面接で“受かる”「自己PR」の伝え方と例文とは?キャリアアドバイザーがポイントを解説
自己PRは、転職の面接で、よく求められる項目のひとつです。面接担当者がなぜ自己PRを求めてくるのか、その理由を把握したうえでしっかりと準備していきましょう。
面接で、あなたの存在を強く印象付けるには、自己PRをどんな構成で組み立てればいいのかなど、受かる自己PRの伝え方・例文を、NG例と合わせてキャリアアドバイザーが解説します。クリエイターの職種別自己PR例文も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
キャリアアドバイザー プロフィール

Y.Yoshimi
ECサイト運営企業やゲーム開発企業、アプリ開発関連企業への転職支援を中心に担当。Web・ゲーム業界に特化した専門性と大手企業人事部との幅広いネットワークを持ち、常に最新の情報をキャッチアップ。スピーディーな対応で最適な求人を提案することを心がけている。
目次
面接担当者が自己PRを聞く理由
魅力的な自己PRを作るために、まずは面接担当者が、なぜあなたに面接で自己PRを求めるのか、その理由を考えてみましょう。
面接担当者が面接の自己PRを通じて知りたいことは、以下の通りです。
- 客観的/的確な自己分析能力があるか
- プレゼンテーション能力があるか
- 企業ニーズとマッチしているか
自己PRでは、「自分の人材的魅力」をアピールすることが重要です。
面接担当者はあなたが自分自身の魅力をどれだけ客観的に分析できているか、そしてそれを提案できるかどうかを見ています。たとえば、「自分が採用されれば、こんな利益貢献ができる、業務効果が期待できる、組織成長に繋がる」といった魅力を伝えてくれることを望んでいます。そのうえで、自社が求める人材か、社風と合っているかなども確認しているのです。
自己PRを通じて何を求められているのか意識しながら、面接担当者に刺さる自己PRを考えていきましょう。
5つの構成から自己PRを組み立てよう
面接担当者が自己PRを聞く理由がわかったところで、次は、自分を魅力的に伝える自己PRの組み立て方を見ていきましょう。ポイントは、1結論、2根拠の提示、3主張と根拠の整合、4強みの証明、5ビジョンの提示といった5つの構成を意識することです。
1結論 | 私の強みは○○です。 |
---|---|
冒頭でまず簡潔に強みを述べる(結論が手前にくることで相手も理解が進む)。 |
2根拠の提示 | なぜなら◯◯だからです。 |
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それを裏付ける根拠として、こんなエピソードがある、ということを伝える。 |
3主張と根拠の整合 | 具体的には○○のような形で強みを発揮しました。 |
---|---|
具体例を混ぜることで根拠の説得性を強める。 |
4強みの証明 | その結果、○○のような成果が得られました。 |
---|---|
結果や成果を伝えることで、強みが実績に繋がったことを伝える。 |
5ビジョンの提示 | この強みを、○○といった形で業務に活かし、御社に貢献していきたいです。 |
---|---|
実際に企業に入社した際、どのように活躍することができるか想像させることができる。 |
この○○の部分に、具体的な事柄や数値をあてはめていけば、決して自慢や独りよがりにならない魅力的な自己PRを組み立てていけるでしょう。
職種別の自己PR例文
Webディレクターの自己PR例文
私は「交渉力」に自信があります。 … 1結論
前職で担当した案件で価格競争になったとき、今クライアントに重要なのはコストを下げることではなく、施策を最適化することだと提案し、値引きには応じませんでした。 … 2根拠の提示
費用対効果で考えれば私の提案が優れているということを根気強く提案し、交渉した結果、この案件を勝ち取ることができました。 … 3主張と根拠の整合
実際に施策を実施したところ、クライアントには「予想を上回る成果だった」と感謝され、信頼関係がいっそう深まったように思います。 … 4強みの証明
このように「手間暇を惜しまずクライアントとの関係を耕し、大きな収穫を得る」というところから、前職で私は「農業型ディレクター」と呼ばれていました。御社に採用していただけたら、御社の重要なクライアントであるB社様、C社様などとの関係をより深いものにしていきたいと思います。 … 5ビジョンの提示
- エピソードから、仕事に対する情熱や幅広いスキルが読み取れる
- 粘り強さ、会社への貢献など、付帯する強みも同時にアピールしながら全体として首尾一貫している
