Web・ゲームクリエイターの転職で資格は有利に働くのか?
会計・経理分野の転職では、日商簿記検定などの資格を必須としている会社もありますし、税理士資格や公認会計士資格などを所持していれば、財務会計分野での求人に対しては有利に選考を進めることができるでしょう。
では、クリエイターの転職の場合はどうでしょうか。資格は有利に働くのでしょうか。
実務経験のあるクリエイターの転職は、「資格」より「実績」こそ最重要
例えば、色彩検定1級の所持者は、CI(コーポレートアイデンティティ)、ファッションビジネス、色彩計画、色彩文化、ユニバーサルデザインなど多くの分野で役立つ知識と技能の持ち主とされています。これは、かなりの難関資格ですが、この場合、企業はどう評価するのでしょうか?
やはりこの場合であっても「資格」を持っている事実だけでは、転職に有効とは言えないでしょう。つまり「資格を生かして案件を受注・納品した」などの「実績」がなければ採用選考で有利になるとは限りないのです。資格があることによって仕事につながり、最終的に売上に寄与することができた、ここまできて初めてアピールポイントとなると考えていいでしょう。
また、Webクリエイターを対象とした日本初の国家資格、ウェブデザイン技能検定もかなりの難関ですが、この資格の場合、1級の受験資格には「7年以上の実務経験」が義務づけられています。つまり検定と言っても「実務経験がセット」なのです。
これだけの期間の実務経験があれば、もはやプロジェクトリーダークラスの実績があっても不思議ではありません。したがって、仮に資格が評価されるとしても、それは「実績の評価にプラスアルファが期待できる」といった程度と考えられるでしょう。
受賞歴は「実績」とみなされることも。しっかりアピールしよう
クリエイターの中でもジャンルは限られますが、ビジュアル・音響・文章などの表現分野のクリエイターでは、コンペやコンテストの受賞歴が重視される傾向があります。
例えば、広告関連業界団体や広告代理店が主催するコンクール、新聞社・放送局などが主催する広告大賞などのメジャーなコンテストで、優勝あるいは上位入賞したという経歴は、一種の「実績」とみなされることがしばしばあります。受賞から少し年数が経過していたとしても、こうした受賞歴は、ぜひポートフォリオの1ページに加えておきましょう。
コンクールや広告大賞コンテストの認知度が高ければ高いほど、その受賞暦は、より有効な実績アピールとなるでしょう。
実務未経験のクリエイターの転職では、希望するポジションに有効な資格を提示しよう
もちろん、「すでに」資格を取得している場合は別です。「デザイン系の学校に通っていたが、事情があって事務職として働いてきた。しかし、どうしてもクリエイター職に転職したい」など、実務経験がない人の転職活動では「基礎的な知識とスキルを持つ証拠」として取得している資格があれば提示するべきでしょう。
例えば、情報処理系の資格では、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)検定などがあります。MOSは一般事務や会計・経理分野などで評価されやすい資格ですが、今日では大半のクリエイターがPCを使用しており、データや資料の受け渡し、共有などにWordやExcelといったマイクロソフトオフィスの基本操作は欠かせません。
グラフィックデザイン、Webデザイン、キャラクターデザインなどビジュアルに関係するクリエイターを希望する場合は、Adobe系のACE(アドビ認定エキスパート)、Photoshoクリエイター能力検定、Illustratorクリエイター能力検定などを所持していれば有利に評価される可能性が高いと思われます。
Webクリエイターを対象とする資格には、上述のウェブデザイン技能検定で実務経験の不要な3級や、Webクリエイター能力認定試験、Webデザイナー検定などさまざまな資格があります。
Webクリエイターは、インターネットの基礎知識はもちろん、職種によってHTML、CSS、Webサーバ、データベース、JavaScript、PHPと、仕様、規格、ハードウェア、ソフトウェア、言語などそれぞれの分野における専門知識が求められます。こうした資格は自分の希望する職種に対して体系的な知識の持ち主であることを証明するのに役立つでしょう。
まとめ – キャリアアドバイザーから一言コメント
実績のある実務経験者の場合
あくまで「実績」が最優先の評価対象とされるため、わざわざ転職のために、資格を取得する必要はない。どうしても資格を提示したい場合は、その資格によって活かされた「実績をセット」でアピールする。
実績のない実務未経験者の場合
実務経験者と同様、忙しい転職活動中に、そこからわざわざ無理に資格を取得することは非効率。「すでに」取得している資格があれば、資格のない他の未経験応募者よりも有利に働く可能性があるため、一つのアピール材料として提示する。
これから新たに資格を取得しようとすれば、相応の勉強期間と学資が必要です。しかし、そうした余裕と体力があるのならば、経験者、未経験者共に、作品を制作する・ポートフォリオを充実させるなどに時間と労力を振り向けたほうが、転職活動には効果的と考えられるでしょう。