自らの専門分野を活かし、クリエイターとしての自由な発想をエンターテイメント×コマースで ―― Candee 渡部氏・長谷川氏インタビュー
Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.21
第一線で活躍しているクリエイター達のリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイター達の熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。
当サイトを訪れるクリエイター、あるいはクリエイターを志望される方の中で株式会社Candeeの名前をご存知の方も多いのではないだろうか。Webを中心に動画・番組制作からキャスティング、PRまでをおこなうデジタル動画マーケティング企業である。「Culture AND Entertainment, Experience!」の頭文字から構成された社名が示すとおり、そのものづくりの方向性、制作スタイルには、ユーザーの感動体験をカルチャーとエンターティンメントで創造していくという特徴がある。
Candeeの制作が一体どのように行われているのか。活躍中のディレクター、アートディレクターのお二人にインタビューをお願いした。
Webを介してユーザーと楽しめるインタラクティブを
── 今回はインタビューにご協力いただきありがとうございます。まずはお二人のCandee入社のいきさつを教えてください。
渡部氏:前職はテレビ制作会社のディレクターとして朝の情報番組を担当していて、仕事はとても責任のあるものだったので満足していました。ただ何年も働くうちに、映像や動画コンテンツを自分自身で作りたいと強く思うようになってきたんです。元々テレビ局に入ったのも、自分でコンテンツを作りたかったから。これから間違いなく伸びていくWeb動画の世界に挑戦してみたいなぁと漠然と思っていたときにCandeeと出会いました。LINE LIVE公式チャンネルの昼帯番組「さしめし」を見て、素直に「この会社でこういう仕事がしたい」と思いました。
長谷川氏:私はコンサートライブの映像演出をしていました。自分の作ったものをライブで表現することで、観客の反応をストレートに感じることができる面白さがありました。仕事へのやりがいは感じていたのですが、ユーザーの反応がもっとダイレクトに数字で表れるWebの世界で仕事をしたいと思うようになりました。転職活動の中でCandeeを知り、私が一番やりたいことにチャレンジできる会社だと感じたんです。
── ディレクター、アートディレクターとして、お二人は今どんな仕事に取り組んでいるんですか?
渡部氏:ソーシャルライブコマース『Live Shop!』アプリ内の番組コンテンツを制作しています。『Live Shop!』はファッションやメイクなどのアイテムを中心に、モデルやSNSで話題のインフルエンサーが登場してアイテムを紹介し、ユーザーは商品をアプリ内で簡単に購入できるサービスです。
長谷川:私たちが『Live Shop!』で大切にしているのは「単なる通販番組」にならないようにするということです。今や国内には無数のECサイトがありますが、動画コンテンツを用いたECが注目されはじめています。従来型のECのように買い物をするだけでなく、コンテンツ自体を楽しんでもらうために、映像演出にも工夫を凝らして、ユーザーの興味関心を高めています。単に買い物をするために『Live Shop!』を利用するのではなく、エンターテイメントや体験を求めて『Live Shop!』を利用したユーザーの興味関心を商品にも向くようにし、そこに買い物機能もある。そんな状況を作り出したいと思っています。
例えば、以前にユーザーと出演者とゲーム感覚でクイズを楽しめる配信を行いました。番組側が仕掛けた問題に出演者が回答することで、番組が進行していくのですが、その際にユーザーはコメントで出演者にヒントを与えたり、ハートを送ったりすることで回答権を無くした出演者を復活させられるようにしました。この時工夫したのはどんなアプリにも搭載されているコメント機能やハート機能を番組進行のキーアイテムにしたことです。そうすることでユーザーによって番組が制作されていく「ユーザー参加・体験型」のコンテンツとして昇華することができました。
渡部:自分たちが心がけているのはインタラクティブ性を活かして情報を一方通行にしないこと。コンテンツを一緒につくっている感覚をユーザーの皆様にも感じてもらいたい。ユーザーにとってどんなことが面白いのか、どんなことならアッと驚かせることができるのか。これまでにない演出にチャレンジできるのがこの仕事の面白さであり難しさでもあります。
通常のプロダクションとは違うCandeeの制作スタイル
── お二人は昨年の12月にほぼ同時に入社されていると伺っています。前職と比べてCandeeとの大きな違いはなんですか?
長谷川氏:前職・現職ともにものをつくるという点は共通しているのですが、「コンテンツの立ち上がり方」が大きく違うと感じています。通常、制作会社といえば、プロデューサーが大枠のコンセプトをつくって、それに沿ってディレクターやADが制作していくのが普通のやり方です。しかしCandeeでは全員でコンセプトを考えるところからはじめます。
例えば、私たちはプロデューサー、ディレクター、アートディレクター、アシスタントプロデューサー、アシスタントディレクター、技術スタッフというメンバーで仕事をおこなっていますが、番組コンテンツをつくる際にはコンセプトづくりから全メンバーが参加してフラットに意見を出し合います。そこでは職種もキャリアも一切関係なく、自由にアイデアが言い合えます。
渡部氏:私にとってもこのコンセプトづくりの自由度の高さは衝撃でした。一般的にクリエイターは専門性やポジションを尊重するあまり、専門外の自由な発想を抑えてしまうことが多いのではないかと思います。しかしここでは、新しいことを実現するために、個々の発想力を最大限に活かすことを大切にしています。「これはできない、あれは難しい」ではなく「これをやってみよう、こんなことができるのでは」というチャレンジできる環境が整っています。このものづくりの考え方がCandeeの社風といっても良いですね。
自由度の高いコンテンツをつくる上でのプロとしての責任感
── 既存のスタイルにとらわれないということは、それだけ難しかったり、時間がかかったりするのではありませんか?