- 人材としての魅力が総合的に評価しやすい
- 採用したらどのような働き方をするかがイメージできる
具体的なエピソードからは、仕事への情熱と幅広いスキル、粘り強さといった強みがわかりやすくアピールできています。コミュニケーション能力の高さなど、人材としての魅力も伝わり、採用後の働き方もイメージしやすいうえ、「農業型ディレクター」といったキャッチーな表現も印象に残ります。
Webデザイナーの自己PR例文
私は、「先を予測する力」があります。 … 1結論
デザイン設計の際には、徹底した事前調査を行い、見通しを立て、サイトの目標達成や運営コストの最小化に役立てています。 … 2根拠の提示
根拠ある予測を行い、それに基づいた資料と共にクライアントとイメージを共有するので、精度の高いデザイン設計ができ、修正などにかかる時間やコストも削減しています。 … 3主張と根拠の整合
このやり方はイニシャルコストがかかりますが、長期的にはコストパフォーマンスが高いとクライアントに評価され、前職では2年間で受注案件数○○%増、受注総額○○%増を達成し、リピート率も○○%向上しています。 … 4強みの証明
御社に採用していただけたら、まだこういった手法に基づくサイト設計がほとんど実施されていない業界のクライアントを存分に開拓できると思います。 … 5ビジョンの提示
- エピソードから、「理論的で数字に強いデザイナーだ」という付帯的な強みも総合的に読み取れる
- 経営視点も持ち合わせていることがアピールされている
- この人材を採用することで、大きなチャンスがつかめるかもしれないという期待ができる
具体的なエピソードと数字を盛り込んだ自己PRからは「理論的で数字に強いデザイナー」であるという強みがうかがえます。また経営視点があることや、人材的価値をアピールすることで、この人材を採用したら大きなチャンスを得られるかもしれないという期待を高めています。
ゲームプランナーの自己PR例文
私は「リスクヘッジに強い企画づくり」が得意です。 … 1結論
ゲーム開発中のリスクを踏まえ、柔軟に対応できるようなゲーム企画のスキームを編み出しました。 … 2根拠の提示
たとえば、○○というゲームでは、企画変更に対応できるように準備しました。シナリオや構造は基本的に変えず、テキストとグラフィックの変更だけでゲームの世界観を変えられるようにしたのです。 … 3主張と根拠の整合
他社から少し早く類似ゲームがリリースされた際、この備えがあったので、開発の大幅遅延や、○億円規模の損失を出さずに済みました。 … 4強みの証明
御社のゲーム開発においてもリスクヘッジに私のスキームを応用していただければ、より安定した開発環境が確保できるのではないでしょうか。私も御社の一員として、どんな大規模なゲーム企画も安心して任せていただけるプランナーになりたいと願っています。 … 5ビジョンの提示
- 相手企業に提供できるベネフィットが明確である
- 単なる強みではなく、オンリーワンであることがわかりやすい
- 企業と自分、ともに利益を共有し成長していけるというビジョンを提示している
リスクヘッジという、企業の経営にとって重要な役割を担えることが、自己PR全体を通してよく伝わってきます。企業の危機的状況を回避したエピソードが具体的でいかに自分がそこで力を発揮できたかがわかりやすく表現されています。企業と自分の将来的なビジョンが語られているのもポイントです。
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自己PRをより効果的に語るためのポイント
自己PRの組み立て方や具体的な例文を紹介してきましたが、続いては、自己PRをより効果的に語るためのポイントをキャリアアドバイザーが解説します。
一次面接・二次面接と役員面接、それぞれに“響く”自己PRを準備しよう
面接担当者が自己PRを通じて確認しているポイント
面接フェーズ | 面接担当者 | 確認しているポイント |
---|---|---|
一次面接・二次面接 |
|
|
役員面接 | 役員 |
|
一次面接・二次面接では、配属部署の上長や人事担当者が行うのが一般的です。この際は、「コミュニケーション能力が高い」「数字に強い」など実務スキルを中心にアピールしたほうが面接担当者に響きやすいでしょう。
一方、役員面接まで進んだら、組織マネジメントや経営目線に関するスキルやセンスを持っているというアピールのほうが相手に響きやすくなります。このような点がアピールできれば、「志の高い人材」「マネジメント職の素質あり」として、あなたの評価はさらに向上するでしょう。
自己PRは使い回しが利きやすい。労力を惜しまず作り込みを!
