ソーシャルゲームプランナーになるための必要条件と押さえておきたい基礎知識
ソーシャルゲームプランナーとして、転職を考えた時、最低限必要となる基礎知識は何か。今回は、ソーシャルゲームプランナーとして担う役割や必要スキル、また、ソーシャルゲームの歴史について簡単にご紹介したいと思います。
社会問題にまで発展したソーシャルゲーム
ソーシャルゲームとは、SNSに会員登録することで、ソフトやハード機器を必要とせず、Webブラウザでプレイできるゲームのこと。もともとブログなどの要素として組み込まれているソーシャル機能を利用した遊び方から発展しました。オンラインで繋がって一緒に協力プレイをしたり、メッセージでやりとりができたりするものは、全てソーシャルゲームだと勘違いしがちですが、これとは異なります。
国内でソーシャルゲームの火付け役となったのは、皆さまもご存知の通り、GREEとDeNAの二社による影響が大きいでしょう。GREEの『クリノッペ』や『釣りスタ』、そして『ハコニワ』。Mobage(DeNA)の『釣りゲータウン』や『怪盗ロワイヤル』などは、当時、爆発的な人気を得て、ソーシャルゲームのブームを巻き起こしました。
ソーシャルゲームは、基本、無料でゲームをプレイすることができますが、アイテム課金をすることで、ゲームをより有利に進めることもできます。この有料サービスについては、子供が親(保護者)の管理の届かないところで無断で課金し、後日、携帯電話やクレジットカードの使用料として、何十万円もの請求を受けるケースが頻発。深刻な社会問題へ発展しました。そしてこの問題は、2012年、ソーシャルゲーム運営会社は国(消費者庁)から注意を受ける事態にまでなりました。(コンプガチャ問題)
コンプガチャ問題
2012年(平成24年)5月5日、日本の消費者庁がコンプリートガチャを違法(景品表示法違反)であるとして、ゲーム会社に注意を喚起する方針であると報じられた。
ガチャはゲーム内の仮想通貨を使う。仮想通貨の購入にはお金が必要で、後日、携帯電話の使用料や予め登録したクレジットカードに請求される後払いの形になっている。このため、未成年者が親のお金を使い込むケースも出てきており、消費者庁に苦情が多数寄せられていた。
消費者庁が問題視しているとされるのはコンプリートガチャのみであり、通常のガチャについては何も発表されていない。この報道に対して、5月7日午前の東京株式市場ではソーシャルゲーム関連会社の株が軒並み下落し、「コンプガチャショック」と呼ばれた。
社会全体にも影響を及ぼすソーシャルゲーム。そんなゲームを開発するために必要不可欠な職種であり、ポジションであるソーシャルゲームプランナーとは一体どんな職種なのでしょうか。
ソーシャルゲームとネイティブアプリゲームの違い
まずは、ソーシャルゲームとネイティブアプリの違いをざっくりと押さえておきましょう。スマートフォンで盛んにゲームをプレイしていると、「アプリをダウンロードしたゲームで、友達と協力し合って敵を倒した」という経験をした方もいらっしゃるでしょう。冒頭でも少し書きましたが、これはSNSをプラットフォームとしているのではないので、厳密に言うとソーシャルゲームではありません。
これらはネイティブアプリと呼び、スマートフォンを操作し、App StoreやGoogle Playなどの代表的なマーケットプレイスからダウンロードして遊ぶタイプのゲームです。インターネット通信を可能とするので、他のスマートフォンユーザーと連携してバトルやパズルを楽しむこともできるのが特徴ですが、ソーシャルゲームとは区別して考えましょう。
スマートフォンにゲームのアイコンが並んでいたら、それだけでソーシャルゲームと判断せず、ネイティブアプリのゲームと捉えましょう。
ソーシャルゲームとは
ソーシャルゲームとは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上で提供されるゲームの総称である。「ソーシャルネットワーキングサービスゲーム」とも言う。一般的には「ソシャゲ」などと略される。
SNSというプラットフォームを指すジャンルであり、スマートフォン上で動作するゲーム(スマホゲー、ネイティブアプリ)や、オンラインゲーム、ブラウザゲーム、基本無料・課金サービス形式(F2P)と混同されることもあるが厳密には異なるジャンルである。ただし、ソーシャルゲームの設計の全体的な傾向として多く見られる部分や、ジャンルが重なっている部分もあり、明確な線引きが難しい場合もあるだろう。
