Webディレクターとしてのキャリアを支える自己分析のポイント

Webディレクターとしてキャリアを考えるための自己分析のポイントをご紹介します。自己分析の方法論は職種によって違ってきます。特にクリエイターには多彩な専門職があり、自分自身とその職種との適合性が重要になってくるため、その適合性に見合った職種別自己分析が必要になってきます。Webディレクター志望の方はもちろんのこと、この職種に近い制作・企画職の志望の方にも仕事内容や適性にまでイメージを膨らませいただければと考えています。

これまでの経験が今後の自分にどのように活きていくか。自分の資質とWebディレクターに必要な素養を比べながら、自己分析を行ってみましょう。本記事ではWebディレクターに求められる総合的な「ものづくり」の技能とコミュニケーション力(人的ネットワーク構成力)を、重要ポイントとして検討していきます。

目次

Webディレクターという職種を経験者の視点で再分析

職種に応じた自己分析をはじめる前に、既にクリエイター経験のあるあなた自身の視点で、Webディレクターという職種について再確認してみましょう。仕事内容から、業界、企業でのポジション、苦労、やりがい、損なところ、得なところなど、新卒時の職種研究とは違う視点でのリアルな体験に基づく分析を行います。

あなたの経験に基づくディレクターのやりがいは?

あなたが転職において自己分析を行う際、軸として考えなければならないのは「どんな仕事を」「どんな環境で」行うかということになります。既にWebディレクター経験のある方なら、その仕事を続ける確固たる理由があるはず。もし漫然と「経験職種だから」と考えているのであれば、転職後のどのような仕事を選ぶかのレベルまで立ち戻って自己分析しておく必要があります。

Webディレクターの仕事の魅力は、主体となってWeb制作に携われること、メンバーの専門スキルを引き出してよりクオリティの高いものづくりを目指せることなど様々なやりがいがあるはずです。あなた自身の経験から「ここにやりがいを感じる」「次はこんなことにチャレンジしたい」という思いを明確にしてみてください。

経験したからこそ分かるWebディレクターという仕事の困難さと対応法

一方で、Webディレクター経験があるからこそ分かっている苦労や、自分には向いていないと感じた部分もあるはずです。これに対してもうやむやにせず冷静に評価し、向き合うことが自己分析において大切です。納期や費用の問題、クライアントとの立場関係によるストレス、Webデザイナー・プログラマーなどのクリエイターをまとめる難しさなど、Webディレクターとして仕事に困難さを感じる部分は人それぞれにあるはずです。「これがあったから、転職を考えた」というようなWebディレクターという職種に起因する大きな問題点がある場合も考えられます。

自分がWebディレクターを続ける上での問題点を抽出し、それを変えるためにどう対応するのか。この仕事を続けたいという意欲と同じく、問題を克服する戦略が重要です。

Webディレクターを取り巻くポジション・人間関係(業界・企業)

仕事が職種やその人のスキルだけで成立するものではないことは、業務経験を持つあなたなら十分に理解していると思います。所属する会社や部署、プロジェクトによって同じWebディレクターの仕事でも大きく変わってくることは実体験として感じているはずです。転職を考える今、現在のあなた自身の環境があなたの仕事にどう影響していたか、これまで在籍してきた企業の業界でのポジション、事業内容、社内でのあなたのポジション、あなたを取り巻く人間関係をつぶさに検証しておくことをお勧めします。これらを冷静に考えることで、自分がどんな形で働くことを望んでいるかがはっきりと見えてきます。

未経験または他職種からWebディレクターへキャリアチェンジする人が検討すべき注意点

次は職種未経験者または何らかのクリエイター経験者が、Webディレクターへとキャリアチェンジする場合に検討しておくべき注意点、各職種との違い、どんな素養が求められるのかについて検討していきましょう。実際に現在活躍中のWebクリエイターから話を聞いてみると、Webデザイナー・プログラマーといったクリエイティブ職からキャリアアップを行った人もいれば、全くの未経験からWebディレクターになったという人もいます。転職の自己分析でもそれぞれの相違点に注目していきましょう。

未経験者がWebディレクターを目指す場合の自己分析ポイント

新卒からWebディレクターを採用する企業は思いのほかたくさんあります。しかし、このスタイルは業務未経験者を指導できる教育体制がある、あるいは事業が特殊、営業的な要素が強いなど、その企業独自のWebディレクターの業務に対応するため特別な教育体制がしかれているなどの場合が多いです。もし業界やクリエイティブの経験なしに、Webディレクターを目指すとしたら最も重要なのは、あなた自身の強い意志と、あなたがWebディレクターにチャレンジできると考えられる客観的な素養があるかどうかです。

WebデザインやプログラムなどのWeb制作の専門スキルをスクールや独学で身に付けておくのも一つの方法です。または営業経験、システム開発経験があるなど、志望する会社が求めるWebディレクターの素養と一致していることも関門を突破する確実なポイントとなります。どちらにせよ未経験でWebディレクターを目指すのは難関であることに変わりありません。

