ゲームプランナーとして活躍するために20代で実践すべきこと

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ゲームプランナーと聞くと、ゲームの企画を立案する仕事だろうと思われがちですが、その実仕事の内容は多岐に渡っています。もちろん、企画を考えることが軸となりますが、それ以外にもデバッグやプロジェクト進行、仕様書の作成、クオリティチェックや効果測定、改善策の提案、時には雑用のような仕事も任されます。会社によっては、ゲームプランナーがディレクターを兼ねていることや、雑誌に載せる広報用の記事を書くこともあります。

20代の前半はそれでも良いと思いますが、毎日多くの仕事に翻弄され、気付くと30代が近づいてくるということも少なくないでしょう。果たして、このままでいいのでしょうか?30代に突入すると、仕事の他に責任も任されるようになっていきます。

そこで今回は、まだ20代のうちにしておきたいこと、知っておきたいこと、どうすればプロジェクトの中心になれるのか、ゲームプランナーからもっと年収の良い業種への転進はできるのか、起業してフリーのゲームプランナーになるにはどうすれば良いかなど、より良いキャリア形成について解説していきたいと思います。

20代のゲームプランナーに想定されるキャリアパス

まずは20代のゲームプランナーのキャリアパスについて考えていきましょう。ゲームプランナーの年収は、経験した作業の種類が多いほど年収も高くなりますので、一般的には業界経験年数が長いほど年収もアップします。

同時に、会社への貢献度が高いほど年収も上がるので、自身のアイデアで作り出したゲームがヒットし、売り上げが上がれば、年収もあがっていきます。ゲームプランナーからゲームディレクター、またはゲームプロデューサーへ転進したり、より良い条件の会社へ転職したり、または起業しフリーランスとして活動するなど、進む道は様々です。

ゲームプランナーに想定されるキャリアパス

ゲームプランナー キャリアパス

20代のゲームプランナーが業務を行う上で直面する悩み

幅広く業務に関われる20代のゲームプランナーは、業務を遂行する上で、問題に直面する機会も出てくるでしょう。 ここでは、20代のゲームプランナーが業務を遂行する上で直面する悩みと、その改善方法を解説します。

新しいアイデアが思い浮かばない

20代のゲームプランナーでは、まだ30代、40代に比べて経験値も少ないので、アイデアの引き出しもそこまで多くはありません。しかし、既存のアイデアでも、組み合わせ次第では新しいアイデアになります。なかなかアイデアが浮かんでこないのであれば、ゲームをプレイするだけでなく、大昔にヒットした映画、日本ではあまり知られていない海外のミステリーや競技など、ゲーム以外のコンテンツにも目を向けてみましょう。それらを参考に、アレンジしてみるといいかもしれません。自身が20代であるということは、20代のユーザーの気持ちがわかるということに繋がってきますから、それは大変な強みとなります。

30年以上前に流行したものであれば、20代のユーザーはその存在を知らないからこそ、新しいものに感じることができます。過去に流行ったものを今風にアレンジすることで、現在のユーザーには新しいコンテンツとして受け入れられることでしょう。

自分自身でアイデアが浮かばない時はメンバーでアイデアを出し合いましょう。あなたがゲームプランナーなら、一人で頭を抱えているのではなく、社内の仲間や、外部のシナリオライター、イラストレーター、作曲家等に声をかけ、アイデアを参考に求めるのも手です。そうすることで全然違う視点や考えが出て、よりよいものが生まれる場合もあります。できるだけ多くの人からアイデアを募って、よいものをどんどんピックアップしていきましょう。

ただし、忘れてはならないのが、企画が通ったらアイデアを出してくれた人達にもプロジェクトに参加してもらうことです。もし没になった場合は、必ずそのことを伝え、何故没になったのかを伝える等、しっかりフォローをしておくことで次に繋げることができます。

外部クリエイターとの繋がりの作り方

外部発注 クリエイター つながり

企画書が通らない

企画書が通らないのは、読み込むのに時間がかかるくらい長々と文章を書いてしまっている場合です。どんなに面白いアイデアを思いついても、伝わらなくては企画が通りません。ゲームのコンセプトはできるだけ簡潔に、面白さを一言で説明できるようにしておきましょう。また、可能な限り絵や図を載せてイメージが伝わりやすいようにしておくことです。

