ゲームプログラマーとは - どのような役割を担い、どのようなスキルが必要なのか

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ゲームを完成させるために、様々な役目のゲームクリエイターがチームとなって動きます。ゲームプログラマーは、その中でゲームプランナーやゲームディレクターが構想したものを目に見える形に作り上げ、実際にゲームとして動かせるように、プログラム言語を用いて組みあげることが主な仕事です。ゲームプログラマーがいて、初めて企画や構想が商品としての形になります。ただ、ゲームプログラマーがゲーム開発でどんな事をしているのか、といった情報は、あまり外に知られないのが現状です。

ゲームプログラマーは具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。今回、ゲームプログラマーという職種の定義から主な役割、求められるスキルなどについて広くご紹介します。ゲームプログラマーとしてキャリアを積み上げたい、他業界からゲームプログラマーを目指したいといったビジョンをお持ちの方はもちろん、ゲームプログラマーという職種について知ってみたい方も是非ご覧ください。

ゲームプログラマーとは?

ゲームプログラマーは、ゲームプロデューサーや、ゲームディレクター、ゲームプランナー、UIデザイナー等が構想したゲームの企画や構成・演出を、実際に動くように開発言語を用いてプログラミングするポジションを指します。しかし、ひとえにゲームプログラマーと言っても様々な顔を持ち、その仕事内容は小さなものから大きなものまで多岐に渡ります。

Wikipediaでは、ゲームプログラミングを以下のように記しています。

ゲームプログラミングとは

ゲームプログラミングとは、読んで字のごとくゲームをプログラム(プログラミング)する行為に他ならない。しかし実際にはゲームそのものだけではなく、各種ゲームから共通に呼び出される基底ライブラリ(いわゆるゲームエンジン)や、ゲーム制作補助ツールといったものまで手広く扱うことが多く、「ゲームプログラミング」という言葉から連想されるよりも地味で目立たない役割も多い。特に大規模なゲームプログラムを開発する際には、補助ツールの開発・保守・ドキュメント化はほぼ必ず行われるため、分業の過程でゲームそのものには携わらなくなるプログラマも当然現れ得るが、それでも彼らもゲームプログラマの肩書きで呼ばれる事が多い。

参照:Wikipedia参照(2018.7.4時点)

このようにゲームプログラマーには様々な業務がありますが、基本的には企画段階で意図した内容通りに動作するよう、仕様書や設計書をもとにプログラミングすることがミッションだと言えます。

しかし、上記にもあるように、大規模なゲームタイトルのプログラム開発を行う場合は、分業になることも多く、プログラミングの中心的な役割から補助的な役割まで、一見ゲームにまったく関係のないように思える仕事を含め、広範囲にわたってゲームプログラマーと呼ばれることがあります。

企画力や発想力、トレンドを押さえる力などを求められるゲームディレクターやゲームプランナーと異なり、「スキルや知識」と「正確性」が必要となる重要なポジションであり、ユーザーがストレスなく楽しめる魅力的なゲームに仕上げるには、ゲームプログラマーの「スキル」が特に重要になってくると言っても過言ではありません。

ゲームプログラマーが担う主な役割

ゲームプランナーやゲームディレクターが提案した企画が、ユーザーに「面白い」と思われるようなプレイ環境を構築出来るかどうかは、上でも述べたように、ゲームプログラマーのスキルに影響されるといっても良いでしょう。

ここでは、ゲームプログラマーがゲーム開発においてどのような役割を担っているのかを下記で紹介します。

いかに快適にプレイできるかを追及する

ゲームプログラマーが担う役割は、上記で述べたように企画の実現化ですが、ゲームプログラマーの腕が最も試される点でもあります。ゲームプレイで、いかにユーザーに飽きさせず、続行してもらえるかは、ゲームプログラマーが快適な動作を可能とするシステムを構築できるかがとても重要なのです。

どんなに優れたグラフィックのゲームでも、キャラクターの動作が鈍く、画面の切り替わりのレスポンスが悪かったりしてしまっては、ユーザーは快適にプレイできず離脱に拍車をかけてしまいます。いかに快適で、動作上でのストレスをなくせるか。ゲームクオリティを高めるという点では、とてもクリエイティブな業務とも言えるでしょう。

