例文あり!クリエイターに役立つキャリアプランの考え方と答え方

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採用面接では「どのようなキャリアプランを描いていますか?」と、聞かれることがあります。どのように答えれば正解なのか、悩む方は多いのではないでしょうか。実は、キャリアプランを考えることは、面接を乗り切る以上に大きな意味があります。

ここでは、Web、ゲーム、IT業界のクリエイターが転職を成功させるために、知っておきたいキャリアプランの考え方と面接での答え方のほか、職種別のキャリアプランの例を詳しくご紹介します。

そもそもキャリアプランとは、なぜ考える必要がある?

はじめに、キャリアプランの定義についてご紹介します。誰でも一度は、「◯歳までには、英語が話せるようになりたい」「いつかはマイホームを建てて、家族と暮らしたい」というように、将来の自分の姿と、そこに至るまでの道のりを考えたことはあるでしょう。

キャリアプランは、そうした中長期的な未来像を「仕事=キャリア」を中心にイメージしたものです。理想の自分に向かって何をどのように積み重ねていくか、具体的な計画に落とし込んでキャリアプランを作っていきます。

たとえば、「デザイナーとして活躍したい」といった夢がある場合、身につけるべきスキルは多岐にわたります。ただ、「なりたい」と思っているだけでは、夢に近づくことはできません。

デザイナーとして活躍するために、どのような武器を身につけるのか。そして、そのために何をいつまでにやるのかといった行動計画を立て、着実に実行していくことが大切です。そういう意味では、キャリアプランは、仕事を軸にした人生の設計図だといえるでしょう。

そんな人生の設計図ともいえるキャリアプランを考えることは、転職において非常に重要です。

企業側が正社員を定年まで雇用し安定した収入を保証するという前提は崩れ、働く側もまたキャリアに対する価値観が変化し、自己実現に向け自由に働き方を変える考え方が主流になってきました。そうなると、これまで日本の雇用慣行として長年続いてきた終身雇用(年功序列)制度は事実上なくなってきたと言わざるを得ません。将来的なキャリアは企業が用意するものではなく、自身で構築していくものになったのです。

転職という人生に関わる大きな決断において、自身でキャリアプランを考えるということはもはや必然ではないでしょうか。

キャリアパス、キャリアビジョン、キャリアデザインとの違いとは?

キャリアプランと似た言葉に、「キャリアパス」「キャリアビジョン」「キャリアデザイン」があります。それぞれ意味が異なりますので、正しい意味とキャリアプランとの違いを見ていきましょう。

キャリアパス

キャリアパスは、ひとつの企業の中で、どのようなキャリアを積んでいく道筋があるのかについて、企業が従業員に示すものです。たとえば、Webデザイナーなら、スキルを磨けば数年後にはWebディレクターやアートディレクターの道があるといった、自社の中で目指せる職位や職務、または実現させるための道筋のことを意味します。

キャリアパスは、ひとつの企業での道筋を指すため、キャリアプランよりも狭義といえるでしょう。

キャリアビジョン

キャリアビジョンは、自分の価値観や考え方、信念などをもとに、ライフプランと合わせてイメージする将来の自分の姿のことです。自分のキャリアの大きな方向性を示すものであり、キャリアプランに比べるとかなりざっくりした抽象的なものだといえるでしょう。

仕事や人生においてどうなりたいかという大きな目標としてキャリアビジョンを描いてから、その実現に向けた現実的な計画であるキャリアプランを立てていくのが一般的です。

キャリアデザイン

キャリアデザインは、よりよい職業人生を生きるために、自分のキャリアを戦略的に設計することです。キャリアプランをより明確に設計したものが、キャリアデザインといえるでしょう。

年功序列や終身雇用など、日本の高度経済成長を支えた慣習的な雇用制度が事実上崩壊した今、キャリアは企業が決めるものではなくなりました。これからのビジネスパーソンにとって、ひとつの企業にとらわれることなく、みずからのキャリアを主体的に考えるキャリアデザインは、非常に重要な意味があるといえます。

キャリアプランを考えるメリットとは?