企画書 趣旨 企画書にストーリーを載せる際は、結末までを簡潔に、キャラクターを載せる場合は、紹介文の他に口調がわかる台詞、可能ならキャラクターにもキャッチコピーをつけ、イラストがある場合はイラストを、ない場合はイメージに近い既存のキャラクターの画像を参考画像として載せておくことで、相手にどんなゲームなのか伝わりやすくなります。

ゲームのインターフェイスについてもイメージに近いものがあるならば、その画像を載せておくことをおススメします。大切なことは、その企画書を読んだ人間にどれだけイメージが伝わるか、面白いと思ってもらえるかということです。ゲームのアイデア以外でも、たくさんの企画書を見て、通りやすい企画書にはどんな工夫が必要なのかを学ぶと良いでしょう。

ゲームがなかなかヒットしない

ゲームを考えるために、まずは王道を知っておくべきです。若い頃は、画期的なゲーム、新しいゲームを作ろうと気負いがちですが、あまりにも斬新すぎると受け入れられづらく、ヒットに繋がりにくくなります。ヒットのアイデアを探るならば、まずはヒットしたものをとにかくプレイし、何がヒットの要因なのか、何が良かったのかを分析し、まず王道を分析しておきましょう。

UIも同様に、慣れ親しんだものからあまりかけ離れた仕様にはしない方が無難です。多くのゲームで取り入れられているUIは、取り入れられるだけの理由があり、それだけ使いやすいという裏付けでもあります。そういった部分を取り入れたり、その後も使い勝手の悪かった部分を改良していくことで、従来とは違ったオリジナリティを少しずつ作りだすことができます。

20代のゲームプランナーが実践すべき8つのこと

20代のうちから30代のステップに向けた準備を進めておきましょう。他のクリエイターや開発等、関係各所との直接のやり取りを通じて人脈を築いておくことが大事です。そのために、他社との交流やEXPOへ行って顔を繋ぐようなこともしておくといいです。また、転職に有利となるスキルを磨くためにも、一つのプロジェクトで一つのことだけをせず、積極的に他の人が請け負っている仕事のジャンルにもチャレンジしておきましょう。

売り切りタイプと違い、スマートフォン向けアプリゲームは「継続率や課金率」などが、重要視されます。初期にどれだけリソースを突っ込めるか、普段の運用でいかにユーザを引き留めていられるかというプロデュース力が期待されることになります。

01. 人脈を大切にしよう

仕事を円滑に進めるためにも人付き合いはとても大切です。今から少しでも多くゲーム業界の方々と親しくなっておきましょう。ゲーム制作を通じて知り合ったクリエイターと個人的に親しくしておいたり、すぐに連絡が取れるようにしておくと良いでしょう。普段から親しくしておけば、急に人材が必要になった時に対処してもらえたり、別の誰かを紹介してもらいやすくなります。

こちらが雇い主なのだと居丈高に振舞うのではなく、作品を作っていただいているという気持ちで、相手が気分良く仕事ができるよう、メールや電話での言葉の使い方に注意しましょう。そして、上がってきた作品に対して、良かった点がある場合はその都度積極的に伝えておくと良いでしょう。その際は具体的な表現を心がけるとなお良しです。

会社員として働く場合ももちろんですが、起業した後などは人脈が大切になってきます。業界内パーティ等、顔合わせに最適な会合もありますので、積極的に参加して、知り合いを増やしていきましょう。

02. シナリオの書き方を知ろう

開発会社毎にシナリオの書き方やルールは異なります。テキスト納品もあれば、エクセル納品もあります。シナリオの基本的な書き方を覚えておきましょう。

シナリオの書き方例

シナリオ 書き方

03. シナリオのディレクションをしよう

上がってきたシナリオを読んで、プロットの意図とシナリオが違う場合の指摘や、より面白くするためのアドバイスを行います。シナリオ上にコメントを入れ、修正を促します。

シナリオの修正例

シナリオ ディレクション

04. スクリプトの作り方を知ろう

シナリオに背景や立ち絵、音楽、演出等の指定を入れていくプログラムに近い作業のことです。同じシナリオでも演出次第で面白さが変わってくるので、やり方を覚えておくとゲームの改善点も見えてきます。

