自分の中に「熱」を持ち、ゲームの技術と面白さを追求する ―― Luminous Productions 伊藤氏・Aisyah氏・降旗氏インタビュー

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Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.39

第一線で活躍しているクリエイター達のリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイター達の熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。

株式会社Luminous Productionsは、2018年にスクウェア・エニックス・グループから発足したグローバルゲームスタジオである。“新規IPを最新のテクノロジーで具現化する”ことを命題に掲げ、ハイエンドAAAタイトルの開発に携わる同社が求める人材とは。プランナーの伊藤久仁氏、シネマティックアーティストのSulaiman Siti Aisyah氏、ブランド&マーケティング兼アシスタントプロデューサーの降旗舞子氏にお話をうかがった。

プロフィール紹介

開発部 ゲームデザイナー
伊藤 久仁氏
(写真左)

開発部 シネマティックアーティスト
Sulaiman Siti Aisyah氏
(写真中央)

ブランド&マーケティング兼アシスタントプロデューサー
降旗 舞子氏
(写真右)

自分が携わったものが世に出ることは、涙が出るほど嬉しい

Luminous Productionsロゴ

―― まずはお三方のこれまでのキャリアについて聞かせてください。

伊藤氏:前職で10数年ほどイベントディレクターやメインプランナーを経験して、2018年にスクウェア・エニックスに入社しました。『ファイナルファンタジーXV』アップデートコンテンツのイベントディレクターを務めた後、現在はLuminous Productionsで新規プロジェクトのディレクションを担当しています。

Aisyah氏:マレーシアの映像会社にて、3Dアニメテレビシリーズのカメラやアニメーションを担当していました。イギリス留学を経て、2018年にLuminous Productionsに入社しています。現在の職種はフェイシャルアニメーションを専門としたシネマティックアーティストです。

降旗氏:10年ほどテレビ・CM等のエンタメ関連業界でディレクターや舞台監督を務めて、2017年にスクウェア・エニックスに入社しました。Luminous Productions移籍後はブランド&マーケティングと、新規プロジェクトのアシスタントプロデューサー(AP)を担当しています。

―― 具体的な業務の内容について聞かせてください。

伊藤氏:ゲームデザイナーとして、各ゲームの企画部分を担っています。企画から仕様を定め、グラフィックなど各セクションに仕事を振り、最終的に1本にまとめ上げていきます。「こういうものを作りたい」「こういう絵がほしい」というアイデアを最初に形にして、全員に伝えていく役割ですね。もちろん、全て思う通りにはいかないので、そのたびに各所と調整も行っていきます。

Aisyah氏:私が専門とするフェイシャルアニメーションは、表情や仕草からキャラクターの感情を表現する仕事です。キャラクターによって感情表現が異なるため、ストーリーのチームなどとディスカッションを通じて、性格や特徴を錬り上げていきます。「このキャラクターならどう感じるだろう」と、感情移入しながら作業をしていますね。

降旗氏:Luminous Productionsはまだ発足したばかりのスタジオなので、ブランド&マーケティングとしては、"Luminous Engine"を使用した最新技術等、このスタジオならではのブランドを確立しようと奔走しているところです。APとしては、コラボレーション先との渉外や予算管理、人員調整なども担当します。クリエイターがより力を発揮できるように、よりよい環境をセッティングする役割です。

―― 仕事にやりがいを感じるのは、どのようなときですか?

伊藤氏:自分たちが「面白い」と思って世に出したものに、ちゃんと「面白い」という反応が返ってきたときですね。ちゃんとユーザーに届いたことを実感できるからでしょうか。

降旗氏:自分が携わったものが世に出た瞬間は、本当にやりがいを感じますよね。私も自分が立てたプロモーション企画が通って、イベントが成功に終わったときは涙が出るくらい嬉しいです。イベント後にユーザーがSNSで盛り上がっているのを見ると、喜んでもらえてよかったなと。

伊藤氏:作っている最中は必死なんです。常に「どうすれば面白くなるか」と議論していますし、トラブルを乗り越えながらベストな形を探っていますから。でも、その過程自体も、仕事のやりがいに繋がっていますね。弊社は技術が売りではあるのですが、きちんと面白いものを提供したいんです。技術的な研究とお客さまに感じてもらえる満足度、その両方を追求している会社だと思います。

Aisyah氏:フェイシャルアニメーションでも、細かい表情まで考えて作り込んでいきますね。「マイクロエクスプレッション」と呼ばれる、コンマ何秒単位のわずかな顔の動きがあるのですが、これがあることで「悲しい顔だけど実は寂しい」といった複雑な感情を表現できるのです。細部までこだわってキャラクターに乗せた感情が、見ている人の心に届いてくれると本当に嬉しいですね。

固定時間制によって、インプットの時間も確保しやすい職場

―― Luminous Productionsの社内は、どのような雰囲気なのでしょうか?

