What's editor? vol.2 〜メディア運営者・コンテンツディレクターのキャリアを語る〜 セミナーレポート

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去る10月29日、新宿エルタワーのマイナビクリエイターセミナールームにおいて、「What's editor? vol.2 〜メディア運営者・コンテンツディレクターのキャリアを語る〜」と題したセミナーが開催されました。

今年2月に開催された「Web編集者向けセミナー『What's editor?』」の第2弾であり、会場は「Webメディアの運営に携わりたい」と考える方が多数集まりました。今回のゲストはレバレジーズ株式会社のメディア企画部部長・荒井正孝氏。メディア運営を完全内製化しながら成果を出し続ける同社は、どのような取り組みを行っているのでしょうか。マイナビワークスのマーケティング部部長・萱沼守がモデレーターとして参加し、同社のチームビルディングやキャリアパスなどを例に取り、掘り下げました。

プロフィール

荒井 正孝氏
レバレジーズ株式会社
メディア企画部 部長

印刷会社のコピーライターを経て2012年3月中途入社。看護事業部にて「看護のお仕事」のSEOを担当したのち、全事業のマーケティング機能を担うマーケティング部設立に伴い異動。SEOチームの責任者を務め、全社総会でベストチーム賞を2回受賞。2018年より新設したメディア企画部の部長へ。

萱沼 守
マイナビクリエイター
マーケティング部 部長

2013年に株式会社マイナビワークスに入社し、Webマーケティングチームの部長として、転職情報の発信やリアルイベントの企画・運営など、集客全般に携わる。2018年2月には、デザイナー向けのポートフォリオ作成サービス『MATCHBOX』をプロデュースし、PARTY社と共同で開発・リリース、さまざまな視点からキャリアアップに必要なコンテンツを提供している。得意分野は、最適なSEO設計やコンテンツマーケティングによる自社サイトのグロース。

「インハウス」が競争優位性を生み、メディアの価値を向上させる

ITエンジニアの求人情報サイト「レバテック」や、看護師専門の転職サイト「看護のお仕事」など、「人材×メディア」を軸に多くの自社メディアを持つレバレジーズ。荒井氏は、まずオウンドメディアの持つ役割について触れました。

レバレジーズの事業は、求職者側と企業側をマッチングすることで収益をあげるビジネスモデルとなっています。メディアの主な役割は、ビジネスの入り口となって求職者と企業側を「集める」もの。SEOによる集客や、効率のよいコンテンツ制作も「集める」ための施策となります。

しかし、ただ人を集めるだけでは収益に繋がりません。求職者側は書類応募や面接など次のステージに進み、企業側は求人やスカウトなどのアプローチを行い、両者が結びついて初めて成果が生まれるのです。「集める」のその先で、メディアにできることがあると荒井氏は説明します。

荒井氏:たとえば新卒の方が内定を得るまで1年かかるとするなら、その1年間を繋げる役割がメディアにあると思っています。質の高いコンテンツによって、「このメディアいいな」と価値を感じてもらいたいのです。

レバレジーズ社のオウンドメディアが掲げるミッションは「競争優位性を創出して、メディアの価値を向上させること」。競争優位性を生み出す取り組みの1つが、完全内製化(インハウス)です。一般的なオウンドメディアは、編集者やライターを外注し、運営元が舵取りをするケースがほとんど。しかしレバレジーズ社はディレクターやエディター、ライター、デザイナー、SEO担当、マーケティング担当など、メディアに関わる人材をすべて社内でまかなっています。

荒井氏:外注してしまうと、コンテンツ制作やSEOのノウハウが社内に蓄積されません。各職種の人材を社内にかかえることで、それぞれ経験を積み、内部ですべてが完結できるようになります。結果、他社に真似できない成果を生むことになり、競争優位性に繋がるのです。

「機能軸組織」によって専門性を高められる環境を

次に荒井氏が触れたのは、「機能軸組織」と呼ばれるレバレジーズ社の組織体制です。荒井氏が所属するメディア企画部は、各自の専門性ごとに「コンテンツチーム」「オウンドディレクターチーム」「SEOチーム」といった「機能軸」のチームに分かれています。他方、各事業のオウンドメディアは事業部門ごとに存在し、それぞれ責任者がいます。「機能軸組織」では、事業軸と機能軸が併存したマトリクス型の組織となっているのです。

