好奇心を多分に持ちユーザーに役立つコンテンツを発信するのがプロフェッショナル ―― ナイル 成田幸久氏インタビュー

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Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.17

第一線で活躍しているクリエイター達のリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイター達の熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。

インターネット産業の黎明期から精力的に活動し、現在もコンテンツマーケティングのリーディングカンパニーであるナイル株式会社で、Webビジネスの最前線を疾走し続ける成田幸久氏。Web業界で重要な役割を担う、コンテンツディレクターに求められる資質やスキルについて語っていただいた。

強力なワンストップ体制を持つナイルのコンテンツディレクター

── まず、ナイル株式会社の業務内容と成田さんの職種についてお聞かせください。

成田氏:ナイル株式会社は、コンテンツマーケティングやSEO、アクセス解析などを強みとする「デジタルマーケティング事業」と、ユーザー参加型のスマートフォンアプリ情報サービス「Appliv(アプリヴ)」を展開する「インターネットメディア事業」の2つの事業を柱としています。私はデジタルマーケティング事業に所属し、コンテンツディレクターとしてコンテンツマーケティング支援をしています。

── コンテンツマーケティング支援における、ナイルの強みは何でしょうか?

成田氏:WebコンサルタントやWebマーケターだけでなく、編集者やライターを社内に抱えることで、マーケティング戦略から実際のコンテンツ制作までを、ワンストップで実現できることです。現在、コンテンツマーケティング事業を掲げる企業は多くありますが、コンテンツ制作は外注するのが一般的ですので、ナイルの強力なアドバンテージとなっています。また、私が記事を執筆している弊社のオウンドメディア「UIDEAL」は、コンサルタントと連携して運営しています。

── コンテンツディレクターとは、どのような仕事でしょうか?

成田氏:コンテンツディレクターは企業によって「編集者」や「Web編集者」と呼ぶ場合もありますが、仕事内容はライター、カメラマン、Webデザイナーなどの制作スタッフ全体を統括する責任者です。つまり、紙媒体の編集者と基本は変わりません。違いがあるとすれば、日々進化するWebテクノロジーやWebマーケティングの知識を求められる点でしょうか。そういった知見の有無が、コンテンツの質に密接に関わってくると考えています。

上級職を目指したい人は、マーケティング戦略からマネタイズ、コンテンツの配信ルートの確保、コスト管理まで、プロデューサー的な役割を担うことが求められます。

コンテンツディレクターに必要なのは、スキルよりも「進行管理」

── コンテンツディレクターに必要なスキルは何ですか?

成田氏:おもに企画、ディレクション、進行管理、キャスティング、品質管理、情報収集、顧客折衝などのスキルが求められます。しかし、スキルは経験を重ねていけば自然と身に付きますので、あまり気にしなくていいと思います。

一方で、私が最も重視しているのは「進行管理」能力です。スキルというより、「意識」と言ったほうがいいかもしれません。「メールの返信を2〜3日寝かせる」「情報共有をしない」「スケジュールを守らない」など、進行管理をなおざりにすると、品質の良いコンテンツは生み出せませんし、顧客との信頼関係も築けません。

── スキルよりも、まずはプロ意識ということですね?

成田氏:同僚でも上司でも顧客でも「あれ、どうなっているの?」と言われたらアウトだと思っています。誰だって周囲に目を配り、先読みして行動できる人といっしょに働きたいと思いますよね。

コンテンツ制作はチーム力が命です。いかにチーム力を強くするかが重要だと思います。チーム力を上げるために、私自身は「迅速・決断・挑戦」の3つのことをいつも肝に銘じています。

  • 「迅速」は締切りや返答など、パートナーを待たせないこと。
  • 「決断」は曖昧な対応をしたり、迷いを見せたりしないこと。
  • 「挑戦」は好奇心や探究心を持って、常に新しい試みに挑むこと。

企画やプレゼンが苦手でも、この3つのことをしっかり意識していれば、スタッフや顧客から信頼されると考えています。

自分の好きなことを仕事にできる楽しみ

── コンテンツディレクターならではのおもしろさはありますか?