バグを徹底的に排除する

また、ゲームプログラマーはバグなどに対しても細心の注意を払い、もし不具合が発見されたならば、迅速な対応をとらなければなりません。もし、バグが埋め込まれたゲームを発売してしまった場合、そのゲームがどれほど素晴らしいものでも、売上に大きく影響する可能性があります。

プログラミングは作ったら終わり、というわけではなく、どんなに完璧を期したと思っても実際に動かしたら、不備が出てきたり、想定もしていなかった問題が起こり得る事もあるので、ゲームプログラマーが構築したプログラミングは、デバッガー(チェックチーム)によって必ずデバッグされます。バグや修正すべき点、不具合が発見された場合は、ゲームプログラマーにフィードバックし、修正します。デバッグは繰り返しの作業ですが、ゲーム開発において欠かせない作業のひとつです。修正後、最終チェックを完了させ、ゲームが完成します。

しかし、完成といっても最近のゲームでは、コンシューマー(いわゆる据え置き機のゲーム)のものでも、発売後にダウンロードコンテンツとしてデータが追加される事があり、スマートフォン向けゲームならばサービスが続く限りデータが更新されていくので、ゲームプログラマーは日々デバッグ作業を行うこととなります。

習得すべきプログラミング言語とゲームエンジンについて

重要な役割を担うゲームプログラマーですが、なるために特別必要な資格はありません。しかし、プログラミング言語こそが物を言う仕事内容であるため、ゲームプログラマーはいくつかのプログラム言語の習得が必須と言えます。開発するにあたり、プログラミング言語ならば、C++やC言語、Java、スクリプト言語としては、PHPが広く使われています。現在であれば、最低限C++やC言語といった開発言語はゲームプログラマーとしてキャリアを考える場合、覚えておくべきでしょう。独学が難しい場合には、プログラミングの専門学校やスクールなどで扱える言語を磨くことも一つの方法です。

上記でも少し触れた基底ライブラリ(以下ゲームエンジン)も、ゲームプログラマーが仕事をするにあたって習得しておきたい大事なツールです。ここではいくつかゲームエンジンの特徴をピックアップしてみました。

種類 特徴
Unity
  • マルチプラットフォーム対応
  • モバイル対応しやすい
  • PC画面に別の映像を出せる開発者がデバッグしやすい
  • ハードウェアサポートが早い
  • C#でコーディング可能
  • 日本語の情報が多い
  • 無料版と有料版(75ドル/月)がある
  • ノンプログラミングで開発可能
Unreal Engine4
  • リアリスティックな絵を出しやすい
  • 映像向き
Lumberyard
  • Amazon製
  • AWSクラウドに統合できる
  • 無料で使える

中でもUnityとUnreal Engine4はゲーム業界で非常によく使われる2大ゲームエンジンです。これらの概要についても簡単に触れておきます。

これらは使い勝手の良さからゲーム以外で使用される事もしばしばあるため、他業種の方で既に習得済みという方もいるのではないでしょうか。Unity、Unreal Engineについては、「ゲームプログラマーが必ず扱うべきソフトウェア4選」でも詳しく紹介されていますので、是非こちらもご覧になってみてください。

技術は常に進化していくことから、常に新しい情報を取り込み、新しいスキルを習得していこうという姿勢が大切です。例えば新しいプログラム言語がでたら、まずは触って確かめてみましょう。現在出回っているものとの差や互換性を調べてみることが大事です。時には他の人との情報交換も必要になってくるでしょう。

どんな職種においても言えることかもしれませんが、ゲーム業界は特に移り変わりの速い業界です。他のゲームプログラマーより一歩先を走るためにも、柔軟に変化し対応するマインドと向上心を持ち、先入観に囚われない広い視野で物事を捉え、自分のスキルを磨く積極的な意識を持ちましょう。

また、ゲーム業界には若い人材も多く、ゲームプログラマーとして転職したら、上司や先輩が自分よりも年下だったという事はしばしば起こります。年齢や経験の差は気になる事ではありますが、そこでやきもきするのではなく、年齢に関係なく相手に敬意を払い、必要とあればアドバイスを求め、学ぶ広い心を持つ事も重要でしょう。