志望動機とは異なり、自己PRは基本的に「自分語り」ですから、エントリー先の企業が変わってもそれほど大きくぶれることはありません。基本的な部分を作り込んでおいて、あとは面接先の求める人材像に合わせて細部をチューニングすればOKです。
ひと言で言い切れるキャッチフレーズを用意する
たとえば、先ほどのWebディレクターの例では「農業型ディレクター」というキャッチフレーズを使っています。このように、自分の強みをひと言で言い切れる印象的なキャッチフレーズを添えておくと、面接担当者の印象に残りやすいでしょう。
面接担当者同士が面接終了後の会話で、「3番目に面接した人だけどさ」「ああ、農業型の人?」などと言われるようなら、面接突破は大きく近づいたと考えられます。あまり奇をてらう必要はありませんが、広告のコピーと同様、「意表を突かれる」「インパクトがある」「個性的な」「ほかに類を見ない」キャッチフレーズづくりを試みてください。
自己PRとは別に「強み・長所」も語れるよう準備しておく
面接準備として、自己PRとは別に「強み・長所」を聞かれた場合の回答例を準備しておくとよいでしょう。会社や面接担当者によっては、わざわざ自己PRのあとに「強み・長所」を重ねて質問してくることがあるからです。
本来、自分の「強み・長所」は自己PRで語る要素の1つです。それぞれ内容が似てしまうのは当然なので、一貫性を持って回答しましょう。回答の方向性がばらけると、面接担当者を困惑させてしまいます。
せっかく自身の魅力を面接担当者に伝えられる機会なので、有効に使いましょう。
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転職における自己PRで、やってはいけない5つのNG例
最後に、意外と陥りやすい自己PRのNGポイントを、実際のNG例と共に5つご紹介します。あなたの自己PRがNG例に含まれていないかどうか検証してみてください。
転職における面接でやってはいけない5つの自己PR
- 自己紹介と自己PRを混同している
- 新卒と同じような自己PRになっている
- 自己PRに目的意識がない
- アピールポイントが仕事に即していない
- 客観的根拠が提示できていない
自己紹介と自己PRを混同している
ありがちなNG例
自己紹介を求められた後、「続いて自己PRをお願いします」と言われたとき、「自己紹介と一部重複するのですが……」
面接担当者は、「自己紹介と自己PRをどう語り分けるか?」で、その人がどれくらい熱心に面接対策に取り組んできたかを即座に見抜きます。そのため、「自己紹介と自己PRの違いは何か?」が理解できておらず、内容が重複したり、自己紹介と自己PRが入り混じってしまったりすると、面接担当者にぼんやりとした印象しか残せないという失敗に繋がります。
あらかじめ自己紹介と自己PRの違いを押さえておくことが大切です。
自己紹介と自己PRの違い
自己紹介 | 名前や年齢、職種など、「自分が何者か」を客観的視点からまとめた「情報」を伝達すること。 |
---|---|
自己PR | 自分の能力や強み、その企業における「人材的魅力」(利益貢献、業務効果、組織成長など)があるかプレゼンすること。 |

新卒と同じような自己PRになっている
ありがちなNG例(社会人経験3年、20代半ばの人の例)
「私は後輩など、下の立場の人の意見に真摯に耳を傾けて組織を改善していくタイプのリーダーシップを発揮するのが得意です。学生時代、○○部の部長になったとき……、」
