【転職】自己PRで「向上心」を伝えるには? 作り方やポイントを例文付きで解説

転職活動の履歴書や面接などの自己PRで、「向上心」は採用担当者からの好印象に繋がりやすいアピールポイントです。しかし、自分の向上心を効果的に伝えるのは難しいものです。
この記事では、転職活動で自分の強みとして向上心をアピールしたい方に向けて、自己PR文の作り方や、アピールする際のポイントについて、例文付きで詳しく解説します。
企業が「向上心」を評価する理由
向上心とは、現状に満足することなく、より優れた状態へと進歩しようとする心のことを指します。企業が「向上心」のある応募者を高く評価するのは、向上心があれば入社後も継続的に成長し、活躍することが期待できるためです。
以下、企業が応募者の「向上心」を評価する主な理由を3つご紹介します
目標意識をもって業務に取り組めるかどうか知るため
1つ目の理由は、入社後に目標意識を持って業務に取り組んでくれそうかを知るためです。
応募者がこれまでの仕事においてしっかりと数字をともなう目標を立て、そこに向かって課題解決しながら取り組んできたのであれば、入社後も同じような姿勢で業務にあたってくれることが期待できます。目標意識をともなう向上心は、成長のための自己投資や、知らなかったこと・新しいことへのチャレンジなどにも繋がります。
そのため、企業にとって、応募者に向上心があるかどうかは重要なのです。
新しい環境でも活躍できるかを知るため
2つ目の理由は、応募者が入社後に新しい環境に適応し、活躍できるかどうかを知るためです。
向上心のある人は、仕事におけるより高い成果や自分自身の成長のために、ほかの人からのフィードバックを前向きに受け入れ、考え方ややり方を柔軟に変えていける傾向があります。また、目標達成のために周囲と協力し、良好な人間関係を築きながら、人脈や情報など利用できるリソースを広げていくことができます。
向上心のある人が持つこれらの特徴は、新しい環境への適応とそこでの活躍に繋がり、本人の自己成長はもちろんのこと、周囲のメンバーへのポジティブな影響や、チームの生産性向上なども期待できます。
会社でどのくらい長く働いてくれそうかを知るため
3つ目の理由は、採用した後に自社で長く働いてくれそうかどうかを知るためです。
向上心があり、中長期的なキャリアプランを持って努力を重ねている人は、難しい状況に直面しても前向きに乗り越えられる傾向があります。また、外部環境の変化に影響されにくく、自分の目標に向かってモチベーションを維持できるという強みもあります。
結果として、応募者のキャリアプランと会社の方向性が一致すれば長く働いてくれることが期待できるため、企業はできるだけ向上心のある応募者を見極めて採用したいと考えるのです。
企業に「向上心」を伝える自己PRの作成方法
なぜ企業が向上心を評価するのかが理解できたら、企業に対してあなたの「向上心」をアピールする自己PR文を実際に作成してみましょう。具体的な手順は以下のとおりです。
手順1「数値的な目標を立てて実際に達成した経験」を思い出す
まずは、これまでの社会人経験を振り返り、あなたが向上心を発揮して目標を達成した経験を思い出してください。企業の採用担当者にあなたの向上心を伝えるには、できるだけ具体的な成果と、その成果を出すためのプロセスについて伝えるのが効果的です。目標や成果は数値で説明できるものがよいでしょう。
なお、職場において与えられた役割や目標を達成するために業務に取り組むのは当たり前のことなので、「自分には向上心がある」とアピールする根拠にはなりません。外から与えられた課題や目標ではなく、自ら課題意識を持って行動し、成果を出した経験を探しましょう。
手順2エピソードを書き起こす
向上心を発揮した経験を1で思い出したら、次は箇条書きでもいいので、そのときの具体的な経緯やエピソードを書き起こしてみましょう。そのときに、自分がどのようなきっかけで課題意識を持ったのか、どのように行動して課題解決をしたのか、そこでどのような経験をし、何を学んだのかなど、経験を深堀りしてみてください。
