退職届の退職理由は「一身上の都合」?具体的に書く?書き方を例文で解説
退職届や退職願に書く退職理由は、どの程度具体的にするべきなのでしょうか。この記事では、退職理由として一般的に書かれる「一身上の都合」という言葉の意味や使い方、退職理由の書き方で注意することなどについて、例文入りで解説します。
目次
退職届の理由は「一身上の都合」が基本。その理由とは?
自己都合で会社を退職する場合、退職届に書く退職理由は「一身上の都合」とするのが基本です。
実際の退職理由は人それぞれだと思いますが、退職届に退職理由を書く目的はあくまで、「自己都合退職か会社都合退職かを明確に書面で残すこと」です。そのため、自己都合退職であることがはっきりしているのであれば、具体的な理由は省略して「一身上の都合」とのみ書きましょう。
そもそも「一身上の都合」の意味は?
一身上とは、その人の個人的な問題や事情のこと。また、都合とは、何かをするにあたって、ほかの物事に影響を与える事情や理由のことを指します。つまり、「一身上の都合」により退職するということは、個人的な事情により退職する、自己都合で退職するという意味です。
理由が「一身上の都合」以外になる場合
退職届に書く退職理由が「一身上の都合」以外になるのは、自己都合ではなく会社都合で退職する場合です。なお、会社都合で退職する場合、基本的に退職届の提出は不要ですが、会社側のルールなどにより退職届の提出を求められた場合は従いましょう。その場合の退職理由の書き方をご紹介します。
会社都合退職の場合は理由を具体的に書く
会社都合の退職にあたる主な理由と、退職届への書き方の例は以下のとおりです。
退職の理由 | 退職届への書き方 |
---|---|
会社が倒産した | 貴社、業績不振による倒産に伴い |
勤めていた事業所や部署が廃止された | 貴社、組織改編による部門縮小により |
事業所が移転して通勤できなくなった | 貴社、〇〇事業所の移転に伴い、通勤が困難になるため |
会社からの退職勧奨に応じた | 貴社、退職勧奨のため |
退職の理由 | 退職届への書き方 |
---|---|
会社が倒産した | 貴社、業績不振による倒産に伴い |
勤めていた事業所や部署が廃止された | 貴社、組織改編による部門縮小により |
事業所が移転して通勤できなくなった | 貴社、〇〇事業所の移転に伴い、通勤が困難になるため |
会社からの退職勧奨に応じた | 貴社、退職勧奨のため |
契約満了による退職の場合
契約社員やパート、アルバイトなど有期雇用契約で働いている場合における、契約期間満了による退職も会社都合退職となります。この場合も本来は退職届を出す必要はありませんが、会社から求められた場合は退職理由に「契約期間満了に伴い」と書いて出しましょう。
退職届に書く退職理由で損することはある?その後左右されること
退職届に書いた退職理由は、会社が離職者向けに発行する退職証明書や、会社がハローワークに提出する離職証明書に記載する離職理由を裏付ける資料となります。退職証明書や離職証明書に書かれた離職理由が自己都合か会社都合かで、その後どのような影響があるのか見てみましょう。
雇用保険の給付条件
自己都合退職か会社都合退職かによって、雇用保険の失業等給付(基本手当)の給付条件が変わってきます。自己都合の場合はハローワークに離職票を提出してから支給までに7日間の待機期間+2ヵ月の制限期間がありますが、会社都合の場合は7日間の待機期間のみです。
そのため、会社都合退職のほうが、受給期間は長く、受け取れる金額も多くなる傾向があります。会社都合の退職で退職届を作成する際には、決して退職理由に「一身上の都合」と書かないよう気をつけてください。
転職活動時の採用判断
もう一つ影響があるのは転職活動時です。履歴書や職務経歴書にはこれまでの勤務先の退職理由も書くのが一般的で、退職理由が応募先企業の採用判断に影響する場合があります。
たとえば、履歴書には会社都合退職と書いて選考を進んでいたが、就職する段階で退職証明書を提出したところ実際は自己都合退職だったことで、応募先企業が不信感を持つなどのケースがあります。明らかに事実を偽って応募先に伝えていた場合には、経歴詐称にあたる可能性もあるため注意しましょう。
退職届、退職願の例文
次に、退職届や退職願への退職理由の書き方を、例文付きでご紹介します。
