決定版!Webディレクターに必要な22のスキル

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Webディレクター スキル 今、企業に求められているWebディレクターとは、どのような知識とスキルを持つ人材なのでしょうか?

今回は、Webディレクターとしてステップアップしていくために必要な知識とスキルを、6分野22種類にまとめてみました。沢山あるように思いますが、これらスキルセットを一つひとつ丁寧に習得できれば、あなたもきっと一流のWebディレクターになるはずです。早速、具体的に求められる行動と共に、確認していきましょう。(2022.08.01更新)

ヒューマンスキル編

ヒューマンスキルWebディレクターに最も必要なスキルの1つが「ヒューマンスキル」です。これが、ほかのクリエイティブ職と大きく異なる点と言えます。Webサイトの「方向性=ディレクション」を示し、他者に対して「指示=ディレクション」をすることで、優れた創作物を生み出すのが、Webディレクターの仕事です。

01. リーダーシップ

Webディレクターに求められる「リーダーシップ」とは、Webサイトや各種施策の目的を明確にし、関係者から積極的な協力を得られる体制を作るスキルのことです。自らが旗振り役になるのはもちろん、関係者全員が1つの目的に向かって進むためには、各メンバーが積極的に推進したくなるような動機を提供することが重要となります。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 提案や各種施策が、世の中や市場に与えるメリットをマクロ視点で説明できる
  • 提案や各種施策が、自社やクライアントの課題解決に繋がることをロジカルに説明できる
  • 提案や各種施策が、自社やクライアントに与える利益を数字で説明できる
  • 提案や各種施策に、必要な技術を導入し、クリエイターや外部制作会社の成長に繋げることができる

02. マネジメントスキル

Webディレクターは、企画遂行実務の責任者でもあります。そのためには、限られたコスト・人員・時間というリソースを効率的に管理できるスキルが必要となるでしょう。スケジュールの策定・進行管理はもちろん、スタッフの選定や負荷分散の視点も重要なポイントです。負荷の集中は、モチベーションの減退を引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • クライアントに対して、「実現可能」なスケジュールを提示できる
  • 実施する施策に対して最適なスタッフを選定できる
  • 各制作担当者の工数と進行を的確に管理できる
  • 遅延リスクを洗い出し、遅延時の対処方法を事前に検討できる

03. コミュニケーションスキル

システムエンジニア、Webデザイナー、営業など、Webディレクターは実に様々な職種の人間とチームを組んで働くことになります。チームプレイを円滑にするコミュニケーション能力は、Webサイトのクオリティーを高めるための必須スキルと言えるでしょう。また、制作会社のWebディレクターの場合は、クライアントとの折衝・提案能力、事業会社のWebディレクターの場合は、社内での根回し能力も必要になります。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 対象のリテラシーに合わせて言葉を選ぶことができる
  • 対象の利益や背景をベースに会話をすることができる
  • 言いっぱなしで終わりにせず、意図が伝わったかどうかの確認を怠らない
  • チームメンバーが意見を出しやすい環境を構築することができる
  • 重要な伝達事項は、書面やメールなどを通してエビデンスを残すことを怠らない

Webディレクターにとってのコミュニケーションスキルの重要性は、「一流Webディレクターが知る5つのコミュニケーションレイヤーとコミュニケーション能力向上のための3ヶ条」ページでも解説していますので、ぜひご覧ください。

04. スケジュール・予算管理能力

時間と予算に追われないWebディレクションが、まさに理想です。これを実現するために、Webディレクターには、優れたスケジュール管理能力と予算管理能力が必要になります。時間に追われないためには、「案件に対しての正確な工数算出」「バッファを取ったスケジューリング」「各スタッフの進行管理」といったスキルが不可欠です。目標から逆算して、アクションプランを立て、マイルストーンどおりに施策を実施していくという技術と感覚が必要になるでしょう。

時間と予算に追われないということは、無駄なストレスを抱え込むことなく創作に専念したり、将来必要になる技術や知識を取り入れたりする時間に繋がります。自身の評価やスキルアップするためにも、ぜひ身に付けたい能力です。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 案件・プロジェクト全体に必要な工数を正確に算出できる
  • スケジュールにはバッファを持たせておくことを怠らない
  • 目標数値や期日から逆算して、アクションプランを立てることができる