成田氏:遊びでも趣味でも、自分の好きなことを仕事に結び付けられることですね。会ってみたい人に会えたり、普通は体験できないことを体験できたりします。例えば、パイロットやミュージシャンにはなれなくても、そういう人たちの世界をのぞいたり、疑似体験ができたりするのは本当に楽しいですね。

── やりがいを感じる瞬間は?

成田氏:クライアントの想定を超える結果を出せたときです。たとえクライアントに「前例がない」と反対されても、時間をかけて納得していただき、実際に大きな成果を挙げたときは、やりがいを感じます。前例に沿って80%の結果を出すより、前例のない120%の結果を目指したいですからね。

── どうすればコンテンツディレクターとして活躍できるのでしょうか。

成田氏:まずは「作る」ことに興味を持てるかどうかですね。まずは興味を持てる分野に注力し、自分ならではの強みを持つのがいいでしょう。「毎日5時間Webメディアを読む」「流行しているアプリに精通している」といったことでも、仕事に活かせると思います。

日頃からスマートフォンでの撮影に慣れている人は、具体的なテクニックを知らなくても「こうしたらかわいく見える」といったことを肌感覚で身に付けていますよね。「好きこそ物の上手なれ」です。

紙媒体のノウハウは有効だが、Webならではの表現方法は無限大!

―― コンテンツディレクターになるまでのご経歴を教えてください

成田氏:学生時代に広告代理店で新聞のクリッピングをしたのがきっかけで、メディア業界に興味を持ちました。その後、PR会社を経て出版社で編集に携わるようになり、「WIRED(ワイアード)」日本版をはじめとした複数の紙媒体で副編集長を務めました。2000年頃からWebの世界に入り、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュースしたり「ギズモード・ジャパン」の創刊ディレクターを務めたりしました。

―― コンテンツディレクターになるためには、紙媒体での経験が必要なのでしょうか?

成田氏:紙媒体を経験したことはあまり関係ないと思います。しかし、歴史のある紙媒体はWebメディアよりもノウハウも蓄積されていますから、コンテンツ制作に必要な知識や技術を磨きやすい環境だと思います。Webと違って誌面には文字数制限がありますので、限られたスペースでコンテンツを魅力的に表現する力が育ちます。

しかし、Webでの表現方法はテキストや写真・イラストだけではありません。潜在的には表現方法が無限大にありますから、紙媒体の経験だけが重宝される世界ではありません。

楽しさを人に伝えるには、自分が楽しめる人になれ

── 最後に、コンテンツディレクターを目指している人にメッセージをお願いします。

成田氏:いろいろなことに好奇心を持ってほしいですね。どんなことでも深く知れば、必ずおもしろいことは見つかります。逆に食わず嫌いで、おもしろいことを探す意志のない人は、この仕事は向いていないと思います。

今は個人で情報を発信できる時代です。プロフェッショナルとアマチュアの境界線がありません。ひとつ違うのは、自分の好きなことだけにとことん注力すればいいのがアマチュアで、いかに読者に役立つか、楽しんでもらえるかを考えて伝えるのがプロだと考えています。自分が楽しいと思わないと、当然、人にも楽しいと思ってもらえません。まずは自分が楽しんで、どう人に伝えるかを考えるのがこの仕事の醍醐味だと思います。

インタビューを終えて

紙とWebという、2つのメディアを歩んできた成田氏。力強い言葉の端々には、メディアを理解した上で築き上げた、自身の信念が宿っている。卓越したスキルや豊富な経験を武器に、これからもコンテンツ制作の最前線を走り続けるに違いない。

浮き沈みの激しいWeb業界において、成田氏をはじめとする経験豊富な人材がそろっているナイルは、頭ひとつ抜けているように感じた。今後、彼らが業界内でどのような活躍を見せていくのかとても楽しみだ。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

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