数値的な成果だけでなく、その背景にある動機や思いを明らかにすることで、自己PRにより説得力を持たせることができます。
手順3主体的に解決したものをピックアップする
いくつかのエピソードを書き起こしたら、その中から、重要な意思決定に影響を与えたなど、より組織にとっての貢献度が高い成果を出したものを選びます。複数人で成果を出したものであれば、その中で自分がより重要な役割を果たしたものがよいでしょう。
エピソードが決まったら、「結論→根拠→証明」という3段階の構成で、自己PR文を作成しましょう。
なお、冒頭の「結論」の部分では「自分には向上心がある」ということを主張するわけですが、「向上心」の部分をエピソードに合わせて具体的に言い換えると、より伝わりやすくなります。たとえば「困難なことにも果敢にチャレンジする」「現状に満足せず努力することができる」「新しいことを学び続けている」などです。
文章作成が苦手な人は、Chat GPTなどの生成AIを活用するのも1つの方法です。箇条書きをもとにAIで自己PR文の叩き台を作成することで、時間短縮できる場合もあります。ただし、最終的な仕上げについてはしっかりと自身で確認するか、あるいはキャリアアドバイザーに添削してもらった方が安心でしょう。
自己PRで「向上心」をアピールする際のポイント
転職活動の自己PRで「向上心」をアピールする際には、いくつか注意すべきポイントがあります。どれだけ「自分には向上心がある」と熱心に伝えても、自己PRの内容に説得力がなければ「自分で思い込んでいるだけではないのか」「自分の成功にしか興味がないのではないか」などと誤解されてしまう恐れもがあります。
向上心のアピールを採用担当者からのプラス評価に繋げるために、自己PR文の内容に以下の3点を満たしているかどうかチェックしてみてください。
中長期的な目標や計画をアピールする
自己PRで「向上心」を伝える際には、エピソードで取り上げた経験が、より長期的な目標や計画の一部であることをアピールしましょう。何らかの目標を達成したエピソードを取り上げても、そこから得た成果や学びが次に繋がらないのであれば、説得力に欠けてしまいます。
企業は、自己成長やスキルアップのために絶えず努力し続ける人を求めています。だからこそ、大きな目標の達成に向けて具体的なロードマップを描き、小さな目標を達成したら、次に解決すべき課題を自ら設定できる人が高く評価されるのです。
目標や成果を明確な数字としてアピールする
先ほど「企業に『向上心』を伝える自己PRの作成方法」でも触れましたが、目標や成果について伝える際は、できるだけ明確な数字を入れて説明しましょう。
企業の採用担当者は、応募者が「向上心」をアピールしてきたときに、「本当に向上心があるのか」「どれほどの向上心なのか」を見極めようとしています。向上心を伝えるには、「成功」や「成長」といった漠然とした目標・成果ではなく、「いつまでに、何を、どれだけ達成する」といった具体的な数字を意識して行動してきたエピソードと共に、成果も明確な数字で伝えるのが効果的です。
しっかりと主体性をアピールする
自己PRに盛り込むエピソードが、個人の目標・成果ではなくチームのものである場合、その中であなたが主体性を発揮し、成果に貢献したことをアピールする必要があります。
チームの中であなたはどのような役割を担い、どんな課題意識を持っていたのか。ほかのメンバーに対してどんな働きかけをして、どんな面でチームの成果に貢献したのかを明確に伝えましょう。チームでの経験や、そこからの学びが、あなた個人の成長目標やキャリアプランにどう繋がっているのかも明確に伝えられるとなおよいでしょう。
自己PRで「向上心」をアピールした例文

ここまでで、転職活動の自己PRで「向上心」をアピールするための方法や注意点について理解できたでしょうか。最後に、ここまでお伝えしてきたことを踏まえて作成した例文を、クリエイターの職種別にご紹介します。
これらの例文を参考に、ご自身がアピールしたいエピソードを当てはめて、「向上心」をアピールする自己PR文を作成してみてください。