実録!Webディレクター|ヒューマンスキル編
コミュニケーション不足で大炎上!プロジェクト2ヵ月遅延の悲劇

  • ▼ プロフィール
    Nさん(30代・男性)|Webディレクター歴2年

  • ▼ 何が起きた?
    転職してWebディレクターになった2年くらい前のことなのですが、新しいサイトとサービスの構築という大きなプロジェクトを任されました。当時は、Webディレクションという仕事にも、新しい会社にも不慣れだったこともあり、新サイトのローンチを2ヵ月も遅らせてしまいました。

  • ▼ 失敗した理由は?
    完全に僕のコミュニケーションスキル不足だと思っています。まず、指示もスケジュール管理も甘すぎました。ワイヤーフレームを書いてWebデザイナー、制作担当者に渡したのはいいのですが、想定している機能や仕様に関しては、ほとんど説明できずにいたんです。

    その結果、制作担当者からは「聞いてない。それはこのスケジュールじゃ無理」と苦情が続出。しかも、それを何度も繰り返してしまったんです。最初のうちはデザイナーさんも制作担当者も、期日に間に合わせようと努力してくれたのですが、終盤はあきらめムードになり、「無理だから」「何度言えばわかるの?」と怒られてばかりでした。

    気が付いたら、ワイヤーフレームや指示書を提出するのがいつもギリギリで、誰もフォローができない事態になったんです。自分自身も含めて、必要な作業を洗い出せていなかったし、工数を考えることもできませんでした。

  • ▼ 感想
    当時はとにかく針の筵(むしろ)でした。実感したのは、他人に正確に指示を出すことの難しさと、スケジュール管理の大切さです。そのあとはフリーのツールなどを駆使して、ガントチャートを作ったり、ワイヤーフレームを作ったりしています。今でも十分なスキルとは言えませんが、少しはマシになったかなと…。

問題解決能力編

問題解決能力Webディレクターの仕事は、課題の発見と解決の繰り返しといっても過言ではありません。企業に必要とされるWebディレクターになるために、業務の中で意識すべきことや必要なスキルについて紹介していきましょう。

05. 課題抽出スキル

「売上が目標に届かない」「納期が遅れる」「Webサイトのデザインが時代遅れ」など、大まかな問題点・課題点を認識することは誰にでもできます。Webディレクターに必要なのは、問題点を解決可能なミクロな課題にまで分解するスキルです。

また、解決に向けて具体的なアクションを起こす際には、「課題に対して当事者意識を持つ」「利害関係者を巻き込む(知恵を借りる)」「効果を明確にする」という姿勢が大切です。部外者として「●●だからダメ」と指摘しているだけでは、問題は何1つ解決しません。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 大きな問題点を、短期的に解決可能なミクロな課題に分解できる
  • 利害関係者を巻き込み、協力を取り付けることができる
  • 解決に至るための時間・コストを算出できる
  • 課題が解決したことによる効果を数値で表現できる

06. アクセス解析の知識・スキル

Webサイトの運用で最も重要なのが、PVや訪問者数といった数値指標です。Webディレクターでアクセス解析ツールを使いこなせなければ話になりません。『Google アナリティクス』や『Adobe Analytics』といったメジャーなツールの使用方法は、最低限覚えておいた方がいいでしょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 適切なKGI・KPIを設定し、Webサイトが抱えている課題を導き出すことができる
  • 発見した課題から、具体的な改善施策を立案できる
  • 実施した施策について、アクセス解析ツールを使って効果検証できる
  • 毎日、アクセス解析ツールを使ったKPIの動向チェックを怠らない

07. 統計学の知識・分析スキル

Webディレクターは、アクセス解析ツールのデータやユーザーの個人情報など、様々なデータを扱うことになります。しかし、そのデータをそのまま眺めていても、具体的なアクションには結び付きません。これらは、過去のデータ集計に過ぎないからです。新たな企画や改善施策に繋げるには、統計的に相関関係やパターンを割り出し、データを有意なものにする考え方やそれに伴うスキルが重要です。

