現場の声をカタチに。仲間たちと作る一人ひとりが主役の会社―― 株式会社TYOデジタル・ワークス尾藤博史氏インタビュー

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東証一部上場企業であるAOI TYO Holdingsの傘下で、クリエイティブ・エージェンシーとして広告制作を手がける「TYOグループ」。中でもTYOデジタル・ワークスは、そのWeb部門として成長を続ける会社である。同社はデジタルコミュニケーションに必要とされるプロダクション業務を全方位で対応。企画・ブランド設計といった上流工程から最終工程となるアウトプット、加えてサービスリリース後の継続運用までワンストップで展開している。

また、働き方改革にもいち早く取り組んでおり、職場環境が非常に充実しているのも特徴の1つ。ポテンシャル採用やクリエイターの育成を通じ社員同士のコミュニケーションは活発で、実にフレンドリーなうえ風通しもいい。今回はそんな社風を醸成していった背景や同社で働く魅力について代表の尾藤氏に話を伺った。

プロフィール紹介

尾藤 博史氏
株式会社TYOデジタル・ワークス 代表取締役

デザイン専門学校を卒業後、編集プロダクションのデザイナーを経て、1996年にomdr株式会社(旧・美澤修デザイン室)に入社し、ブランディングに関わるデザインを手がける。株式会社COMに転じ、それまでグラフィックデザインを手がけていたが、Webにシフト。その後、AD兼デザイン部長となって管理業務にも携わるようになる。2016年にTYOのID(インタラクティブ・デザイン)事業部と統合されて同社設立となり、代表取締役に就任。

ボトムアップ型の経営スタイルで、自分たちの会社作りを

―― 生粋のクリエイターとして活躍されていた尾藤さんが、経営サイドにシフトするまでの経緯を教えてください。

尾藤氏:デザイン系の専門学校を卒業してからずっとデザインを中心にキャリアを築いてきました。最初はグラフィックから入り、TYOデジタル・ワークスの前身であるCOM時代にWebへシフト。それまでやっていたグラフィックには、モニターで作成した質感とでき上がりの違いにむず痒さを感じていましたが、Webならそのままでき上がる。もちろん、3次元的に動きも出せる。このブレがないところや、できることの幅広さが楽しくて、以降はWebデザインを手がけていました。

社長として今いるのは、自分から手を挙げたのではなく、流れの中でその役割をいただいた感じです。最初は前社長が退任するとき、「残されたメンバーを支えたい」という責任感からこの役割を受けました。そのうちに「新しく増えたメンバーたちのために」と責任感が親心に変わり、よりよい会社、組織にしていきたいと思うようになりました。ただ、私自身は「カリスマ性のある社長」ではないので、社員という「仲間」と一緒に会社作りをするボトムアップ型の経営スタイルをとっています。

クリエイター時代、経営層と現場の声が乖離した時の気持ちを覚えていますので、現場から上がってくる意見は必ず耳を傾けるようにしています。ボトムアップ型なら、いいアイデアを持つ仲間が多いほど、会社の力量も可能性も大きく広がってくる。私は社員も発言ができるこのスタイルが会社をさらに成長させると信じています。

―― ボトムアップ型の経営スタイルを代表するような、具体的な施策や事例はありますか。

尾藤氏:1つは、毎週私も参加しているリーダー会です。各部で出た意見をリーダーが持ち寄り、積極的に検討しています。たとえば、名刺管理ツールを導入したい、Webリテラシーの平準化を目的とした勉強会を開催したいなど。おやつを食べながらフラットに意見交換をする「おやつ会」も、この場から実現したイベントの1つですね。トップダウンだと浸透しにくいことでも、「自分たちが出した企画」となると、自然と自発的に動いていくんですね。常に全員が「よりよくなるために」と考えてくれるので、「あったらいいね、必要だよね」というアイデアは積極的に形にしています。

メンバーたちとざっくばらんに意見交換をする尾藤氏

働き方の面でも“WORK STYLE 360°”というテーマで、ワークライフ・バランスの適正化や就労形態の多様化、ワークスタイル変革などにも取り組んでいます。性別問わず産休を取得する社員も多いですね。リモートワーク制度や時短勤務はもちろん、フリーランスの方とパートナー契約を結び、業務量を適正量にする仕組みも仲間と相談しながら拡充してきました。お子さまの送り迎えで早出・早帰りしたり、急な発熱などで出社できないときなども、チームメンバーと協議しながら柔軟に対応しています。

優秀なメンバーが増え人員配置に余裕が持てるようになったことや、社員に近い働き方をしてくれるパートナーネットワークの拡大、業務の効率化など、仕組みで解決できることにも積極的に取り組みながら、上長や私が社員一人ひとりの就業時間が適正であるよう管理しています。

社員一人ひとりに行き届いた教育体制と、自らのキャリアの棚卸しができる評価基準

――ポテンシャル採用をするときはどんなところに注目されていますか?

尾藤氏:採用のポイントは、コミュニケーション能力と清潔感。そして自分の欠点を理解し、改善する努力をしているかどうかです。

ポテンシャル採用で入社される方は、なにかしら足りないところがあるはずで、入社後は必ず誰かに手伝ってもらう必要があります。行き詰ったとき、周りとコミュニケーションをとって素直に人の力を借りることができる方は、成長していけると考えています。また、成長の第一歩は「できていないことを知ること」。自分の欠点と向き合い、勇気を持って誰かに伝え、助けを得ながら克服できるような方は、自分で成長の裾野を広げていくことができると思っています。

清潔感というのは、自分と社会とのバランスを見るバロメーターみたいなものと考えています。特にデザイナーにおいては「美しさを表現するプロ」としてお客様の前に出る以上、クライアントに信頼してもらえる美意識を持つべきと考えています。例えば髪の毛がボサボサでデザイナーですと言われても、相手は信頼できないと感じてしまうということです。

―― クリエイターの評価は会社によってさまざまですが、御社ではどのような評価基準を設けていますか?

