Webデザイナーの就職先や正社員になる方法とは?役立つ資格も紹介
Webデザイナーとしてのキャリアを築くためには、就職先や正社員になるための方法を理解することが重要です。この記事では、Webデザイナーの主な就職先や、正社員として働くためのステップ、さらにWebデザイナーを目指すうえで役立つ資格について詳しく解説します。
目次
Webデザイナーとは
Webデザイナーは、Webサイトやアプリケーションの視覚的なデザインを担う専門職です。クライアントの要望やブランドイメージを反映させながら、ユーザーのニーズを考慮し、わかりやすく、使いやすいデザインを目指します。また、HTMLやCSSなどの基本的なコーディングスキルを求められる場合もあります。
Webデザイナーの仕事の流れ
Webデザイナーの一般的な仕事の流れについては、以下の通りです。
- 1クライアントとの打ち合わせ・要望のヒアリング
- 2Webサイト内の要素や内容の考案
- 3大まかなレイアウト作成
- 4クライアント確認・修正
- 5Webサイト全体のデザイン
- 6クライアント確認・修正
- 7HTML・CSSでのコーディング(実装)
Webデザイナーはクライアントの要望をヒアリングし、その内容に沿ってまず大まかなサイト構成を考案します。各ステップで、クライアントに概要を確認してもらい、修正があれば対応します。
その後、細かい装飾や画像の配置などをデザインし、サイト内に掲載するコンテンツを作成。最後にHTMLやCSSでコーディングをしてWebサイトに反映させるまでが一連の流れです。
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Webデザイナーの就職が厳しいと言われる理由
Webデザイナーへの就職は厳しいと言われることが多いようですが、それにはいくつかの理由が考えられます。
未経験からの正社員入社はハードルが高い
Webデザイナーの転職市場では、過去の実績やデザイン経験が評価される傾向にあり、自身のスキルやデザイン実績をポートフォリオで示せない未経験者は、正社員として採用されにくい可能性があります。またWebデザインの実務未経験者を雇用した場合、採用側には育成コストがかかります。そのため企業は未経験者より即戦力となる人材を優先的に採用することが多く、未経験者にとって正社員のポジションを得ることは難しいと言えるでしょう。求人票に「未経験OK」と記載のある求人であっても、実際は「実務経験がなくても、ある程度のWebデザインができるスキル」を求められることが多いです。
最新技術を常にキャッチアップするのが難しい
Webデザインの分野は非常に速いペースで進化しています。そのため最新技術やデザイントレンドなどをキャッチアップするアンテナの高さや、それらを実践するスキルが求められます。
業界のニーズに応じて、多様なプログラミング言語や、デザインツールの使い方もアップデートする必要があるでしょう。取り巻く状況の変化や競争が激しい市場において、最新技術を持ち合わせることは簡単なことではなく、就職の難易度を上げる要因でもあるようです。
年齢を重ねるとデザインスキル以外も求められる
30代以上のWebデザイナーにはディレクション、マネジメントなど管理職ポジションを求めている企業も多く、デザインスキルに加え+αの能力が必要でしょう。そういった背景も踏まえると、年齢を重ねるたびに求められるスキルは増えていき、受け口も狭くなると言えます。
Webデザイナーの就職先一覧
Webデザイナーを雇用している企業の種類を4つ挙げ、それぞれの仕事内容や特徴について紹介します。
1Web制作会社
Web制作会社とは、クライアントからの依頼を受けて、WebサイトやECサイト、コーポレートサイトなどのデザイン・制作に特化した専門の会社です。会社によってはWebアプリやSNS運用の代行サービス、Webマーケティング部門を担当する場合もあります。業界やジャンルを問わず、多様なプロジェクトに関わることができ、スピード感のある環境でさまざまなWebデザインの経験を積むことができます。
2広告代理店
広告代理店とは、幅広い業界・ジャンルのクライアントから依頼を受け、広告全般の制作をする会社です。テレビCMや雑誌広告制作のほか、Webページの制作・広告運用など、受注する案件は多岐にわたります。広告代理店でのWebデザイナーは、Webサイトの制作だけでなく、下請け企業へデザインを打診する際のデモデザインの作成、クライアントへの広告の打診などもあります。Webデザインだけでなく、広告やマーケティング部門についてのスキルや知識を身に付けることもできるでしょう。
3アプリ開発会社
アプリ開発会社とは、クライアントの依頼を受けてWebアプリを開発する会社です。アプリ開発会社におけるWebデザイナーの仕事は、クライアントとの打ち合わせやデザイン構成の考案、プログラマーが開発したアプリのデザインチェックなどです。またアプリのロゴやアイコンの作成などもWebデザイナーが担当します。Web制作会社のようにプログラミングまで担当するケースはあまりなく、アプリの構成やデザインを担当します。
4一般企業のWeb部門担当(インハウスデザイナー)
自社でWebサイトをインハウス化している一般企業もあります。一般企業のWebデザイナーの仕事は、Webサイトの設計やコンテンツの作成、デザイン、コーディングなど、自社Webサイト制作全般に関わります。制作会社や広告代理店のWebデザイナーとは異なり、特定の企業の一員としてデザイン業務を担うため、企業の文化やビジョンに深く関与しながら長期的に関わるのが特徴です。
