4/13(土)のセミナーにて『信長の野望』などを手がけるプロデューサーが登壇!シブサワ・コウブランドが注目する人材とは ―― 伊藤氏・守山氏 対談
4月13日(土)、マイナビクリエイター主催で株式会社コーエーテクモゲームスをゲストに迎えたゲーム業界転職セミナーを開催する。当日は会社説明会の他、シブサワ・コウブランドのプロデューサーをお呼びしての“トークセッション”や希望者向けの“個別面談会”を実施する予定だ。トークセッションではブランドを代表するプロデューサーとして越後谷和広氏、伊藤幸紀氏が登壇。モデレーターを『IGN Japan』副編集長今井晋氏が務める。
株式会社コーエーテクモゲームスは各種コンシューマーゲームからオンラインゲームまで、多彩なゲームタイトルを手がける総合ゲームメーカーである。その中でもシブサワ・コウブランドと言えば、同社の看板タイトルである『信長の野望』シリーズや『三國志』シリーズなどの開発を行っている。
今回はシブサワ・コウブランドのプロデューサーの1人である伊藤氏と、コーエーテクモグループの人事を担当する守山氏に4/13に開催するイベントに先駆けて対談を行っていただいた。
プロフィール紹介
株式会社コーエーテクモゲームス
エンタテインメント事業部
シブサワ・コウブランド シニアマネージャー
伊藤 幸紀氏 - Yukinori Ito
2004年の入社以来、『三國志』シリーズをはじめ、『モンスター☆レーサー』、『真・ガンダム無双』『ポケモン+ノブナガの野望』などの開発を手がけ、最新作『妖怪三国志』でディレクターを担当。新規タイトルで初のプロデューサーを務めるシブサワ・コウブランドのリーディングパーソン。
株式会社コーエーテクモホールディングス
管理本部人事部
マネージャー
守山 高広氏 - Takahiro Moriyama
人材ビジネス関連企業、ITベンチャーでの人事担当の経験を経て2018年に人事部マネージャーとして株式会社コーエーテクモホールディングスに入社。自身も無類のゲーム好きで「好きなことを仕事に」という強い思いから転職を実現。人事、採用面でグループの事業を支える。
シブサワ・コウが求めるのは、「歴史に強い人」よりも「私たちにない他の目線や資質を持っている人」
守山氏:4/13のイベントはコーエーテクモゲームスの中でも特にシブサワ・コウブランドに関心のある人に向けたものになると思います。越後谷さんと伊藤さんでどんなトークセッションになるのか、私も楽しみにしているんですよ。
伊藤氏:シブサワ・コウというブランドが立ち上がったのが3年前のこと。もちろんそれまでもプロダクションがあって、『信長の野望』や『三國志』『Winning Post』『大航海時代』などのタイトルを作ってきましたが、それぞれが担当するタイトルにブランドとして責任を持って作品づくりを行っていこうという考えから、「シブサワ・コウ」「ω-Force」「Team NINJA」「ガスト」「ルビーパーティー」「midas」といったブランドが生まれてきたわけです。
守山氏:シブサワ・コウブランドと言うと、『信長の野望』『三國志』と大人向けの本格歴史シミュレーションのイメージが強いですが、伊藤さんの手がけられた『ポケモン+ノブナガの野望』、『妖怪三国志』といった子ども向けタイトル、『Winning Post』の競馬や『大航海時代』の海洋冒険RPGなど、コラボレーションも含めたいろいろなタイトルの開発に取り組んでいるブランドですよね。
伊藤氏:よく「歴史に強くないとシブサワ・コウには入れない」なんて誤解している人もいますが、意外とそうでもないんです。「歴史が好きだからシブサワ・コウに来た」という人は多いですが、シミュレーションゲーム作りの要素はそれだけではありません。私たちにはない他の目線や資質を持っている人にむしろ注目しているぐらいです。
守山氏:伊藤さん自身はどうしてこの会社に入ったんですか?
伊藤氏:昔からシミュレーションゲームが大好きで、小学生の頃には『三國志2』『三國志3』を夢中でやっていました。しかも、大学生のころに隣駅の綱島に住んでいまして、大学に通う際は必ずと言っていいほど「KOEI(当時)」のロゴを見ていました。そのためか、ゲーム作りを仕事にするならこの会社だとずっと思っていたんです。
守山氏:それで大学を卒業してこの会社に入社したんですね。
伊藤氏:それがそう簡単にはいかなくて。実は私、春採用でこの会社に1度不採用になっているんです(笑)。ですが、予定人数に達しなかったのかわかりませんが、半年後の秋採用でもう1度最終面接を受けてみないかと連絡が来ました。実は大学院で推薦をもらって次の進路も決まっていたのですが、やっぱりゲーム作りがしたくてこの会社を再度受けて、新卒として入社しました。大学院はもちろん中退です。
『三國志』を「遊ぶ」から「作る」へ。伊藤氏自身が入社時に体験したコーエーテクモでのゲーム作り
守山氏:入社してすぐにやりたかった『三國志』シリーズの開発に入ったと聞いていますが。
伊藤氏:初めてゲームの開発に参加したのは『三國志X』でしたね。遊ぶのと作るのは大変な違いだとこのとき、実感しましたね。デバッグを行うモニタールームという部門があるんですが、新人はここでデバッガーの質問に答える役割を担うんです。ゲームの操作法や遊び方、システムについて、デバッガーからいろんな質問が飛んでくる。これに答えられるように、さまざまな開発の担当者に聞いて答えを用意しなければならないんです。大変でしたが気がつくとゲームの隅から隅まで知っていることになり、この経験がその後のゲーム作りに本当に役に立っていると思いますね。
守山氏:その後『戦国無双』シリーズや『真・ガンダム無双』、『ポケモン+ノブナガの野望』『妖怪三国志』などアクションゲームやIPコラボ、子ども向けシミュレーションなどさまざまなタイトルの開発に挑戦していますよね。伊藤さんにとってコーエーテクモでのゲーム作りって、どんなものなんですか?