社会人経験を積み、前職でそれなりのスキルを磨き実績を積んできたはずの人が、新卒と同様の自己PRを行っていては、面接担当者の興味を引くことは難しいでしょう。学生時代にまで遡ったエピソードを紹介したとしても、面接担当者からは「仕事上のアピールポイントがないのか?」と疑われてしまう可能性もあります。「自分が一番アピールしたい部分」だったとしても、学生時代のエピソードは避け、できるだけ社会人経験の中での実績を語るようにしてください。

自己PRに目的意識がない
ありがちなNG例
「私は几帳面な性格です」
「私は周囲への気配りを常に忘れないよう心がけています」
転職面接は、面接担当者に自分の人材的魅力をアピールして「ぜひ採用してください!」と働きかけるチャンスです。
「企業研究で知った、その会社の求めている人材像に合致する強みをアピールする」「採用後の部署やポジションですぐに発揮できる強みをアピールする」といった目的意識を持って自己PRをするべきでしょう。
たとえば「几帳面な性格→短納期の煩雑なプロジェクトで、細かい連絡ミスやチェックミスが致命的になるという局面で何度もミスを食い止め、無事納品にこぎつけた」といったエピソードがあれば、制作進行やプロジェクトマネージャーなどへの適性は評価されるかもしれません。そういった「会社への貢献に結び付いた実績」がなければ、ただの自慢・自己満足と判断されてしまうリスクがあります。

アピールポイントが仕事に即していない
ありがちなNG例
「たとえば海外などの不慣れなところに行っても、すぐに友達を作れるという特技があります」
「自分の本当の強みは何なのか?」という掘り下げが不十分だと、本来アピールするべき「人材としての強み」から離れ、見当外れな自己PRとなってしまう可能性があります。
NG例の回答からは、「バイタリティがありそうだな」というプラスの印象を受けます。しかし、それなら最初から「私の強みはバイタリティです!たとえば(仕事上でバイタリティを活かした成功事例を語る)」など、仕事に結び付けた話にしてくれたほうが、面接担当者には鮮明な印象が残るでしょう。「ひょっとして、遠回しに海外に赴任させてほしいと言っているのか?」などと、あらぬ誤解を受けてしまう可能性もあります。

客観的根拠を提示できていない
ありがちなNG例
「粘り強さには自信があります。何があろうと、目標を達成するまであきらめません」
自己PRの場合、客観的根拠が提示できないと、「本当の話?」「ただの思い込みでは?」「ほかの要素に助けられたのでは?」などという、ネガティブな疑問が生じる場合があります。
今回のNG例においては、たとえば、「ある案件で、こちらの提案とクライアントの要望に大きな食い違いがありました。しかし、『○○という目的を達成するためにはこのデザインしかない』という結論に社内の意見が一致したので、○○や○○といった方法で粘り強く説得し、ついに受注に至りました」といったエピソードがあると、自己PR内容に信憑性が増し、面接担当者の記憶にも強く焼き付くものとなるでしょう。
まとめ
受かる自己PRの構成や例文について、NG例と共に解説しました。面接担当者が自己PRを質問する意図をイメージしながら、ポイントを押さえた回答を準備しておくことで自信を持って面接に臨むことができるでしょう。
面接当日は、質問のされ方や順序など、想定していないイレギュラーな流れになることもあります。心に余裕を持ち、落ち着いた受け答えができるよう、事前にしっかりと準備しておきましょう。