ソーシャルゲームプランナーが担う役割とは
ソーシャルゲームプランナーは、メイン業務としてソーシャルゲームの企画から運営に関わるプランニングやディレクションがあります。すでに経験をお持ちの方はイメージつくかもしれませんが、具体的な業務として以下の内容があげられます。
- 事業企画の立案
- アプリケーションのプロデュース及びプロジェクトマネジメント
- 新規ゲームラインの立ち上げ
- 外部開発会社へのディレクション
- 進行管理、工程管理
- ライセンサーへの企画提案営業
- 事業部マネジメント(予算・人材)
- ゲームの設計、企画(仕様書作成、シナリオ作成、イベント企画)
- クリエイティブディレクション
- KPI分析
企業によって求められるスキルは多少の違いはありますが、企画などのプランニングが主な業務担当になります。また、プランニングのための方法論をはじめとするデータマイニングやプログラミング、デザインなど幅広くの知識を身に付ける必要性があります。
また、ソーシャルゲームプランナーには、「ソーシャル機能をどう活かしていくか」、「長く飽きの来ないゲームとはどういうものか」を深く掘り下げて考えることが求められます。ユーザー同士が関わることで、ゲームがより盛り上がる構造をつくり出すためには、様々なターゲット層によるWeb上でのコミュニケーションを想定しながら企画を練ることが大切です。
ソーシャルゲームプランナーで必要なスキルは、協力プレイの企画
遠く離れた友達と、一緒に協力して乗り越えるイベントは、ソーシャルゲームならではの楽しみです。友達と一緒に何をして遊ぶのか、協力プレイの中身を企画することが、一般的なゲームプランナーとの大きな違いとなるでしょう。
中には1人で黙々と技を磨いたり、庭やアバターをマイペースに飾ったり育てたりして楽しむ方もいます。しかし、大多数のユーザーは連携プレイならではの面白さを求めていると捉えるのが一般的です。たとえば協力プレイをすれば、1人で敵に立ち向かった時より大ダメージを与えられるルールを定めたり、友達と一緒でないとゲットできないアイテムを増やしたりするなど、お互いのつながりが深められるイベントやルールを考えることがソーシャルゲームプランナーならではのミッションと言えます。
また、クリスマスにはお互いにプレゼントを交換したり、メッセージカードを送ったりなど、季節的なイベントと連動した企画が賑わうのも、ソーシャルゲームならではの特徴。ある程度コミュニケーションが取れるようになったら、それをどう楽しんでもらうかということに考えを巡らせることも必要です。それにはユーザーのコミュニケーションを先回りして予測できるようなスキルが大切となってくるでしょう。
その一方で通常のゲームプランナーであれば、ソーシャル機能を使わないので、1人でも進められるイベントやルールを企画することも大きなミッションとなります。よって、物語そのものの面白さや、1人でもある程度やり込めば強くなれるルールを考えなければなりません。物語の面白さだけでなく、人とのつながりを強く意識しながらゲームの大枠を考える業務、それこそがソーシャルゲームプランナーの仕事です。そこにどれくらいアイデアを盛り込めるかが、人気タイトルをリリースできるカギだと言えます。
ソーシャルゲームのこれまでの人気タイトル
ソーシャルゲームプランナーとしての一般的な基礎知識を押さえておきましょう。ソーシャルゲームは手軽に楽しめることから最初は「お手軽ゲーム」「インスタントゲーム」という形で携帯電話向けが主流でした。日本国内においてはGREEとDeNA(Mobage)が主体となってソシャゲブームが広がりました。ここではソーシャルゲームの人気タイトルを振り返ってみます。
モバゲータウン(DeNA - 2006年リリース)
さまざまなゲームがそろっていて、恋愛ストーリーを読み進めるなどテキストノベル系のゲームが多いことが特徴。多くのユーザーに親しまれていて、アバターなどの設定はリリース当時大流行に。ある程度高い年齢層を狙ったゲームも多く、三国志などの歴史ものの陣取りゲームや、昼ドラのような恋愛ストーリーが豊富にそろっています。
参照:モバゲータウン
釣り★スタ(GREE - 2007年リリース)
気軽に本格的な釣りゲームを楽しむことができます。お気に入りの釣り竿と仕掛けで大物の魚を狙うゲームであり、大人数で参加できるイベントで盛り上がったり、釣った魚の魚拓を撮ってシェアすることができます。釣りが好きな方から、ゲームの初心者まで多くのユーザーに楽しまれるゲームと言えるでしょう。