尾藤氏:評価のポイントの1つ目は、行動評価。これは仕事や会社、目標に対する具体的な取り組みを測るものです。2つ目は、スキル。デザインやコミュニケーション、オペレーションなど、細かく項目を立てて絶対評価を行なっています。最後は、教育の一環で行なっている課題への評価。これら3つの指標を踏まえ、毎年年末に1年間の振り返りを行なっています。

今はクリエイティブ自体が複合的になっているので、デザインスキルを使ってWeb制作がしたいという方よりも、「ものづくりがしたい」という思考の方が増えているように感じます。そのため、振り返りの中では、「今はデザイナーだけどプランニングも経験したい」といったキャリアチェンジの希望も出せます。課題への取り組みなどを通じて、ご自身の進みたい道を見出してもらえれば嬉しいです。

―― ポテンシャル入社された方の教育体制と、成長事例を教えてください。

尾藤氏:先輩がメンター役となり、OJTと平行してセミナーや勉強会、コンペなどに参加。基礎力を養いながら仕事の流れを吸収してもらいます。取り組んだ仕事は、メンターがクオリティチェックを行い、実力を確認しながら徐々に足りない部分を補っていくスタイルです。

加えて、課題にも取り組んでもらいます。たとえば、「○○商品サイトの制作」なら、商品やターゲットの分析、それを踏まえたテーマ策定、ワイヤーフレームの作成など、デザイン部分だけでなく上流工程も含めひと通り体験します。これによって、全体の流れをリアルにつかめるようになり、日々の働き方も変わってくる。自分の次なるキャリアも自然と見えてくるでしょう。会社としても「この人はデザインだけじゃなく、映像やプランニングの素養もあるな」と、時にはデザイナー以外のポテンシャルを発見できるのです。

成長事例は……いっぱいありますよ。未経験からアートディレクターになった社員もいますし、新卒入社の若手が2年目でディレクターを任されることも。

当社ではプロデューサーではなく部長が案件のコントロールをしており、メンターと連携しデザイナーの成長を見極めながら、タイミングよく次のフェーズへと進める仕事をアサインしています。そのため、前職では小規模な案件しか担当できなかった方も、ここでは1000万円単位の案件を任せられるということは日常茶飯事。1ランク2ランクアップは当たり前になっています。

人の成長なくして会社の成長はあり得ない。個々の能力を伸ばせる環境を

―― 御社の今後の展望やビジョンをお聞かせください。

尾藤氏:私たちのメイン事業はデジタルプロダクションですが、会社としてより一層成長していくためにも、クリエイターの育成に力を入れたいですね。先に挙げたように、デザイナーだからデザインだけ、ディレクターだからディレクションだけという職務の枠にとらわれず、幅広いクリエイティブができる人材を育てることが目標です。

当社の外注費率は2割程度。ほとんどを内製しているため、デジタル領域に関してはできないことがないほど、多彩な領域にチャレンジできます。この環境を活かしながら、優秀なクリエイターを現場レベルで育成すると同時に、他社とのコラボレーションや自社サービスなど、日常業務の枠を超えた研究開発プロジェクトなどにも取り組みたいと考えています。私たちの仕事は、すべて人から生まれます。だからこそ、人の成長なくして会社の成長はあり得ない。そのため、一人ひとりが自分の能力を伸ばせる環境作りをしていきたいと思っています。

―― 最後に、これからクリエイターとしてキャリアを築いていかれたい方へメッセージをお願いします。

尾藤氏:私の時代には、グラフィックか映像かと領域が明確に別れていましたが、今はトータルで経験しようと思えばいくらでもできる時代です。反面、興味関心が高い人ほど、アレもコレもと焦ってしまいますよね。だからこそ、何か1つ、自信を持てる分野を作ってください。広げてから深くではなく、なにか1つの分野を深くしてから広げた方が横展開も成長も早くなります。

その成長の場に当社を選んでくださるなら大歓迎です。社内にはさまざまなアイデンティティを持った仲間が、違う価値観や意見を共有しながらものづくりをしています。かと言ってガツガツしたところはなく、いたってアットホーム。嬉しいことに、面接で感じた雰囲気と入社後のギャップがないという声もたくさん聞きます。どんな仲間と、どんなチームでやるか、仕事環境に目を向けると当社のよさが伝わるのではないかと思います。実際、私から見ても、みんな本当に楽しそうですよ。気持ちよく働きながら、クリエイターとしての長期的なキャリアも一緒に築いていきましょう。

インタビューを終えて

同社に伺って一番驚いたことは、社員の方みなさんがとても明るくフレンドリーだったこと。それは、代表を務める尾藤氏も例外ではない。取材中は終始にこやかに、気を配られながら、時には腰が低すぎると感じてしまうほどていねいに対応してくださった。「社長の人柄が入社の決め手」という方が多いことも頷ける。

社長と会話する姿もとても自然で堅苦しさや壁を感じることは一切なかった。このチームワークのよさやアットホームな雰囲気も、現場出身の代表が手がけるボトムアップ型の経営スタイルから生まれるものだろう。

「どうしたら成長できるか」「どうしたら活躍できるか」そんな課題も、社長や仲間と一緒に解決できる、そんな温かい社風が同社の魅力だと感じた。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

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