統計的に分析するといっても、難しく考える必要はありません。Excelの『分析ツール』を使えば、相関分析、回帰分析程度は行えます。ある程度のプログラミングの知識があり、サーバーのログデータを扱えるなら、データ分析用のプログラミング言語である『R言語』を学んでみてもいいでしょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 統計分析をしたい事象について、適切なデータを選択できる
  • Excelの「分析ツール」を使用して、統計分析ができる
  • 統計分析の結果を、具体的な施策に結び付けることができる
  • 必要なデータを集めるための、アンケート調査の設計ができる

実録!Webディレクター|問題解決能力編
入力フォームに大問題を発見!EFOで月間売上200万円アップ

  • ▼ プロフィール
    Kさん(30代・女性)|Webディレクター歴10年以上

  • ▼ 何が起きた?
    EFOは本当に重要だとわかった事例です。うちの会社は、いわゆる比較サイトの運営をしているのですが、CVRが頭打ちになっていました。みんな、アクセス解析ツールをあまり活用していない状況だったので、自分で『Google アナリティクス』や『Adobe Analytics』を使って、どこで離脱が発生しているのかをチェックしてみたんです。

    それでわかったのが、入力フォームにはある程度の流入があったのですが、入力フォーム内で大量に離脱が発生していることでした。今となっては考えられないのですが、必須項目を明確にしていなかったり、不要な入力項目が大量にあったりで、最悪の状況でした。そこで徹底的にEFOを行ったところ、CVRが6.1%上昇して、売上が月平均200万円以上アップしたんです。

  • ▼ 成功した理由は?
    大雑把にしか把握していなかった数値を、細かく分析したことだと思います。あと、うちの会社の場合、入力フォームの改修には、システム開発なども絡んでくるので、面倒な作業なんですよね。売上を上げたいと本気で考えている社内のシステムエンジニアが、企画立案から協力してくれたのも成功した理由だと思っています。

  • ▼ 感想
    面倒だと思ってみんなが避けてきたことにチャレンジすると、結果が出るのかもしれません。おそらく、「昔からそうだから」という考えがあって、改修が進んでいないんです。常識を疑うといったら大袈裟ですが、今の状態は間違っているんだと常に疑う気持ちがWebディレクターには必要なんだと思います。

マーケティングスキル編

マーケティングスキル 人が訪れてくれないWebサイトに、存在価値はありません。サイトを見つけてもらう、コンテンツを読んでもらう、サービスを使ってもらうことが、Webサイトの存在理由です。したがって、Webディレクターをしている以上は、集客をするためのマーケティングスキルは必須と言えるでしょう。

08. Webマーケティングの知識・運用スキル

Webサイトは、誰かに使ってもらってこそ価値があるもの。事業会社のWebディレクターはもとより、納品までが主業務となる制作会社のWebディレクターにも、Webサイトに人を集めるマーケティングの知識は必要不可欠です。

SEO、リスティング広告、リターゲティング広告、ディスプレイ広告、アドネットワーク、SNS、動画広告といったWebマーケティング手法に関しては、「どのような課題に対して有効なのか」「運用するのにどの程度のコスト・リソースがかかるのか」など、実践的な知識や基本的な運用スキルを身に付けておきましょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 課題、目的に合わせたマーケティング手法を選択できる
  • 外注先の提案と自社の課題に整合性があるかどうかを判断できる
  • 費用対効果を明示した上で、自社やクライアントに提案できる
  • Webマーケティング手法のトレンド情報の収集を怠らない

09. 一般的な広告・PRの知識

Webディレクターは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌といったいわゆるマスメディアでのプロモーションに関する知識も、最低限は持っておいた方がいいでしょう。スタートアップ時は効果が高く、費用対効果が明確に算出されるWeb広告に依存するケースが多いのですが、拡大フェーズになるとマス媒体に出稿することも多いからです。

また、マスメディアに報道として取り上げてもらうために、プレスリリースの文章を書くスキルや活用法も学んでおくと役に立つでしょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 目的、ターゲットに合わせて、適切な媒体選定ができる
  • プレスリリースを作成し、配信できる
  • 各媒体の広告ガイドライン、各種法令に対する最低限の情報収集を怠らない

