人気ゲームタイトルのプロデューサートークセッション開催!コーエーテクモゲームスをゲストに迎えたゲーム業界転職セミナーレポート
去る4/13(土)に新宿エルタワー27階のマイナビワークスセミナールームにおいて、マイナビクリエイターによるコーエーテクモゲームスをゲストに迎えた「ゲーム業界転職セミナー」が開催されました。
ゲーム業界経験者向けに開催された当セミナーですが、定員を上回るお申し込みがあり、歴史シミュレーションゲームやアクションゲームでファンの熱い支持を獲得しているコーエーテクモゲームスへの関心の高さがうかがえました。イベントの目玉となったのは、同社の歴史シミュレーションゲームの看板タイトル「三國志」シリーズや「信長の野望」シリーズを手がける「シブサワ・コウブランド」のプロデューサー越後谷氏、伊藤氏によるトークセッション。両氏からは、同ブランドにおけるゲーム作りの魅力が語られ、会場に集まった「転職を検討している」「コーエーテクモゲームスに関心がある」参加者へ、共に働くことを期待する熱いメッセージが届けられました。
イベントの内容
- 人事部採用担当者から会社概要・募集ポジションのご説明
- ブランドを代表するプロデューサーのお二人をお迎えしてのトークセッション
- 希望者向け個別相談会
トークセッション登壇者
株式会社コーエーテクモホールディングス
エンタテインメント事業部 シブサワ・コウブランド プロデューサー
越後谷 和広 氏
株式会社コーエーテクモホールディングス
エンタテインメント事業部 シブサワ・コウブランド プロデューサー
伊藤 幸紀 氏
モデレーター
IGN Japan 副編集長
今井 晋 氏
歴史×シミュレーションゲームだけじゃない!人気IPとのコラボも展開する「シブサワ・コウブランド」とは?
まずは株式会社コーエーテクモホールディングス人事採用担当の鶴田氏から、現在のコーエーテクモグループの成り立ち、良好で安定的な経営状況、離職率の低い恵まれた就業環境などが紹介されました。また「三國志」シリーズや「無双」シリーズなど、人気タイトルを続々世に送り出すコーエーテクモゲームスの魅力、海外展開も視野に入れた同グループの強み、2020年にはみなとみらい(神奈川県横浜市)へ本社を移転することなど、今後の経営戦略についても語られ、転職を検討している参加者の強い関心を集めました。
そしていよいよ、コーエーテクモゲームスプロデューサー越後谷氏、伊藤氏によるトークショーがスタート。モデレーターは、もはやマイナビクリエイターの「ゲーム業界転職セミナー」には欠かせない存在となっているIGN Japan副編集長の今井氏が務めます。「シブサワ・コウブランド」で働くクリエイターの実際の様子、キャリアパスや求める人物像についてなど、業界に対する専門的な見識も交えながら、コーエーテクモゲームスをひも解く質問が投げかけられました。
今井氏:お二人がプロデューサーとして務める「シブサワ・コウブランド」とは、コーエーテクモゲームスの中でどんな位置づけなのでしょうか?
越後谷氏:コーエーテクモゲームスには今、「シブサワ・コウブランド」のほかに「ω-Force(オメガフォース)ブランド」「Team NINJAブランド」「ガストブランド」「ルビーパーティーブランド」「midasブランド」の合わせて6つのブランドが立ち上がっています。このブランド制が始まったのは今から3年ほど前、2016年から。それぞれのゲームがブランドとしての戦略をたて、より高い価値を生み出していけるようにという思いから始まりました。
「シブサワ・コウブランド」はその中でも、「三國志」シリーズ、「信長の野望」シリーズ、「Winning Post」シリーズ、「大航海時代」シリーズなど、シミュレーションゲームを手がけており、日本やアジアを舞台にした歴史物に強いブランドです。歴史シミュレーションゲームといえば国内でもこのコーエーテクモゲームスが切り開いてきたゲームジャンル。「シブサワ・コウブランド」はその伝統を受け継ぎ、さらに新しいものを作リ続けるブランドなのです。
