イベントからWeb、映像、SPへ全方向に展開。IPプロデューサーという仕事 ―― テー・オー・ダブリュー 一瀬大樹氏インタビュー
Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.35
第一線で活躍しているクリエイターたちのリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイターたちの熱意や考え方を、是非、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。
広告業界ではさまざまな制作会社が活動しているが、中でも株式会社テー・オー・ダブリュー(以下TOW)は特異な存在である。1976年設立で、イベント事業で躍進を続け、年間1300本にものぼるイベントを開催。国内外の大手広告代理店10社以上と取引し、幕張メッセ、東京国際展示場などの大型会場でのイベントも単独受注する、国内最大級のイベントプロデュース企業である。
しかし、そんな同社が標榜する「体験デザイン」プロダクションの領域はイベント事業のみに留まらない。Web、映像、SP(セールスプロモーション)などの分野で、イベントとの連動も可能な統合的なプロモーションを行っている。そんなTOWに新しく生まれたのがインタラクティブプロモーション室である。ここにはさまざまな得意分野を持った若手のプロデューサーが所属し、TOWでしかできないダイナミックなプロモーションを行っている。そんなプロデューサーの1人、一瀬氏に同社の魅力と、IPプロデューサーの働き方について聞いてみた。
音楽番組のディレクターからTOWへ。エンドユーザーの反応を感じられる仕事がしたかった
―― 転職を考えたきっかけは何ですか?
一瀬氏:前職はTVの制作会社でディレクターをしていました。子どもの頃からTVが好きで、バラエティ番組の制作に憧れていました。その会社に入社してすぐはバラエティ番組の担当だったのですが、途中から音楽番組の担当に変わりました。3年間でADからディレクターへとキャリアアップできたのですが、音楽番組だけではなく、ほかにも何かできることはないかと思って転職を考えたんです。
―― 音楽番組のディレクターというと、多くの人の憧れの職業なのではないでしょうか?
一瀬氏:音楽番組は、たしかに華やかで楽しいのですが、やはり歌唱シーンメインで番組が作られてしまうため、出演者の評価によるところがどうしても大きいと感じてしまって。バラエティなら企画考案、台本制作など、まだ作り手のアイデアを活かすことができますが、音楽番組となると、自分で考える領域が少ないんです。仮に視聴率が獲れたとしてもそれはミュージシャンやタレントさんへの評価で、作り手への評価が見えにくい。そんなふうに感じていました。もっと自分の作ったものに対してエンドユーザーの声をリアルに聞きたい。それなら広告の世界で仕事をしてみたらどうだろうと思ったんです。
―― TOWについてはご存知だったのですか?
一瀬氏:実は紹介されるまで知りませんでした。広告とTVの制作って近いようで私はそれまであまり接点がありませんでした。でもTOWを応募対象として調べていく中で、イベントを中心に事業を展開しているというところにすごく惹かれたんです。素直にイベントならエンドユーザーの顔が見られるなと思いました。そしてTOWがテーマとして掲げている「“体験デザイン”プロダクション」という考えと、「ココロとカラダを動かしたい。」という思いに共感しました。ここでなら自分が本当にやりたいことを目指せるのではと思いました。
番組制作経験を軸足に、広告のオールジャンルでフレキシブルに動けるプロデューサーを目指して
―― TOWへはどんな形で転職したのですか?
一瀬氏:私の応募を受けて、TOWで検討してもらったのがこのIPプロデューサーとしての採用だったんです。TOWには大手広告代理店からイベントを中心にさまざまな形の依頼があります。インタラクティブプロモーション室ではWebや映像、セールスプロモーションなど、イベント以外も含めた統合的なプロモーションを行っています。そこにはこれからプロデューサーとしてスキルを身に付けていく新卒の人や、中途で何らかのスキルを持っていてTOWでの仕事をスタートする若手のプロデューサーなどが所属しています。私は映像や番組制作の経験を活かしてこの部署で働くことになりました。
―― 映像関連の案件のプロデューサーということですか?