実録!Webディレクター|マーケティングスキル編
Googleの動向を先読み!ビッグワードで一気に1ページ目へ

  • ▼ プロフィール
    Yさん(30代・男性)/Webディレクター歴5年

  • ▼ 何が起きた?
    SEOで40位台だったサイトを、ビッグワードで1ページ目に上げました。結果、オーガニック経由の流入数が一気に上がって、売上も急激に増加。この実績で、その期のMVPを受賞して、●●万円のボーナスをいただきました。そして、次の期に昇進もしました。

  • ▼ 成功した理由は?
    いち早く、コンテンツの内容重視のSEOに着手したこと。英語のニュースやGoogleのコメントを読んでいて、Googleのトレンドはわかっていたから、自信を持って提案できました。社内に優秀なライターもいたので、外注コストを抑えてコンテンツの量産が可能だったことも追い風になったと思います。

  • ▼ 感想
    一時期は、ビッグワードで1位まで上昇したが、現在は1ページ目後半に落ち着いてしまっています。理由は、よりコストをかけられる大手企業がコンテンツSEOにシフトしたからだと思います。もし、自社のコンテンツSEOが遅れを取っていたら、良くて2ページ目が限度だったかもしれません。いち早く、有効かつ新しい考え方を導入し、先行者利益を享受することが、マーケティングにおいては非常に重要と感じた経験でした。

企画・提案スキル編

企画提案スキル「企画・提案スキル」は、あらゆる職業・職種において必要とされるスキルです。しかし、効果のある企画を立て、その企画を上手に通せる人はあまり多くありません。Webディレクターにとっての企画・提案能力とはどのようなスキルなのかを見ていきましょう。

10. 企画力

企画とは、おもしろいことを考えることではありません。Webディレクターにとっての企画とは、「ニーズに対応するWebサービスを立案し、リソースを確保する」ことです。ニーズがないものを作ったり、作れないものにニーズを見出したりしても仕方がありません。

ここでいうニーズには、消費者のニーズだけでなく、「売上を増やしたい」「ブランド認知度を向上させたい」といった、クライアントや自社の目標も含まれています。ユーザーやクライアント、自社が置かれている状況を熟知することから企画は始まり、実現できる環境を整えるまでが企画であると捉えていきましょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • ユーザーやクライアント、自社の要求を抽出できる
  • ニーズを満たす企画を立案できる
  • 企画実現に必要な予算・人員・時間を確保できる

11. ドキュメント作成スキル

Webディレクターは、様々な職業、役職の人間と接するため、多種多様なドキュメントの作成スキルを求められます。簡単に思いつくだけでも、「企画書」「プレゼンテーション資料」「ワイヤーフレーム」「要件定義書」「サイトマップ」「見積書」など、その属性も使用するソフトも様々です。ドキュメント作成だけに1日を費やしてしまうケースも珍しくありません。

その分、ドキュメント作成の工数を削減できれば、Webディレクターの評価はうなぎのぼりです。Officeソフトを使いこなすスキルや、必要なテンプレートの作成技術は身に付けておくべきです。また、ワイヤーフレームの作成に関しては、無料で使えるツールを使うのが便利です。『Figma』『Cacoo』『Moqups』など、様々なものがありますので、有効に利用しましょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • Officeソフトのショートカットキーを使いこなすことができる
  • 頻繁に作成するドキュメントに関しては、汎用的なテンプレートをきちんと用意できる
  • PowerPointのスライドマスターを使って、一からプレゼン資料を作成できる
  • Excelの「数学/三角」「論理」「検索」関数が使いこなすことができる
  • 無料のワイヤーフレーム作成ツールを使いこなすことができる

12. プレゼンテーションスキル

Webディレクターは、クライアントや自社内の関係部署などに、施策をプレゼンする機会が頻繁にあります。したがって、相手を引き込み、納得させるプレゼンテーションスキルは必要不可欠です。「人前に立つのが苦手」「説明が苦手」というWebディレクターも多いのですが、原因は明確です。それは練習不足と経験不足です。生まれつきプレゼンが上手な人はいません。クライアントを相手にするときは、事前にプレゼン資料を完成させ、時間を計りながら練習する癖をつけると良いでしょう。優秀と言われる営業マンやマーケターなら、ほとんどの人が実践している習慣でもあります。