05. パワーポイントを使えるようになろう

企画書を書く際、必須になるので基本的な使い方を覚えておきましょう。他の人が作った企画書を見て、どういったところを強調しているかなど、表現方法を学ぶことで、企画書のクオリティも高くなります。

06. 最低限度のイラストを描けるようになろう

企画書を作成するにあたり、クライアントへわかりやすく伝えるためには企画書内のデザインやイラストも重要になってきます。イベント絵のラフや簡単な構図だけでも自分で描けるとイラストレ−ターにイメージを伝えやすいので、人にイメージを伝えられる程度には描けるようになっておきましょう。

07. プログラミングに関する基礎知識も持っておこう

基本的な知識を得ている方が、デバッグの際に何が不具合を起こしているのかすぐに理解し、修正できるようになります。パラメーター調整ツールを使った際は、各パラメーターが何を示しているのか知っておくといいでしょう。

08. ゲームのマーケット情報を収集しよう

スマートフォンアプリゲームが全盛の今、iOSとAndroidへは常に新しいタイトルがリリースされています。さまざまなアイデアも隠されているので、頻繁に確認しておきましょう。それ以外にも、MobageやGREE、DMM、コロプラといったソーシャルゲームへの配信もあります。これらネット配信系では、課金システムが各社でまちまちなので、APIをどのように組み込むか方法を把握しておくといいでしょう。各社ともデベロッパー登録するとマニュアルを配布してくれます。コンシューマーとして販売する場合は、流通ルートを把握しておく必要があります。

企画書や仕様書を書くために必要なもの

いくら良いアイデアを思いついても企画書の見せ方が悪いと面白さが伝わりません。良い企画書を見る機会があれば、どんどん読んで、見せ方の技を身につけていきましょう。テキストだけでも企画書は書けますが、パワーポイントを使って強調したいところ、見せたいところを工夫して、視覚的に伝えられるようにしましょう。

企画書には、それがどのようなゲームなのかという説明の他に、どの層をターゲットにして、どのような展開をすることで、どのくらいの利益が見込めるのか、数字として出せるものは全て出していきましょう。仕事としてゲームを作る以上、どれだけ利益をあげられるのかは重要です。

起用するクリエイターの認知度や、twitterのフォロワー数、動画の再生数、漫画家や作家を起用する際、出版した本の売り上げ、ゲームのライターなら、関わったゲームの売り上げ数等、キャスト重視の場合はそのキャストに関する売り上げなど、数字を確認しておきましょう。このくらいのユーザー数に興味を持ってもらえます、と断言できるものがある場合、これらの数字を出すことによって説得力が増していきます。

そしていざプロジェクトが動き始めたときには、仕様書が必須です。仕様書はほとんどの場合、エクセルで書かれるので、エクセルを十分に使えるようにしておきましょう。まずは、他の案件で使われていた仕様書を下敷きにして、自分なりのカスタマイズを入れて使いやすくしていくといいでしょう。ちなみに、仕様書はゲームを作る上で必要な全ての事柄について盛り込むので、どうしても数が膨大になってしまいます。仕様書を管理するためのリストを作成しておくと良いでしょう。

ゲームプランナーとして転職する上で求められるスキル

ここまでは主に実務の上で心がけるべき部分を解説してきましたが、先ほど書いたように、ゲームプランナーのキャリア形成の上では転職も十分に選択肢に入ってきます。そして、転職の際には、あなたは何が出来るのかをアピールしなくてはいけません。前職で、簡単な雑用しかしていなければ、未経験者を採用するのと変わらないからです。とはいえ、求められるスキルはどの会社でもある程度似通っていると言うことができます。最も重要になることの一つが「KPIの分析」です。KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」です。

KPIはどの業界でも使われる指標なのですが、その定義は業界ごと、会社ごとに大きく異なってきます。ゲーム業界の中でも近年勢いのあるスマートフォン向けゲームアプリの場合、主に「DL(ダウンロード)数」「DAU」「DPU」「継続率」「課金率」「ARPU」「ARPPU」などが関わってきます。

