DGTのクリエイターの新たな活躍の場を創造し、ユーザーを魅了し続ける戦略 ―― DeNA Games Tokyo 山口恭平氏インタビュー

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Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.07

第一線で活躍しているクリエイター達のリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイター達の熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。

ゲームの力で人々を幸せに。をテーマに2015年にソーシャルゲームの運営専門会社として誕生したDeNA Games Tokyo。今は『農園ホッコリーナ』や『怪盗ロワイヤル』『戦魂−SENTAMA−』などの人気タイトルの移管、運営をおこなっている。同社が目指すのは世界一のゲーム運営会社。その行く先とこれまでの歩みを、同社取締役の山口恭平氏に自らの体験も交えて語っていただいた。

ゲームを進化させ続けるスピード感を。DeNAから生まれた全く新しいゲーム運営会社 - DeNA Games Tokyo

DeNA Games Tokyo ロゴ ── 今回はインタビューにご協力いただきありがとうございます。まずはDeNA Games Tokyoの誕生について教えてください。

山口氏:ユーザーに人気の高いソーシャルゲームが複数年続くことは、ソーシャルゲームを楽しんだことのある方ならよくご存知のことと思います。DeNAにはそんな内製の人気タイトルが何本もあり、現在最長のものでは8年目を迎えています。長く運営を続けているタイトルがある。というのもDeNAのゲーム事業の強みの一つでしたが、更に運営力を強化しよう。という話しがありました。野球を始め、様々な事業がまたがっているDeNAですが、ゲーム事業も数百人を抱え、運営の強化に集中する。というと人のアサインメントの面を始め、難しい課題が多くありました。

そこで、最終的に運営を専門とするこのDeNA Games Tokyo(DGT)という新会社を立ち上げ、ゲーム運営に特化した事業を強みとして、新たな採用要件で人材を募るという方法を選択しました。

── 山口さんはDeNA Games Tokyo設立時にどんな役割を果たされたのですか?

山口氏:会社の立ち上げという意味で、全部ですね。全部(笑)。現在、当社にはもう一人、取締役に田川がいます。設立時は田川が代表だったんですが、まだDGTができる前の2014年の4Qに田川に呼ばれてこう言われたんです。

「運営のための新会社をアキバにつくる。資本金はこれぐらいで、会社の方針はこう、経営会議で承認を取ってきたから進めよう!」 そんな感じで新会社設立を最初の段階から引き受けました。私はちょうどそれまで手がけていたソーシャルゲームの他部署への移管が終わったところということもあり、一も二もなくこの仕事に飛びつきました。早速秋葉原中を歩き回って、DGTの本社となるビルを探しました。昼は大丈夫だけど、夜の雰囲気はどうか、他のメンバーとも一緒に、夜アキバで飲んでは物件探しをして、どんな組織にするか計画していました。そして2015年の7月に初台のオフィスを間借りして開業、10月には秋葉原にオフィスを設立。万事に迅速なDeNAですが、この会社設立はなかなかのスピード感だったと思います。

そんな急ピッチで進んだ会社設立の中で、私たちがゲーム運営会社として目指すべき方向性も見えてきました。ソーシャルゲームはリリースして完成ではありません。さまざまなイベントやキャンペーン、機能のリニューアルなどで日々進化を続けるのが今のゲームです。私たちは、ユーザーの「もっとゲームを楽しみたい」という気持ちをつぶさに汲み取り、クオリティが高いアップデートをできる運営をおこなっていこうと考えたのです。そこには新ゲームをつくり出すのとは違った発想、違ったクリエイティビティが必要です。現在進行形で変化していくユーザーの反応に直接応えていけるこの仕事を面白いと感じるゲームクリエイターは少なくないはず。それに私たちは運営というフィールドで他業界出身者など「ゲームに関わって仕事がしたい」と考えるまだ未経験の人々にも扉を開くことのできると考えたのです。私たちは社会にこれまでにないインパクトを与えられる会社をつくるべく動き出しました。

山口氏の考えたDeNA Games Tokyoでできること

  • 運営に特化することでよりユーザー目線でダイナミックにゲームを変化させられる
  • ユーザーの反応を直接受けられるこの仕事にやりがいを感じるクリエイター達の活躍の場をつくる
  • ゲームへの熱意を持ちながら、業界未経験者を受け入れる
  • ゲーム事業というビジネスで社会にこれまでにないインパクトを与えていく

ついにDeNA Games Tokyoが始動。しかしその道のりはやはり平坦ではなかった。

── 設立後、事業の滑り出しはいかがでしたか?なにかトラブルは発生しましたか?

