マッチ度の高い企業を見つける!「ハード面」と「ソフト面」に注目した求人情報の読み方

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転職活動をするとき、皆さんは求人情報のどこをチェックして応募先を決めていますか。

この記事では、求人情報を比較検討する際、業務内容や契約期間、賃金などの客観的な募集内容を示す項目を「ハード面」、それ以外のたとえば、企業理念や職場の雰囲気、企業が求める人材をイメージするための情報などを「ソフト面」と捉え、それらをどう読み解くことで自分とのマッチ度が高い企業を見つけられるかを解説していきます。

求人情報の「ハード面」を3種類の求人情報の違いで理解しておこう

世の中には数々の求人情報があふれていますが、厳密に言うと、実はその中でも大きく3つの種類に分けることができます。ハローワークや人材紹介企業で用いられる「求人票」、求人広告取扱者による「求人広告」、そして企業や求人広告取扱者以外による情報(※この記事では求人票、求人広告と区別するため、以下「求人告知情報」と呼びます)です。

そして、これら3つの求人情報は少しずつ異なったルールで作られています。

まず、「求人票」には最低限記載しなければならない項目が法律で定められており、「求人広告」はこの求人票のルールに準じ、さらに厳しい業界の自主規制に則って作られます。これに対し、企業が独自に掲載する「求人告知情報」には、記載すべき内容に厳密なルールがありません。またSNSなどを活用した求人サービスもほとんど規制のない求人告知情報にあたります。

このように、ひと言で「求人情報」と言っても、それぞれが持つ情報の質・内容は異なります。転職活動を行うにあたり情報を収集する際には、あなたが手にしている求人情報が3つの求人情報のうちどのタイプのものなのかしっかり確認したうえで、自分とのマッチ度を判断することが重要です。

マッチ度の基準をはかる「求人票」の6項目

ではここで、「求人票」について詳しく見ていきます。

求人票とは、募集企業がハローワークや人材紹介会社を利用して求人する際に提出する書類です。職業安定法第5条の3、職業安定法施行規則第4条の2に基づいて、求人票には必ず記載しなければならない次の6つの項目があります。

求人票に必ず記載しなければならない6項目

  • 従事する業務の内容
  • 労働契約期間
  • 就業場所
  • 就業時刻、残業の有無、休憩時間・休日
  • 賃金
  • 健康保険、厚生年金保険、労災保険および雇用保険の適用の有無
求人票 記載必須項目 サンプル

これら6項目は、法律で記載が定められていることからもわかる通り、転職先を決めるうえで大変重要な情報です。客観的な募集内容を示す求人情報の「ハード面」として捉え、最低限、自分とのマッチ度をはかるうえでチェックするようにしましょう。

より詳しくマッチ度をはかる「求人広告」の22項目

次に、「求人広告」について解説します。

求人広告とは、求人広告取扱者が新聞・雑誌・折り込みチラシなどの紙媒体や転職情報サイトなどのWebメディアで掲載する求人情報のことです。以下、少し難しい言葉が続きますが、一言一句、覚える必要はありません。求人広告がどんな基準で作られているのか知ることで、より深く求人情報を読み解くことができるようになるでしょう。

求人広告取扱者の多くは、公益社団法人全国求人情報協会(以下、全求協)に参加しています。この全求協とは、求人募集を行う企業のためだけでなく、転職者の利益を守るために求人広告の「倫理綱領(りんりこうりょう)」と「掲載基準」を掲げて活動しており、求人広告を掲載する基準としては「掲載明示項目(10項目)」「掲載明示促進項目(12項目)」を定めています。

そのため全求協に加入している会員企業(求人広告取扱者=求人メディアの版元)もその基準を守るため、求人情報を掲載する際にはそれら合わせて22項目をほぼ掲載必須項目としています。

表記の仕方にも共通のルールがあり、誤表記や誤解を招く表記は排除。募集内容に事実と違ったり、不正な募集が行われた場合は、対象企業をメディアの基準に応じて掲載停止にしたり、悪質な場合は掲載拒否するなどの措置も行っています。このように求人広告取扱者が掲載する求人広告は、求人票よりもさらに厳しい掲載のルール化がされているのです。