DL数 ゲームがダウンロードされた回数
DAU 「Daily Active Users」の略。1日の間に1度でもゲーム内で活動のあったユーザーの数
DPU 「Daily Pay Users」の略。1日あたりのお金を支払ったユーザーの数
継続率 特定の1日にゲームをダウンロードしたユーザーが後日に活動を継続している割合。翌日、1週間、1ヶ月など様々なタイミングで計測される
課金率 活動しているユーザーのうちお金を払っているユーザーの割合
ARPU 「Average Revenue Per User」の略。活動しているユーザー1人あたりが払っている平均金額
ARPPU 「Average Revenue Per Paid User」 の略。課金しているユーザー1人あたりが払っている平均金額。

これらの数値を総合的に分析し、ゲームのプランニングに還元するスキル、経験がゲームプランナーとして転職するにあたって不可欠になってくるのです。もしスマートフォンアプリではなくコンシューマーであれば、課金関連の数字の代わりに在庫率などが入ってくるでしょう。どちらにせよ、ただゲームの内容面を充実させるだけでなく、ビジネス的観点も含めてプランニングする手腕が求められていることになります。

他にはCRM(Customer Relationship Management/顧客管理システム)関連の業務経験、ゲーム内のイベントの企画、設計経験や、作品の宣伝用Webページなどの設計図にあたるワイヤーフレームの制作経験などが重要になってきます。特に後者はWeb制作の仕事なので、会社によってはゲームプランナーの領分ではないかもしれませんが、機会があれば積極的に挑戦すると良いでしょう。

ゲーム制作は作業行程が多岐に渡るので、ゲームプランナーとして参加する中で可能な限り率先して各工程に参加していきましょう。例えば、仕事以外でプログラムの知識を得ているのであれば、実際に開発に参加すると良いでしょう。開発チームのメインを張れるのであればベストですが、例えアシスタントでも知識があるなら挑戦する価値はあります。

下にゲームプランナー募集でよく出てくるような求人例を用意しました。今はまだ知識はないけれど、独学で身に付けたいというのであれば、求人例にあるようなJavaやC言語、近年急速に普及しているUnityなどを習得しておくといいでしょう。これらのプログラミング言語やゲームエンジンは汎用性が高く、初心者向けの参考書も多数出版されていますので、意欲さえあれば独学での習得が十分に可能です。

ゲームプランナーの求人例

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他にも、シナリオディレクションを経験しておくと仕事の幅が広がります。イラストに興味があるのなら、一般的に広く使われているPhotoshopやIllustratorなどを使えるようにしておきましょう。プログラマーやシナリオライター、イラストレーターの領分に入る仕事であっても、スキルを身に付けた分だけ選択肢が広がっていきます。

もし、ディレクターへの転職を希望しているのなら、マネジメント能力が必要になります。ディレクターはゲーム制作現場の総指揮官です。ここまで挙げてきたゲームプランナーの仕事と被る部分も多いですが、それだけには留まりません。プランニングした内容を自分の言葉で発信するのはもちろんのこと、社内でも違う役職の人同士(例:エンジニアとゲームプランナー)の間を取り持ち、時には社外の関係者やクライアントとも折衝する役割を負わなければならないのです。無論コミュニケーション能力が不可欠になりますが、もしディレクター志望であればこれらの仕事は避けて通れません。独学でスキルを身に付けるのと同様、「直接自分の仕事に関係がなかったとしても積極的に挑戦する心がけ」がまず第一に求められます。

Photoshop等のグラフィックツールが使いこなせるかどうか、Unityなどのゲームエンジンのスキルがあるかどうかというのは、新しい環境でも共通して使える技術であり、会社から求められやすい部分です。これらは求人の条件になることも多々あるので、身に着けておくと良いでしょう。

まとめ

ここまで20代のゲームプランナーだからこそ挑戦してもらいたい事、知っておくべき事を解説しました。ゲームプランナーにとって重要となるのは、スキルのある人をどれだけ動かすことができるかにかかっています。もちろん誰もが知っている著名な作家をとりこめるコネクションがあれば、とてもありがたいことですが、そこまでではなくとも有用なスキルを持っている人と深く関わり、ゲーム作りにとりこんでいくほうがクオリティの高いものを生み出せるでしょう。

ゲームプランナーとして転職を考えるなら、その企業にどれだけの利益をもたらせるのかに加え、スキル・人脈をどれだけ持っているかが重要となってくるでしょう。是非、ゲームプランナーとしてゲーム作りを行っていくためのキッカケとしてみてください。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

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