未経験からゲームプログラマーを目指すには?転職活動において押さえるべきポイントを解説!
日頃から多くのエンジニアの方とお話をさせていただく中で「ゲーム業界での経験はないけれど、いつかゲーム制作に関わる仕事がしたい」「未経験でもゲームプログラマーになれるでしょうか」といった声をよく耳にします。正直、未経験からゲームプログラマーを目指すのはかなり厳しく、ただやみくもに転職活動を始めてもうまくいかないことが多いかもしれません。
そこで今回は、業界未経験の方が憧れのゲームプログラマーを目指すために押さえておくべきポイントを、ゲーム業界専任のキャリアアドバイザーが詳しく解説!転職活動をするうえでの具体的なアドバイスと併せて、多くの方から寄せられる疑問・質問について答えます。
プロフィール紹介
N.Ariyoshi
2018年入社。Web・ゲーム業界全般を担当。技術的な変化が激しい業界において、企業が求めるニーズを正確にキャッチ。新しいことに挑戦しようとするクリエイターに最新情報を提供し、長期的な視野で転職支援をしている。趣味は ゲーム(「ウイニングイレブン」で全国大会出場経験あり)。
1.「業界未経験から転職」のコツを知りたい!
IT業界/
サーバーサイドエンジニア
昔からゲームが好きなので、せっかくならゲーム制作に関わる仕事がしたいと思いゲームプログラマーへの道を模索中なのですが、現実的に難しいでしょうか。
ゲームプログラマーは、ゲームプランナーやゲームディレクターが企画したゲームをプログラミングし、ゲームとして作り上げていくのが仕事です。その際、ゲームの仕様書通りにただキャラクターを動かすだけではなく、動作に合わせて音を調整したり、プレーヤーがよりゲームの世界観を楽しめるようなエンターテインメントの要素を組み込んだ工夫をしなければなりません。同時に、作り上げたゲームは、操作にストレスを感じさせない設計であることも重要です。
つまり、ゲームプログラマーには一般的なシステム開発に携わるプログラマーとは異なる「ゲームに特化した専門性」が求められるので、即戦力として活躍できる人を採用するとなると、基本的には経験者がほとんどです。
そのような状況で、未経験の方がゲームプログラマーを目指すなら、まずはゲーム業界という大きな括りの中で転職することを考えてみてはいかがでしょうか。ポイントとなるのは、「自身の経験を活かして活躍できるポジション」を狙うことです。
具体的にどんなキャリアチェンジが考えられるのか、2つのパターンを例に見ていきましょう。
Case1:サーバーサイドエンジニア(IT業界)→サーバーサイドエンジニア(ゲーム業界)
まずは、他業界から同職種へのキャリアチェンジでゲーム業界を目指すパターンです。
もしあなたがIT企業でサーバーサイドエンジニアとして従事しているのなら、ゲーム企業のサーバーサイドエンジニアのポジションで応募していきましょう。サーバーサイドエンジニアの場合、業界は違っても基本的なデータの扱い方は同じなので、これまでの経験を活かしながらゲーム業界で活躍することができますし、企業としてもサーバーサイドエンジニアとしての実績を評価できるので受け入れやすいのが実情です。
また、会社を選ぶ際には、あえて規模が小さいゲーム会社を狙うのもおすすめ。なぜなら、規模が小さい会社であれば個人の裁量が大きく、入社後にキャリアチェンジのチャンスも狙いやすいからです。私が実際に聞いた話では、サーバーエンジニアの採用でありながら、フルスタックエンジニアとしてゲームプログラマー(クライアントサイドエンジニア)の役割が与えられるケースもありました。こういったキャリアチェンジは分業化が進む規模の大きな会社ではなかなかないことです。
Case2:システム運用・保守(IT業界)→デバッカー(ゲーム業界)
続いて、他業界・他職種から適性を活かしたキャリアチェンジでゲーム業界を目指すパターンです。
IT企業で運用・保守に従事していたエンジニアや、業界・職種ともに未経験からゲーム業界を目指したいという方なら、デバッカーのポジションで選考に臨むのはいかがでしょうか。デバッカーは開発中のゲームに不具合がないかチェックするのが主な仕事です。システムの運用・保守で培った集中力、忍耐力、強い責任感といった適性は大いに活きるでしょうし、業界・職種未経験の方にとっても、デバッカーは比較的、採用される可能性が高いポジションなので狙い目です。
ここでは2つの例を紹介しましたが、いずれも大切にしていただきたいのは、未経験でゲームプログラマーを目指すなら、今までの経験を活かしたうえで、まずはゲーム業界でのキャリアチェンジを意識すること。ゲーム開発はチームで行いますので、実際に自分がそのチームの一員となって開発に携わること、つまり現場に立つことで、ゲーム開発の流れを把握できるようになるからです。
一度の転職ですべてを叶えるのではなく、段階的に理想に近づくキャリア設計もあることを念頭に置きながら、まずはこれまでの経験が活かせるポジションを狙って転職活動を進めていきましょう。
2.実績がない!そんな中でも自分を魅力的に見せるためには?