伊藤氏:知力を駆使する大人向けの印象のあるシミュレーションゲームですが、『ポケモン+ノブナガの野望』、『妖怪三国志 国盗りウォーズ』など人気IPとのコラボゲームで、今や小さな子どもから若い世代にもたくさんのファンがいます。こういった人気IP×シミュレーションといったゲーム作りも「シブサワ・コウブランド」で働く面白さの1つですね。これらのゲームが新たなシミュレーションゲームのファンを生みだしています。
また、本格的な歴史シミュレーションゲームのイメージから「シブサワ・コウブランド」で働くには歴史に強くなければならないと思われがちですが、そんなことはありません。歴史監修に関しては、社内に専門家集団がいるので、必ずしもスタッフ全員が歴史に強くなくても大丈夫なのです。入社時には三国志や戦国時代について「よく知らなかった」という人もいて、入社後ゲーム開発の中で自然と歴史に対する関心が高まっていったという人が多いですね。つまり入社選考でも「あなたは歴史に強いですか?」なんて聞くことはなくて、その人の総合的なゲーム作りへの姿勢に注目しています。
実は、越後谷氏も入社当初は歴史に詳しくなかったそう。サウンドクリエイター志望で入社したものの、情報工学部出身だったことからプログラマーに。しかしプログラミング経験がそれまでまったくなかったことから早々に配置替えとなり、『三國志英傑伝』のプランナーになりました。プランナーとしての最初の仕事は、横山光輝のコミック『三国志』を全巻読むことだったそうです。
越後谷氏:私を例にとっても「シブサワ・コウブランド」は歴史好きしか入れないわけではありません。歴史には自信があるという程度の知識では、社内の専門家たちに太刀打ちできませんから。
『太閤立志伝4』『戦国無双』『猛将伝』のメインプランナーを経て、『真・三國無双Online』からメインプランナー、ディレクター、プロデューサーを務め、今や「三國志」シリーズの辣腕プロデューサーとして知られる入社26年目の越後谷氏。そんな同氏から、入社当初の意外なエピソードが語られました。
一方、小学生の頃に「三國志」シリーズをプレイしたのがきっかけで、歴史小説にハマっていったという伊藤氏。吉川英治の『三国志』はもちろん読破済みで、入社後はさらに『三国志演義』を全部読み三国志に関する知識を深めていきました。三国志への憧れと共にキャリアをスタートした伊藤氏は入社16年目。『三國志X』からプランナーを担当し、『モンスター☆レーサー』『ポケモン+ノブナガの野望』『戦国無双Chronicle3』でメインプランナーに。『妖怪三国志』『妖怪三国志 国盗りウォーズ』のディレクターを経て現在は越後谷氏とともに「三國志」関連のIPプロデューサーを担当しています。越後谷氏がコンシューマー、伊藤氏がアプリというすみ分けで、それぞれプロデュースを行ってきました。
入社まで歴史に詳しくなかった越後谷氏と小学生の頃から歴史好きだった伊藤氏。そんな2人が「シブサワ・コウブランド」を支えているのです。
「三國志」の圧倒的人気からのグローバル展開。そこで求められるクリエイターの人物像
「シブサワ・コウブランド」の歴史シミュレーションゲームを中心に開発の現状について越後谷氏から紹介され、伊藤氏からは他社IPとのコラボレーションタイトルの取り組み方や、人気IPを使ったゲーム作りの面白さとそれに伴う苦労話も披露されました。
越後谷氏:「シブサワ・コウブランド」の持つ「三國志」シリーズ、「信長の野望」シリーズなどのキャラクターは強力なIPとして活用されています。歴史とシミュレーションがやはり「シブサワ・コウブランド」の2つの柱。このほかにも、チンギス・カンや水滸伝など歴史題材はまだまだあります。特に明治維新はウチのブランドで今後やってみたい題材の1つですね。
伊藤氏:ロールプレイングゲームで面白いことはシミュレーションゲームでもいける。「シブサワ・コウブランド」のシミュレーションゲームにおける強みはこれからもっともっと活かされていくと思いますね。歴史題材という意味では、私は入社以来、春秋戦国時代を推しています。なかなか企画が通りませんが、いずれ必ず手がけたいですね。
そして今井氏からは、こんな質問が。
今井氏:「三國志」シリーズといえば、中国でも高い人気だと聞きます。それに伴ってグローバルなゲーム作りができるクリエイターがもっとたくさん必要になってくるのではないですか?