また、「ビジュアルを作り込む」「必要十分な提案に加え、プラスアルファのプランを用意する」「質問・回答の時間を増やす」など、説得力をアップさせるプレゼン手法も多々あります。ノウハウ本などを読みこんで、日々勉強しておくことも役に立つはずです。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 対象のリテラシーに合わせたプレゼン資料を作成できる
  • プレゼン資料は2日前に完成させ、前日までに練習をしておくことを怠らない
  • 提案一辺倒ではなく、クライアントにあえて質問させることができる
  • 他社と比較されることを想定して、差別化できる要素を盛り込むことができる
  • 提案を複数用意し、クライアントに選択肢を与えることができる
  • 意思決定にあたってのキーマンを見つけることができる

13. インターネットビジネスの知識

インターネットを用いたビジネスは、Webばかりではないことを意識しなければなりません。スマートフォンのアプリ、クラウド、IoT(モノのインターネット)などもインターネットを利用したビジネスの1つです。現在、それぞれを複合的に利用する機会が増えてきていますので、最新の動向は押さえておく必要があります。

また、インターネットビジネスの世界では、毎日のように新事業、スタートアップ企業が生まれており、最新技術を用いた協業なども盛んです。最低限、同業種のプレスリリースはチェックする習慣をつけておくと良いでしょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • アプリビジネスの仕組み、利用法を理解している
  • IoTの浸透状況、自社やクライアントでの活用方法が想定できる
  • プレスリリース配信サイトなどで、同業のプレスリリースチェックを怠らない

14. 情報収集・活用スキル

Webディレクターが、最新技術の動向やマーケットトレンドをニュースサイトでチェックするのは当然です。『MarkeZine』や『Web担当者Forum』など、Web関係者なら誰でも見ているようなサイトは、必ずチェックする習慣をつけることです。より早く、深い情報を仕入れたいなら、FacebookやTwitter、Google アラートも併せて活用したほうがいいでしょう。ただし、ネットでの情報収集には注意が必要です。自分で情報を集めに行くという行為なので、情報のソースや内容に偏りが生じてしまいます。スキルアップや知識を深める際には有効な方法ですが、新しいものを生み出す際には不向きな場合があるかもしれません。

幅広く情報を収集したいなら、書籍や雑誌、新聞、テレビなども確認する習慣をつけましょう。同じ情報を様々な側面から確認することが可能になります。また、結局のところ、最も有用な情報を持っているのは「人間」であったりします。セミナーなどには積極的に参加し、人と触れ合う機会を増やすことが大切です。

また、情報は入手することに意味があるのではなく、活用することに意味があるということを意識しなければなりません。「必要になったから情報を集める」のではなく、「集めた情報を必要に応じて活用する」スキルを身に付けることが重要です。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 最新技術やトレンドをニュースサイトでチェックすることを怠らない
  • SNSやGoogle アラートを活用して、業界情報を素早く入手できる
  • 新聞、雑誌、テレビなど、マスメディアの報道内容確認も怠らない
  • 情報を常にストックし、必要に応じて活用できる

実録!Webディレクター|企画・提案スキル編
ひょうたんから駒!?キーマンの心をつかんだ結果、売上が大幅アップ!

  • ▼ プロフィール
    Yさん(30代・男性)/Webディレクター歴5年

  • ▼ 何が起きた?
    Webサイトの改修を提案したときに、売上が約500万円アップした案件があります。最初は600万円程度の案件だったのですが、一気に1,000万円を超える大型案件になりました。しかも継続案件です。

    なぜそんなことが起きたかというと、役員クラスの心をつかめたからです。担当者ベースで予算を聞いていて、その予算に合わせたプランを作成し、提案していたのですが、最終プレゼンで役員が出席することになりました。元々、ミニマムで作成したプランとマックスのプランをプレゼン資料に記載していたのですが、役員の方が「なんでこっちじゃないの?」とマックスのプランに興味を示してくれたのです。

    単純に予算の問題でミニマムのプランに流れていただけで、クライアントの期待に応えられる可能性が高いのはマックスプランの方でしたので、内容を改めて提案しました。すると、その役員の方が「節約するために御社にお願いするわけじゃないんだから、効果が大きい方でいこう」と鶴の一声。あれよあれよという間に、売上が大幅にアップしました。