IT業界/
インフラエンジニア
ゲームプログラマーとしての実務経験がないため実績として示せるものがないのですが、どのように自分をアピールしたらよいでしょうか。
実務経験の有無にとらわれず、自分がアピールできるスキルや能力を見極めましょう。
おっしゃるとおり、ゲーム業界に限らず、クリエイター職への転職なら制作実績はとても重要視されます。ゲームプログラマーの場合、書類選考でソフトウェア開発のプラットフォームであるGitHubのアカウントを制作実績として求められたり、選考の一環でプログラミングのテストを課されたりすることもあります。そこでなにを確認されているかというと、やはりご自身のスキル(技術)です。ですから、もし提示できる実績がないのなら、自分でゲームを制作し、それを実績としましょう。「ゲームを自作している」という熱量は企業にも必ず伝わります。
ゲーム制作の勉強方法については、独学でも、専門学校でもどちらでも構いません。独学の場合、時間はかかるかもしれませんが、自分のペースでスキルを高めていくことができます。ゲームの専門学校で学ぶ場合、独学に比べてコストはかかりますが、ゲーム制作における知識・スキルを体系的に効率よく身に付けることができます。
独学でも専門学校でも、最終的な目的はゲーム制作のスキルを身に付けることです。ご自身に合った学習方法でスキルを習得できるとよいですね。
これからゲーム制作をはじめるならUnityがおすすめ
ゲームエンジンのUnityは使い勝手のよさや汎用性の高さから採用している企業が圧倒的に多いです。個人的に利用する分には無料で使えますし、世界中にユーザーがいるので学習するための資料も多くそろっているでしょう。そういった点からも、もしゲームを作るのであれば積極的にUnityを使ってみてはどうでしょうか。ぜひ実際に操作して、使用感を確かめてみてください。
参照:Unity
自身でのゲームづくりを通して、ゲーム制作における知識・スキルを学ぶことができたら、今度はそこで身に付けたスキルをどのようにアピールしていくかについて考えていきましょう。
たとえば、実際の選考時に、完成したゲームの概要について説明するだけでは物足りない。ゲーム制作を通じてどのような技術を学んだのか、ゲーム内のどのような表現をするために具体的にどういった工夫をしたのかなど、プロセスや工夫した点についてしっかり言葉で伝えられるようにしましょう。
実績がない場合、企業の採用担当者は、あなたの現在もっているスキルだけでなく、ゲームプログラマーとしての「論理的な思考力」やこれから活躍していけるポテンシャル、成長確度があるかどうかを見ています。実際、あるゲーム会社では、応募時点でゲームプログラマーとしての経験の有無は問わないものの、面接時にホワイトボードに計算式を書くよう求めるなんてこともあります。プログラマーやエンジニアの方なら一度は聞いたことがあると思いますがFizzBuzz問題などですね。
また、ゲームプログラマーに必要な「論理的な思考力」があるかどうかは、上記の例を見てもわかる通り、履歴書・職務経歴書といった書類以上に面接時のやりとりで判断されています。そのため、面接時は特に、相手の質問意図を理解し論理的な回答をするように心がけると、より採用担当者に自分の印象を残せるでしょう。
ゲームプログラマーにとってプログラミングの技術は非常に大切です。しかし、採用選考という場面では、技術だけでなく、今後その会社の一員となる「人材」としてのアピールも大切なのです。選考時には技術のアピールにとどまらず、「なぜゲームプログラマーなのか」「ゲームプログラマーになってどんなことを実現したいのか」など、自身の考えを論理的に相手に伝える練習をしておくことをおすすめします。
3.いつが最適?応募に適したタイミングとは?