参照:釣り★スタ
アメーバピグ(サイバーエージェント - 2009年リリース)
言わずと知れたアメーバブログに登録すれば遊べる大規模なソーシャルゲーム。アバターを使って庭を育てたり、カフェを経営したり、街をつくるなど様々な遊びが体験できます。最近では釣りゲームでレアな魚を捕まえたり、戦闘ゲームや、島をつくったりするなどのゲームも人気です。純粋にチャットを楽しむために10代・20代・30代と年代に分けて不特定多数が一度に会話できる場所の提供なども行っています。
冬にはスケートをしたり、名所をもじったチャットルームでイベントを開催したり、音楽を配信するなど様々な手法でユーザーを飽きさせない工夫がなされています。裏技が豊富なのもこのゲームの特徴で、珍しいレイアウトで箱庭のレベルを競うこともあります。また、チャットルームで常連が遊びを考案してはやらせるなど、ユーザー側がトレンドを発信する様子が見受けられることもあります。
参照:アメーバピグ
ディズニー ツムツム(LINE - 2014年リリース)
子供から大人まで楽しめるのがポイントの可愛らしいゲーム。名前の由来は、ディズニーストアで大人気のぬいぐるみ『TSUM TSUM(ツムツム)』から来ています。集めてつなげるだけの簡単なルールながら、ディズニーのキャラクターが随時追加されることもあってファンの心をわしづかみにしたと考えられます。今でも高得点が取れたらラインブログで自慢したり、タイムラインにアップしたりする芸能人がいるほどの根強い人気です。
参照:ツムツム
ソーシャルゲームのヒットタイトルを生み出し続ける人気企業
浮き沈みの激しいゲーム業界の中でも、ソーシャルゲーム業界は特に当たり外れが大きく「1度当たれば莫大な収入を得られるが、当たらなければ収益を得られないまま赤字化する危険がある」と言われています。そんな浮き沈みの激しいソーシャルゲーム業界で長く生き残っている企業をご紹介します。有名すぎて、ご存知の方も多いとは思いますがあらためて。
ソーシャルゲームの第一人者、モバゲーを世に送り出したDeNA
他社に先駆けてソーシャルゲームを世に送り出した先駆者と言えるでしょう。オセロや陣取りゲーム、パズルなどのシンプルなゲームから恋愛ゲームまで豊富な種類が揃っています。流行したアバターもこの会社が火付け役。課金で莫大な収益を得て、横浜ベイスターズの親会社となったことでも有名です。もともとはオンラインオークションをメインに事業展開していました。2015年は任天堂と業務提携するなどの新しい動きも見せています。
日本のソーシャルゲームを牽引してきたGREE
2004年に設立され、リリース当初はmixiのようなPC版の交流を目的としたSNS。その後、携帯電話向けのブラウザゲームとして浸透。『クリノッペ』をはじめとする、『釣り★スタ』や『ハコニワ』、『ドラコレ』や『探検ドリランド』などをリリース。2011年にアメリカのモバイルソーシャルプラットフォームであるOpenFeint(オープンフェイント)を完全子会社し世界進出を果たしました。
参照:グリー株式会社
ツムツムだけでなく、様々なミニゲームを次々と考案するLINE
韓国のIT企業ネイバー株式会社の子会社であるが、80%は日本国内のユーザーからの売り上げです。ツムツムで大ヒットを飛ばしましたが、それだけではとどまりません。オリジナルキャラクターである『ブラウン』、『コニー』を使った多くのミニゲームや『タワーライジング』、『LINEバブル』など大人気ゲームもリリースしています。
参照:LINE株式会社
まとめ – キャリアアドバイザーからの一言コメント
ソーシャルゲームプランナーとして重要なことは、ユーザー視点とゲーム企画力を活かした企画力です。また目標達成のためのチームマネジメント力も必要になってきます。初めはプロジェクトのリーダーとしてチームを引っ張っていくことになりますが、経験を積むことで会社全体を引っ張っていく能力も求められる可能性があるでしょう。
ソーシャルゲームは移り変わりが激しいため、ユーザー視点に沿ったプランニングや利益を生み出す課金するために何が必要なのか理解しておくことが必要です。
この記事を書いた人
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