サーバーエンジニアのスキル証明に役立つ6つの資格

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サーバーエンジニア 資格 サーバーエンジニアの技量を示す1つの指針として「資格」があります。有資格者であることは一定のスキルを身に付けているサーバーエンジニアとしての証ですし、何よりも受験のために学んだ知識は、サーバーエンジニアとしての実務を含むさまざまな場面で役立つでしょう。ただ、具体的にどの資格を取得すればいいか悩んでいる、というサーバーエンジニア志望の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、サーバーエンジニアにとって有益な資格を6つご紹介します。それぞれの概要や資格取得方法、受験費用についてまとめました。今後サーバーエンジニアとして活躍していきたいと考えている方は、是非参考にしてください。

※本記事は2020年11月30日に更新しました。

サーバーエンジニアに役立つ資格6選

資格取得はサーバーエンジニアとしての技量を証明する有効な手段であると共に、もう1つ、大きなメリットがあります。それは、試験勉強をすることで汎用的な知識やスキルをバランスよく習得できることです。資格は必ずしも転職を有利にするものではありませんが、挑戦すること自体に大きな意味があるのです。

IT系の数ある資格の中から、サーバーエンジニアにとって有益な資格をまとめました。ご自身の志向に合うものがあれば、是非チャレンジしてみましょう。

01. LinuC(Linux技術者認定)

LPI-Japanが提供する「LinuC(リナック)」は、サーバーエンジニアにとって必須スキルとなるLinux(リナックス)関連の資格です。LinuCの認定を取得することは、今のサーバーエンジニアに強く求められるクラウド/仮想化技術を身に付けたサーバーエンジニアであることをアピールできます。なお、LinuCの試験は難易度によって3段階に分かれており、出題範囲や問われる技術レベルの難度が異なります。以下で、各レベル別の特徴についてご紹介します。

LinuCレベル1(LinuC-1)

物理/仮想の環境を問わず、Linuxシステムの基本操作とシステム管理を問われるのが特徴。Linuxの基本操作とシステム管理を実務でこなしているサーバーエンジニアであれば十分取得可能ですが、基本的なクラウド環境でのセキュリティの考え方を理解することや、オープンソースの文化についても理解しておくとよいでしょう。
資格を取得するには、101試験と102試験のいずれにも合格する必要があります。

参照:Linux技術者認定「LinuCレベル1」

LinuCレベル2(LinuC-2)

仮想マシン・コンテナを含むLinuxシステム、およびネットワークの設定・構築のスキルを問われるのがレベル2です。仮想環境を含むLinuxのシステム構築やネットワークの構築はもちろんのこと、アーキテクチャに基づいた設計・導入・保守・問題解決ができるエンジニアであることを証明する資格です。
認定を取得するには、201試験と202試験のいずれにも合格する必要があります。

参照:Linux技術者認定「LinuCレベル2」

LinuCレベル3(LinuC-3)

サーバーエンジニアが関わるべき、さまざまな分野のエキスパートであることが認められる資格です。なお、試験内容は以下の分野に分けられています。

  • 300試験:混合環境(Windows、Linux、Unix)における設計・構築、運用・保守に関わる技能
  • 303試験:高度なセキュリティレベルにおけるシステム設計・保守の技能
  • 304試験:クラウドコンピューティングシステムの設計・保守の技能

上記3つのいずれかに合格すると、その分野におけるスペシャリストであることが認定されます。つまり、LinuCレベル3の認定取得は、それぞれの専門性について深い知識と技能を持つサーバーエンジニアであるという裏付けにもなるのです。

LinuC(Linux技術者認定)
  • 運営:LPI-Japan
  • 受験費用:
    • LinuCレベル1:15,000円/1試験
      (101試験と102試験の受験が必要なので、資格取得には合計で30,000円が必要)
    • LinuCレベル2:15,000円/1試験
      (201試験と202試験の受験が必要なので、資格取得には合計で30,000円が必要)
    • LinuCレベル3:15,000円/1試験
  • 受験方法:
    試験を受ける順番に制限はありません。また、それぞれ受験する試験ごとに合否の結果は出ます。
    ただし、認定を取得するためには下位の認定を取得する必要があります(つまり、レベル2の認定を取得するには、レベル1の認定を取得する必要があります)。
    ※2020年11月より、自宅や職場などからオンラインで受験が可能になりました。
  • 出題形式:多肢選択、コマンド入力参照

02. MCP(マイクロソフト認定資格)

アメリカをはじめとした世界150カ国以上で試験が行われる世界共通資格「MCP」。名称からもわかるとおり、Windowsサーバーに関わる知識・技術力が問われる試験に合格したサーバーエンジニアに与えられます。なお、基本的な対象は情報システム関連のエンジニアとなっていますが、サーバーエンジニアであっても有益な資格であることは間違いありません。

資格は非常に細分化されており、各製品・バージョンごと、もしくはフェーズごとに試験が異なります。細かい分、組み合わせて受験できるため、ご自身のサーバーエンジニアとしての技能・キャリアに最適なもののみを取得することも可能です。なお、試験内容はおおまかにMCSA・MCSE・MCSDの3種類。この3つの認定資格の総称をMCPといいます。