Webデザイナーに就職するためのコツ
Webデザイナーに就職するには即戦力として活躍するための必須スキルを身に付けておく必要があります。また、スキル以外にも、自己分析や企業研究、ポートフォリオ作成など、戦略的な準備も必要です。ここではWebデザイナーの就職を成功させるための具体的なコツについて紹介します。
Webデザインに必要なスキルや知識を身に付ける
まず、デザインの基礎として、色彩理論、タイポグラフィ、レイアウトなどを理解することが重要です。特に「デザインの4大原則」(近接、整列、反復、対比)を意識することで、視覚的に魅力的で使いやすいデザインを作成できます。
次にデザインツールの操作習得や、HTML・CSSを使ったコーディングスキルも欠かせません。基礎知識を身に付けたら自分でWebサイトを制作して、自身のスキルレベルを確かめてみるのもおすすめです。
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資格を習得する
Webデザイナーに資格は必須ではありません。多くの企業は、実務経験やポートフォリオを重視し、資格がなくても優れたデザインスキルを持つ候補者を評価します。
しかし、特に未経験者にとって、資格取得はおすすめです。実務経験や実績がない方にとって、資格はスキルを証明する有効な手段となるからです。資格取得を通じて学んだ知識や技術は、実務においても役立つでしょう。以下、特に取得しておくとよい資格を4つご紹介します。
- ウェブデザイン技能検定
- Photoshopクリエイター能力認定試験
- Webクリエイター能力認定試験
- HTML5プロフェッショナル認定試験
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ポートフォリオを作成する
ポートフォリオは自身のスキルや実績、デザインスタイルを示す重要なツールです。経験の有無に関わらず、以下のような構成を参考に作成しましょう。
- 1表紙
- 2プロフィール
- 3見出し・目次
- 410前後の作品
就職のためのポートフォリオは、採用担当者に自分自身をプレゼンテーションすることが重要です。プロフィールや目次など、シンプルなデザインでわかりやすさを重視して作成しましょう。経験者は、実績を中心にポートフォリオを構成します。過去のプロジェクトやクライアントワークを具体的に示し、どのような役割を果たしたのか、またデザインでこだわったポイントなどを明確に記載します。未経験者や実績が少ない場合は、架空のプロジェクトや自己制作のページを作成し、どのような企業を想定して制作したかなどの説明を付け加えましょう。
ポートフォリオは企業に合わせてカスタマイズしよう
ポートフォリオは一度作ったら完成ではありません。志望企業に合わせてカスタマイズすることが重要です。たとえば、志望企業の制作実績にイメージの近い作品があれば、積極的にポートフォリオに追加しましょう。
ポートフォリオは、単にスキルを示すだけでなく、企業との相性や自分の価値・貢献度を効果的に伝えるための重要なツールになります。ポートフォリオの内容を企業のスタイルに合わせることで、企業とのマッチングをアピールしましょう。
自己分析を怠らない
自己分析は就職活動において欠かせないプロセスの1つです。手順としては、まずこれまでのキャリアや経験、自分が持っているスキルを具体的に書き出し、そこから自分自身の強みや特性を明確にしていきましょう。また、何にやりがいを感じるか、どんな環境やプロジェクトに魅力を感じるかなどを掘り下げると、仕事や働き方に対する価値観を見出すことができます。
自己分析を行い、自己理解が深まれば、魅力的な自己PRや志望動機が書けるだけでなく、面接でどんな質問をされても、自信を持って受け応えができるようになるでしょう。
志望企業の研究や業界研究を怠らない
自己分析に加え、志望企業や業界の研究を通じて得た情報も、志望動機の作成に活用できます。企業のWebページや求人情報をよく読み、企業理念やこれまでの制作実績、企業が求める人材についてなど、徹底的に調べましょう。その中で、自分が企業のビジョンやミッションに共感する理由、自分のスキルや経験がどのように企業のニーズに応えられるかなど、明確にしておきます。また、Web業界のトレンドや課題を踏まえたうえで、自分がどのように貢献できるかを具体的に考えておくと、志望動機の作成に役立つでしょう。
Webデザイナーへの就職を有利にするスキルと知識
Webデザイナーの需要は高まっていますが、それに伴い志望者も多く、競争が激化しています。そのため基本的なデザインスキルに加え、特定のスキルも身に付けておけば、就職活動において有利になる可能性があるでしょう。以下、Webデザイナーの就職を有利に進めるためのスキルと知識を紹介します。
コミュニケーションスキル
Webデザイナーは、プロジェクトを進行するうえで、クライアントやチームメンバーとの円滑なコミュニケーションが求められます。デザインの意図やアイデアを明確に伝えたり、フィードバックを受け入れ、適切に対応するコミュニケーションスキルは、プロジェクトの成功に直結するからです。もし、Webデザインの実務経験がなくても、前職でコミュニケーションスキルを発揮した経験があるなら、それを具体的に示すことでWebデザイナーとしての適性をアピールすることができます。