キャリアプランを考える理由として、「転職活動に必要だと聞いたから」「面接で聞かれたときに答えられるように」という方は多いでしょう。実は、キャリアプランを考えることは、面接を乗り切る以外にもさまざまなメリットがあります。続いては、キャリアプランを考えるメリットを詳しくご紹介します。

メリット1

自分の考えを整理でき、いきあたりばったりの行動を防げる

キャリアプランを考えることで、思いつきや、いきあたりばったりの転職活動を防ぐことができます。計画性のない転職活動は、「こんなはずじゃなかったのに」「自分のやりたいことと違う」といった後悔につながる可能性があります。何を目指して、何のために転職するのか、あらかじめキャリアプランを立てて具体的な目標を明確にすることで、今何を行うべきかが整理できるでしょう。

メリット2

面接の際に、企業との相性を確かめることができる

企業が面接の際にキャリアプランを聞くのは、応募者の性格や志向が自社にフィットしているか、自社で活躍できそうか、長期的な目線で応募者とのマッチ度を測るためです。裏を返せば、応募者側も企業や職種との相性を見極めるためにキャリアプランを活用できます。面接の段階で、志望先企業での自身のキャリアプランの実現性を確認して、入社後のミスマッチを防ぎましょう。

メリット3

軸があるため、有益な選択ができる

キャリアプランは、仕事という側面から見た人生計画であり、迷ったとき、悩んだときの判断基準にもなるものです。早い段階でキャリアプランを立てておくことで、自分の中に揺るぎない軸を持ち、計画を実行するうえで有益なものは何かを選択できます。

キャリアプランの考え方と作成手順

キャリアプランを考えるうえで最も大切なことは、「なぜ」と自分に問いかけて、徹底的に自分の思考を探ることです。「なぜそうなりたいのか」を徹底的に突き詰めたうえで目標を立てることによって、説得力のあるキャリアプランを確立することができます。

「なぜ」から導かれる答えは、キャリアプランの土台であり、その後の思考の足腰となる大事なポイントです。続いては、キャリアプランを立てる、具体的な手順をご紹介します。

キャリアプランを作成するための3ステップ

ステップ1

なりたい未来の自分の姿を考える

まずは、自分が仕事面において将来どうなりたいか、理想の姿をイメージします。これは、前述したキャリアビジョンに該当する部分です。好きなこと、やってみたいこと、やりがいを感じる瞬間といった自分の感情や思考を棚卸して、目指す将来像を描きます。「3年後」「5年後」「10年後」と期限を切って、そのときにどうなっていたいかを考えておくと、その後に到達度を追えるので、おすすめです。

将来像が描けたら、「なぜそうなりたいのか」「何がきっかけで目指すようになったのか」「どのような経験や思考が根底にあるのか」といった理由をセットで考えるようにします。この段階で、しっかり「なぜ」そう思ったのかを掘り下げることは、自分のキャリアに対する思いを明確にするためにとても重要です。

なりたい未来の自分の姿を考える
ステップ2

現在の自分の立ち位置を確認する

「ステップ1」で描いたキャリアビジョンに対して、今の自分の立ち位置を確認します。たとえば、Webデザイナーが「5年後にWebディレクターになる」というキャリアビジョンを描いた場合について考えてみましょう。

  • キャリアビジョン:5年後にWebディレクターになる
  • 今の自分Webデザイナーになって1年/グラフィックソフト、編集ソフトはひと通り操作できる

このように、現在のありのままの状況を、スキルとともに洗い出すことで、現在の立ち位置と理想の姿までの距離を確認することができます。

現在の自分の立ち位置を確認する
ステップ3

将来の理想の姿までの距離を埋めていく

続いては、自分の現在の状況と将来の理想の姿までの距離を埋めるために必要な要素として、現時点で自分に不足しているスキルや経験を洗い出していきます。

現時点で不足しているスキルや経験

  • Webマーケティングの知識、運用スキル
  • コーディングやプログラミングのスキル
  • チームをまとめるコミュニケーション能力
  • 予算管理の経験

さらに、Webディレクターにとって必要な要素を身につけるための具体的な行動を考えていきます。

具体的な行動

  • 多くのプロジェクトに関わって幅広い経験を積む
  • Webマーケティングやプログラミングの知識を深めるため書籍を毎月◯冊読む
  • 少人数でもリーダー経験を積む
  • 予算管理のサポートを行ってやり方を学ぶ
将来の理想の姿までの距離を埋めていく

