【例文あり】自己PRの書き方をプロが解説!結論・根拠・証明の三段階での考え方
転職活動における自己PRとは、自分の強みを応募先企業の業務内容と結びつけ、アピールするためのものです。転職活動の書類選考の際には、高い確率で自己PRの記載が求められるため、その目的や書き方をしっかりと理解したうえで、自己PR文を用意しておくことをおすすめします。
この記事では、転職活動の応募書類に記載する自己PR文を「結論」「根拠」「証明」の三段階に分け、採用担当者にあなたの存在を強く印象付ける書き方について解説します。また、私たちマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーが、これまで数多くの転職希望者の自己PR文をチェックしてきた経験をもとに、多くの人が陥りがちな自己PRの「落とし穴」や、応募職種別の例文、よくある質問についてもご紹介します。
目次
採用担当者は「自己PR」から何を知りたいのか?
中途採用を行う企業が応募者の自己PRから読み取ろうとしているのは、「募集している職種の即戦力となれるだけのスキルや経験を、応募者が備えているかどうか」「仕事内容や自社の文化にマッチした人材かどうか」という点です。
応募者のこれまでの経歴や業務での実績については、履歴書や職務経歴書から読み取ることができます。しかし、「どのような強みを生かしたことでその実績を得たのか」「どのような姿勢で、何を意識して仕事に取り組んできたのか」「チームの中でどのような役割を果たしたのか」といった具体的なことまでは書かれていません。そのため、自己PRを書く際には企業が知りたいことを念頭に置きながら、「自分の強み」と、それをこれまでどう仕事に役立ててきたのかという具体的な根拠、そして、今後応募先でその強みをどのように生かせるのかを論理立てて書くことが大切です。
自己PR文があらかじめしっかりとまとめられていれば、面接で質問されたときにも迷わず話すことができます。まずはどのような形であれ、自分の強みを文字で書き出してみましょう。
伝わる自己PRの書き方とは?「結論」「根拠」「証明」の三段階で考える
ここからは、自己PRの書き方を、具体的に解説していきます。
書き始める前に、まずは企業のWebサイトや募集要項をしっかり読み込んで、企業側の求める人材像をあらためて理解しましょう。そのうえで、企業側に関心を持ってもらえそうな自分の強みやエピソードを、「結論(自分の強み)」「根拠(強みを発揮した具体的なエピソード)」「証明(強みを発揮したことで得られた成果)」の三段階に分けて文章を組み立てると、伝わりやすい自己PR文になります。以下、詳しく見ていきましょう。
結論
まずは「結論」から書きます。自己PR文の冒頭で、「私の強みは〇〇です」と明言しましょう。
どの強みをアピールすべきか考える際には、自分の強みとなりそうなものを箇条書きで洗い出し、その中から、応募する職種で活かせそうなものや、応募先企業の求める人材像にマッチしそうなものを3つ程度ピックアップしてみてください。強みは無理に1つに絞り込む必要はありません。履歴書や職務経歴書などの応募書類はアピールの機会になるので、無理なく明確に相手へ伝えられる範囲であれば、複数の強みを盛り込んでもよいでしょう。
例文
私の強みは「交渉力」です。交渉の際は自分の都合を相手に押し付けるのではなく、相手の状況や立場・考え方の違いを理解し、相手の発言の背景まで考え抜きます。そこからWin-Winの結果を導くことのできる提案を行い、合意形成することを得意としています。
新卒と同じような自己PRになっていないか?