伊藤氏:年齢やポジションに関係なく、ゲーム作りに向き合うということでは「言いたいことを言っていい会社」だと思いますね。逆に意見を言わないということは肯定したということ。後から「ダメだと思っていた」「こうするべきだった」と言い出すのは私のチームでは絶対ナシなんです。
ユーザーにとっての面白さを追求する姿勢と妥協を許さないクオリティ。グローバルへと展開するコーエーテクモのイズム
守山氏:開発のゲーム作りへのこだわりは私もすごく強く感じるところですね。たとえば開発環境もそうです。ゲームのオープニング画面はミドルウェアのソフトの名前がいくつも並んではじまるのが普通です。でもコーエーテクモのゲームはほとんどが自社のロゴがすっと出てくるだけ。ゲームエンジンも自社開発なんですよね。
伊藤氏:これはこの会社の当初からのゲーム開発へのこだわりの1つですね。サードパーティーのゲームエンジンは確かに簡単に作れてしまいます。ですから、本当はこうしたいのにという思いがあっても、簡単だからこの方法で、となってしまう場合があるかもしれない。でも私たちは最初からゲームを簡単に作ることを目的にしているわけではないんです。作業として大変でもユーザーに届けるものとして妥協できないクオリティがある。「こんなところまで気にするの」というくらい、ゲームのクオリティを徹底的に突き詰めています。これはコーエーテクモのイズムでもありますね。他社IPをお預かりしてゲーム作りを行うことも多い私たちですが、業界水準をこえる厳しさでしっかりと管理を行っているのもコーエーテクモのプライドなのです。
守山氏:そんなイズムを持ちながらも、ゲーム作りを行ううえでどんどん挑戦していかなければならない部分もあります。この会社のシブサワ・コウブランドに代表される戦略シミュレーションゲームは本当にいろんな可能性を持っている。根強い固定ファンだけをターゲットにするのではなく、違う世代へ、グローバルへと広げていかなければ未来は見えてきませんね。
伊藤氏:シミュレーションゲームの世界を広げるという意味でも、私たちはIPコラボレーションや子ども向けのシミュレーションゲームなどに力を入れています。なぜならそういった挑戦の中に新たな発見があるからです。自分で作った固定観念にとらわれず、子どもを対象としたシミュレーションゲームの場合にはどんな発想が必要なのか、グローバル展開を考えたとき国や地域の文化や考え方に合わせてどこまで今あるシミュレーションゲームを崩していけるか。今後のシミュレーションゲームの発展のためにも、これから迎えるメンバーにはこれまでの私たちとは違う発想力を期待したいのです。
守山氏:プランナー、プログラマー、デザイナーとさまざまなゲームクリエイターに集まっていただきたい4/13のイベントですが、伊藤さんはどんな話をしようと思っているんですか?
伊藤氏:それは当日のお楽しみというか、まだ考え中です。お互いプランナー出身者同士、越後谷さんとも相談して、来ていただいた皆さんに喜んでもらえるイベントにしたい。そしてこの会社とシブサワ・コウブランドに関心を持ってもらえる話をしたいと思っています。新卒で入社した私が言うのもなんですが、他社や他業界の経験を活かして活躍している人がたくさんいる会社です。フラットであること。ゲーム作りに常に真剣で、チャレンジを行っていること。このコーエーテクモという会社は、入社15年の私にとってもいつもワクワクできる未来を描ける場所なのです。わずかな時間ではありますがイベントで、そんな当社のことをお話しできると思います。コーエーテクモのゲーム作りに関心のある人は是非足を運んでみてください。
対談を終えて
伊藤氏と守山氏は奇しくも2004年に社会人となった同年生まれ。まったく違う道を歩んでここコーエーテクモで出会うことになったとのこと。ゲーム制作と人事でポジションに違いはあるが、これからの同社の飛躍にかける思いは同じである。新規タイトルのプロデューサーに就任した伊藤氏だが、残念ながら取材時に公表できるのはここまでとのこと。新プロジェクトとは別に、個人の野望としてやってみたいのは同社でサッカーゲームを作ることだそうだ。
4/13のイベントでは同社の大御所プロデューサー越後谷氏が出陣。多くのゲームクリエイターの未来を開くイベントとなることに期待したい。
この記事を書いた人
マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。