キャリアプランは、まずはなりたい将来像を描き、今の自分の立ち位置を確認する、さらに理想の姿を実現するために必要なこと考えるといった、3つのステップで立てられます。

転職活動を始める際に、ぜひ考えてみてください。

キャリアプランが思いつかないときの対処法

「漠然とやりたいことはあるが、なぜやりたいのかが言語化できない」「キャリアプランを実現するためにやるべきことが多すぎて、何に焦点をあてればいいのかわからなくなった」など、キャリアプランがうまく思いつかない場合はどうすればいいのでしょうか。

その場合は、転職エージェントに相談して、客観的な意見を聞いてみるのもひとつの手です。業界に精通したキャリアアドバイザーから、キャリアプランについてアドバイスを受けることができるでしょう。

キャリアプランがないまま面接に臨むと、答えが曖昧で一貫性がなく、「自分の将来についてあまり考えていない」「この企業でがんばってくれるかどうか、心もとない」「成長性に欠ける」といったマイナスイメージを与える可能性があります。1人で考えていてもキャリアプランが思いつかない場合は、ぜひ第三者の意見も参考に、客観的な視点で考えてみてください。

面接官にキャリアプランを聞かれたときの答え方

キャリアプランを立てたら、実際の面接で聞かれたときに焦らないよう、質問に対する答えとして、言語化しておくことをおすすめします。

なぜ、面接官はキャリアプランを聞くのか?

企業は、主に下記のような点を確かめる目的で、キャリアプランを応募者に聞いています。

企業がキャリアプランを通じて、応募者に確認したいこと

  • 自社の方針や社風に合う人材か
  • 自社で用意できるキャリアパスと、応募者が描いているキャリアプランがマッチするか
  • キャリアプランの実現に必要な経験が得られる環境か(長く活躍してくれそうか)

企業にとって、キャリアプランを聞くことは、コストをかけてこの人材を採用すべきかどうかを見極める重要なポイントになるのです。なお、キャリアプランは「将来の夢は何ですか」「今後の目標を教えてください」といった言い回しで聞かれる場合もあります。

1分で答えるキャリアプランの例文

キャリアプランについての回答は、何分くらいにまとめるのが最適なのでしょうか。「思いを伝えるには、できるだけ長く話したほうがいいのでは」と考えるかもしれませんが、面接本番で5分、10分と一方的に話し続けるのは印象がよくありません。言うべきこと、言いたいことを端的に、1分を目安にまとめるといいでしょう。

キャリアプランに必ず盛り込むべきポイントは、「大きなキャリアのテーマ(キャリアビジョン)」「キャリアプラン(キャリアビジョン実現のために目指すこと)」「具体的な戦略」の3つです。

以上のポイントを踏まえて、面接の際に1分で答えるキャリアプランの例文をご紹介します。ぜひ面接の際にお役立てください。

Webデザイナーのキャリアプラン例文

「将来的には、デザインだけでなく、プロジェクト全体をディレクションできるようになりたいと思っています。(大きなキャリアのテーマ)

現在は、Webデザイナーとしてだけでなく、企画や運用面にも関わることが多く、Web制作全体に関われることにやりがいを感じています。ですから、今後はWebデザインだけでなく、Web制作に関わるクライアントとの折衝やクリエイティブスタッフの指揮、予算やスケジュールの管理といった面をさらに磨き、いずれはWebディレクターとして活躍したいと思っています。(キャリアプラン)

そのためにはまず、Webデザイナーの現場経験や積極的に行動する性格を活かして、御社でWeb制作の中心的な人物になって貢献していきたいと思っております。入社から1年を目安に、Webデザイナーとしてリーダー的な役割を任せてもらえるようステップアップし、5年後にはWebディレクターになれるよう、積極的にさまざまなプロジェクトに関わりたいと考えております。(具体的な戦略)

