マイナビクリエイター×デジタルハリウッド×PARTY共同セミナー『今求められるポートフォリオのUI/UXとは?』セミナーレポート
去る2018年6月15日に、マイナビクリエイターがデジタルハリウッドSTUDIO渋谷とPARTYと共同で「今求められるポートフォリオのUI/UXとは?」と題してセミナーを開催した。
本セミナーでは、これからクリエイティブ業界への就・転職を希望する方々に、改めてポートフォリオの重要性をお伝えするとともに、マイナビクリエイターとPARTYで共同開発した、かんたんポートフォリオ作成サービス『MATCHBOX』(マッチボックス)の開発秘話を紐解きながら、課題解決のためのUI/UXについて、トークが繰り広げられた。デジタルハリウッドSTUDIO渋谷とマイナビクリエイターの告知により、予想を超える46名の参加者が集まり、セミナーは大いに盛り上がった。今回、そのイベントの模様をお届けしようと思う。
登壇者紹介
PARTY:山中氏(プロジェクトマネージャー)
マイナビクリエイター:萱沼・青野
各社紹介
株式会社PARTY
未来の体験を創造し、社会にインストールするクリエイター集団。成田空港第3ターミナルの空間デザインをはじめとする数多くの実績を誇り、企業ブランディング、インスタレーションなどを幅広く手がけている。東京とニューヨークにオフィスを構え、「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」、「ONE SHOW」、「D&AD」などをはじめとする国内外の広告・デザイン賞を数多く受賞。また個人の価値に値段をつけてトレーディングカードのように流通させるフィンテックサービス「VALU」の設計・運営にも携わっている。
デジタルハリウッドSTUDIO
『デジタルハリウッド STUDIO』とは、「好きなことを、好きな時間で、好きな場所で、自分らしく学ぶ。」今までにない"ラーニングスタジオ"をコンセプトにした、目的や地域に特化した学習スタイルを提供するプラットフォームです。 デジタルハリウッド設立より23年以上もの間、多くの実績を生んできた教育ノウハウとメソッドを集約し、確実にスキルが身につくカリキュラムを提供しています。「ワーク・シフト」が注目されはじめ、働き方が大きく変わる中、併せて生活スタイルも時間の使い方そのものが変化をしはじめ、必然的に"学びのスタイル"も変化をしている流れをいち早く察知し、デジタルハリウッドでは2012年より、この「新しい学びのスタイル」を提供し始めております。
求職者が思う以上にポートフォリオは重要。つくる事でライバルを一気に追い越せるという事実を知って欲しい ―― マイナビクリエイター 萱沼
―― セミナーは登壇者3名の自己紹介で開始され、萱沼から「ポートフォリオの重要性」についての話がはじまった。
萱沼:私たちはマイナビクリエイターという、クリエイターを対象とした人材紹介サービスをやっていて、多くのクリエイターの皆さまと企業の間に入ってコーディネートを行ってきました。そこでポートフォリオに絞ってお話しすると、デザイナーの採用活動を行っている企業の100パーセントが採用の対象となるクリエイターのポートフォリオを見たいと考えています。
それに対して当社を利用して転職を希望されたクリエイター転職者のポートフォリオの準備率はどれくらいだったと思いますか?80パーセント?50パーセント?いえいえ、実は26.5パーセントというのが実際の数字です。WebデザイナーやWebディレクターといったクリエイターと呼ばれる職種においてです。
ただ、私たちが皆さんに申し上げたいのは「だからポートフォリオをつくってください」と言うことではなく、「これって大きなチャンスだと思いませんか?」と言うことなんです。ライバルの70パーセント以上が採用側が必ず欲しいと思っているポートフォリオを用意していないんです。
しっかりとポートフォリオの準備ができていれば、それはそのまま求職者の大きなアドバンテージになる。私たちが求人をご紹介するクリエイターの皆さんにはぜひそのアドバンテージを持って就・転職に望んで欲しい。そんな思いがポートフォリオ作成サービス『MATCHBOX』をスタートさせた理由なのです。
―― マイナビクリエイターの利用者にもっと簡単にポートフォリオ作成にかかれる環境を提供したい。そんな思いから現在の『MATCHBOX』はスタートしている。その目的の下、萱沼がドアをノックしたのがPARTYだった。PARTYは様々な最新テクノロジーを駆使して未来の体験をデザインするクリエイター集団。萱沼の呼びかけで、『MATCHBOX』はマイナビクリエイターとPARTYの共同開発となり、このプロジェクトのプロジェクトマネージャーに就任したのが山中氏だった。
企業の求める"人材力"が表現できるポートフォリオとは。泥臭い情報設計から『MATCHBOX』の制作がスタート ―― PARTY 山中氏
山中氏:『MATCHBOX』をつくる上での課題は山のようにありました。まず私たちが『MATCHBOX』に必要と考えたのは「企業が注目するクリエイターの人材力をいかに表現するか」というソリューションです。まず私たちはマイナビクリエイターの持つクリエイターの転職に関する情報を共同で徹底的にリサーチしました。企業の求める人材力のポイントを、膨大な職種情報からの一つひとつ洗い出し、『MATCHBOX』で掲載すべき項目を選択していきました。