MCSA(Microsoft認定ソリューションアソシエイト)
アソシエイトレベルの技術者向けの資格。将来に向けたITキャリアを積もうと考えているサーバーエンジニアにとっては基本となるものです。
MCSE(Microsoft認定ソリューションエキスパート)
MCPにおける主要資格の1つ。MCSAより上位となる資格であり、要件に沿ったシステム・アプリケーションの設計を行えるサーバーエンジニアであることが求められます。
MCSD(Microsoft認定ソリューションデベロッパー)
MCSEと同じく、MCPにおける主要資格の1つ。サーバーエンジニアはもちろん、多くのIT開発者にとっても目指すべきレベルに位置づけられています。具体的なスキルとしては、機能を指示通りに使ったシステム構築・アプリケーション開発ができるサーバーエンジニアであることが要求されます。
MCP(マイクロソフト認定資格)
  • 運営:Microsoft
  • 受験費用:21,103円(割引制度あり)
  • 受験方法:
    上述の3種はあくまでもおおまかな分類であり、それぞれの中には6種類の専門カテゴリーが存在します。
    • Cloud Platform and Infrastructure(MCSE)
    • Mobility(MCSE)
    • Data Management and Analytics(MCSE)
    • Productivity(MCSE)
    • App Builder(MCSD)
    • Business Applications(MCSE)
    それぞれの分野の資格を取得するためには異なる資格パスを取得しなくてはなりません。たとえばCloud Platform and Infrastructureの場合、「Windows Server 2016」「Windows Server 2012」「Cloud Platform」「Linux on Azure」という4種類の資格を取得済みである必要があります。やや複雑なので、とくにMCSE・MCSDを受験する前にはご自身がサーバーエンジニアとしてどの分野に関わる資格を取得したいのかを踏まえたうえで、パスを確認するようにしましょう。
  • 出題形式:多肢選択、シミュレーション

03. CCNA

CCNAは、ネットワーク関連機器メーカーとして世界最大手となるCisco Systems(シスコシステムズ)が運営するネットワーク技術者の認定資格であり、Cisco技術者認定の1つです。合格することで取得できる資格は世界共通基準であり、ネットワーク業界において高い知名度を誇ります。

CCNAは国内の受験者数も非常に多く、ネットワークエンジニアはもちろん、サーバーエンジニアにとっても注目すべき資格と言えるでしょう。なお、有資格者になればCiscoルータやCatalystスイッチといったCisco製品に関わるスキルを持つサーバーエンジニアであることがアピールできるほか、基本的なネットワーク技術にも精通しているエビデンスになります。

また、2020年2月より、従来のCCNAは新しいCCNAへと大幅に改定されました。これまでは専門分野ごとに分かれていた試験科目が1つに集約されたのです。これにより受験者は試験内容の範囲が広がり難易度としては高くなったと言えるでしょう。こうしたCCNAの大幅改定には、日々新しくなる技術に対して、エンジニアも横断的な技術・知識が求められるようになったことがうかがえます。

旧試験 新試験
CCNA Routing & Switching CCNA
CCNA Cloud
CCNA Collaboration
CCNA Data Center
CCDA
CCNA Industrial
CCNA Security
CCNA Service Provider
CCNA Wireless

なお、新しいCCNAの試験範囲は以下の通りです。

  • ネットワークの基礎
  • ネットワークアクセス
  • IP接続
  • IPサービス
  • セキュリティの基礎
  • 自動化とプログラマビリティ

ちなみに、Cisco技術者認定には難易度の低い方から「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」、そして最高水準にあたる「アーキテクト」という5つのグレードがあり、今回の改定後には、新たに「スペシャリスト」というグレードが「アソシエイト」と「プロフェッショナル」の間に設けられました。CCNAのグレードはこの中の「アソシエイト」にあたります。

CCNA(Cisco Certified Network Associate)
  • 運営:シスコシステムズ合同会社
  • 受験費用:CCNA 200-301 33,600円(税別)
  • 受験方法:
    Peason VUE(ピアソンビュー)の公式サイトから、Cisco技術者認定のアカウントを作成し、テストセンターと日時を予約します。
  • 出題形式:多肢選択、コマンド入力、ドラッグ&ドロップ、シミュレーション

04. CCNP

CCNPは、CCNAの上位にあたる資格です。Cisco技術者認定のグレードでは「プロフェッショナル」に分類されます。問われるのは大規模ネットワークの導入や、その保守・運用に関わる能力です。知名度こそCCNAに軍配が上がりますが、CCNPはその上位資格だけあって高い技術力や深い知識が求められます。一般的にはネットワークエンジニア寄りの資格とされていますが、サーバーエンジニアも取得しておいて損はありません。

また、CCNA同様、CCNPも2020年2月に大幅な改定が行われ、いくつかの試験が統合されました。もっともメジャーだった「CCNP Routing&Switching」は「CCNP Enterprise」に置き換わっています。