退職届は、退職希望者があらかじめ上司や人事と相談し、退職について内諾が得られ退職日が確定した段階で、会社に提出する書類です。退職願は、退職希望者が会社に対して退職を願い出る際に提出する書類であり、退職届とは役割が異なります。
退職届と退職願の違いや正しい書き方について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
退職届の例文
一般的な退職届の文面は、以下の通りです。会社指定の書式が用意されている場合は、それに従ってください。
退職届をPCで作成する場合には下のテキストをコピーしてWordファイルなどに貼り付け、日付や名前などの部分を書き換えて利用いただけます。レイアウトは、画像を参考にしてください。
退職届
私事
この度、一身上の都合により、
令和〇年〇月〇日をもちまして退職いたします。
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(所属部署)
〇〇〇〇(氏名) 印
株式会社〇〇〇
代表取締役社長 〇〇〇〇殿
退職届テンプレートダウンロード(縦書き・横書き)
退職願の例文
退職願の文面とレイアウトも、退職届とほぼ同様です。
退職届では「退職いたします」と言い切りますが、退職願ではまだ退職が決定していない段階なので「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」と、願い出る形の文面にしましょう。
退職願
私事
この度、一身上の都合により、
令和〇年〇月〇日をもちまして退職いたしたく、
ここにお願い申し上げます。
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(所属部署)
〇〇〇〇(氏名) 印
株式会社〇〇〇
代表取締役社長 〇〇〇〇殿
退職願テンプレートダウンロード(縦書き・横書き)
退職届に書く退職理由についてよくある質問
最後に、退職届や退職願に関してよくある質問をご紹介します。本当に「一身上の都合」と書いていいのかどうか、迷ったときにはこちらを参考にしてください。
Q.1結婚、病気、パワハラなど、退職理由は正直に書いたほうがいいのでしょうか?
自己都合で退職する場合は、どのような理由であってもまとめて「一身上の都合」と書きます。
上司や人事担当者に対して個別に本当の退職理由を伝えるのは問題ありませんが、退職届は形式的なものなので、それぞれの細かい事情を書く必要はありません。また、職場の人間関係などネガティブな退職理由を伝えると、「改善するから辞めないでほしい」と遺留されるなど、スムーズに退職できなくなるリスクがあります。退職の意思が固まっているのなら「一身上の都合」とのみ伝えましょう。
なお、パワハラやセクハラ、大幅な給与カットや給料の未払い、長時間の残業が続くなど、明らかに会社に原因がある場合の退職は、会社都合退職となります。その場合は退職届を出さないのが基本ですが、会社から退職届を求められ、自己都合退職として扱われた場合も、証拠を揃えてハローワークに申請すれば後から会社都合退職に変更できる場合もあります。詳しくは、お近くのハローワークにお問い合わせください。
Q.2退職理由を「特になし」と書いてはいけないのでしょうか?
退職理由を「特になし」とあえて書くメリットはありませんので、一般的な形式に従って「一身上の都合」とすることをおすすめします。
なお、会社によっては、自分で退職願や退職届を用意するのではなく、社内システム上にフォームが用意されていて、あらかじめ用意された選択肢から退職理由を選んだり、空欄に退職理由を入力したりする形式になっている場合があります。その場合も「特になし」を選ぶと、理由を詳しく聞かれる、退職を引き留められるなどトラブルに繋がる可能性があるため、会社側が「退職はやむを得ない」と納得できるような理由を選んでおいたほうが無難でしょう。
まとめ
退職届や退職願に書く退職理由は、自己都合退職なら迷わず「一身上の都合」と書きましょう。会社都合の場合、基本的に退職届は不要ですがケースバイケースのため、この記事を参考にしながら対応してください。
会社を退職するときは、ただ単に退職届を出せばいいとは限らず、その前後にやるべきことがいろいろあります。まずは自社の就業規則で退職までに必要な期間や手続きを確認し、退職までのスケジュールとタスクを整理することから始めましょう。
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