山口氏:私たちのビジネスの肝はゲーム会社からタイトルの移管を受けることです。 タイトルを持っているDeNAのディレクターやプロデューサーと「どうやって移管するか」を徹底的に話し合いました。新しいDGTのメンバーにどんなふうに運営を渡してしていくのか。実際に移管をスタートさせると、次々と問題が噴出しました。 そもそも移管元のメンバーにとって、自分たちが長く携わってきたゲームを他の人にゆだねることには感情面での障壁もあります。私自身DGTに来るまではDeNAでゲームづくりをしていたわけですから、その気持ちは痛いほどわかりました。だから移管元のメンバーとDGTの新メンバーとで、マインドをすりあわせていくことが重要でした。そんな両者が歩み寄ることができたのは、共にゲームを運営するメンバーとして、ユーザーにゲームを楽しんでもらうことがなによりも大切だということで一致できてからです。

DeNAからの移管第一号は『農園ホッコリ−ナ』。もう7年以上も続いている超人気タイトルです。それだけにゲームのシステムは更新に更新が重ねられていて、まさに積み木バランスゲームの最終局面のような状態。たったひとつ間違った積み木を引き抜いただけで、全体が崩れてしまう可能性があります。しかも長い過去の歴史が深くわかっているのはそれまで運営をおこなっていたメンバーの中でもごく一部。ユーザーに届けたい面白さを継承すべく、長い時間をかけてDGTに運営の受け渡しをおこないました。 この『農園ホッコリ−ナ』での移管の経験が、以降おこなわれる他のタイトルの移管にノウハウとして大いに活かされています。予想を超えた困難もありましたが、得るものも大きかったというのがDGT設立当初のビジネスです。

── その後のDGTのビジネスの変化と山口さんの現在の仕事について教えてください。

山口氏:設立3年目を目前に、DGTは社員数150名の体制となり着実な成長を続けています。今はDeNAが内製するゲームのタイトルを移管することを中心に行っていますが、中長期では他社からの移管も受け入れ、世界一のゲーム運営会社になることを目指していきます。このゲーム運営という領域において、DGTの持ち味である「ユーザニーズを満たすために、やるべきことをやる運営スタイル」を活かして差別化を図っていきたいと考えています。

私自身の現在の仕事としては、企画部長としてプランナーの統括にあたっているのと、採用と組織開発担当取締役として、採用計画の企画立案と実際の採用をおこなっています。 設立から2年が経過し、変わってきたことは、うれしいことに「ゲーム運営をやりたい」といってこの会社に応募してきてくれる人が本当に増えてきたということ。 しかし、業界においてゲーム運営経験者やゲームへの熱量が高い人はどの会社でも欲しいわけで、その中で私たちの優位性とはなんなのか。ゲーム業界で働きたいと考えている方々に対して私たちに何ができるのか。DGTのゲーム運営事業というものを私たちは世の中に向かってもっと明らかにしていかなければならないと考えています。

DeNA Games Tokyo設立時の苦労と現在の成果、今後の課題

  • 移管元メンバーと新DGTのメンバーとのすれ違い
  • 複雑に進化し運営の移管が難しい人気タイトル
  • DeNA Games Tokyoを知り、運営がやりたいというゲームクリエイターの増加
  • DGTとゲーム運営事業の認知に向けた社会への情報発信

ベースはゲームに対する熱量があるか。その人がこれから何をしようとしているのかをじっくり見ていきたい。

── これからDGTでどんなメンバーを採用していきたいと考えていますか?