企業の視点で新卒者と比べて中途採用となるあなたにどのようなメリットがあるか。あなた自身も自己分析によってしっかりと把握しておくことが大切です。

WebデザイナーがWebディレクターを目指す場合の自己分析ポイント

WebデザイナーがWebディレクターとしてキャリアアップをして転職を目指す場合、専門スキルを活かすクリエイティブスタイルから、全体の企画や進行、プロジェクトのメンバーの力を発揮させるディレクションなどが業務の中心となることは予想されていることと思います。

WebデザインのスキルはWebディレクターに取り組む上でも大いに有用です。しかし、ものづくりに関して自分の任された部分だけでなく、プロジェクトの全体を見渡せることや、人に任せて仕事を進めるスキルはイメージだけでは身に付きません。

あなたがこれまでの業務の中で、リーダーシップを発揮した経験や、人と人とのミュニケーションによって仕事を成し遂げていった経験がWebディレクターへの転職において大きな強みとなることでしょう。業界経験者として、「自分はWebディレクターに向いている」と漠然と考えるのではなく、自分の個性や経験がどんなふうにWebディレクターの仕事にマッチするかを自己分析していきましょう。

プログラマー・エンジニアがディレクターを目指す場合の自己分析ポイント

Webプログラムに精通したプログラマー・エンジニアからのWebディレクターにキャリアアップする人も近年急激に増えています。通常のWebサイトだけでなくWebアプリの活用や多彩な機能もったWebサイト構築においてプログラマー・エンジニアのスキルが、Webディレクターのポジションにおいても有効なのは言うまでもありません。

キャリアアップを考える上で大切なのは、プログラミングの専門スキルをそのまま使うのではなく、いかにしてWebディレクターとしての企画やディレクションに活かすことができるかと言うことです。これまでのクリエイティブ経験を振り返って、「もし自分がWebディレクターとして参加していたら」とシミュレートしてみるのも一つの方法でしょう。あなたのWebディレクターとしての適性を自己分析しておきましょう。

WebライターがWebディレクターを目指す場合の自己分析ポイント

Webディレクターへのキャリアアップにチャレンジしやすい職種としては、Webライターが上げられます。Webライターはプロジェクトの企画や全体の構成に関わる機会も多く、インタビューなどの経験からコミュニケーション力も磨きやすい職種です。しかしこれまでライティングに特化してきた能力を、全体のディレクションへと広げていくには、やはり補完が必要なスキルがあります。そのスキルとは、ずばりテキストだけではなくWebコンテンツの全体の企画から完成までを見渡せるスキルです。

Web上での自在な表現を可能にするWebデザインやプログラミングの知識が備わっていれば、転職において大きなアドバンテージとなるのは間違いありません。また、あなたがこれまでライティングを行ってきた分野や業界など専門性を活かせる機会もあるはずです。

自分の得意分野をしっかりと検討し、どのような企業に転職すべきか、または応募したい企業に自分の特性がどのような強みになるかを自己分析していきましょう。

Webディレクターにおける将来のビジョンを自己分析してみる

続いてはWebディレクター職における自分の将来性について見ていきます。目標設定や現状と合わせて、将来へのビジョンについて時系列で自己分析して見ましょう。

Webディレクターとして転職した場合の将来のビジョンを自己分析

Webディレクターとして転職したら

志望する企業に転職できたと想定してあなたがどんな形で仕事をしたいのか、どんな職場環境を手に入れたいのかを明確にしておきましょう。

入社後1年の目標設定

入社した企業への定着度や手に入れた仕事環境の活用状況などを予想しましょう。Webディレクターとして1年でどのような活動ができるかを目標設定していきます。

入社後5年の目標設定

社内的な信頼も獲得し、大きなプロジェクトも任されたり、よりリーダー的ポジションでの仕事が増えるころです。人的ネットワークの構築状況などを想定しましょう。

入社後10年の目標設定

Webディレクターの仕事の範囲を超えてマネジメント的な業務を任されるなど、仕事内容の幅が広がっていく時期です。自己の成長を予想し、目標を設定しておきましょう。

Webディレクターとしての仕事人生全体を見渡して

これまでのキャリアから転職後、そして退職まで、Webディレクターとして活躍することを基点にあなたの仕事人生全体を見渡して自己分析し、目標設定してみましょう。

Webディレクター職における将来性の自己分析は、自分自身の転職へ志向の軸となるばかりでなく、応募先企業の採用担当者へ向けた自己アピールの核心ともなっていきます。利己的な状況設定をせず客観性を持ったシミュレーションと自己分析が必要です。

Webディレクターにおける自分のマイナス面をどう捉えていくか

自らの欠点と向き合い、克服していくことができるのが人間の可能性です。しっかり自己分析を行えば、あなたの持つ特性の中でマイナス面(Webディレクター職との不適合面)も見えてくる場合があります。その上でマイナス面とどう向き合い、対処していくかの具体的方策を見ていきましょう。

