている、あるいはすでに入りたい会社が決まっているのであれば、転職エージェントに相談して、その会社で求める人材や能力をしっかりヒアリングすることをオススメします。それによって今の自分とのギャップをどう埋めるか考え、具体的な準備を進めることができると思います。

一方で、何をしてよいかわからない人は、まずは「クライアントにあった施策は何か、どういう分析の切り口をすれば最適か」など、その時の状況にあった効果的なアクションが起こせるように、マーケターの武器として使えそうな「引き出し」を増やすことを考えてはいかがでしょうか?つねにアンテナを張って最新情報を意識的に取り入れ実施することで、自然と引き出しは増えていきます。

たとえば、広告には大きなプラットフォームはもちろん、DSPやアドネットワークなど、さまざまな種類があります。それらに挑戦しておもしろかったという経験から、「こういうのがやりたい!」という具体的な方向性も出てくるでしょう。それに気付くことができれば、個人的にはチャンスだと思います。そのチャンスが、自社内で叶うのであれば部署異動。叶わないなら転職を考えていいのではないでしょうか。何より、やりたいという気持ちを大事に、忘れないように、蓄積させていくことが、今後のその人の道になるのではないかと思います。

担当者からひと言
キャリアアドバイザー R.Takeshita

キャリアアドバイザー R.Takeshita

石谷さんが転職活動を開始された当時は25歳、入社4年目というタイミングだったのですが、取り扱う業界や業務についての知見が非常に深く、とても驚いたのを覚えています。お話を聞いてみると、大学時代を含めた過去・現在・未来についてご自身の考えや軸を明確に持っていらっしゃる方だということもわかりました。

石谷さんのようなご年齢でこれほどまでにしっかりとしたビジョンを描き、目的に基づいてキャリアを歩めている方はとても珍しいことですが、だからこそ、石谷さんが目指すキャリアを一番よい形で実現できる企業様とのご縁をつなぎたいという思いがとても強くなりました。

選考過程においてにも、石谷さんは圧倒的な準備力を発揮され、結果、活動当初から第一希望に掲げていた企業様から内定を獲得することができました。担当キャリアアドバイザーとして、石谷さんが内定を獲得したときの感動は今でも忘れません。これからもバンダイ社でご活躍されることを心から願っています!

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