山口氏:乱暴な表現ですが、ゲームクリエイターをふたつに分けると、ひとつは自らのクリエイティビティを世に問うアーティストとしてのゲームクリエイター。そしてもうひとつがユーザーの求めるものに応えていくゲームクリエイターだと思います。私たちが目指しているのは後者で、その仕事を面白いと思う人が今DGTに集まっています。 当社がメンバーに求めるものは「ゲームに対する熱量があるか」ということ。経験者の方なら、ゲーム業界で働いてきて何が楽しくて、何が辛かったか。そして、他業界出身者なら、どうしてこれまでのキャリアを捨ててまでゲームを仕事にしたいのか。そしてこれまでの経験に関わりなく、これから何をしていきたいのか。面接ではこの辺りをしっかり訊いて、DGTが目指しているもの、用意できる仕事と環境にミスマッチが起こらないようにしていきたいと考えています。

── 山口さんも20代にして取締役とDGTでは若い役職者が多いようですが?

山口氏:おっしゃるとおりDGTの現代表の井口もDeNAでは私の1期後輩で20代です。 他にも20代30代の役職者が数多く在籍しており、DeNAグループの中では、私が取締役だということは取り立てて珍しいことではありません。ゲーム運営業界はまだ新しく、他業界と比べるとまだ未成熟です。去年のノウハウがそのまま通用するかどうかわかりません。絶えずドラスティックな変革が要求されるこの業界にあって、多くの実績や経験よりも対応力を重視した人事がなされるのは、ひとつの方法だと思います。社会的に見ればこの規模の会社で20代の代表や取締役がいるのはまだ珍しいことかも知れません。しかし、それは若いから重責を任せるというのではなく、年齢にかかわらず、存在するミッションに対してそれが可能な人材を登用するということ。それがDeNAグループの考え方なのだと思います。

── 入社から取締役抜擢までの経緯を教えてください。

山口氏:私は新卒でDeNAに入社しましたが、今思うと面接時には30分の面接時間のほとんどを自分の質問で終わらせてしまうような変わった学生でした。普通の会社だったら即落とされてしまうようなアクの強い学生だった気がします。そんな私が唯一応募し、そして内定したのがDeNAでした。今思うと、よく採用されたものだと思います。 入社後最初に配属されたのはゲームに関する他社向けコンサル業務でした。そして1年後、会社の内製ゲーム事業強化の方針を受けてゲーム制作の部署に。まずは具体的な業務を知りたいと思い、自ら現場での仕事を希望しました。一ヶ月経ったところで新ゲームを立ち上げから手がけることになったのです。

シナリオライティングからプロデュースまですべてを最初から手がけました。スケジュールやタスク量が多く厳しい環境の中やりきり、苦心惨憺の末、自分のすべてをぶつけたタイトルがリリースされました。それが『三国志ロワイヤル』です。このゲームはDeNA の国内内製アプリゲームで初の大ヒットタイトルとなりました。

── 『三国志ロワイヤル』の成功が山口さんの取締役抜擢への要因でしょうか?

山口氏:それがすべてではないですね。この仕事から次の仕事へと広がり、現在のポジションにつながっていることは間違いありません。この時の私の最後まで諦めなかった姿勢と対応力が認められたのだと思います。 このように、私たちの会社は社歴や年齢に関係なく平等にチャンスがあります。そんなDeNAの文化をDGTにも活かして、魅力ある会社づくりを進めて行きたいと思っています。

インタビューを終えて

DeNAグループのスピード感を持ったビジネスは人材配置の判断も迅速で、ミッションを果たすためには、何事もゼロベースで考える柔軟さを兼ね備えていると言えるだろう。それが頭ではわかっていながらも、筆者にとってやはりこの規模の企業での20代の代表や取締役の存在はインパクトが大きい。

しかし彼らが明晰な頭脳を駆使してすべてスマートに仕事をこなしているかというと決してそんなことはない。150名を超す社員とその家族の生活を、経営陣の一人として支えていかなければならない責任を、経験という緩衝材無しに真っ向から受け止めてもいるのだ。

そんな重圧について訊くと、「ビビります、吐きそうです」と笑いながら答える山口氏。若い本心を垣間見せながらも、事業に向けての貪欲さはやはりとどまるところを知らない。「まずは2020年までに日本一のゲーム運営会社に」「DGTで働いた経験がある人が欲しいといわれる企業としてのブランド力を持つ」など。彼らはこれらの課題を夢ではなくミッションとして取り組み、やがて確実に実現へと推し進めていくことだろう。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。

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