  • ▼ 成功した理由は?
    結果的にではありますが、複数のプランを用意していたことと、クライアントの競合相手が使っていない、新しいマーケティング手法を盛り込めたのが良かったのだと思います。新しいテクニックなので、コンペでの競合相手も言及していなかったのかもしれません。

  • ▼ 感想
    この案件に限らないのですが、プレゼンではクライアントの質問から案件が発展することがけっこう多いことを実感しました。こちらが一方的に話すのではなく、できるだけ質疑応答の時間を多く取るように心掛けています。

制作知識・スキル編

制作知識・スキル Webサイトのクオリティーは、制作スタッフに対して指示を出すWebディレクターの腕にかかっているといっても過言ではありません。Webデザイナーやシステムエンジニア、ライターに対してどのような依頼をすればいいのか、依頼前に知っておくべき知識はどんなものなのか、基本的なスキル要件を押さえておきましょう。

15. Webデザインの知識・スキル

デザイナーが最も嫌がるのは、発注意図が曖昧なこと。「なんとなく」「いい感じに」では、イメージ通りのデザインは上がってきません。Webデザイナーはすべてに意図をもって、配色、配置を決定したり、フォントを選定していることを理解しなければなりません。依頼主、チェック者となるWebディレクターも、なぜそのようなワイヤーフレームを描いたのか、細部にわたって説明できるスキルが必要です。

そのほか、デザインのトレンドにも注意を払った方がいいでしょう。ここ数年は、フラットデザインが主流になっていましたが、これはインターネットに接続するデバイスが大きく変容したためと考えられます。UI/UXとデザインの関係に興味を持っておくことも、Webディレクターの仕事です。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • Adobe Photoshop、Illustrator、Dreamweaverといったソフトウェアの基本的な操作ができる
  • 明度、彩度、トーン、補色といった、色彩に関する基本的な知識がある
  • JPEG、PNG、GIFなどのファイル特性を正確に理解している
  • 発注・修正の目的と意図を、感覚ではなく論理的に説明できる
  • UIやUX、表示デバイスとデザインの関係に関心を持つことを怠らない

16. 編集・ライティングスキル

現在、コンテンツマーケティング、ネイティブアドといった、文章を主体にしたマーケティング手法がトレンドになっています。Webディレクターにも、読みやすい文章、説得力のある文章を作成するための知識が必要になってきました。ただし、実際に文章を執筆するのはプロのライターの仕事です。Webディレクターは、ライターへの発注、上がってきた原稿のチェックが主な業務になります。

ただし、リスティング広告用のLPやディスプレイ広告等に使用するキャッチコピーの作成は、Webディレクターの仕事になることが多々あります。商品、サービスの魅力を短くまとめ、ターゲットに対して最も訴求力のある言葉を選ぶ、コピーライティングのスキルは身に付けておいた方がいいでしょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 作成するコンテンツについて、わかりやすく説得力のある構成を立案できる
  • ライターから上がってきた原稿を、正しい日本語に校正できる
  • 図版、イラストなどを適切に活用できる
  • 商品、サービスに合わせて、訴求力のあるコピーライティングができる

17. フロントエンド言語の知識

もちろん、実際にコードを書ける方が望ましいのですが、Webディレクターは、急いで覚える必要はないでしょう。大切なのは、何が書かれているのか、必要な記述が抜けていないかを正確にチェックできるスキルです。もし、コーディングができるなら、HTML5の基本的な仕様は覚えておいて損はありません。また、CSSやJavaScriptでどの程度のことが可能なのかを知っておくと、ワイヤーフレームの作成や機能を発注する際に役に立ちます。

ちなみに、コーディングチェック、デバッグをする際は、『Google Chrome』の『デベロッパーツール』を使うのが非常に便利です。そのほか、Web開発用のアドオンも自分に合ったものを探して、活用できるようにしておきましょう。

また、最近ではWebサイトの更新性を重視する企業が多いため、CMSを導入することが多くなっています。『WordPress』『Movable Type』といったメジャーなCMSの機能・仕組みは、たとえ自社で使用していなくても知っておく必要があるでしょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • コーディングのチェック、デバッグができる
  • 自分で簡単なコーディングができる
  • HTML5の仕様を理解している
  • CSS、JavaScriptで可能なことを理解している
  • 構造化データ、OGP、リッチスニペットなど、SNSやSEOで重要な要素を理解している