あなた自身が考えるWebディレクターとして不適合な部分

Webディレクターとして活躍するにはまだ専門スキルが足りない、コミュニケーション力を活かした経験が少ない人や、これまでのWebディレクター経験でこんな部分に働きにくさを感じていたなど、自身の「Webディレクターに向かないところ」を自己分析ではまずしっかりと抽出してみましょう。

ここでしっかり不適合な部分を炙りだしておくことが、Webディレクターとして至らない所を認識し、後々補てんしていくキッカケを残しておくことができます。

採用担当者はあなたのWebディレクターとしてのマイナス面をどう見るか

転職において応募者が思い込みやすいのが、「能力が高い人ほど採用される」ということです。横並びの新卒採用なら「より能力の高い人を」と採用側は考えますが、実は中途採用の場合、大切なのは企業や職場環境とのマッチングです。職場によっては他のメンバーとの兼ね合いであなたがマイナスと考える部分が容易にカバーされる場合もあります。

自己分析によって自分の弱点をしっかり把握した上でその企業が採用において重要視しているポイントを確認し、自分の志望とマッチするかを考えていきましょう。

マイナス面を自己アピールでマイナスにしない具体的な方法

応募書類で自分のWebディレクターとしてのネガティブな要素を敢えて表記する必要はありません。しかし、面接では「あなたの苦手なことは?」や、「これまで仕事上で起こった困難について教えてください」という形で、採用担当者は巧みにあなたのWebディレクターとしてのマイナス要素を尋ねてくる場合があります。そんな時は、隠し立てするよりも、自分のマイナス部分に自分がどう向き合い、今後どう対応していくかで評価が決まります。

例えば、Webプログラミングのスキルを補強したいと考えているなら、自ら取り組んでいるスキルアップの方法を表明した上で、応募した企業でのスキルアップにつながる環境について質問してみるという方法があります。面接の場であなたのマイナス部分を解決する方法が見つかれば、それは既にマイナス要素ではありません。そんなことを可能にするのも、自身のマイナス面を含めた自己分析によるものなのです。

自分の本質とWebディレクターという職業の関係性を再度見直す

最後に、自分がこれまでどのような道を歩み、その中でどのようにしてWebディレクターという職業を選んでいったかを再検討してみましょう。以下の4つの質問にあなた自身の答えを出して、Webディレクターとして転職する自己分析のポイントとしてください。

Q1.あなたが「Webディレクターになりたい」と思ったきっかけは?
転職後もWebディレクターを続けたいと考えている人も、これからWebディレクターにキャリアチェンジしようと思っている人も、まずはあなたが「Webディレクターになりたい」と思ったきっかけについて考えをまとめておきましょう。Webディレクターの仕事の魅力について人それぞれに様々な言葉が出てくるはずです。また経験者なら、実体験としての喜びもこれまでにあったことでしょう。それらが自分の本質とどのようにマッチしているかを自己分析してみてください。
Q2.あなたがWebディレクターになるために、あるいは活躍するために努力してきたことは?
Webディレクターになるためにデザインだけでなく、企画の部分の仕事にも参加するように心がけた。高機能なWebサイトのクリエイティブを可能にするため、最新のWebプログラムの知識を身に付けた。など、あなた自身がWebディレクターとして活躍するために努力していることをピックアップしてみて下さい。
Q3.違う職種を選択するという可能性はありませんか?
自分が求める仕事は本当にWebディレクターだけなのか、他職種の可能性をもう一度検討してみて下さい。何もWebディレクター一本に絞ることだけが正解ではありません。しかしあらゆる方向から自己分析の上でWebディレクターという仕事に決めることができれば、それはあなた自身の強い決意につながります。また他の職種に気持ちが動くことも自己分析の成果です。
Q4.あなたがWebディレクターをはじめる、または続けるマインドを再確認してください
仕事とは、あなたと職種(Webディレクター)と環境(企業)で成立しています。あなた自身が職種と環境を選び、豊かな仕事人生を勝ち取っていかなければなりません。この自己分析によってあなたはまずWebディレクターという職種を選択したことになります。まずはその決意(マインド)を再確認してください。そしてこの職種で仕事を行う環境を求めていくことが転職活動となるのです。

まとめ - キャリアアドバイザーから一言アドバイス

この記事では、Webディレクターとして転職することを想定した自己分析の方法を考えてきました。Webディレクターはクリエイターの中でも、創造力、企画力、コミュニケーション力、Webに関する専門スキルと広範な能力を求められる職種です。

それだけに最初からすべての能力に対して優れているという人はまれで、自分の得意分野をベースに成長し仕事の幅を拡げながら活躍している人がほとんどです。苦手なものにもしっかりと向き合い、未経験な分野に果敢にチャレンジするマインドがWebディレクターの素養ともいえるのです。

自己分析によってあなたの持つマイナス面を発見できたなら、それを悲観するのではなくどう克服するかが最も重要といえます。ぜひこの機会に、Webディレクターとしての自己分析を行ってみてください。

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