カジュアル面談をきっかけに高まる転職意識。まずは「やってみる」ことの重要性 ―― 鴇田裕亮さん(30歳・男性)
- 前職
- 大手ゲーム系企業
ゲームプログラマー
- 現職
- 株式会社カプコン
ゲームプログラマー
鴇田裕亮さん(30歳・男性)
マイナビクリエイターの転職エージェントサービスを活用し、大手ゲーム系企業から株式会社カプコンにゲームプログラマーとして転職。
1つのプロジェクトが終わったとき、目標を達成したとき、新しいライフイベントを迎えたときなど、キャリアを重ねていくうえで、人はさまざまな節目を感じることがある。そして、そのときにどんな行動をとるかによって、思いもよらない可能性が広がることもあるだろう。
今回、転職体験談を伺った鴇田さんもそんな1人。ふと芽生えた自分の思いを確かめるためにとった行動が転職活動だった。果たしてその先にはどんな気づきがあったのか?カジュアル面談をきっかけに転職に至ったプロセスとその思いについて伺った。
転職までの時系列
2020年11月 | マイナビクリエイターに登録 |
2020年11月 4週目 |
株式会社カプコンでカジュアル面接 |
2020年12月 1週目 |
一次面接を通過 |
2020年12月 3週目 |
二次面接を通過 |
2020年12月 4週目 |
内定を獲得 |
2021年03月 | 前職のゲーム系企業を退職 |
2021年04月 | カプコンに入社 |
こだわった転職条件
MUST | ・キャリアを生かしつつ新しい挑戦ができること ・おもしろいゲームを追求できる環境があること |
WANT | ・前職より年収が上がること ・開発に集中できる環境があること |
キャリアを積み、30歳も目前。転職という選択肢が見えてくる
── 転職活動を始めたきっかけを教えてください。
鴇田さん:実は、決定的に大きな理由があったわけではなく、よくも悪くも細かいことが重なった結果だったように思います。1つは、新しい環境にチャレンジしたかったこと。新卒で入社し、7年間、オンラインゲームの同じプロジェクトに携わっていました。直近では5年ほど敵キャラをつくるエネミー担当を続けており、20代のうちからリーダー職も経験。社内的な評価は感じているものの、外に売り込んだらどうなんだろう、とふと考えるようになりました。また、転職を意識しはじめた時期に、ちょうど関わっていたプロジェクト以外で自分のスキルを試してみたいと思ったのもあります。
さらに当時は30歳目前。年齢的に大きな区切りを感じたことも理由の1つでしたね。転職したいという思いが募ったというよりは、あちこちに「今を考え直す」理由が落ちていて、それならちょっと外を見てみるのもいいかな、と。それで、求人サイトに登録してみたのがきっかけでした。
── そこから積極的に企業にアプローチしたのですか?
鴇田さん:いいえ、最初は“超”受け身だったんです。初めての転職活動で進め方がわからないため、ゆっくり時間をかけて取り組んで、「いいところが見つかったら検討してもいいかも」ぐらいのつもりで始めました。ですから、本当に転職するかどうかは決めていませんでした。それでもありがたいことに、登録して数日ぐらいで企業やエージェントのほうからいろいろとご連絡をいただけたので、興味のあるところに返信するスタイルをとっていきました。
── 鴇田さんは、企業のどんなところを重視して転職活動を行っていたのですか?
鴇田さん:今の自分をしっかりと見ていただき、納得のいく評価で迎え入れてくれるかどうかです。そして、僕自身もそこで一緒に仕事をしたいと思える職場があるならいいなと思っていました。あとは、ゲームは「おもしろいものをつくる」という意識をみんなで共有できないとダメだと思うので、会社全体で「おもしろいものをつくって、遊んでもらおうぜ!」っていう意気込みを感じられるところだとよりいいなと思っていました。
── なるほど、本当に「自分の理想に合った会社がもしあったら」という感じだったのですね。そんな中、マイナビクリエイターを利用したきっかけはなんだったのでしょうか?