掲載明示項目10項目

  • 求人企業・事業主の正式名称(社名等)および所在地
  • 事業の内容
  • 募集雇用形態(雇用期間の定めの有無がわかること
  • 職種名または職務内容
  • 応募資格(必要に応じて学歴、経験、公的資格等)
  • 勤務時間
  • 賃金(採用時に一律に支払われる最低支給額)※固定残業制の場合は、固定残業に相当する時間・手当金額・超過分を支払う旨
  • 就業の場所
  • 応募方法(応募のための電話番号等連絡手段。その他必要に応じて担当者名、必要な書類、面接、選考の場所等)
  • 採用時と本採用後とで雇用形態や賃金等の条件が異なる場合は、本採用までの期間と条件

掲載明示促進項目12項目

  • 時間外勤務の状況、休憩時間、裁量労働制等の場合はその旨
  • 休日
  • 適用される社会保険、労働保険
  • 昇給制度がある場合はその旨
  • 賞与制度がある場合はその旨
  • 退職金制度がある場合はその旨
  • 通勤交通費制度がある場合はその旨
  • 定年制度がある場合はその旨
  • 従業員数(法人・事業所)
  • 資本金額
  • 創業、法人設立年
  • 掲載明示項目における賃金に含まれる手当名等の内訳

公益社団法人全国求人情報協会Webサイトより

下線は「求人票に必ず記載しなければならない6項目」と一致する部分

求人広告 掲載明示項目 掲載明示促進項目12項目 サンプル

全求協が定めるこれらの22項目は、求人票で掲載が定められた6項目を含み、応募条件や企業情報がさらにわかりやすく転職者に伝わるように考えられています。一見すると項目が増え難しいと感じるかもしれませんが、募集企業と転職者の間でミスマッチの原因となりやすい部分を明らかにすることで両者の誤解を防ぎ、不正な募集が行われないようにしているのです。

求人票よりさらに深く掘り下げた、これら求人広告の22項目も募集内容の「ハード面」と捉え、マッチ度をはかるうえで大事な基準としていきましょう。

厳密な記載ルールがない「求人告知情報」でも、掲載してはいけない3事項

最後に、「求人告知情報」についてです。

細かい基準を設けている「求人票」や「求人広告」とは違い、企業の自社サイトやSNS等で見受けられる「求人告知情報」には、記載についての厳密なルールはありません。とはいえ、企業が募集行為を行うにあたって、労働や雇用に関する法律やルールにより記載してはいけない次の3つの事項があります。

自社サイトであっても掲載してはいけない3事項

  • 性別に関する記載
  • 年齢に関する記載
  • 事実と異なる、あるいは誤解を招く記載

男女雇用機会均等法では厚生労働省の指針によって例外として認められている場合(芸能、防犯上など)を除いて、事業主は性別に関わりなく雇用の機会を与えなければならないとしています。また雇用対策法では一部の例外を除いて原則として募集時に年齢制限を定めることを禁止しています。

これらの法令により「1.性別に関する記載」「2.年齢に関する記載」は、例外の場合を除いて自社サイトやSNS等でも記載してはならないことになっているのです。「3.事実と異なる、あるいは誤解を招く記載」がメディアや掲載場所によらず認められていないのは当然ですね。

もしこれら3つの事項に関するルールが守られず、求人告知情報を自社サイトに掲載している企業には、たとえその他の募集内容で高いマッチ度を感じたとしても注意が必要です。

求人情報の「ハード面」からわかる客観的事実

ここまで、「求人票」「求人広告」「求人告知情報」の違いについて解説してきました。

求人票の6項目を内包した求人広告の22項目(掲載明示項目+掲載明示促進項目)と、どんな場所やメディアであっても掲載してはならない3事項のルールは、すべて求人情報を比較する際に確認が欠かせない重要事項です。これらを1つずつ確認すれば、給与や勤務時間、年間休日数、資本金、従業員数、勤務地、社会保険の有無など企業の「客観的事実=ハード面」を捉えることができるのです。