降旗氏:ひと言で言うなら「オープン」ですよね。かなりベテランも多いのですが、若手の意見をとても聞いてくれる印象があります。企画を提案するときも、ダメ出しで終わりではなく、「ここを直したらもっとよくなる」と実現する方向に後押ししてくれる。しかも本当によくなるのでいつも驚くんですよ。毎回勉強させていただいています。

伊藤氏:ベテラン側も新しい刺激を必要としていて、「若手から学びたい」という姿勢なんですよね。だから大げさでもなんでもなく、本当に意見が言いやすい。どんどん発言していいし、いい意見であれば取り入れようという空気も整っている。

Aisyah氏:外国人から見ても、こういう雰囲気はとてもいいと思います。海外の会社で働いていたときも「みんなで一緒に考えましょう!」という環境でしたし、グローバル向きな環境じゃないでしょうか。

降旗氏:自分で考えて動いている人が多いせいか、作業がルーチンワークになっている人をあまり見ない気がします。

伊藤氏:そうですね。みんなそれぞれがプロ意識を持っていて、やるべきことは何か、さらによくなるにはどうすればいいかを常に考えています。非常に前向きですよね。

―― ゲーム業界では裁量労働制の企業も多い中、Luminous Productionsは固定時間制(9:30−18:00)だとうかがいました。

伊藤氏:口先だけの制度ではなく、定時になると本当にみんな帰ります。ゲーム業界なので繁忙期には残業もありますが、基本は定時帰り。スケジュールをしっかり組んで、時間内に仕事を終えなければいけないので、働き方を見直す意味もあります。

降旗氏:退社後は映画を観たり、友達と遊びに出かけたりすることも多いですね。忙しいとアウトプットするだけになりがちですから、自分の知識や経験値をアップデートできる時間を持てるのは大きなメリットだと思います。

伊藤氏:私は家に帰っても結局ゲームをすることが多いですね。そこで「この仕様いいな」と気になったり……職業病です(笑)。映画を観ても、こういうシーンが流行っているのかとわかると、ゲームにどう取り入れようか考えてしまいます。

Aisyah氏:私も映画を観るときは、役者さんの表情をじっと見てしまいますね。

降旗氏:楽しいものを作る仕事なので、自分が楽しいと思ったものは全部仕事に繋がるのではないでしょうか。

伊藤氏:ワークライフバランスという面では、平日に家族と一緒に夕食をとれる時間に帰れるので、家での過ごし方も変わりました。お子さんをもつ社員は保育園や学童クラブへ迎えに行ける時間に帰れるので、とても助かっているようです。

自分の中に「熱」を持ち、共に前へ進める人と働きたい

―― 同僚や部下として「一緒に働きたい」と思う人はどのような人でしょうか。

伊藤氏:「熱」がある方と働きたいですね。ゲームデザイナーとしては、「これをやってみたい」「これが新しい」と、自分からアイデアをどんどん出していける人だと嬉しいです。その一方で、柔軟性も欠かせません。現場のプロたちの意見も取り入れながら、臨機応変に形を変えていけるのがベストですね。

降旗氏:私も情熱と熱意は必須だと感じます。あとはコミュニケーション能力があれば。たとえ知識や経験が充分でなかったとしても、コミュニケーションが図れれば周囲も協力してくれますし、自分次第でどうとでもなる環境だと思います。

Aisyah氏:自分も周りの人からたくさんのことを学びました。皆さんすごく優しくて、面倒見がよくて、本当に助かります。私は日本語を勉強してから1年くらいですが、こうして話せるのも皆さんのおかげです。

伊藤氏:確かに、うちの会社はコミュニケーションを嫌がらない人が多いかもしれませんね。

降旗氏:あと、みなさん「できない」と言わないですよね。「無理です」「できない」と拒否するのではなく、「こうすればできる」を考えてくれる。前へ進める力があれば楽しんで仕事ができるし、そういう方と一緒に働きたいなと思います。

―― 応募するうえで「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といった有名IPの知識は必要になるのでしょうか?

伊藤氏:ゲームを作りたい気持ちさえあれば、特定タイトルの知識はなくても問題ありません。

降旗氏:私もゲーム開発の知識はゼロで転職しましたので大丈夫です。ただ、ゲームを遊んだ経験があればほかの社員とイメージを共有しやすいので、知っていて損はないですね。

求められる人物像

  • ゲームに対する情熱があり、柔軟性を兼ね備えていること。
  • 自分のやりたいことを自分の言葉で意見できること。
  • コミュニケーションを取り、物事を前に進める力を持つこと。
  • 固定時間制であるため、限られた時間の中で効率を意識して働けること。
  • 「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」に関する知識はマストではないが、ゲームの知識があることが望ましい。

―― 最後に、転職を考えている方に向けてメッセージをお願いします。

伊藤氏:Luminous Productionsはチャンスの多い会社です。やりたいことを実現できる可能性が高い環境なので、意欲ある方をお待ちしています。

降旗氏:若手も積極的に採用しようとしていますので、チャレンジの余地もたくさん残っています。迷われている方はぜひ応募していただけたらと思います。

Aisyah氏:ぜひ、一緒に働きましょう!

インタビューを終えて

ゲーム開発者向けイベント“CEDEC 2019”で、パストレーシング(レイトレーシング手法の1つ)を用いたデモが話題となった株式会社Luminous Productions。その高い技術力もさることながら、自由闊達に議論できる風通しのよい環境も魅力の1つだ。ゲーム業界を志す若手にとっては、ベテランとの交流で得るものも大きいだろう。

また、固定時間制によりワークライフバランスも保たれていることも注目したい。優れたプロダクトを生むには、多様なインプットが必要不可欠。クリエイティブな環境を求めるのならば、ぜひエントリーしてみてほしい。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。

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