越後谷氏:中華圏や韓国では日本以上に「三国志」の人気が高く、その熱量は凄まじいです。我々の「三國志」というIPは「シブサワ・コウブランド」だけでなく、コーエーテクモゲームス全体でフル回転させていくべきだと考えています。まだまだ可能性を秘めた海外マーケットにおいて、今以上の成果を挙げていくためにも、同じ気持ちでゲーム開発に取り組んでくれる仲間を集めていきたいですね。
伊藤氏:また「シブサワ・コウブランド」では他社IPとのコラボタイトルに携われるというのも大きな要素です。『ポケモン+ノブナガの野望』『妖怪三国志 国盗りウォーズ』などのタイトルも、これらの人気IPでゲームを作りたいというクリエイターが自ら手を挙げて参加しています。しかし他社IPを扱うということは、それだけ監修も徹底されていなければならず、大切なIPイメージを崩さないためにも、キャラクターのほんの小さな一部分の配色まで版元さんのチェックが入ります。これに対応していくのは大変ですが、多くの人に愛されているIPに携われることに喜びとやりがいを感じて仕事に取り組んでくれる人にももっと来てほしいです。
今井氏:今、「シブサワ・コウブランド」で求められている人材とは、どんなスキルを持った人なのでしょうか?
越後谷氏:プランナーなら自分の思い描いていることをゲームの仕様に落とし込めるよう、ロジカルに考えるスキルが必要ですね。シナリオを書きたいという人は多いのですが、それだけではゲームは作れません。ストーリーをどう展開していくか、どんなことが求められているか、トレンドやユーザーからのリクエストなど、あらゆるデータを汲み取りゲーム作りに反映できる人、数字に強い人が求められます。
伊藤氏:やっぱり一番はタフな人ですかね。ゲーム作りに正解はありません。だからこそ私たちの仕事は最適解を探すこと。ゲーム作りをやっていれば、自分の信じたものが違うということもあります。そんなとき、気持ちを切り替えたりやり直しができたりするのは強さを持った人なのです。
「シブサワ・コウブランド」で活躍するクリエイターについては、上記で語られたプランナーのほかに、CGデザイナーには同ブランドの過去作を知っていることは仕事をするうえでの強みになるとの意見が越後谷氏から出ました。これには直近のプロジェクトでディレクターとしての目線も持つ伊藤氏も合意。「あのタイトルのこの部分のイメージで」など、ディレクター、プランナーとのコミュニケーションが容易になるのはもちろんのこと、ゲームの方向性や世界観の共有ができるからとのことでした。
またエンジニア、プログラマーについては、自社エンジンを使っての作業になるので汎用エンジンでのスキルの高さより、新しいツールの習熟に抵抗がない人などの要望が出ました。参加者の関心が集まった自社エンジンに関しては、社内の技術支援部が統合エンジンを作り続けており、プログラマーからの要望で改善や機能追加をしているとのこと。たとえばSpineなどのミドルツールへの対応機能の追加などが行われているそうです。
盛りだくさんの内容となったトークセッションでしたが、最後の質問コーナーでは参加者から以下の質問が挙がりました。
―― 自社エンジンをマスターするための標準的な期間は?
回答:プログラマーでもゲームエンジンのすべての機能をマスターする必要はありません。UIならUIといった形で、担当部分のマスターに注力していただければ大丈夫です。
―― 越後谷氏のようにプログラマーからプランナーなどジョブチェンジの可能性は?
回答:20年以上前と違い、今は専門スキルがより高度になっていて他職種へのジョブチェンジは簡単ではありません。しかしプログラマー、デザイナーからプランナーへのジョブチェンジはまれですがあり得ます。
―― 他ブランドへのローテーションはありますか?
回答:シブサワ・コウブランドにもωやNINJA出身のクリエイターが活躍しています。人の交流や異動もあり、一度ブランドに所属したからと言って、二度と変わらないわけではありません。年に1回、上司に自己申告で希望を言う機会があり、そこでほかのブランドやポジションを希望することができ、上司と人事で検討します。
企業説明とトークセッションで1時間20分に及んだセミナーは、参加者の熱気をそのままに無事終了。続いて希望する参加者に対してマイナビクリエイターによるゲーム業界転職希望者のための個人面談が行われました。こちらも反響大きく、転職に対する希望やコーエーテクモゲームスに対する質問が活発に行われ、全員の面談を終えて、ようやくイベント全体の幕が閉じられました。
セミナーを終えて
数々の人気タイトルを世に送り出し、歴史×シミュレーションゲームの代名詞とも言えるコーエーテクモゲームス。創業以来、黒字経営という業界屈指の経営の好調さと、業界水準をはるかに下回るわずか4%という離職率の低さも、同社の魅力として語られました。
トークセッションでは、「シブサワ・コウブランド」の海外へも広がる今後の展開、歴史シミュレーションやIPコラボゲームの開発について語られ、参加者の関心を呼びました。ゲームクリエイターとしての大きなやりがいと安定した環境。その双方を手に入れられるコーエーテクモゲームス、「シブサワ・コウブランド」に転職を目指すクリエイターからの熱い視線が集まっています。
この記事を書いた人
マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。