鴇田さん:マイナビクリエイターも、お声がけいただいたエージェントの1つでした。そのときのキャリアアドバイザーさんからのメールで感じたのは、僕の経歴をすごく見てくれているということ。「こういうところが強みな気がするから、ここならどうですか?」と、具体的な提案をもらえました。そういうメールをくれたのはマイナビクリエイターだけだったんです。それで、話を聞いてみてもいいかなという気持ちになりました。
コロナ禍の緊急事態宣言中だったので、電話面談でしたが、実際に話してみたら、自分がアプローチしたいと思っていた会社と繋いでもらえそうだったし、安心して任せられそうとも思いました。自分1人ではできないことをサポートしていただき、可能性を広げるという意味でお世話になりました。
気軽なカジュアル面談で感じた、本気のラブコール
── カプコン社への応募は、カジュアル面談がきっかけだったと伺いました。
鴇田さん:そうです。カジュアル面談については、転職活動を始めてからお声がけいただいた企業で何社か実施してくれたところがあったので、経験はありました。選考前に人事担当者とラフに会話でき、お互いに相性を確認できるのでよいものだなという印象です。
それで、マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーさんからいくつかカジュアル面談を紹介してもらう中で、僕のほうからカプコンをリクエストしてみました。当時、興味がある企業の中で唯一、接点を持つきっかけがなかったからです。お願いしたら、すぐにセッティングしてもらえました。自分だけではアプローチする術がなかったので、とてもありがたかったですね。
── なぜカプコン社に興味を持っていたのですか?
鴇田さん:前職では、ゴリゴリにアクションゲームをつくっていました。カプコンもアクションに強い印象があったので、経験が生かしやすいのではないかと考えたからです。それに、昔から好きなゲームにカプコンのタイトルがすごく多かったので、チャンスがあれば関わりたいと思っていました。
── 憧れの企業だったのですね。実際、カジュアル面談を受けてみてどうでしたか?
鴇田さん:会社に持っていた勝手なイメージが、よい意味で変わりました。カプコンは大手で、世界でも人気のあるタイトルをたくさん持っています。だから、職人気質なメンバーがそろった、厳しい体育会の強豪チームのような環境ではと思い込んでいたんです。
でも、カジュアル面談を受けてみると、人事担当者の話を通して、現場が純粋に楽しそうにおもしろいものをつくろうとしている雰囲気を感じとれました。自分の理想の環境に近いとわかったのはよかったです。チャンスがあれば挑戦したい、でもちょっと緊張する企業でしたが、カジュアル面談をすることで心のハードルが下がりました。
嬉しかったのは、帰りがけに人事担当者の方から「僕的にはもう来てほしいから、書類出しません?開発部まで話を回すし、そのメンバーに『会わない』とは言わせないから」と言い切ってくれたことです。何社かお会いする中で、そんなこと言ってくれた企業はどこにもなかったですし、そんなに評価してもらえるって幸せだなと感じました。それが正式に面接を受ける決め手になりました。
── そのあとの選考はトントン拍子で進んだようですね。
鴇田さん:そうですね。2020年11月にマイナビクリエイターに登録して、12月に入ってからカジュアル面談の後に2回面接。そして、12月25日に内定の連絡をもらいました。細かな条件も思っていたよりよくて、こんなに評価してもらえるなんて、今まで頑張ってきてよかったと感じました。「クリスマス・プレゼントかよ!」って思いましたね(笑)。
その反面、ゆっくり転職活動するつもりだったので、「もう内定が出ちゃったか」という思いも。当時勤めていた会社に退職を考えていることを全然話していなかったですし、完全に辞めたかったわけではなく、新卒から勤務してきたので愛着もありました。本当に転職するかどうかは、最後の最後まで悩みました。
── 確かに、計画より早く転職が実現できたため、戸惑いやもろもろの準備への不安などもありますよね。それについて、キャリアアドバイザーからフォローなどありましたか?