職種別・クリエイターの代表的なキャリアプラン

最後に、クリエイティブ関連の職種別に、キャリアプランの参考例をご紹介します。

エンジニアのキャリアプラン例

エンジニアのキャリアプランとしては、現場をまとめるマネジメント職(管理職)と、スペシャリストして現場を極める2パターンが考えられます。

マネジメント職(管理職)

システムエンジニアのキャリアプランとして最も一般的なのが、現場経験を積んだ後にプロジェクトマネージャーといったマネジメント職へステップアップするパターンです。

エンジニアとして経験を積んでいくと、後輩に教える機会が増え、プロジェクトの中心的存在として活躍することが多くなります。こうしたタイミングで、マネジメント職へのキャリアを選択する場合が多いでしょう。主な仕事は、プロジェクトの進捗管理や品質管理、クライアントとの折衝、メンバーの育成などです。

スペシャリスト

システムエンジニアのもうひとつの道は、現場で技術を極めるスペシャリストです。マネジメント職になると、みずから手を動かしてものづくりをする仕事から離れなくてはなりません。開発現場でずっとものづくりを続けたい場合は、スペシャリストとしてのキャリアプランを選ぶことになります。

デザイナーのキャリアプラン例

デザイナーのキャリアプランは、得意とする領域によって、アートディレクター、Webディレクター、UI・UXデザイナーの3つに分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

アートディレクター

デザインチームの総司令官といえるのがアートディレクターです。デザインの方向性を定め、関連する職種や外注先をコントロールします。自分の職種以外の仕事も含めて制作の現場をよく知り、管理能力やコミュニケーション能力を身につけることも大切です。

Webディレクター

Webディレクターは、プロジェクトの進捗管理やスタッフ管理といったマネジメント業務をメインに、Web制作全般を管理するポジションです。デザイナーとして現場経験を積みながら、プロジェクトの質や関わるスタッフとの連携を意識することで、Webディレクターとして必要なスキルを磨いていくことができます。

UI・UXデザイナー

ビジュアルや操作性をデザインするUIデザイナー、製品やサービスを通じた価値ある体験(ユーザーエクスペリエンス)をデザインするUXデザイナーを目指すプランもあります。ユーザー視点でものづくりに取り組んできた方、より企業の収益に貢献できるデザインを手がけたい方などに向いています。

Webディレクターのキャリアプラン例

Webディレクターのキャリアプランは、プロジェクトマネージャーやWebプロデューサーのほか、Webマーケターがあります。

プロジェクトマネージャー(PM)/
Webプロデューサー

Web制作の実務を担うWebディレクターに対して、プロジェクトの総合責任者として品質やコスト、納期、制作物の質に責任を負うのがプロジェクトマネージャー、コンセプト設計や人員計画など事業としての戦略部分を担うのがWebプロデューサーです。いずれも、ビジネス視点からWeb制作の現場を見る力が求められます。

Webマーケター

Webマーケターは、「見込み客を多く獲得したい」「製品を広く知ってほしい」といった企業が求めるコンバージョンを実現するため、コンテンツを充実させたり、検索結果画面の上位に表示させるようにSEOを行ったりする仕事です。顧客の購買行動のデジタルシフトが進む中、今後の需要増加が見込める職種であり、Webサイトがどのように作られているのか、その仕組みを知っているWebディレクターから転身しやすい職種です。

ゲームプランナーのキャリアプラン例

ゲームの企画を担当するゲームプランナーのキャリアプランには、主にゲームディレクターがあります。

ゲームディレクター

ゲームディレクターは、プロジェクトの進捗管理やスタッフのとりまとめを担う、制作現場の総監督です。ゲームプランナーとして、ゲームに関する幅広い知識を身につけたうえに、プロジェクト全体を見渡す広い視野や関連するスタッフをディレクションする力が求められます。

まとめ

キャリアプランは、仕事という側面から自分の人生の目的を考え、そこに至るまでの道のりや方向性を定めるためのもの。転職活動の面接を通過するために考えるケースがほとんどですが、人生のターニングポイントに自分自身と向き合う貴重な機会といえるでしょう。キャリアプランは時間を取って、しっかりと考えることをおすすめします。

もし、キャリアプランの立て方に悩んだら、転職エージェントに相談するのもひとつの手です。マイナビクリエイターでは、いつでも相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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