転職の自己PRで注意すべきことの1つは、「新卒のような自己PR文」にならないようにすることです。あくまで、即戦力を求められる中途採用であることを忘れないようにしましょう。
自分の強みについて書き出した際に、「責任感がある」「何事にも前向き」「仲間と協力してひとつのことを成し遂げる」「あきらめずに努力することができる」など、新卒の就職活動でありがちな表現が出てきたときには注意してください。まだ社会人経験のない学生が就活をする際には、ゼミやサークル活動、アルバイトなど、学生時代の限られた経験の中から、自分の人間的資質や成功体験などをアピール材料にするしかないため、どうしても抽象的な自己PRになりがちです。
しかし、中途採用への応募者が同じような自己アピールしかできないのでは、「たいした経験がないのではないか」と思われてしまっても仕方がありません。採用側の関心を引くためには、あくまで具体的な仕事の経験に紐づけながら、客観的な裏付けのある「強み」についてアピールしましょう。
根拠
次に書くべきことは「根拠」です。先に述べた「結論」を裏付ける根拠として、仕事上で実際にあったエピソードを書いていきます。あくまで前職の機密保持契約などに触れないよう注意する必要はありますが、あまり抽象的な話や一般的な話のみだと、「本当の話?」「ただの思い込みでは?」「ほかの要素に助けられたのでは?」など、ネガティブな疑問が採用側に生じる場合もあります。
新卒ではなく中途採用であることを忘れずに、できる限り実際の仕事の経験に即して、客観的かつ具体的にまとめてください。
例文
あるクライアントのキャンペーンサイトのコンペでは、クライアントの真のニーズを考えれば、重要なのは価格の抑制ではなく、コストをかけてでも新たなターゲット層へ確実にリーチすることだと思い、キャンペーンサイトと別媒体の広告との連動型企画で効果を最大化する提案をしました。
自己PRはオンリーワンである必要はない?
自己PRに書く「強み」は、ほかの誰にも負けないようなオンリーワンやナンバーワンでなければならないと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、大きな賞を取ったり、誰もが知っているようなメジャーな案件を手がけたり、といったレベルの強みを持っている人はそうそういないでしょう。
転職活動で自分の強みをアピールする際には、自分がこれまで仕事をするうえで大切にしてきたことや、常に気を付けていたことについて書ければ問題ありません。もし、それがありきたりな強みであっても、自分の強みを認識し、大切するようになったプロセスをしっかり説明することができれば、「ちゃんと自分の考えを持って仕事ができる」ということが相手に伝わり、採用側の評価に繋げることができるはずです。
証明
最後に、強みの根拠として挙げたエピソードに関連して得られた「成果」について説明します。これによって、主張(自分の強み)と根拠(強みを発揮した具体的なエピソード)の証明とします。
この部分を書くうえで大切なことは「客観的な事実」を含めることです。主観的な話ばかりだと、聞き手には「成果があったと自分が思っているだけでは?」という疑問が残ります。「数字が〇%アップした」「クライアントからこのような感謝の言葉をもらった」など、自分が関わることで成果に繋がったことが客観的に証明でき、採用担当者に納得してもらえるような内容にしましょう。
例文
クライアントは価格面で他社の提案に傾いていましたが、1年間の費用対効果試算表などを用いて根気強く提案したところ、最終的には案件を受注することができました。始動したプロジェクトでは半年後に先方の目標を約40%上回るコンバージョンを獲得。本件により、前職の会社はそのクライアントから信頼を得ることができ、取引の規模も広げる結果となりました。
自己PRを作るときにやりがちな2つの落とし穴
ここまで説明してきた「結論」「根拠」「証明」の三段階で組み立てれば、初めての転職活動をする人でもある程度しっかりした自己PR文を作成することができるはずです。
一方、本人にはよく書けているように見えても、企業の人事担当者、つまり採用のプロの目から見ると、ちょっとしたニュアンスに違和感を持つこともあります。細かい点で採用側の評価を下げてしまうことがないよう、これから紹介する2点にはしっかりと注意を払って書きましょう。
今後のビジョンと自己PRが混ざってしまっている
職務経歴書などに「今後のビジョン」について記載したい場合は、自己PR文の中に入れ込むのではなく、あらためて「今後のビジョン」という項目を立て、分けて書いたほうがよいでしょう。なぜなら、採用担当者が「自己PR」に求めているのは、応募者が今までの経験を通じて自分の強みをアピールすることだからです。つまり、自己PRの内容は、「過去の経験を踏まえた、現在の自分の強み」です。