18. バックエンド言語の知識

Webディレクターが、バックエンド言語を記述しなければならないような機会は、まずないでしょう。ただし、サーバー構築やデータベース構築、機能追加などにおいて、システムエンジニアとコミュニケーションを取らなければならない機会は多々あります。『PHP』『Perl』『Ruby』『Java』といった、頻繁に使用されている言語の名前と用途だけは覚えておきましょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 自社、クライアントのWebサイトで使用されている言語を知っている
  • 各言語の用途、特徴に関して基本的な知識と概念的な理解がある

19. デバイスの知識

Webディレクターにとって、デバイスに関する知識は重要です。デバイスによって、使用する場所、使用時間、使用者の属性、画面サイズなどが大きく異なるため、UI/UXもそれに合わせて検討する必要があるのです。提供するサービスそのものを変更しなければならないケースもあるでしょう。

また、現在Webサイトを閲覧するデバイスは、PC、スマートフォン、タブレットが主流ですが、テレビやカーナビ等、新たなデバイスも意識しておく必要があります。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • インターネット接続デバイスのシェアを熟知している
  • 各デバイスを使用する場所、使用時間、使用者属性を理解している
  • 各デバイスの画面サイズに合わせたデザイン発注、UI設計ができる
  • 各デバイスの処理速度・通信速度に合わせた、機能設計ができる

実録!Webディレクター|制作知識・スキル編
デザインもコピーもいつまでたっても決まらない…果てしない修正地獄

  • ▼ プロフィール
    Bさん(30代・男性)/Webディレクター歴8年

  • ▼ 何が起きた?
    Webディレクターになりたての頃に、クライアントからのリテイクの繰り返しが尋常じゃなかった経験があります。正直、思い出したくもありません。デザインを提出しては、「この色じゃないんだよね」、トップページに掲載するメインコピーを見せては「何か違うんだよね」と曖昧な回答ばかりで、どうしたらいいのかわからなくなりました。結局は何とかOKをもらって、期日を少し過ぎたところで納品できたのですが、その遅れにも文句を言われました。

  • ▼ 失敗した理由は?
    クライアントにも問題があるとは思いますが、結局のところクライアントの思っていることやイメージを、事前にしっかりとヒアリングしきれなかったことが失敗の理由だと思っています。クライアントから要望を聞いて、デザイナーさんやライターさんに伝えて、みんなが納得できるものを作るのがWebディレクションなので…。

  • ▼ 感想
    曖昧な指示と何度も繰り返される修正に耐えてくれたデザイナーさんとライターさんに感謝しています。相当、文句を言われましたが、それも含めていい勉強になりました。

インテリジェンス編

権利関連の知識 Webディレクターに求められるスキルや知識は、上にあげたものだけではありません。スキル・知識の幅が広がれば広がるほど、Webディレクション能力も向上します。習得しておいて損はない知識を簡単に紹介しましょう。

20. 権利関連の知識

Webディレクターには、様々な法律の知識が求められます。特に近年、必要性が叫ばれているのが、知的財産権に関する知識です。コンテンツマーケティング、オウンドメディアの流行により、大量の記事コンテンツが制作されていますが、作り手の知的財産権に関する意識が低い場合も多く、著作権をめぐるトラブルも多発しています。文章に関しては、「引用とは何か」「引用するための要件」を理解しておくことが重要です。写真や動画に関しては、ストックフォトなどのサービスを利用することが多いので、各サービスの利用規約を完全に把握しておく必要があります。

また、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」という、著作権に関するしくみについても、ルールと使用法は理解しておきたいところです。たとえば「CC0」と表記された写真や動画は、知的財産権が最大限放棄されており、無料かつ自由に改変・利用が可能です。コストをかけずにクオリティーの高い素材を入手できますので、ぜひ覚えておきましょう。

そのほか、担当するサイトによっては、薬事法、保険業法といった業界特有の法律知識が必要になりますし、ECサイトやキャンペーンを運用するなら景品表示法の知識も必要です。また、ユーザーデータを取得する場合は、個人情報保護法も熟知している必要があります。ぜひこれらの知識に関しても、積極的に勉強することをおすすめします。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 文章やデータの引用を、正しい要件に則って行うことができる
  • クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを理解し、使いこなすことができる
  • 運営するサイトに合わせて、業法を理解している
  • 景品表示法、個人情報保護法を理解している