渡部氏:企画を決定する最終判断はプロデューサーに委ねる場合もありますが、メンバーは指示に従うだけではなく、企画に対して各々が熱意を持って能動的に取り組んでいます。誰にでもチャンスがありますので、一つひとつの企画に全メンバーが高いモチベーションで臨むことができます。
長谷川氏:たえずアイデアを考え続け、単なる作業者にならないというのがCandeeでの仕事の一番良いところではないでしょうか。
渡部氏:このスタイルのコンテンツづくりはもちろん楽ではありません。できあがったものに対して、誰かのせいにすることはできませんので、自由度が高い分、相応の責任を負って仕事をすることになります。だからこそ成果が得られた時にはしっかりと評価を受けることができる。手を抜くことはできませんが、仕事に対するモチベーションが高い状況を維持できます。
長谷川氏:昨今、Webにはさまざまな動画コンテンツが溢れていて、ユーザーを惹きつけるのは決して簡単なことではありません。個人で動画をつくり出し、インフルエンサーとして活躍している人もいます。私たちはそんな人たちの魅力に敏感に反応して、新しい発想のコンテンツをつくりあげようとしています。プロがつくるコンテンツには、プロだからこそできるクオリティの演出やクリエイティブがあると思います。
新たな仲間へのクリエイティビティに期待するものとは
── Candeeのディレクター、アートディレクターとして、前職までに得たスキルで有用だと感じるものはありますか?Candeeで活躍する条件は?
渡部氏:ディレクターとして動画コンテンツの制作においては、前職のテレビ局での制作経験は活かせていて、撮影・演出・全体の構成などのスキルは非常に役立っています。しかしそれができれば十分かというと、決してそんなことはありません。既存のスタイルから脱却して発想を縛られないようにすることが大切です。
これまでの経験を振り返ると、コンテンツ制作で思うような成果が出せなかったときは、「これならこう」というフォーマットに乗りすぎていたり、制作者側のエゴが出過ぎていたりした場合が多かったと感じています。仕事を成功させるためには、積み重ねた経験や技術よりもWebに新たなアイデアを持ち込める発想力が必要だと思います。
長谷川氏:前職のライブコンサートの映像演出では、アーティストと観客をいかにしてつなげるかということを考えて仕事をしていました。そしてその仕事の魅力はなんといってもライブの本番で直接観客の反応を見られるということです。その経験が現在の仕事にも大いに役立っています。
今のCandeeの仕事でも、ユーザーからリアルな反応が返ってくるという面は前職と共通しています。これらのコンテンツを楽しむ人々の反応に対して、次の答えを出していくことが私たちの役割です。その答えを求めていくには、何らかの表現技術があることよりも、デザインの根幹となる部分が必要だと思います。ソフトを扱えて、形が綺麗で色が美しいものを作るとかより「何をどのように伝えるか」ということを考えて、アイデアを考え行動できる人はCandeeのアートディレクターとして活躍しやすいと思います。
── 最後に現在転職を考えている方にメッセージをお願いします。
渡部氏:私がCandeeに入社して一番変わったことは、自分から企画を提案する機会が増えたことです。個人の裁量権が大きく、で。もしこれから一緒に働く仲間へアドバイスするとしたら、自由すぎて自分を律することができないと自分の成長速度が遅くなるということです。「せっかく色んなアイデアを持っているのに」、「もっとクリエイティブに打ち込みたいのに」など、制作現場で堅苦しい思いをしている人にはCandeeがぴったりかも知れません。
長谷川氏:Candeeでの仕事の大きな魅力は自分の作品に対する反応がダイレクトに感じられ、それがサービスの成長につながるところです。また、自分の職種や専門分野にかかわらず、すべてのコンテンツ制作においてコンセプトから考え、上流工程から関わっていけることに強いやりがいを感じます。ものづくりが一からおこなえ、意欲があればプランニングやブランディングまでどんなことにでもチャレンジしていける。クリエイターにとってはこれ以上ない環境だと思っています。そんな気持ちを共有できる人とぜひ一緒に仕事がしたいですね。
インタビューを終えて
会社設立からわずか2年半。急速かつ独自の進化を続ける株式会社Candeeはクリエイターにとって気になる企業の一つだろう。実際にテレビ業界、音楽・エンターテイメント業界からの転職者であるディレクター、アートディレクターの2人の話は、同社独自の企画手法からクリエイターとしての働くやりがいを物語っている。
2人が特に熱く語ったのはCandeeでの働き易さや待遇ではなく、クリエイターが仕事に向き合う姿勢を守ることができるということ。躍動するWeb動画の世界でCandeeという会社だからこそ、果敢なチャレンジが可能なのだ。Webと動画コンテンツに関心があるクリエイターは是非Candeeの動画を見てみてほしい。
この記事を書いた人
マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。