求人情報のハード面

掲載のルール上、求人広告はこの「ハード面」が網羅されていることが多く、比較が容易です。また、現在では求人票や募集企業の自社メディアでもこの求人広告のスタイルに準じた表記が広まっており、客観的な比較がしやすくなってきました。

もしこの「ハード面」の情報が部分的に足りない求人情報があった場合は、独自に情報収集をしたり、紹介会社に質問するなど、転職者自身が入社を最終的に判断する前に、必ずすべての情報を確認しておくことを強くおすすめします。

求人情報の「ソフト面」を見極めることで企業の本音が見えてくる

求人情報の「ハード面」を比較することができたら、次はいよいよ「ソフト面」に注目していきます。求人情報の「ソフト面」とは、企業の客観的事実を示す「ハード面」からはわからない、実際の仕事内容や職場の雰囲気、企業が求める人材をイメージするための情報などを指します。

この「ソフト面」の記載には、法律で定められたルールはありません。しかし、企業の本当の思いや採用の目的がはっきりと表れやすい部分なので、自分とのマッチ度をはかるためにも、しっかりと見極めていく必要があるでしょう。

求人情報は企業にとってプロモーション・ブランディングの場

では、そんな「ソフト面」は求人情報のどこから読み取ればいいのでしょうか。採用を目的とする各企業は、よりよい人材を獲得するために、自社の魅力を求人情報の中で積極的に伝えようとします。つまり、企業にとって求人情報はプロモーションやブランディングの場でもあるのです。ですから、たとえば採用ページ等の中で使われている言葉、ビジュアル、そして全体から受ける印象も求人情報の「ソフト面」として捉え、大事に受け取ってください。もしそこに書かれた言葉に心が動かされたり、ビジュアルが気になったりしたのなら、それはあなたと企業の高いマッチ度が期待できるかもしれません。

企業が大切にしているものは何か。どんな思いに共感できる人物を求めているのか。企業の客観的事実である「ハード面」からだけではわからない、数値化できない思いや本音を「ソフト面」から汲み取ることが大切です。

自分の能力・スキルとのマッチ度を知る

自分の能力・スキルが企業の求めている人物像にどこまで一致しているか。当然、そのマッチ度が高い企業ほど、採用の可能性は上がり、入社後の働きやすさも違ってきます。就労条件など「ハード面」をクリアにする簡単な求人情報だけでは、自分に本当にマッチした企業かどうかを見極めることはできません。

企業側が求める能力やスキルは、具体的な仕事内容や求める人物像として語られることが多いです。また、それ以外にも、ものづくりを行うクリエイターなら、業務で使用するソフトや機材、チームの体制、各部門との連携方法など、働く環境についても知っておきたいところ。これらも求人情報の「ソフト面」としてチェックしておくべき項目といえます。

よりマッチ度を高め、納得のいく転職にするためにも、企業側が提示している詳細な仕事内容や求められるスキルといった「ソフト面」をしっかりと受け止め、企業選びを検討していきましょう。

求人情報のソフト面

また、個人のリサーチに限界を感じたら、最終的には転職エージェントのキャリアアドバイザーを通して企業の情報を得るのも1つの手段です。企業と転職者の間を取り持つ第三者の立場だからこそ、企業は本音を言いやすく、転職者も本当に聞きたいことをぶつけられるはず。転職エージェントを利用する価値はそんなところにもあるのです。

まとめ

転職を考えるときには誰しも給与であったり、休日であったり、職種であったりと転職先に求める条件があります。その客観的な条件をクリアしている企業を見つけるのに、まず確認してほしいのは求人情報の「ハード面(22項目+3事項)」です。選択を迷うほどの莫大な求人情報の中では、この「ハード面」から見た取捨選択を行うだけでかなり絞り込むことができるはずです。そして次に確認したいのが、企業の本音に迫る「ソフト面」。企業の求める人物像に自分をすり合わせていくだけでなく、自分の求める仕事環境をその企業で実現できるか見極めることが大切です。

漠然とした印象や思い込みから会社を選ぶのではなく、求人情報の「ハード面」と「ソフト面」の両面からしっかり検討・分析することで、あなたにとって本当にマッチした企業を効率よく見つけることができるでしょう。

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