一瀬氏:映像なら映像、WebならWebという形で専業のエキスパートを集めたチームは他にあって、IP室のプロデューサーは広告のオールジャンルでフレキシブルに動けることを目指しています。新卒や中途でもまだ私のようにキャリアの浅いプロデューサーもいて、自分の得意分野を活かしながら、他分野も積極的に学び、取り組んで仕事の幅を広げていけるポジションなのです。
私も入社後に、IP室で扱うWebやイベント、SPなどの基礎について研修を受けさせてもらえる機会がしっかりありました。社内では入社1年目、2年目、3年目と社員に向けた多彩な勉強会や研修が行われています。もっと上のキャリアの人でも自分の専門分野以外の研修などを受けることも多いのです。
IPプロデューサーとしての仕事の醍醐味を実感!転機となった番組起点の統合プロデュース
―― これまでで印象に残っているプロジェクトについて教えてください。
一瀬氏:入社してもうすぐ2年半ですが、入社後ちょうど1年で実施した、某ソーシャルゲームの周年施策が私の中で大きかったです。私の得意とする「番組を起点とした統合プロモーション」の企画でした。
この企画は人気のソーシャルゲームの休眠ユーザーの復活を促進するもの。ソーシャルゲームと番組企画が連動したもので、YouTubeや AbemaTVなどで生放送しました。ソーシャルゲーム上でユーザーに参加してもらい、生放送の内容に応じて、ユーザーにインセンティブが配布されるというものです。また、番組を起点とした周辺施策として、イベント、キャンペーン、特設サイトなど本番を盛り上げるプロモーションも行いました。結果は大成功。番組は100万回以上再生され、ツイッターなどのSNSでも大反響でした。番組や前哨イベントで観客の生の反応も見ることができ、私の求めていたエンドユーザーの評価が直に伝わってきました。これほどの充実感のある体験は初めてでした。
―― このプロジェクトによってその後どうなりましたか?
この企画の成功によって私の社内での評価も上がり、映像や番組などの企画の際はよく声をかけてもらえるようになりました。私もWebやイベントにも取り組みますが、映像や番組制作で自分の持ち味が出せたことはよかったです。マルチな挑戦をするIP室ですが、軸足をおける専門分野があるとやはり仕事がやりやすいです。
スケールの大きさと圧倒的なスピード感で自分の成長を実感!TOWでの働く環境
―― 今のポジションで仕事をする喜びは何ですか?
一瀬氏:A社、D社、H社などの国内トップクラスの大手広告代理店と一緒にスケールの大きなプロモーションに取り組めること。しかもTOWは制作会社としてはかなり上流からプロジェクトに入れるのが魅力ですね。何をするかが全部決まってから作るのではなく、クライアントのニーズにどうやって応えるのか。ほとんどゼロの状態から企画に参加できることで圧倒的に仕事が面白くなります。そして苦心して頑張った結果、自分の企画が形になる、イベントでお客さんの喜ぶ顔が見られる、クライアントや代理店の方から「またやろうね」と言ってもらえる、その全部が私にとって心が震える瞬間なんです。
―― 今クリエイターとしての転職を考える人たちにメッセージをお願いします。
一瀬氏:TOWで仕事をして感じるのは、案件の豊富さと、一つひとつの仕事のスケールの大きさです。新人も短期間で数多くのプロジェクトを実践していけますので、学べること、身に付くことが本当に多いです。私もまだ入社3年目ですが、新人向けの研修で講義を行うまでになりました。社歴にかかわらずチャンスを与え、個人の成長を会社全体の成長に繋げるのがTOWです。
この仕事で大切なのは特別なスキルよりも、目の前の課題に対してどんな方法で解決できるかアイデアを出して、それを実現できるプロフェッショナルをそろえられることです。そしてプロジェクトを支障なくどうコンダクトしていくか。IPプロデューサーという仕事には多くのクリエイターにとってチャンスと可能性が詰まっていると思います。このやりがいあるステージに是非踏み出してみてください。
インタビューを終えて
まだ28歳という若さながら、数千万円、数億円のビッグプロジェクトのプロデュースを行う一瀬氏。「TOWの商品は人だけ。だから自分が入ることによって何らかの付加価値をつけたコンテンツを作りたい」と、ものづくりへのこだわりを語る。
一瀬氏の採用に関わった総務担当者は、IPプロデューサーに必要なのは提案できる自発力と、誰からも愛される人間性だと語る。これにWebや映像など、背景となる何らかの専門スキルが加われば一瀬氏のようなわずか入社数年での活躍もTOWでは決して珍しくないとのこと。チャレンジを共有財産としていく社風が個人の成長を加速させているのだ。このTOWのIPプロデューサーという仕事にはさまざまな経験を持つ幅広いクリエイターにチャンスがある。ダイナミックでスピード感のある仕事を求めるクリエイターには是非注目してほしいポジションである。
この記事を書いた人
マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。