旧試験 新試験
CCNP Routing&Switching
CCNP Wireless
CCDP
CCNP Enterprise
CCNP Data Center
CCNP Cloud
CCNP Data Center
CCNP Security CCNP Security
CCNP Service Provider CCNP Service Provider
CCNP Collaboration CCNP Collaboration
CCNP(Cisco Certified Network Professional)
  • 運営:シスコシステムズ合同会社
  • 受験費用:
    コア試験44,800円(税別)/コンセントレーション試験33,600円(税別)
    ※2020年2月の改定により、コア試験、コンセントレーション試験の2試験となりました。
  • 受験方法:
    Peason VUE(ピアソンビュー)の公式サイトから、Cisco技術者認定のアカウントを作成し、テストセンターと日時を予約します。
    ※2020年2月の改定により、CCNPの前提条件(CCNAの取得/保持)は廃止されました。
  • 出題形式:多肢選択、コマンド入力、ドラッグ&ドロップ、シミュレーション

05. ITIL

ITサービスマネジメントの成功事例を体系化し、ITシステムのライフサイクルマネジメントを示したガイドライン(書籍)をITILと言います。1989年に初めてITIL V1がリリースされ、以降、ITIL V2、ITIL V3、ITIL2011、そして2019年には最新版となるITIL4がリリースされました。この理解度を問うための試験に合格すると、英国のAXELOS(アクセロス)という組織によって認定がなされます。

ビジネス部門向けの内容ではあるものの、サーバーエンジニアにとっても押さえておきたい資格です。また、サーバーエンジニアとしてだけではなく、より幅広いITスキルを身に付けるという意味でも有益と言えるでしょう。

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)
  • 運営:People Cert
  • 受験費用:Foundation/32,000円〜43,890円(税別)
    ※試験センターやバウチャー(割引)によって、受験費用は異なります。
  • 受験方法:
    People Certが認定したそれぞれの試験センターからお申込みできます。
  • 資格取得方法:
    ITILには5つの理解度に合わせた分類があります。上位にチャレンジするためには、初級となるFoundationの試験からはじめ、順を追って合格していかなくてはなりません。
    • Foundation(ファンデーション):
      入門者向け。合格することで2単位が取得できます。
    • Practitioner(プラクティショナ):
      Foundationの1つ上に位置する資格。合格することで3単位を取得できます。
    • Intermediate(インターミディエイト):
      中級者向け。より専門的な内容を問われる試験です。
    • Expert(エキスパート):
      上級者向け。合格により22単位を取得することで資格認定がされます。
    • Master(マスター):
      最上位資格。経歴書の提出と面接によって認定がなされます。
  • 出題形式:多肢選択

06. 基本情報技術者試験・応用情報技術者試験

IPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験で、国家資格の1つです。基本情報技術者試験(FE)と応用情報技術者試験(AP)に分かれており、いずれもクライアントの課題に対して戦略立案やシステムの設計開発、保守・運用の知識・技術力が問われます。なお、具体的な出題カテゴリーは「テクノロジー系」「マネジメント系」「ストラテジー系」「情報セキュリティ」です。このように、幅広いITスキルを身に付けることが必要となる試験であるため、サーバーエンジニアを目指すのであれば、是非学習に取り組んでみましょう。

基本情報技術者試験・応用情報技術者試験
  • 運営:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
  • 受験費用:各5,700円
  • 受験方法:
    試験は春期(4月第3日曜日)と秋期(10月第3日曜日)の2回開催されます。それぞれ午前と午後に150分の試験があり、それに合格することで資格取得となります。なお、受験資格は設けられていないので、サーバーエンジニアとしての実力がある方であれば、上位資格となる応用情報技術者試験(AP)から受験することも可能です。
  • 出題形式:多肢選択、記述

転職において、サーバーエンジニアが資格を有しておく必要性とは

サーバーエンジニアが転職の際に重要視されるのは、資格の有無よりも実務の経験や実績です。とはいえ、初対面の採用担当者にご自身のサーバーエンジニアとしての実績を伝えるのはなかなか難しいもの。そんなとき、一定の知識やスキルを「資格」というかたちで示すことができれば、転職活動などさまざまな場面で自己PRにも繋げることができるでしょう。未経験でIT業界に挑戦する場合も、資格があれば前向きなアピールになります。

応募先の企業が求める資格があるなら、それを優先的に取得したり、外資系企業への転職や海外進出を視野に入れているなら、世界共通の認定資格を目指すのもよいでしょう。中には「資格手当」制度などを設けている企業もあるので、資格を持っていれば金銭的なメリットを受けられることもあります。

資格があるといい理由

まとめ

今回はサーバーエンジニアに有益な資格についてまとめました。今後サーバーエンジニアを目指す方は、是非参考にしてください。

なお、一見すると、サーバーエンジニア特化ではないものもあります。しかし、いずれも幅広いITスキルを求められる試験となるため、サーバーエンジニアであっても取得しておいて損にはなりません。とはいえ、サーバーエンジニア向けに優先順位を付けるとするなら、LinuC、MCP、CCNAが先になります。もちろん、現場によってサーバーエンジニアに求められる知識・技能は異なりますから、最適なものを選ぶよう心がけましょう。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

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