一方、今後のビジョンは、「これから自分が目指す姿」です。このような違いがあるため、自己PR文の中で今後のビジョンについて語ってしまうと、文章の趣旨がぼやけて、何が言いたいのか先方に伝わりにくくなってしまう可能性があるのです。今後のビジョンと自己PRは分けて考えましょう。
自己PRを前職の経験のみにフォーカスしてしまう
自分の強みを考える際、その根拠となる経験を前職のみに限って考えてしまう人もいますが、前々職の経験も含めて考えてまったく問題はありません。キャリアチェンジする際にも、前職や前々職の経験と共通する要素が生かせるのであれば、その経験をアピールするとよいでしょう。また、応募している職種が前職よりむしろ前々職の経験を生かせるものであれば、前々職にフォーカスして自己PRを作成しても構いません。
トレンドに関する知識や経験は新しいに越したことはありませんが、それ以外の面に関するアピールであれば最近の経験のみにこだわらなくてもよいでしょう。これまでの自分の仕事の経験の中から、目指す職種と親和性の高い強みを見つけて、しっかりとアピールしてください。
職種別、自己PRの例文
ここからは、職種別に自己PRの例文を紹介します。
これまで説明してきた「結論」「根拠」「証明」の三段階と、自己PRを書くうえでの注意点については理解していただけたでしょうか。下の例文のどの部分が「結論」「根拠」「証明」に当たるのか、自分の強みをこの流れに当てはめるとどのような文になるか、考えながら読んでみてください。
Webデザイナー
1.結論 |
私は海外のWebメディアなどでWeb業界の動向、技術やデザイントレンドをチェックし、いち早く仕事に取り入れるのが得意です。 |
2.根拠 |
実際にさまざまな海外事例を引き合いに、国内の同業他社と差別化できるサイトデザインをクライアントに提案してきました。 たとえば数年前の事例として、当時、国内ではまだ珍しい、動画をメインコンテンツとするサイトデザインを提案し実装しました。 |
3.証明 |
すると、ユーザーアンケートによる評価が30%アップし、サイト運用コストは20%削減を実現。当初その提案に否定的だったクライアントからも最終的には高い評価をいただくことができました。 |
ポイント
- エピソードから、仕事に対するこだわりや、仕事をする際の視点が感じられる
- 仕事のエピソードとともに自己研鑽への姿勢が描かれており、入社後の成長をイメージできる
- 成果が具体的に述べられており、採用するメリットをつかみやすい
Webディレクター
1.結論 |
私はタスク管理と、想定外の出来事への柔軟な対応力に自信があります。 |
2.根拠 |
前職では大型のサイトリニューアル案件を複数並行して担当し、各プロジェクトの進捗状況を最低限のコミュニケーションで効率的に行ってきました。 また、クライアント都合の突発的なトラブルに見舞われた際も、日頃から培っている細かいタスク管理と幅広い人脈でカバーし、クライアントと合意した予算・期限で納品した実績もあります。 |
3.証明 |
その際、先方からは大変感謝され、信頼関係をより深めることができました。そして社内からもトラブル対応力への定評を得て指名で案件を受注する機会が増えました。 |
ポイント
- どのような強みを持っているのか、首尾一貫した説明になっている
- 入社後どのような仕事を任せられるか、具体的にイメージしやすい
- 何を大切にして仕事をしているのか、応募者の視点が感じられる
フロントエンドエンジニア
1.結論 |
私の強みは、技術トレンドに関する情報収集・発信力と、状況に応じた判断力・調整力です。 |
2.根拠 |
日頃から新しいフロントエンド技術や最新のSEO、Webデザインのトレンドを意識し、有益な情報を社内SNSで発信していました。社内のチームメンバーとも良好な人間関係を築き、ReactやGitHubを活用した開発や管理を周囲の理解を得ていち早く導入。社内での実験・効果検証を経て既存案件や新規案件への応用へと、スムーズに進めることができました。 |
3.証明 |
これらの取り組みがプロジェクト運営の効率化やサービス品質向上だけでなく、トラブル発生時の迅速な対応とリカバリーも可能にし、チーム全体での顧客満足度向上に大きく貢献。チームが社長表彰を受けた際の評価ポイントの1つに繋がりました。 |
ポイント
- 強みが実際の業務にどのように生かされたのか、具体的に書かれている
- 最新技術へのキャッチアップについて、具体的な経験や姿勢がわかりやすく示されている
- 周囲とのかかわりについて詳しく書かれているので、入社後の仕事ぶりを想像しやすい
ゲームプランナー
1.結論 |
私の強みは、柔軟な対応力と問題解決力です。 |
2.根拠 |