著作権や引用に関することは、「ポートフォリオの作成で注意すべき著作権と守秘義務とは?」ページでも解説していますので、ぜひご覧ください。

21. 経営関連の知識

わかりやすくいうと、経営者目線で物事を考えるスキルです。制作会社のWebディレクターの場合、企業の社長や役員に対してプレゼンを行うケースが多々あります。事業会社のWebディレクターも、プロジェクトの規模が大きかったり、施策に必要なコストが大きかったりする場合は、経営陣に直接提案をしなければならないことがあります。

そこで重要になるのが経営の知識です。経営陣が聞きたいのは、詳細な企画の内容ではないはずです。その企画を実施することで、「会社全体にどのような利益をもたらすことができるのか」「マーケットにどのような影響を与えられるのか」といった、より俯瞰的な視点を求めています。また、Webサイト自体が、マーケティングの一手段である以上、販促費にどれだけのコストをかけられるかという分析をした上で予算を立てたほうが、提案はスムーズに進むはずです。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 自社やクライアントの経営状態を理解できる
  • 自社やクライアントの経営状態に合わせた提案ができる

22. 英語力・英会話スキル

英語の読み書きはできる方が望ましいでしょう。理由は2つ。1つは、「Web関連の最新情報は英語で記述されることが多い」からです。Web関連の新しいマーケティング技術、新たなビジネスモデル、新たな言語は、多くの場合、アメリカで生まれています。アメリカで生まれたものが、一定期間をおいて日本に入ってくるというのが現状です。最新の情報を得るためには、英語が必要なのは当然と言えます。

また、企業やプロジェクトによっては、Web開発を海外の会社に依頼するケースもあります。先方とのやり取りは英語になることがほとんどですので、簡単なビジネスメールは書けるようになっておくと便利でしょう。

このスキルがあれば、一人前のWebディレクター

  • 海外のWebサイトを原文で読むことができる
  • 新しい言語の仕様書を原文で読むことができる
  • 最低限の英文ビジネスメールを作成できる

実録!Webディレクター|インテリジェンス編
認識が甘かった!マンガ業界の著作権について

  • ▼ プロフィール
    Sさん(20代・男性)/Webディレクター歴1年

  • ▼ 何が起きた?
    Webサイトの立ち上げに関わっていたのですが、そこで漫画のコンテンツを作成することになりました。仕事で漫画に関わることは初めてでしたが、なんとか著名な漫画家さんとアポが取れ、漫画を描いてもらえることになりました。しかし、契約の段階で、文面に著作権をすべて放棄してもらうといった一文があり、それを見た漫画家さんからお断りの電話が…。一般的なイラストなどとは違い、著名な漫画家さんが著作権を放棄することはありえないことを、初めて知りました。

  • ▼ 失敗した理由は?
    後日、漫画業界に詳しい先輩に話を聞いたら、そんなの常識だと言われました。Webディレクターとしてはもとより、また社会人経験が短い自分にとって、ものの良し悪しが判断できる状態ではなかったんだと痛感しています。

  • ▼ 感想
    この失敗の後、これまでチャレンジしたことがないような業務に取り組む際は、必ず先輩にチェックしてもらうようにしています。自分では思いもよらないような問題が指摘されることもありますので、一人前になるまでは、このフローを丁寧に踏みたいと考えています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。一人前のWebディレクションを行うために必要と考えられるスキルを22個、紹介してきました。皆さんの中には、「そんなスキルを考えたこともなかった」という人もいるのではないでしょうか? 逆に、「もっと必要とされるスキルがある」と思った人がいるかもしれません。つまり、それだけWebディレクターには、多種多様なスキルが求められているということです。

もし、自分が持っていないスキルや能力を発見したのであれば、まずは興味を持つことから始めてみるのが大切です。そして本当に必要だと感じたものを、深く勉強していけばいきましょう。知識・スキルの幅が広がった分だけ、企業に求められる優秀なWebディレクターに近づけるはずです。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。

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