Webデザイナー
私は、常に最善のWebデザインを提供するために学び続け、その成果を周囲とも共有しています。
私の兄が色覚異常だったため、私は以前から色のアクセシビリティを意識してきました。2021年の障害者差別解消法改正時に、アクセシビリティに配慮したWebデザインが自社の強みにもなると考え、みずから手を挙げて社内プロジェクトを立ち上げ、勉強会の実施、デザインガイドラインの整備、営業用資料の作成をリードしました。
そして2023年度には、営業チームと共に立てた「既存顧客へのサイト改善・リニューアル提案による売上20%増」という年間目標を達成することができました。今後も学び続け、Webデザインの仕事を通じて、より多くの人が不自由なくWebを利用できる環境を作っていきたいです。
Webディレクター
私は、困難な状況や難しい課題にも、向上心を持って取り組んできました。
前職の制作会社で2022年に、コンペ通過率向上のための対策チームのリーダーに私が指名されました。最初は何をすべきか戸惑いましたが、チームメンバーとのディスカッションや顧客へのヒアリング、同業他社の集まるセミナーへの参加などを重ねる中で、Webディレクターの企画力に課題があり、その原因は顧客のビジネスに対する理解不足だとわかりました。
そこから、コンペ通過率30%アップという目標を設定。ディレクター全員が同じレベルのアウトプットを出せるよう、提案前にリサーチすべき項目の整理や、企画に必要な情報を整理するフォーマットの整備、社内研修などの対策を行ったところ、1年で目標を達成することができました。
今後もビジネスセンスを強みに、チームで成果を出せるディレクターとしてキャリアアップしていきたいと考えています。
Webマーケター
私は、打ち手がないと思われる状況にも果敢に挑戦し、解決してきました。
現在はマーケティング支援会社で、さまざまなメーカーのオウンドメディアやSNSの運用を行っています。1年前にある化粧品メーカーのユーザーコミュニティ運用と活性化を前任者から引き継いだのですが、それまで予算内で考えられる打ち手は出し尽くしていて、手詰まりの状態でした。そこで、チームメンバーと協力して他業界の成功事例を調査し、私の発案でロイヤルカスタマー育成に向けた有料のオンラインサロンを提案しました。
私はチームの中で、会員数や収益のシミュレーションなど提案に必要なデータ作成のほか、開設後の効果測定を担当し、クライアント社内での合意形成に貢献しました。結果として、初期費用と運用費あわせて年間〇百万円の売上増となりました。
今後も向上心を持って、顧客のビジネス課題を解決できるWebマーケターを目指していきます。
ゲームプランナー
私は面白いゲームを作るために、日常のあらゆる場面で情報収集をしています。
以前は「自分が楽しいと思うゲームを作りたい」と思い、自分の好きなゲームの構成や要素を研究していました。しかし、提案した企画が社内で通らないことも多く、「多くの人が楽しいと思うこと」を知るのが大切だと気付きました。この数年は「人気の映画やTV番組を年間100本以上視聴する」「話題のテーマパークやイベント、ライブなどに年間50カ所以上足を運ぶ」という目標を立て実際に達成し、その面白さを自分なりに言語化して社内でも共有し、企画に生かしています。
これによって、自分が企画を立てる際の品質・スピードがアップしただけでなく、得た情報や学んだことをアウトプットして共有する習慣がチームに根付き、生産性向上への貢献が評価されて社内表彰を受けました。将来は、「面白いゲーム」を全員で追求するチームを作れるディレクターを目指しています。
まとめ
企業の採用担当者にとって、中途採用の応募者に「向上心」があるかどうかは、重要な関心事の1つです。あなたがこれまでの社会人経験を振り返って「自分の強みは向上心だ」と思うのであれば、ぜひそのことを応募書類や面接の場で効果的にアピールしましょう。
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