前職では製品リリース後の運用フェーズでリーダー役を担うことが多く、業務全体を把握したうえで、スケジュール遅延やトラブルの発生時には即座にフォローできるよう、体制を整えていました。専門性の異なる20名ほどで構成されたプロジェクトチームでは問題発生時にまず現状を分析し、要因の切り分けを実行。自分の知識や経験が及ばない分野に関してはそれぞれの専門知識を持つメンバーに相談しながら、最短距離で問題解決できるようにプロジェクトの調整を図りました。 さらに、チームのメンバー全員が主要KPIを意識できるよう、プロジェクト管理ツールの機能拡充や、ミーティングでのデータ共有などを積極的に行ってきました。 |
3.証明 |
その結果、チーム内に数字を示しながらコミュニケーションする風土が定着し、製品の改善・改良スピードや精度の向上に繋がりました。 |
ポイント
- 「運用」という業務に特化して深堀りし、強みがどう発揮されたのかが具体的に書かれている
- プロジェクト全体を俯瞰し、合理的に問題解決する、応募者の姿勢が感じられる
- 目の前の成果だけでなく、長期的なチームの成功にこだわってきたことが伝わる
3DCGデザイナー
1.結論 |
私は、学びを止めず努力を継続できることが強みです。 |
2.根拠 |
前職で、思い入れのあるゲームシリーズを受注した際、プロジェクトメンバーに立候補し、ゲームの世界観を研究。背景のディテール、キャラクターの動きなど、事細かに追求し提案しました。 |
3.証明 |
私の提案がゲーム全体のクオリティ向上に繋がった点も多かったため、担当のディレクターから「プロジェクトになくてはならない存在」という言葉で評価をいただきました。 |
ポイント
- 前職の仕事で強みが発揮された場面が具体的に書かれている
- 強みを発揮することでチームにどう貢献したのかが伝わってくる
- 根拠の証明として、説得力のあるエピソードが挙げられている
自己PRに関するよくある質問
自己PRの例を読んで、ご自身の自己PR文をどう書くか、具体的にイメージできてきたでしょうか?採用する側が何を知りたいのかを念頭に置き、「結論」「根拠」「証明」という三段階の構成で文を組み立てることで、説得力のある自己PR文を書くことができます。
しかし、そうはいっても実際に書き始めてみると、いろいろと迷う点や疑問点が出てくるものです。最後に、自己PR文の書き方について、実際にマイナビクリエイターに寄せられた質問を紹介します。
Q.面接で話す自己PRは、職務経歴書と同じ内容でいいのか?
面接で自己PRを求められた際には、職務経歴書に書いた内容と同じことを話すので問題ありません。ただし、ただダラダラと読む感じにならないよう、話す時間は1分以内を目安に考えましょう。1分間で話せる分量は、原稿にして300文字程度です。相手がいちばん知りたいであろうポイントと、自分が最もアピールしたいポイントを漏れなくしっかりと伝えられるよう、職務経歴書に書いた自己PRをスピーチ用にあらかじめ短くまとめておくのがおすすめです。
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Q.数字的な実績がない場合はどうすればいい?
前職までの経験の中で、数字で具体的に提示できる定量的な実績が思いつかない場合は、定性的な実績でも問題ありません。たとえば、クライアントやパートナーからの感謝の言葉、クライアントから指名された経験、上司・同僚からの評判など、「こんな面で評価されていた」「こんなことでよく頼りにされた」というエピソードはありませんか?自分がこれまで手がけてきた仕事と、自分で考える自分の得意なことと、それに対する周囲からの客観的な評価を合わせて、自分の強みを分析してみてはいかがでしょうか。
Q.副業での経験も自己PRに入れていい?
自分の強みをアピールするための材料となる経験は、本業で得たものでも副業で得たものでも、あなた自身の仕事の経験であることに違いはありません。ただし、応募先の企業で副業が禁止されている場合には伝え方に注意が必要なので、応募前に副業の可否を確認しておきましょう。以前勤めていた会社が副業OKだったのであれば、そのことを明記したうえで副業での経験を書くのは問題ないでしょう。
キャリアアドバイザーにプロの添削をしてもらおう
記事の前段にも記載した通り、自己PRを書く際には、読み手である採用担当者が自己PRから何を知りたいのか、そして書いた自己PRが実際に企業の「知りたいこと」に答える内容になっているかどうかが重要です。自己PRが相手にどのように伝わるかを確認するためには、書類の提出前に実際に第三者に読んでもらうとよいでしょう。
転職活動をより効果的に進めるためには、第三者の視点から自己PRを確認し、転職のプロの立場からのアドバイスもしてくれる転職エージェントを活用するのがおすすめです。自己PRはもちろん、応募先の選定や書類の準備、面接対策など、転職準備を全体的にブラッシュアップしていくために、いちど相談してみてはいかがでしょうか。