荒井氏:機能軸のチームは、専門性の高い者が上長となり、後進を育成しやすくなります。また、各機能軸のメンバーは、特定の事業部門に縦割りに属するわけではなく、時に複数のオウンドメディアを兼任することもあります。事業部門の負荷によってリソースを柔軟に割り振れるなど、流動性の高さもメリットとなるのです。

では、機能軸には具体的にどのような職種があるのでしょうか。荒井氏は「コンテンツディレクター」「エディター」「オウンドディレクター」「SEO担当者」の4つを挙げました。「コンテンツディレクター」は、コンテンツ制作やライターのマネジメントを担当します。質を保ったまま多くのコンテンツを制作するために、仕組み化や生産性改善が求められる職種です。紙媒体の編集経験者が多いといいます。「エディター」は一般的な編集者と同様、コンテンツの企画・制作がメイン。自ら企画して提案することが多く、柔軟な発想ができる人に向いています。

「オウンドディレクター」はオウンドメディアのUI改善や、施策の進捗管理が主な役割です。施策実行の際はエンジニアやデザイナーとのやり取りも発生します。「SEO担当者」の役割はオウンドメディアの集客。サイトの最新情報を収集し、分析、検証に重きをおく職種です。荒井氏もSEO担当者からキャリアをスタートさせました。

荒井氏:キャリアパスとしては、1つの機能軸を突き詰めて機能軸リーダーとなる道もあれば、他の機能軸も広く経験して編集長になる道もあります。施策立案から実行までが早く、成果はすぐにデータとなって表れるため、ステップアップのスピードも速いですね。

「メディアに関わる人の価値」をきちんと説明できるように

最後に荒井氏は、レバレジーズ社で活躍する中途採用の社員について、事例を挙げて説明しました。メディア企画部への中途入社は「肌感覚で7〜8割が他業界からの転職。コンテンツ関連に関しては9割近く紙媒体出身」だといいます。

前職で音楽系雑誌の編集者だったあるコンテンツディレクターは、入社後に工数管理や生産管理の手法を習得し、年間ベストマーケターとして社内で表彰されました。また、ライフスタイル系雑誌の編集者だったあるエディターは、入社後にSEO担当者からSEOの知識を学び、応募数向上に大きく貢献しました。いずれも紙媒体の元編集者として、コンテンツ制作に強みを持ちながら、未経験だった工数管理やSEOを学ぶことで、さらに大きな成長を遂げたケースです。このように前職で経験してきた自分の強みを活かしながら、経験したことのない業務を社内で吸収し力をつける環境があります。

同じWebメディア業界から転職し、活躍しているメンバーも存在します。メーカー系オウンドメディアを担当していたディレクターは、前職の経験を踏まえ、現状分析や施策立案で成果を出しています。また、Web制作会社で社内システム開発の経験があるディレクターは、エンジニアとの会話がスムーズで、他職種へのディレクションが的確だといいます。

セミナーの最後、荒井氏は転職を考えている参加者に向け、改めて「メディアの価値」の大切さについて述べました。

荒井氏:異業種からの転職でも、成長意欲があればいくらでも知識を吸収できますし、同業種なら自分の強みを全面に打ち出せば問題なく活躍できます。大切なのは、メディアを作る側が自分たちのコンテンツの価値をきちんと認識していること。自社メディアやコンテンツ制作に関わる人々の価値を、言葉にして説明できる状態を目指してもらえたらと思います。

イベントを終えて

編集者やライターを外注するのが当たり前のオウンドメディア運営において、レバレジーズ社によるインハウス化の取り組みは異例といえるでしょう。しかし、インハウス化の優位性や、機能軸組織による専門性の向上、中途採用者の活躍などを聞くにつれ、その取り組みは「異例」ではなく「実現可能」なものだと感じました。

ただ、この仕組みを単純に真似ただけではうまくいきません。レバレジーズ社の取り組みが成り立つのは「メディアの価値を向上させる」というミッションが根底にあるからこそ。Webメディアの運営に関わりたい参加者にとって、メディアの価値とは何か、そして自分にできることは何か、改めて考えるきっかけになったのではないでしょうか。

これからもさまざまなテーマでお送りする予定のWeb編集者向けセミナー「What's editor?」。今後にご期待ください。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

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