『MATCHBOX』(マッチボックス)の活用ポイント
山中氏:そしてもう一つのテーマが、ユーザーが二の足を踏まずに就・転職のために簡単にポートフォリオをつくれるということでした。情報を集める中で、多くの求職者がポートフォリオをつくる際、どんなふうに見せるかというフォーマットのところで悩んでしまっているということがわかったのです。そこで私たちが目指したのは必要以上に考えることなく、塗り絵のように簡単に作っていけるポートフォリオの制作環境でした。
用意された項目に答えていくだけで企業の求める自分の人材力をアピールできる。これまで携わった作品やコンテンツなどの実績をていねいに解説をつけながらより魅力的に見せられる。そんな求職者のUXを実現するために必要なUIのデザインが行われました。
―― PARTYでの『MATCHBOX』の制作プロセスを多角的に、ダイナミックに語る山中氏。セミナー出席者のほぼ全員が現役クリエイター、もしくはデジタルハリウッドでスキルを身に付けようとしているクリエイター志望者だ。実際の『MATCHBOX』のクリエイティブに関心が集まった。
山中氏:『MATCHBOX』は「求職者と企業の正しいマッチングを実現するツール」として、さらに「クリエイターの転職への情熱に火をつける」という2つの意味で名付けられました。白を基調に洗練されていながら親しみやすい今の『MATCHBOX』のUIは無数の試行錯誤から生まれています。どんな作品にも合うトーン&マナーを徹底的に研究し、ロゴ、キャラクターも数多いバリエーションの中から選びました。
親しみやすさを担保するため、キャラクターも用意
現在の『MATCHBOX』のUIが決定するまでの行程を山中氏が熱く語り、試行錯誤の中で生まれた数十点にも及ぶ、試作のロゴやキャラクターも披露された。スマートな印象のPARTYのクリエイティブが、決して手を抜くことない地道な作業の積み重ねであることがセミナーの参加者に伝わっただろう。最後に『MATCHBOX』の制作自体を『MATCHBOX』でポートフォリオ化。山中氏が手がけたここまでの仕事内容が見事にポートフォリオとなった。
その作品にどのように関わったのか。ポートフォリオに大切なのは作品のハデさではなく求職者の本当の力を表していること ―― マイナビクリエイター 青野
青野:山中さんのお話とポートフォリオで、「『MATCHBOX』がどのようにして生まれたか」を皆さんにもご理解いただけたかと思います。そして皆さまにポートフォリオづくりでやっていただきたいのが、今の作業そのものなのです。課題に対してどのような方法論や思いがあり、どのような行程を経て完成に至ったか。そして求職者自身がその仕事にどのように関わっていたか。見栄えのするかっこいい作品を並べれば良いポートフォリオになるわけではありません。作品に対して求職者のスキルがどう発揮されているかを採用担当者は知りたいと思っているのです。
『MATCHBOX』は今年3月の正式リリースからこういったセミナーや、マイナビクリエイターにお申込みいただいた方にのみURLをお伝えしてアカウントを取得していただいているサービスです。誰でも利用いただけるオープンなサービスではないのですが、それでも1回のイベントで30〜50名の登録をいただいており、順調にアカウント数を伸ばしています。このセミナーに参加いただいた皆さまは無料で利用いただけますので、ご希望の方は早速この場でアカウントの作成をしてみて下さい。スマホでQRコードを使って『MATCHBOX』にアクセスし、簡単にアカウントの作成が可能です。
―― 案内に従って参加者全員が『MATCHBOX』のアカウントを取得。参加者の中には既にアカウントを取得し、ポートフォリオの作成をはじめている人もいて、後半の質疑応答では、使用法やクリエイター未経験者の活用法などの質問や使い勝手に関する意見も飛び出した。登壇者3名による講演が終わってセミナーは第2部のキャリア相談会へ。マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーによるクリエイターの就・転職に関する相談が行われた。多くの参加者から「ポートフォリオに対する意識が変わった」「『MATCHBOX』で早速ポートフォリオ制作に入りたい」などの声が上がり、盛況のうちにセミナーは幕を閉じた。
共同セミナーを終えて
デジタルハリウッドSTUDIO渋谷の全面協力を得て実現した今回のセミナー。クリエイターとしての向上心の高い同STUDIOの学生や、マイナビクリエイターの告知からポートフォリオ制作に関心のある参加者が集まった。
3人の登壇者が共に勧めていたのはポートフォリオの制作を難しく考え過ぎずに、まずは『MATCHBOX』で作りはじめて欲しいということ。初級者からベテランクリエイターまで、優れた『MATCHBOX』のUIがこれまでに無いUXを体験させてくれる。ポートフォリオづくりで悩んでいるクリエイターはぜひ『MATCHBOX』を活用してみてはいかがだろうか。
この記事を書いた人
マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。