ゲームプログラマーとしての「人材力」を高めるために必要な資質

ゲームプログラマーが担う役割の部分でも少し触れましたが、技術の発展もあって、ゲームはクリアしたらそれで終わりではなくなってきました。パッケージのものでも、最近ではダウンロードコンテンツとして更に色々遊べる要素が追加されたりします。オンラインゲームやソーシャルゲームはアップデートが繰り返され、ストーリーが追加されたり、ユーザーが求める機能がついたりと、何度も同じ内容のものを繰り返し遊んでやりこんでいくスタイルから、今やゲームはユーザーと共に進化していくものとなりました。

人気がでれば、長く売り上げを得られることもあって、どのゲーム会社もこぞってアプリ開発を行っています。元から人気職種ではありましたが、市場拡大と共に求人も増える一方です。特にソーシャルゲーム業界は業績を上げている会社が多いため、そのような企業への転職を考える人も多いのではないでしょうか。

しかし、メジャーなゲーム会社の求人がでても、すぐに埋まってしまうのではと思いきや、もちろんそう簡単ではありません。求められるのは、業界の知見があり、スキルのある即戦力ゲームプログラマーで、求人があっても当然求められる人材でなければ採用されることはありません。会社から「欲しい人材」と思われるために、ゲームプログラミングの知識やスキルは身に付け、人材力を高めておきましょう。

なお、他業界からのキャリアチェンジで、ゲームプログラマーになることもできます。ただ、ゲームプログラマーとして雇いたくなるような、魅力的な資質を持った人材である事が前提となります。そこで、他業界からのキャリアチェンジでゲームプログラマーになるために持っておくべき資質について以下にまとめてみました。

01.転職先として考えている企業が開発したゲームについて情報収集している

気になる企業が出しているゲームはしっかり認識しておくことが重要です。ゲームについて熱く語った上でゲームプログラマーとして、自分がどれだけそのゲームに貢献できるかをプレゼンテーション出来れば、競争相手から一歩抜きんでる事ができるでしょう。企業研究がとても重要となります。

02.ゲームの性質を深く理解している

現在人気のゲームが「なぜ人気なのか?」を分析してみましょう。そうすることで、自ずと「自分に不足している事」、「身につけるべきスキル」に行き着くでしょう。進化するゲームと共に自身の知識やスキルをアップデートしていくことが、ゲームプログラマーとして必要になります。選り好みせず色々なジャンル・デバイスでヒットしているゲームを実際にプレイし、どのように作られているのかをしっかり理解しましょう。

03.ゲーム業界のトレンドを身につけている

ゲームプログラマーは、情報収集する力が求められるゲームディレクターやゲームプランナーと異なるポジションとは言っても、ゲーム業界のトレンドに無関心というのは良いと言えません。ヒットしているゲームがどのように作られているのかを知るのも大事ですが、どのようにしてヒットしているのかの分析が大切です。「今、ユーザーに人気傾向があるのはこういうゲームだ」、「この点がヒットの要因なのだろう」と客観的に見つめて分析し、感覚を養うことが必要になるしょう。

ゲームプログラマーに必要な基本スキル

ゲームプログラマーとして必要になるスキルについても簡単に触れておきます。ゲームプログラマーになるための地盤作りを実際に始めようと考えた時、スキルをモノにするためにどのぐらい時間がかかるかも知っておきましょう。また、ゲームプログラマーに必要となるプログラミングスキルから、コミュニケーションスキル、体調管理スキルについても解説します。

プログラミングスキル

ゲームプログラマーは、上でも述べましたが、プログラミング言語を使用したプログラミングスキルがあることは前提条件です。ただ、現在ゲームプログラマーが使用するプログラミング言語も多岐に渡るため、キャリアチェンジからゲームプログラマーを志す場合、全てを網羅するのは膨大な時間を要するため、困難と言えるでしょう。そこで大事なのは、転職先と考える企業が、どんなプログラミング言語を使用しているのかをリサーチし、必要なものを集中して習得するのがベストです。

ちなみに、ひとつのプログラミング言語を覚えるのにかかる時間は、早くておよそ1000時間、約41日と言われています。無論、働きながらではプログラミング言語習得に使える時間も限定的と言えます。ゲームプログラマーになるための言語習得にどの程度時間を割けるのか、今のライフスタイルの中にどのように組みこみ、如何に集中して臨むかが鍵となるでしょう。