鴇田さん:自分の懸念材料をなくしたくて、キャリアアドバイザーさんを通して、カプコンに何度も細かな質問に応じてもらいました。一番ネックになっていたのは、入社時期だったので、「いつまで待ってもらえるのか」「このタイミングで入社すると、どんな仕事ができるのか」など、答えてもらえる範囲のことは全部聞こうと、しつこいぐらい質問させてもらいました。キャリアアドバイザーさんはもちろん、カプコンの担当者さんにもだいぶ骨を折ってもらったと思います。
ただ、相手が「すごく来てほしい」と評価してくれているのに、自分が中途半端な気持ちで決めるのは失礼だなと思っていました。情報は全部聞いて、ギリギリまで考えて、「もうこれで後悔しません!」という答えを自分なりに出そうと考えたんです。最終的に、職場の環境、関われる仕事、条件含めて、非の打ちどころがありませんでした。客観的に考えて、「絶対転職するでしょう?」と心の整理がつき、前の職場には2月頭に退職の意向を伝え、3月末で退職。4月にカプコンに入社しました。
実装に没頭できる環境を、専任のメンバーが整えてくれる
── 今は、どのような業務を担当されていますか。
鴇田さん:『モンスターハンターライズ:サンブレイク』のプロジェクトでSteam版対応のプログラムリーダーとして関わっています。班の構成は、デザイナーや企画、プログラマーを合わせて10数名。僕の役割は、自ら実装するのはもちろん、デザイナーや企画、ほかの開発部とのパイプ役、同じ班のプログラマーの進捗管理やフォローなども担当します。このほかヘルプで、エネミー関連の実装にも前職の経験を活かしながら関わっています。
カプコンのいいところは、効率よくタイトル開発が行えるよう、部署の整備やツールの導入など、さまざまな取り組みが行われていること。たとえば、業務の中でも雑務的な部分はプロジェクトマネージャーがフォローしてくれるので、だいぶ労力が軽減されています。そのため、リーダー職でありながら、まるっと一日作業に充てられる日が当然のようにあります。
ほかのプロジェクトの情報については、社内のドキュメントやTeams等を使って社内でいつでも共有できるので、全社的に技術やノウハウの蓄積を活用し、効率よく作業できているという印象があります。また、内製のゲームエンジンであるRE ENGINEの開発や保守を専門としてくれている方たちがいるおかげで、社内で統一されて整えられた環境で作業することができますし、タイトル開発で新しく必要になった機能を、エンジンへ実装してもらったりということも社内だけで完結することができます。
こういった取り組みが会社をあげて行われているおかげで僕らはタイトル開発に専念することができます。想像以上に働きやすい環境ですね。
── 大変充実しているご様子がうかがえます。では、今後の目標も教えてください。プログラマーの場合、スキルを極めるスペシャリスト、チームをマネジメントするジェネラリストなどのキャリアがあると思います。鴇田さんの場合は?
鴇田さん:今までの仕事や、カプコンで任せてもらっている仕事を見ても、後輩のフォローや指導、人との折衝を担当するリーダー業務が、僕的には向いているんじゃないかなという気がしています。性格的におしゃべりですし、困っている後輩に声をかけて、一緒に解決するのが好きなんです。企画やデザイナーとの橋渡しにもやりがいを感じますし、どうすればお互いに気持ちよく仕事ができるか、意識して立ち回るのも苦ではありません。
プログラマーでありながら、こういうことができるのは、自分の強みだと思っているので、それがチーム規模で活かせるように、スキルを伸ばせたらいいなと考えています。
── 最後に、今後鴇田さん同様にゲーム系企業に転職を考えている方に向けてメッセージをお願いします。
鴇田さん:今回、転職してみて、一歩踏み出してみるのが大事かなと感じました。転職活動は、時間が拘束されますし、企業やエージェントとのやり取りも発生するので物理的にパワーも必要です。生活が変わることや、転職先が入社前の期待と違ったらどうしようという精神的なストレスもあります。だから、挑戦したくても踏み出していない人が、結構多いんじゃないかと思っています。
でも、実際に勢いでやってみたら、なんとかなることもあります。それに、転職という結果だけでなく、そのプロセスにも得るものがたくさんあります。僕の場合、さまざまな企業の方と話し、新しい価値観を発見できましたし、自分を客観的に評価してもらうことで、自信が持てたのがよかったです。視野が広がって、前職のよいところも見えました。転職活動をしたら、絶対に転職しなきゃいけないわけでもありません。自分の人生をもう一回ちゃんと考えてみるきっかけとして、取り組んでみるのもアリだと思います。
担当のキャリアアドバイザーからひと言
最初に鴇田さんにお話を伺ったとき、すごく改善意欲が高く、優秀な方だなという印象を抱きました。転職の希望や経緯を伺うと、改善意欲が高いゆえに、歯がゆい思いをされているようにも見受けられましたが、それ以上に成長意欲やチャレンジ精神が強く感じられたので、鴇田さんのご転職を全力で応援したいと思いました。
選考過程では、面接対策や情報収集などしっかり準備して臨まれており、最終的に志望度の高い企業3社から内定を獲得。入社時期や現職のことなども含めて大変悩まれていた姿を今でも鮮明に覚えております。
あのときお選びになったカプコンさんで、これからも鴇田様がより一層ご活躍されるのを心より応援しております!