IT業界/
テストエンジニア
未経験でゲームプログラマーを目指す場合、応募に適したタイミングはあるのでしょうか?
採用の確率を少しでも上げるために、求人が多い時期を狙うのは1つの手。狙った求人を逃さないよう事前準備も忘れずに。
ご質問の中の「タイミング」には2つの視点があり、それぞれ押さえておきたいポイントがあります。
1つ目は、文字通り応募の「タイミング」ですが、これについては、求人数が多い時期を狙うといいでしょう。未経験でキャリアチェンジをする場合、実務で経験を積んだライバルたちと競わなくてはいけないことも多く、どうしても選考時のハードルが高くなりがちです。ですから、企業への応募はできるだけ多く、積極的におこなえる時期を狙うとよいです。
具体的には、企業の年度末や決算月の前にあたる3月・9月や、賞与支給後に転職活動をする人が増え欠員募集などのために市場に求人がでやすい1月・7月などがあります。他にも、ゲーム企業であれば、新規タイトルの開発が動いている場合などは、通常時よりも人材の登用が活発になっていることが多いので、企業が個別に開催する採用イベントに参加するなど、最新情報にもアンテナをはっておけるとよいでしょう。
2つ目は、自分の「タイミング」を見計る、つまり、気になる求人を見つけたときに、応募できる状態にしておくことです。この「応募できる状態」とは、スキルの習得状況はどうか、いきたい企業・業界について調べてられているか、履歴書・職務経歴書といった応募書類はしっかり準備できているかなど、転職活動に必要な多くの準備が整っている状態を指します。スキル習得など、内容によっては短期間で準備するのが難しいこともあるでしょう。
1つ目では応募の「タイミング」について、あくまで一般論として、求人数が増える時期をお伝えしましたが、求人数が多い時期だからとただむやみに応募したところで、自分の準備がまだ整っていないのなら、本末転倒です。自身の準備不足で絶好のタイミングを逃さないためにも、計画的に転職活動を進められるとよいですね。もし、自分に合わせたスケジュールを検討したいという方は、1人で悩まず、ぜひ我々のようなエージェントも活用してみてください。
まとめ
未経験者にとってゲームプログラマーへのキャリアチェンジは簡単なことではありません。しかし、ポイントを押さえて具体的に行動することで、チャンスをつかむ可能性は十分にあるでしょう。ただ、業界の動向や、未経験者採用に関する企業の傾向を個人で調べるには限界があると思いますので、そこは経験豊富なキャリアアドバイザーにお任せください。
また、未経験からキャリアチェンジを目指すなら、早い方がいいです。実績はなくとも、ゲームに対する深い造詣やプログラミングにおける論理的な考え方、素質を期待するポテンシャル採用があるからです。現段階ではまだ転職について本格的に考えていなくても、いずれはキャリアチェンジに挑戦したいという気持ちがあるのなら、ぜひお気軽にマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーにご相談ください。
「ゲームプログラマーになりたい」という漠然とした思いだけでは、転職活動はうまくいきません。現実的に何が難しいのか早い段階で知ることで、今やっておくべきことがはっきりと見えてくるのではないでしょうか。
まずは動き出してみましょう!それがあなたのクリエイター人生を大きく変えるターニングポイントになるはずです。
この記事を書いた人
マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。
これまでの経験を活かしながら、段階的に臨めば可能性はあります。