プログラミング言語の習得に要する時間

最近では時間が無い人でも気軽に学べるよう短期集中型の講座や、ネット講座もあります。スクールの形態などにもよりますが、1〜3か月、長くとも半年ほどでプログラミングを習得できます。夜間行っているところもあり、働きながら通う事もできます。近くにスクールが無くとも、ネット講座ならば自宅でプログラミング言語を習得できます。

プログラミング言語を覚えるのが苦手という方は、言語を覚える過程でフリーゲームを作ってみるのをおすすめします。ゲームを作り上げる工程で、「どのような動作にプログラミング言語が必要なのか」といった言語の役割を構造的に把握できます。自作ゲームを作り上げたという達成感は次への大きな活力になりますし、未経験だとしても、自作のゲームやアプリを配信し、一定のレビューを得られれば、それは紛れもなくあなたの実績になります。

「こうゆうゲームが好き」、「好きなゲームを作るためにプログラミング言語を覚えた」、「プログラミング言語を基にゲームを作った」と、着手から完成までの動機がしっかりあれば、面接の際に有効なアピールになる事は間違いありません。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルはどの業種でも重要なスキルの一つです。ゲームはひとりで作り上げるものでは無く、チームで分担して作業します。ゲームプログラマーは他の企業と連携して仕事をこなす場面も多々あるため、そうすると物を言うのが、コミュニケーションスキルです。基本的には作業の多いゲームプログラマーですが、技術者を交えた打ち合わせ等では、ゲームプログラマーとしての意見を求められたりする場合もあります。その際、自分だけが分かる内容で話すのではなく、誰にでも分かるよう咀嚼しつつ、ロジカルに説明することを心がけましょう。

社内では作業時間が長いため、黙々と没頭してしまう場合が多々ありますが、息抜きに雑談や他のポジションの人と会話することも大事です。これは印象の話ですが、黙々と作業をしていると会話の回数が減り、意見や提案が交わしにくくなる場合があります。

他のメンバーと良好な関係でコミュニケーションが取れれば、無理な依頼や提案に手を貸してくれる機会も増えることでしょう。そういった良好な関係を築けるコミュニケーションスキルは、転職の際にも新しい環境に馴染んでいけるかの判断材料にされる場合があるので、意識しておく良いでしょう。

体調管理スキル

開発したゲームのリリース前後やアップデート前後、もしくはエラーなどのトラブル発生などで、長時間の作業になることが多いゲームプログラマーは、体力もそれ相応に必要となります。専門的なプログラミングを扱うために、体調不良で休んだりした場合、他の人に作業してもらう事が難しいためです。そのため、日頃から自身の体調管理がとても大切になります。

同時にイレギュラーなトラブルが起こった際に、慌てることなく対応できる精神力(判断力)も必要でしょう。判断力が落ちていると、人為的ミスでエラーが発生してしまう危険性も高くなります。ミスが許されない以上、体力面も精神面も万全に整えておくことは、ゲームプログラマーには大切な事なのです。

なお、プログラミングスキル以外のゲーム業界の知識、コミュニケーションスキル、体調管理スキルといった要素は、他職種からゲームプログラマーにキャリチェンジする際にも有利に働きます。今までの職で得たものを、どのくらいゲームプログラマーに活用できるのかを考えてみてください。他職種からキャリアチェンジでゲームプログラマーに転職する事は、決して0からスタートでは無いのです。

ゲームプログラマーのキャリアチェンジで役立つ3要素

まとめ

ゲームプログラマーについて幅広くご紹介してきました。ゲームプログラマーはプログラミングする事に面白さややりがいを感じる人、細かな作業が好きな人、難解な事ほど燃えてしまう人、そして何よりもゲームが好きな人に向いている職業です。

世界中の人と交流の出来るソーシャルゲームの普及もあり、市場拡大を受けてゲームプログラマーを含め、ゲーム業界全体の求人が増えています。ゲームが好きで昔は憧れていたけれど、結局別の業種についてしまったという人も、適切なスキルを身につければゲームプログラマーにキャリアチェンジすることも可能なのです。是非、ゲームプログラマーというキャリアを考える上での参考にしてみてください。

この記事を書いた人

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