高いコミュニケーションスキルを持つWebデザイナーは、チーム全体の協力を促進し、よりよい成果を生み出すことができるでしょう。
UI/UXについての知識
UI(ユーザーインターフェース)およびUX(ユーザーエクスペリエンス)の知識は、Webデザイナーにとって不可欠です。UIはユーザーが直接触れる部分をデザインするスキルであり、UXはユーザーがサイトを利用する際の体験全体を考慮するスキルです。これらの知識があれば、ユーザーのニーズを理解し、ユーザーが快適に操作できるデザインを開発することができるので、競争力の高いWebデザイナーとして企業に求められる存在になるでしょう。
>SEOやマーケティングについての知識SEOやマーケティングについての知識
SEO(検索エンジン最適化)の理解も重要です。SEOは、Webサイトが検索エンジンで上位に表示されるための技術や戦略を指します。デザイナーがSEOの基本を理解していると、たとえば適切なタグの使用やページの読み込み速度の最適化など、デザイン段階から検索エンジンに最適化されたサイトを構築することができ、クライアントや企業にとって大きなメリットとなります。
また、Webデザイナーがデザインスキル以外にWeb広告やマーケティングの基礎を理解していると、ビジネス全体の視点からプロジェクトに取り組むことができ、企業にとってより価値のある人材となるでしょう。
Webデザイナー就職後の注意点
Webデザイナーとして就職した後も充実したキャリアを築くためには、いくつか注意すべきことがあります。適切に対処できるよう、ぜひ参考にしてください。
セルフマネジメントの徹底を図る
Webデザインのプロジェクトは、納期やクライアントの要望に応じて変動することが多く、不規則なスケジュールになることがあります。特に、プロジェクトの締め切りが迫ると、長時間働くことや、急な変更に対応する必要が生じることもあるでしょう。そのため、セルフマネジメント能力が重要になります。具体的には以下の点に注意しましょう。
- 時間管理
タスクの優先順位をつけ、効率的に時間を使うことが求められます。スケジュールを立て、定期的に進捗を確認する習慣をつけましょう。 - ストレス管理
ハードなスケジュールに対処するためには、ストレスを適切に管理することも重要です。リラックスする時間を設けたり、趣味に時間を使ったりすることで、心身の健康を保つことができます。
情報のアップデートを怠らず向上心を持つ
Webデザイナーが働く業界は実力主義であり、スキルや成果が評価に直結します。また、新しいデザインツールやトレンド、技術が次々と登場するため、常に学び続ける姿勢が求められます。オンラインセミナーに参加したり、書籍を読むなどして、継続的な学習を心がけましょう。
Webデザイナーの就職について、よくある質問
Webデザイナーの就職について、多くの人が抱えている疑問や質問をまとめました。就職活動を始める前に不安を解消するためにも、ぜひ参考にしてください。
Q.1デザイン系の専門学校卒ではない人が、未経験からWebデザイナーに就職できますか?
Webデザイナーは実績や実力が重視されるため、学歴は問われません。Webデザイナーに必要なスキルや実績があれば就職できるでしょう。
ただし、それらのスキルや実績を客観的に示すことが重要です。ポートフォリオを作成して自身のスキルセットや実績をアピールしたり、未経験で実績がない場合は、資格取得を目指して、スキルをアピールしましょう。
Q.2Webデザイナーの勉強には、スクールに通うのと独学どちらがよいですか?
個々の状況や目標によって異なります。体系的な学びやフィードバックを重視する場合はスクールが適していますが、柔軟性やコストを重視する場合は独学がおすすめです。
スクールに通いながら勉強する場合、Webデザイナーに必要なスキルや知識が体系的に学べる、講師から直接的なフィードバックがある、仲間と共にグループワークができる、といったメリットがあります。一方で、コストがかかったり、時間的制約があり仕事や生活との両立が難しいこともあるでしょう。
独学の場合、低コストかつ、自分のペースで学ぶことができ、時間や場所に縛られることもありません。ただし、自由であるからこそ、モチベーションの維持や目標設定など、自己管理が徹底できる人でなければ、学習を継続するのが難しいという一面もあります。
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Q.3アルバイトで実績を積めば正社員としてWebデザイナーになれますか?
Webデザイナーはスキルや実績が重視されるので、アルバイトで経験を積むことは有効なステップと言えるでしょう。
アルバイトでどのような業務を担当していたか、また自身が制作に携わったWebサイトがあれば具体的な制作領域をアピールしましょう。
Webデザイナーへの就職に向けて
Webデザイナーとして就職するためには、必要なスキルや知識を身に付けること、ポートフォリオを作成し自身のスキルをアピールすること、そして何より実務経験を増やすことが重要でしょう。
今後も発展していくであろうWeb業界の中で、Webデザイナーは需要が高く、将来性のある職種です。Webデザイナーとしてのキャリアを目指していくのであれば、継続的に学び続ける姿勢を忘れず、自身の目標を定め、計画的に行動していきましょう。
この記事を書いた人
マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。